『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
自分で選んだものなのに、他のひとが手にした別のものを見ると、途端にそちらの手のなかにあるものが欲しかった。手に入れた満足感が急速に萎む。
萎む、なんて柔らかすぎる。急に消えてしまう。
自分が欲しかったのはこっちではなくあっちだった! と天啓を得た気持ちになる。
そんなものありはしないのに。
幼い頃から何度も何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返してきた。
きょうだいの買ったお菓子のほうがいい。
きょうだいの買ってもらった服がいい。
お年玉の袋はこっちじゃなくてそっちがいい。
食べたかったのはエビフライじゃなくてそっちのハンバーグ。
ランドセルはこの色じゃなくてクラスの子が使ってる色のほうがいい。
欲しかったノートは、ペンは、筆箱は、裁縫セットは……。
こんな髪型じゃなくてあの髪型がいい。
反省するはずなのに、その気持ちの前では反省の記憶なんて吹っ飛んでしまう。
気がつけば友達なんていなくて。
付き合いのある人からは私物をあまり見せられなくなって。
陰では浮気性、横恋慕のプロ、不倫するために生まれてきたと囁かれるようになっていた。
どうして最初の欲しいで我慢できないのか、他人の手にあるものがあんなにも何十倍もの魅力を放っているのかわからない。
ほんとうは。ほんとうは――欲しいと思ったもので満足できるにんげんでいたかったのに、また誰かの隣で幸せそうにしているひとを見ると、欲しくなってしまう。
#ないものねだり
引越まであと2週間と迫った。
これを機に断捨離を進めてミニマリストにでもなってみようかと思いながらも家族4人分の15年で貯まった荷物は相当だった。
「ちょっとこれ見て。」
と弟が姉を呼び止める。
「またサボって作業が進まないじゃん!どれ?」
弟は1冊のアルバムを開いて姉に見せる。
「これ!やばくない?韓国の女優さんみたいに綺麗。」
「あーなんか分かる。色白だよねぇ。めっさ美人さん。」
ひとしきり盛り上がった所で
「母さんこれ誰?」
と覗き込んだ私は二十歳の頃の自分の写真を見た。
「母さんの昔の写真だね。」
「はっ?マジで。」
「今は見る影もなくて悪かったわね。まっそこら辺で作業に戻って下さるかしら?」
弟は俺は母さん似だったのか?とかなんとかぶつくさ言いながら部屋に戻って行った。
「いーなぁー絶対モテてきたな。」
「ホラホラお母さん、あなたのパッチリした黒目大好きよ。お父さん似よね。」
と姉を褒めながら心の中の嫉妬を隠していた。
何よりも溌剌として眩い位の魅力的な若さや引越の荷物を持って何往復しても息が上がらない体力、どれを取っても自分が失ったものばかりで年を取るのに素敵な年の重ね方ってなんだろう?って考えても
自分に自信を無くした状態では素敵どころかみっともないだけだろう。
ない物をねだっても仕方あるまい。自分の弱さや醜さを認めて立ち上がり失敗を恐れず諦めずに何度でも無様だろうがチャレンジする。そんな姿を見た子どもが反面教師にするか背中を追いかけてくれるか。人の成長を応援する事が生き甲斐になっていくのだろう。
『ないものねだり』
私は髪の毛量がとても多い
いくらボリュームが収まって欲しいと願ったか
誰かにとっては贅沢な願いかもしれないが
そして自分が年老いたら若き頃を羨む
私はいまダイエットをしている
体重が減って欲しい
これもまた太りたい誰かにとっては贅沢
人間はいつもなにかを求め羨み自分を憐れに思っているらしい
自分に何が与えられているかも考えずに
自分が持っているものをもう一度見てみようよ
