『はなればなれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【はなればなれ】
一つの道を貫くと人ってのは離れていくんだよね。そう、つまり今は孤独なのだ。でもさ、離れていった奴らは道を違えただけで奴らなりの道を進んでる。それはそれで良いと思うよ。好き勝手に生きるのが一番良いと思う。そして、良い事風の言葉を吐いてからこれをつけるとぜーんぶ台無し。知らんけど。ほらね。万能の言葉「知らんけど」つまりは適当な事しか言っていないのだ。真に受けるなよ。真面目ちゃん。
隣にいても
はなればなれ
遠くにいても
通じ合う
こころはふしぎ
………はなればなれ
大好きなもの
大人になったら、変わってしまう。
大人でもプリキュアとか好きで居たい。
子供のころ好きだったものが、大人になったたら、嫌いになれるはずない。でも、大人になって見ると昔、好きだったものとは、違うことに興味を持つようになる。好きな趣味と離れ離れな感じがする。
(追加)
この小説を書いたあと、とある乙女ゲームをしてた。
そしたら、その乙女ゲームでも離ればなれという言葉が出てきた…!え?今、ちょうどこのお代について書いたところだ!となった。なんだか、親近感な感じ!
「はなればなれ」
私、ハワイに転校する。
何かの冗談かと思った。
春休みのこと。
中高一貫校の私は中学を卒業して、高校入学のための準備を整えていた。
といっても、中高一貫校なので中学の卒業式はあっさりとしたものだったし、高校も通うところは変わらないのでそんなに準備するものもない。
中学と大きく変わるのは、高校が義務教育じゃないことと単位制になることくらいだ。
高校に入学したら、勉強が忙しくなるから、なかなか遊べないかもと思って、勉強もほどほどにふたりの友達を家に招いてお泊まり会をすることになった。
ゲームで遊んだり、お菓子パーティーをしたり、楽しいとどんどん時間が過ぎていく。
あっという間に夜になった。
私がお風呂からあがると、母と私の友達で何やら盛り上がっていた。
「何の話ー?」と聞くと、母が「さーちゃん、転校するんだって」と言った。
転校?そんな話一言も聞いてないけど…
「どこに転校するの?」
「ハワイ」
あれ、言ってなかったっけ?、と小声で呟いて、さーちゃんは耳に髪を掛けた。
中高一貫校だから高校一緒だと思ってたのにとか、日本飛び越えてハワイなのとか、どうして違う高校行くのとか、聞きたいことはたくさんあったけど、私が最初に口に出した言葉は違った。
「なんでもっと早く教えないのー!」
「ごめん、ごめん。もう言ったと思ってて」
「聞いてないわー!」
全然知らなかった。
ずっと一緒だと思ってた。
いつかは違う道を進むんだとしても、お別れが早すぎるよ。
その日はなかなか寝れなかった。
高校入学式。
さーちゃんはハワイの高校入学の9月に合わせて、一学期までは今まで通り同じ学校に通うことになった。
毎日一緒に登校する、この時間は当たり前じゃなかったんだな、と気付かされる。
1秒でもずっと長く一緒にいたい。
たくさん思い出を作りたい。
私のことを忘れないでほしい。
私は絶対忘れないよ。
こんなに切実なのには理由がある。
様々な理由の兼ね合いで、私はスマホを持っていなかった。
連絡手段の一切を絶たれている私にできることは今を大切にすることだけだった。
さーちゃんにはたくさんの友達がいる。
その友達の間でさーちゃんにサプライズで、送別会を開こうということになった。
皆でさーちゃんの送別会用のプレゼントを考えて数人で買いに行ってくれた。
他のメンバーは部屋を調べて確保したり、装飾品を買ったりと皆で分担した。
私は色紙を買って皆に配ってそれを貼るのがお仕事。
さーちゃん、喜んでくれるといいな。
送別会当日。
皆それぞれお菓子を持ち寄って借りた部屋に集合する。
さーちゃんには私たちの集合時間よりも遅めに伝えてあって、このメンバーの中の数人だけがさーちゃんと遊ぶ約束をしている。
今日こんなにたくさんの友達が集まっているのも内緒なのだ。
さーちゃん、びっくりするだろうな。
さーちゃんを迎えに誘った数人が外へ出る。
私たちは部屋に残ったメンバーは来る時を今か今かと待ち構えてうずうずしていた。
誰かが隠れて驚かそうと言った。
