ミッサ

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はなればなれ
私の名前は橘。今日は一流の声優サトシとレコーディングをしにきている。

橘「さつき待つ 花橘の 香をかげば…」

サトシのような一流の声優を目指して日々努力をしている。

?「すみませーん」

誰だろう。こんなレコーディングスタジオに来るなんて凄腕の声優に違いない。

?「あの、ヒデキと申します。ここはレコーディングスタジオですか?」

橘「はい、そうですけど、」

ヒデキ「さっきから聞いてたんだけど、素晴らしい声だね」

橘「ありがとうございます」

今までそんな事を言われたのは初めてだ。私はヒデキを好きになりそうだった。

ヒデキ「いやーー近代化の象徴だね〜!ホント授業に使うのに持って来いだよ!レコーディング技術が発達するにつれて声というものを身体から引き剥がすことができるようになったんだよね!身体性を失った声にも内面性があるから、ここで主体は、その声にあるんか?それとも身体にあるんか?どっちだと思う?」

橘「え?何言ってるんですか?……えーっと、声の方ですか?」

ヒデキ「………ほんまの、お前ヤバいで。……はい三澤。」

三澤「どっちとも言えると思います」

ヒデキ「橘、お前ホンマの、ちゃんと考えて言ったほうがええで。」

橘「マジで何なんだこいつは」

ヒデキ「俺?野球選手よ」

橘「聞いたことない名前っすねー」

ヒデキ「俺の応援歌とか知らんか?」

♪安打〜は近代〜大量生産〜
 技術〜は前近代〜
 新たな扉を開け〜
 後近代タカヤマー!

 ポスト!モダン!た・か・や・ま

橘「いや知らねえよ」

ヒデキ「……お前ホンマものしらんのー!ちったーニュースとかみんのん!」

その後ヒデキは瞬く間に追い出された。

外では争う声が聞こえる。

中国の上海がどうの、とか俺なんかお前に悪いことしたかー?とか、隣のクラスの佐藤輝がどうの、とか世の中は物騒なことばかりだ。

こうやって悩むのも近代を生きる我々の特徴なんだろうか。
 

11/17/2023, 9:58:34 AM