みんなが持っていないものをあなたは手にしている
自分に配られたトランプでやるっきゃないのさ
by スヌーピー
『魚になれないわたしたち』
水槽の魚を眺めるあなたとわたし 息をするのが窮屈だから魚になりたいとあなたは言った 魚になってもわたしたち えら呼吸に慣れなくて結局窮屈な思いをするよ とはいえ水中は一見、素敵に見える
陸に上がりたい魚がいたら ぜひともお会いしてみたい きっと話が弾むはず
ないものねだり
子どもの頃はよく、
「ふつうってどんなだろう」
とか思ってた。
周りの子は
「お姉ちゃんがほしかった」
「妹がいたらなあ」
なんて言うけど。
私には、いわゆる
「普通のきょうだい」がいない。
だから家ではいつも、ひとり遊びが大半。
トランプもなければ、サッカーボールもない。
代わりとなると、人形やぬいぐるみくらい。
その頃はきっと
「普通が欲しいか?」
なんて、聞いてくる人なんていなかったけど。
今聞かれても、私の答えは同じ。
「わからない」
なんとなく思う。
ふつうならふつうの。
こちらにはこちらの。
それぞれのねだり事があるのだろう。
そんなことを本気でねだっても、ただ虚しくなるだけで。
小学生には、なんと酷な願いか。
大人になっている今となっては。
現状を、わりかし受け入れている自分がいる。
とはいえ。
ふつうに恋焦がれ、家を離れる人も居る。
逆に、受け入れ、その道に進む人も居る。
どちらが善か悪かなんて、そんな単純な話ではない。
ないものねだりとは、とても贅沢な
「夢」だ。
若い頃は、自分に無いものばかりが目についた気がする。
一番は、可愛い容姿じゃ無い
二番は、明るい性格じゃ無い
三番は、運動神経が無い
四番は、人に話せるような特技や趣味が無い
五番は、、、
と、考えただけで憂鬱になる…挙げればキリがない。
そんなこんなで私の自己肯定感は0に等しく、
それを埋める為に、皆に嫌われないように、
イイ子を演じてきた。
昔も今も、私に対する周りの評価は『優しい人』だ。
しかし、結局偽りの自分を一生続けられるわけも無く。
社会人になって、それから何年も経ってから、
やっと、人は人。自分は自分。
自分の人生は自分で舵取りするもの、と気がついた。
気がついたというか、そう考えないと耐えられなくなった。
周りに迷惑をかけるのは論外だけど、
自分の人生は自分の生きたいようにしていいらしい。
だって皆そうしているから。
私がどんなに親切にしても、
それを利用する人が大半だったから。
人は私に無いものを持っているけど、
私も人に無いものを持っている。
しかも、結構良いものを持っている。
ないものねだりも悪くないけど、
配られたカードで勝負するほうがずっといい。
生かすも殺すも、自分次第。
▼ないものねだり
『ないものねだり』
幸せっていいな、楽しいっていいな。
おかあさんがいていいな、嬉しそうでいいな。
暖かい布団で寝れていいな、話し相手がいていいな。
なんでもないものねだり
#ないものねだり
ここでなく本当の身はどこかには
きっとあるはず想いは霧散
君の事知ってるつもりが裏切られ
持て余してるないものねだり
#ないものねだり
欲しい物があるんだよ
買えばいいだろそんなもの
買うお金がないんだよ
仕事したらいいじゃん、掛け持ちでもなんでも
そんな時間がないんだよ
じゃあ時間を作ればいいだろ
やること多くて無理だよ
やること削ればいいだろ
そんなの削ったら僕が僕じゃあないよ
ないものねだりなんだよアンタはさ
お金貸してくれないかな
嫌だお断り
そこにある日々 ただ消化
起きがけに見る かの夢は
ただ、ただそこに あるだけか
手を伸ばせれば 届くかな
力のこもる 指先は
君には無理と 呼びかけた
『ないものねだり』