皆、その意見に賛成して椅子の後ろやカーテンの裏に隠れてじっと待つ。
外から足音が聞こえてくるたび、来たんじゃないかと身を硬くする。
ようやくガチャと音が鳴って扉が開いた。
友達が今日は部屋を借りてみたんだよね〜、と話しながら電気をつける。
それを合図に私たちはわっと前に現れた。
さーちゃんは予想通り目を丸くした。
サプライズの送別会だと言うと、まだ何が何だかという顔をしつつも喜んでくれた。
送別会用のプレゼントと色紙を渡す。
さーちゃんは嬉しそうにも少し寂しそうにも感動したようにも見える涙を流して微笑んだ。
それから私たちはお菓子を食べたり、テレビでYouTubeを見たり、写真を撮ったり、ゲームをしたり。
コロナで修学旅行に行けなかった私にとってこの日は最高の思い出になった。
さーちゃんがハワイに行く日は夏休みの途中で、その日たまたま私は学校で学園祭の準備をしなければならなかった。
空港までは見送れないからせめてさーちゃんの家まで行って「またね」って言いたくて、私は朝早くに家を出た。
約束の時間に間に合う電車を逃した。
もう一本後のは降りた後に走ればギリギリ間に合うかもしれない電車だった。
私がその電車に乗ると偶然、予定があって送別会に参加できなかった友達がいた。
その友達も学校で学園祭準備があったらしいけど、私の話を聞くやいなや学校に遅刻してでも一緒行くと言った。
友達と走った。
けど、さーちゃんはいなかった。
もともとさーちゃんのことを見送りたいと言ったのは私なのに来なかった私をさーちゃんはどう思っただろうか。
ごめんね、と友達に謝り学校に向かう。
この日から私は遅刻をしなくなった。
夏休みが終わり、2学期がやってきた。
さーちゃんはもう日本にはいないのに、ついつい探してしまう。
私を守ってくれて、助けてくれて、励ましてくれてたさーちゃんがそばにいなくても、自分で頑張らなくちゃと前を向く。
ハワイで頑張ってるさーちゃんに負けないぐらい頑張って驚かせてみせる。
といっても、全てが順調に行くはずもなく、学園祭でクラスメイトと大喧嘩して一番端の1組までその噂を轟かせたり、小テストで赤点スレスレを取って先生に呆れられたりしていたわけだけど。
それでも激動の2学期がもうすぐ終わる。
期末テストの最終日。
長かったテストが終わり、やっと解放されたと喜んでいたときだった。
急に友達が走ってきて、「さーちゃんがいる」って言って私の腕を引っ張った。
私は半信半疑で友達の後ろをついていくと、髪の毛を染めてよりかっこよくなったさーちゃんがいた。
聞きたいことはたくさんあったけど、私が最初に口に出した言葉は違った。
「だから、なんでそういう大事なこと、早く教えないのー!」
「ごめん、ごめん。驚かせようと思って。大成功!」
「大成功じゃないよ、もう」
3年間は日本に帰ってこないんじゃないかと思ってた。
ハワイに行ってから連絡ができない私はさーちゃんと疎遠になってしまって、学校で嬉しいことがあっても、つらいことがあっても伝えられなくて寂しかった。
だからさーちゃんに抱きついたときちょっとだけ涙が出そうになって慌てて唇を噛んだ。
「おかえり、さーちゃん」
「ただいま」
さーちゃんはその後も休みのたびに飛んで帰ってきた。
送別会の私の涙を返して、と言いたくなるくらい帰ってきてくれた。
どんなに離れていても私たちはずっと友達。
はなればなれ、なんて私たちの前では霧散する。
お金が貯まったら今度は私が会いに行くね。
ねえ、もしはなればなれになって
会うこともままならなくなったら
私と君ならどうするかな
会いたいと呟くことすら哀しくなるから
しないようになるのかな
私と君の会いたいが重ならなくなって
君の会いたいが
私の会いたいが
すれ違ってしまうのは悲しいな
だけどどこかで大丈夫だという自信もある
君も私もお互いを愛するだろう
いつまでもすれ違いがあったとしても
闇の底沈んでしまっても
光があるから進んでいける
お互いの手を離すことはしないでいたいな
はなればなれ
君たちの席は離すよ。
側にいると必ず揉めるから。
文句は聞かないよ。
何度も注意したからね。
改善されないんだから、仕方ないでしょう。
君達の都合なんて関係ない。
ずっと離れていてもらうから。
「はなればなれ」とかけまして