ないものねだりばかりしていると、心がいつも満たされない気がしてしまう。
心が満たされないと、余裕もなくなるし、運気も下がったりしそうに思えてならない。
ないものは、ねだるのではなく、自らの努力で手に入れるべきだし、努力しても手に入らないものは、諦める決断も大切かと。
恋人がいる同僚が羨ましい。
結婚した知人が羨ましい。
子どもがいる友人が羨ましい。
絵が上手いあの人が羨ましい。
書籍化したあの人が羨ましい。
私に何かないかと。
両手を広げて、閉じて、また広げて。
何もないことに、ひとりまた、涙する。
でも、きっと。
ひとりで、自由に、やりたいことをやる。
こんな私を羨む人が、いるはずだ。
隣の芝生は青い。
隣の花は赤い。
皆、自分にないものが眩しく輝いて見えるから。
いつもいつも、何かで満たされた箱を抱いて。
何もないって、嘆いてる。
【ないものねだり】
あの子はかわいい
あの子は運動出来る
あの子は背が高い
私が持ってないものどうしてあの子が持ってるんだろう
あの子が持ってるものどうして私が持ってないんだろう
あの子が持ってないもの私が持ってる
私が持ってるものあの子は持ってない
きっとみんな同じこと考えてる
かけてるモノがあることで私になる
持ってるモノがあるから私である
完璧じゃない私だから愛される
前になんかで、他人を羨むならそこに至ったその努力が自分に出来るか考えろ、みたいな誰かの格言を見たか聞いたかした。
言い方だけどまさに、人の振り見て我が振り直せ、ってやつ。まず真似からでいいからやっとくのも大事ってこと。
僕には兄がいた。
聡明でかっこよくて優しい僕の大好きな家族。
でも、そんな兄は家の者から虐げられていた。
両親はいつも言うのだ
「貴方には兄は居ないわ私達の子供は貴方だけ」と。
あとから聞いた事だがそれは事実で、兄は家業を継がせるために養子として受け入れたらしい。
しかし自分が産まれたことで後継者問題は解決して、兄は御影家の厄介者となったと。
親からの愛も、
欲しいものを買うお金も、
御影家として名声も、
兄の代わりに全て受けさせてもらった。
それでも僕は思うのだ、
おこがましくても思ってしまうのだ。
両親からの寵愛もお金も名声も要らないから、
大好きな兄と一緒に過ごして、笑いたかったと。
最期に笑った兄の顔を僕はもう思い出せない
お題【ないものねだり】
子どもは、欲しいものを
直ぐに口に出す。
それは、素直で可愛い。
大人になると
欲しいものには手が届かぬと
贅沢が過ぎると、我慢し始める。
そのうちに、欲しいものも
分からなくなっていく。
そのうちに、手に入るモノでさえ
無理だと諦める。
ないものねだりという言葉で
自分を納得させないで
たまには、欲しいモノを欲しいって
思い切って許しても、良いかもしれないよ。
自分へのご褒美は、きっと格別。
【お題:ないものねだり】
今日はなんだかすこぶる体調がよくて気分がいい。お題はないものねだりか。
今日のジャンプは面白かった。来週が楽しみで早く読みたい。だけど来週のジャンプはまだ存在しない。これってないものねだりっすよね。
ということでジャンプの感想を書こう。いつも通りアンデラからっすね。
先週は微妙だと思って熱が若干下がっていたけど今週でテンアゲしたね。だけど自分でもなんでこんな面白いと思ったのかよくわからん。
やっぱビリー様の否定能力発動、それで発動条件が変わったのが面白かったのかな。正直最初読んだときはなんで負けたかよくわからなかった。
だけど読み返してああそういうことかって理解した。こういう理解できる瞬間って気持ちいいよな。ここが今回面白いと思ったポイントなのかな。
来週には全員仲間になって仲間同士の会話が見れるだろうからそれがめっちゃ楽しみだ。次になにやるかも示されるだろうからそれも期待。
ワンピースも面白かった。シャンクスをさくっと終わらせたのは評価高い。シャンクスの強さを見せつつ話を引き締めた。プロはやっぱすごいねぇ。
大罪はとにかく初動が悪かった。つかみはよかったと思うけどそれだけだったというか。二話以降の遅さとキャラの弱さ。もう無理そうだが次センターだっけ。期待されてるのか意外と売れてるのか。
ちょっとだけ身長が欲しくて普段よりヒールの高いパンプスを。もう少し大人っぽく見せたくてメイクには時間をかけて濃い目のルージュを引いた。服装も普段着るものより露出があってスカートにスリットが入っている。
「どうかなぁ。綺麗に見える?」
姿見の前で何度もおかしくないかと確かめた。只今、『ないものねだり』中。彼は可愛いとたくさん言ってくれるけど綺麗と聞くのは少ない気がして大人っぽく見せればきっと…!と。出掛け先は夜の繁華街。繁華街を歩く女性はみんな綺麗で彼に目移りして欲しくないという理由もあった。友人には好評だったしタイミングも良く、ヘアアレンジには時間ぎりぎりまで拘って彼に会いに行った。
出会えば何かしら話す彼が一言も喋らなくて不安になる。
「…どうしたの?」
変だった?似合ってなかった?それならそうと言って欲しい。
「いつもより近いなって。冷えてない?」
ジャケットを脱いで私の肩に乗せてくれる。素っ気ない気がするけどいつもの彼のはず。あ、あの女性、素敵だなぁ。
「もっとおいで」
私は女性を眺めていたのに隣の男性を見ていると思ったのか引き寄せられた。腰を抱かれて歩くのはパンプスと一緒で馴れていない。服の素材は薄く、手の熱をありありと感じる。
「いつもと様子が違うけど俺を惑わせたいの?それとも…他の男を?」
耳元で吐息混じりに、腰に添わされた手は際どく私の弱い部分を擽った。
「ひぁ、…」
こんな反応は想定外!いつもの様にパッと輝かせて「綺麗だね」と彼が言ってくれるのを待っていただけ。妖しく色香の強い彼に気圧されて髪を掬いとられている。
「答えて欲しいな。こんなに綺麗なのは誰のため?」
大好きな彼に艶っぽく懇願されて、腰が砕けた。自分で自分を支えられなく彼に寄りかかることで精一杯。彼に似合う大人の綺麗な女性なんて『ないものねだり』したバチが当たったんだろうか。
「っと、大丈夫かい?」
「大丈夫じゃない…!」
すっかり腰が抜けてしまってそれどころじゃない。
「さっきからすれ違う男達が君を見ていたのを知ってる?俺は限界だよ」
そんなの知らない。だから見せつけるように近かったの?
「狙いどおりに歩けないみたいだし…。君が許してくれるなら、深い夜の街に拐っていいかな?」
ノック音
白い壁紙を遠目
冷えたベットによりかかる
よれたYシャツ
扉を睨む
響くは憂鬱
ノック音
嫌いな明日を遠目
独りベットに潜り込む
戻らぬ時間
扉を睨む
響くは後悔
ノック音
嫌いな自分を見捨て
独りベットをでる
静寂
白いベットを遠目
扉を触れる
冷えた感覚
扉を叩く
響くは心音
空白
ドアノブに手を当て
離した
扉の向こう
助けて
扉の向こう
吐き出せない
「なんとかして」
ないものねだり
《ないものねだり》
私と莉乃は双子。私は勉強が得意で、テストの順位はいつも上位。でも友達が多いかって言われるとそうじゃない。教室の隅で勉強ばかりの私には誰も話しかけない。莉乃は友達がたくさんいる。いつもクラスの中心にいるような存在。笑顔が素敵だから、自然と周りから人が寄ってくる。でも勉強は出来ない。テストが近づくと今にも死にそうな顔で「麗乃~(私の名前)」なんて言ってくる。
莉乃の愛想が欲しい。友達がたくさん出来る力が欲しい。そんな私のないものねだり。