「雑な料理」と解きます。
その心はどちらも「会えない/和えない」でしょう。
はなればなれ
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.11.17 藍
他所へ引っ越すのだという級友が教室の前に立たされて、どんな顔をすべきか困惑したまま視線を泳がせている。去年の夏にやってきた彼の転校に、これと言って感情が動くことはない。ここではよくあることだから。
夏休み明けからは隣のクラスとこのクラスを一つにまとめてしまうこともあっさりと告げ、先生は夏休み前の締め括りに入る。また元気で、二学期に会いましょう。
この土地にずっといるのは、ここで商売をしている家の子供たちくらいだ。引っ越してくるのは派遣だとか駐屯だとかの親の都合がどうとかで、ある日突然現れては知らないうちに居なくなる。赤子の頃からの付き合いなのだと言われる少数人で一つのグループを作ったまま、ただ歳を重ねて大きくなっていくだけ。それが当たり前だったから、たまたま人が増えて二クラスになったときにそれはそれは大騒ぎになった。いつもの顔が隣になく、隣のクラスにあるのだから。
「せっかく離れ離れになったのにね!」
同じ方向に帰る群れの中の一人が残念がる様子もなくそう言った。小さい頃から一緒だった、我が家の前のコンビニの子。
「誰か引っ越して来ればいいのになあ……」
そうぼやくのはパン屋の子。給食がない日の保育園では、パン屋の持ってきたカレーパンを巡ってじゃんけん大会が開催される。でもジャムパンが一番美味しい。
「隣のクラスは二人引っ越して、こっちは一人だから、またクラスを分けるなら三人引っ越して来なきゃいけないんでしょ?無理じゃない?」
リカーショップの子は唸っていた。
「どんどん居なくっちゃうね」
変わらないのは私達だけだね。いつもみたいにそう言えたら良かったのに。
いつも来るのは他所の子で、いつも居なくなるのは他所の子だった。だから私達は、本当の離れ離れを知らない。
はなればなれになってもきっと君のことを見つけるからね
そんな言葉と空を閉じ込めたような瞳を物心ついた時から抱えている。前世の記憶、とでも言うのだろうか。
「……お前、じゃないよな?」
真っ白な毛並みの猫を抱き上げてその瞳を覗き込んでいたら、背後から何処かで聞いたような笑い声が聞こえた。
『はなればなれ』
そんな君だと
分かってたから
ずっと
甘噛みしてた
子猫のように
あの日君は
超えてしまった
見えてたはずの
ボーダーライン
信じないのなら
容赦はしない
自分が一番
分かってるはずの君だから
もう
二度と近づけない
そんな驚くなんて
私の
何を見ていたの
折れた爪と血
そんな痛みより
子猫は
痛いって
鳴いてた
止めてって
鳴いてた
ずっと
鳴いていたのに
「子猫」
はなればなれ
私の名前は橘。今日は一流の声優サトシとレコーディングをしにきている。
橘「さつき待つ 花橘の 香をかげば…」
サトシのような一流の声優を目指して日々努力をしている。
?「すみませーん」
誰だろう。こんなレコーディングスタジオに来るなんて凄腕の声優に違いない。
?「あの、ヒデキと申します。ここはレコーディングスタジオですか?」
橘「はい、そうですけど、」
ヒデキ「さっきから聞いてたんだけど、素晴らしい声だね」
橘「ありがとうございます」
今までそんな事を言われたのは初めてだ。私はヒデキを好きになりそうだった。
ヒデキ「いやーー近代化の象徴だね〜!ホント授業に使うのに持って来いだよ!レコーディング技術が発達するにつれて声というものを身体から引き剥がすことができるようになったんだよね!身体性を失った声にも内面性があるから、ここで主体は、その声にあるんか?それとも身体にあるんか?どっちだと思う?」
橘「え?何言ってるんですか?……えーっと、声の方ですか?」
ヒデキ「………ほんまの、お前ヤバいで。……はい三澤。」
三澤「どっちとも言えると思います」
ヒデキ「橘、お前ホンマの、ちゃんと考えて言ったほうがええで。」
橘「マジで何なんだこいつは」
ヒデキ「俺?野球選手よ」
橘「聞いたことない名前っすねー」
ヒデキ「俺の応援歌とか知らんか?」
♪安打〜は近代〜大量生産〜
技術〜は前近代〜
新たな扉を開け〜
後近代タカヤマー!
ポスト!モダン!た・か・や・ま
橘「いや知らねえよ」
ヒデキ「……お前ホンマものしらんのー!ちったーニュースとかみんのん!」
その後ヒデキは瞬く間に追い出された。
外では争う声が聞こえる。
中国の上海がどうの、とか俺なんかお前に悪いことしたかー?とか、隣のクラスの佐藤輝がどうの、とか世の中は物騒なことばかりだ。
こうやって悩むのも近代を生きる我々の特徴なんだろうか。
はなればなれになりたくない
貴方のことが好きだから
はなればなれになりたくない
貴方のことを
アイシてルカら.........♡
就職して
何年かは
実家にいた。
仕事でクタクタで
家事もせず
おんぶに抱っこで
甘えまくっていた。
このままじゃ
家事覚えないし
結婚できないかなー
と思い
正社員になれた時
実家から
30分ぐらいのところで
一人暮らしを
始めた。
そして
今
結婚で
実家から
新幹線の距離になった。
離れれば
離れるほど
お父さん、
お母さん、
ありがとう。
の気持ちがもててる
気がする。
時には
距離も
大事だよね。
#はなればなれ
―――
お陰様で♡2000頂きました。
いつもありがとうございます。
君が遠くに行ってしまう。
僕はいつも遅いから。
気付いたときにはもうどうしようもない。
君にとって僕は何だったろう。
ただの石ころだろうか。
石ころと、はなればなれ。
きっと悲しくなんてないのだろう。
はなればなれ
「それじゃね」
「うん」
「ちょいちょい帰るし、そっちも会いに来てよ」
「うん」
彼の転勤が決まってしまった。もうすぐ電車が来る。
これまでのように頻繁には会えなくなる。正直、泣きたいくらいに寂しい。
でも今仕事を辞めるという選択肢は二人ともない。
「ついて行かないの?」
無邪気なのか無神経なのか、その質問には首を横に振り続けた。
素直について行くという性格をしてたら良かったのかな。でも私は自分の足で立てるようになりたい。
彼を乗せた電車を見送って、はなればなれだねと呟く。
それを繋ぐのは強い想いと運なんだろう。私たちにそれはあるんだろうか。
――そして、何年か過ぎて、
今は二人一緒に笑っています。
#90
あなたといるとつらいこともリセットされる。
あなたといるとふしぎなことがたくさんある。
あなたといると たくさんのしあわせを感じられる。
はなればなれになんてならないよ。
はなればなれになったらもういちどさがすから。
題名:はなればなれ
『はなればなれ』
私は音楽が大好きだ。
気分が上がるし勉強や片付けなど嫌な事も出来るようになる。そんな音楽を聴くのに私が愛用してるのはAirPods。耳にフィットして音楽を大音量で楽しめる。
ある夜、眠れなくて音楽を聴きながら寝た。この先はどうなったかある程度予想できるだろう。
AirPodsが片方だけ無い、
「2個で一つ」なんて物はそこら中にある。靴下に手袋、スリッパなどもそうだ。そんな中片方だけ無いなんて悲しいじゃないか、(私も物もw)
片方だけのAirPodsをケースに仕舞いながら「見つかると良いな」とほのかな期待を寄せてケースを閉じた
bye bye AirPods。
「病院行ってきたよ。私、鼻レ離れだって」
彼女は言う。
「鼻レ離れ?何だそれ」
俺は耳慣れない言葉を聞き返えした。
「鼻歌でレの音が出なくなるんだ」
「…治るのか?」
「手遅れだって…」
「なんだと、ふざけてんのか」
「ゴメン」
彼女は弱々しく謝る。
「いや、悪い。お前に怒っているんじゃないんだ。お前に気づいてやれなかった俺が腹ただしい」
ずっと一緒にいた俺が気づいてやれなくて何が彼氏だ。
「ううん。私の方が悪いの。あなたが褒めてくれた鼻歌をもう聞かせてあげられないの。別れましょう」
彼女の言葉に俺はショックを受ける。
俺はここまで彼女を追い詰めていたのか。
このままでは離れ離れになってしまう。
そうあの時のように。
「待ってくれ。お前の鼻歌が聞けなくなるのは残念だが、お前の魅力が消えたわけじゃない」
「でもレの無い私なんて―」
「俺の話を聞いてくれ。昔バンドやってたの知ってるだろ」
「うん、音楽性の違いで解散したって」
「違うんだ」
俺は強く否定する。
「あのバンドで俺はボーカルだった。ライブをを盛り上げるために、いつも死ぬ気で歌ってた」
彼女は黙って聞いている。
「いつの頃からかシ抜きででしか歌えなくなってた。大問題さ。シが出ないボーカルに価値があるかってな」
「それでバンド辞めたの?」
「ああ」
気持ちを落ち着かせるため、一度深呼吸する。
「追放しようとするやつと俺をかばうやつ。お互いに喧嘩し始めて、ギスギスしてそれで解散。メンバーとはそれっきり。離れ離れさ」
涙が出そうになるのを堪える。
「そんな俺でも、お前は素敵だと言ってくれた。だから俺は、お前に言わなきゃいけないことがある」
彼女の泣きはらした目を見ながら告げる。
「お前は最高の彼女だ。たとえ、鼻歌でレの音が出なくても」
彼女が俺の胸に飛び込んで泣き始める。
「俺にはお前が必要なんだ」
彼女はまだ泣いたままだ。
彼女の不安を取り除くため、勇気を振り絞る
「本当はもっと準備してから言おうと思ってたんだけど―」
彼女が顔を上げる
「結婚しよう。お互いに足りない分を支え合おう」
「はい」
こうして俺達は結婚した。
おそらく俺達にはたくさんの試練があるだろう。
でも離れ離れになることはない。
俺たちはいつも一緒なのだから。
私には、双子の妹がいた。
どこに行くのも一緒で、いつも手を繋いで行動を共にしてた。
でも、父と母の離婚で私たち姉妹はバラバラに。
その時約束したのだ。
『中学はダメでも、高校は同じところ行こうね。』
「あの、大きな桜の木のある?」
小さな頃から、春になると必ず見に行った大きな桜の木。門がそばに行って近寄れなかったけど、どうやら学校の敷地内らしい。
『そう!あそこで一緒に桜を見よう?』
「……わかった。」
そうして私たち姉妹は、別れたのだ。
そこから私は猛勉強をした。
普段から成績は悪くはなかったが、進学校である希望校には届かないので、塾に通ったり勉強に時間を費やして偏差値を上げた。
そしてこの春、私は見事受験に合格し、憧れの制服に袖を通している。
全身鏡の前で、唸りながら制服のスカーフを結ぶ。
『んん……スカーフ難しいなぁ……』
「ほら!!もうすぐ時間よ~」
母の急かす声がする。
『わかってるー!!……よし、できた!!』
やっと満足のいく結び目にでき、急いでそばに置いてあったカバンを取り玄関へ向かう。
「忘れ物ない?」
玄関で靴を履いていると、後ろから母に声をかけられる。
『うん、大丈夫!!昨日確認したし!!』
「お母さんも、もう少ししたら出るから。車に気をつけてね。」
『はーい。』
いつものお見送りと同じ文言なので、適当に流していると肩に手をポン、と置かれた。
「あの子にも、よろしく。」
いつもの母と違う声がした。
消え入りそうなそんな声だった。
私は肩に置かれた母の手を掴む。
『挨拶なら、自分でしなよ。』
目線を合わせてニコリと微笑むと、母も最初はキョトンとしたが、微笑みに変わる。
『それじゃあ、いってきまーす!!』
ガチャリとドアを開け、私は新生活へ一歩踏み出した。
学校に近づくと、桜の花びらがひらひらと舞ってくる。
風に揺られて、散った桜の花びらが通学路まで落ちてくるのだろう。
『ここか……』
校門にたどり着くと、大きな桜の木がお出迎えしていた。
妹とはこの門で待ち合わせている。
たまにトークアプリで連絡は取り合っているが、妹はあまり携帯を見ないのか、頻繁に連絡は取れない。
合格したと連絡が来た時に、時間と場所を決めたのだが、果たしてきちんと来るのだろうか。
ソワソワとしていると、風がサァ……っと吹く。
風に吹かれて、桜が舞う。
少し早い時間なので、人もあまりおらずとても静か。
風の音と鳥の鳴き声、そして桜。
どこにでもある日常のワンシーンのはずなのに、なんだかとても綺麗に見えた。
「お姉ちゃん。」
『!!おは、わぷ!?』
声の方を見ると同時に、視界が暗くなる。
挨拶と同時に抱きつかれたと気づくのに、少し時間がかかった。
『ちょ、重た。』
「やっと会えたぁ……」
妹に力一杯に抱きしめられる。
かれこれ三、四年ぶりなので無理もない。
私も妹の背中に手を当てる。
『久しぶり。』
憧れの桜の木の下で私たちは再会を果たしたのだった。
「お姉ちゃん、美人になったね。」
校舎に向かう途中、妹がそう口を開いた。
『何言ってんの。同じ顔なんだから、あたしが美人なら、貴方も美人よ。』
「んーん。お姉ちゃんの方が美人さんよ。」
そうやって私の顔を覗き込む。
明らかに妹の方が顔は整っているし、背も高い。
確実にモテるだろう。主に女子に。
『あなたの方がモテそうだけどねぇ。』
「まぁ、お姉ちゃん以外にモテても嬉しくないし。」
『なんだそりゃ。』
こんな冗談を言えるようになったんだなぁと思っていると、ふと男子生徒と目が合う。
早めの時間にいるということは、先輩だろうか。
どこか顔が赤く、私を見ている。
『あの、何か?』
「へっ、あ、いや、別に……」
声をかけると、慌てて顔を下に向けてしまい、もごもごと何か言おうとしてる。
何だろう。
「あの、良ければ、連絡さk「用事がないならこれで~」
妹が話を無理やりぶった切り、私を引っ張っていく。
『え、ちょ、』
「ほらほら、お姉ちゃん行こ~」
妹に引っ張られ、下駄箱へ入った。
『ちょっと、あの人なんか言いかけてたよ?』
「え、そうだったんだー知らなかったー」
明らかに棒読みで答える妹。
どうやらわざとのようだ。
『もう、なんでそんな……』
「私お姉ちゃん以外にモテても意味無いって言ったじゃん?」
手を掴まれ、妹の顔が真ん前に来る。
目線を無理やり合わせられ、思わず心臓がドクン、と鳴った。
「お姉ちゃんを誰かに渡す気ないから。よろしくね。」
整った顔に迫られ、似た顔のはずなのに心臓の音が止まない。
どうやら、私の高校生活は平和には行かなそうですが、それはまた別のお話。
#はなればなれ