『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ないものねだり
明るくてオシャレで
ユーモアがあって可愛い
あの子みたいになりたいと思って
笑ってみるオシャレしてみる
そうすると
笑顔がいいねとかオシャレだねとか
言われるようになる
だけどそうして気づく
私はあの子にはなれない
かけられる言葉と心の中のギャップに
居心地の悪さを感じる
多分、続けていけば
違和感がなくなるんだろう
けど私は本当にそれを望んでいる?
私はあの子が好き
でも私はあの子になる必要はない
ないものねだり
ないから欲しい
あったらあったで大変よ
『ないものねだり』
幼い頃から欲しかったモノがありました。
それは見えないもので、触れる事も出来ないモノでしたがその当時の私はそれをとても渇望していました。
子供は馬鹿だと下に見る大人もいますが、これが実際どうでしょう。
子供は大人よりも周囲の行動に敏感です。
大人の機嫌が悪かったらそれを察して自分ながらに動くのです。
子供は子供ながらに世の闇を知っていると思っていた方がいいでしょう。
もちろん、幼かった頃の私もそれに当てはまりました。
毎日の様に親のご機嫌を伺うのです。
楽しかった話も悲しかった話も、親の機嫌次第で言えなくていつも寂しい想いをしていました。
いつも他の家の親と自分の親を比べていました。
楽しく話をしながら帰る親子の背を見る度に、その当時は分からなかった嫉妬が私を駆け巡りました。
ずるい、私もそうなりたい、見てもらいたい
子供ながらの精一杯のエゴが初めて生まれた時でもありました。
「あっちいって」
エゴが生まれた時から、私は見てもらえるように自分なりにアピールをしていましたが
両親には意味がなかったようでした。
「ごめんね」
まだ安定していない幼い口から発せられる謝罪の言葉
そんな謝罪も意味の無いものになってしまう。
まだ何も知らぬ幼い体にはとても耐えがたいものでした。
見て、ねぇ見て、私を見て
興味がなそうに私にそっぽを向く両親の背に必死に訴えど意味はありませんでした。
心に栄養が届かないまま私は大きくなり、少しながらあの時何を欲していたのかが分かるようになりました。
そうずっと、ずっと私はそれを欲していたのです。
"愛がほしい"
ないものねだり
桜や雪景色のように綺麗で
薔薇や金色のように高貴で
海のように心広く
秋のように暖かい
時には梅雨のように冷たく
夏の砂浜のように熱く叱り
そんな人間になりたい、なんて思わない。
ないものねだりでも理想が高いでもない。
私は私が思う私で居たいだけ。
ないものねだり
このカタチ持ってない
この色持ってない
欲しい何かではなく
ない何かをねだる
心の隙間を塞ぐために
ない何かで埋め尽くす
ないものねだりじゃないこの願い。
Byそこら辺の風邪引いた中学生が思いついたウタちゃん
(ウタカタララバイの歌詞)
あれもこれも欲しい。
そう思っていっぱいに詰め込んだ。
それでもまだ足りない。
どうしようと途方にくれていると、後ろから肩を叩かれた。
──どうしたんだい? そんなに荷物を詰め込んで。
──ああ、君か。いや、持ち物の用意をしているんだけど、どうにも色々足らなくて。
──もう君の荷物はパンパンじゃないか。
──でもないものがまだいっぱいあるんだ。現にほら、君はそれを持っているけど、僕は持っていない。これじゃあ何かあった時に困るだろ。
──では、こうしよう。君が困った時は僕の持ち物からこれを貸そう。だから、僕が困った時は君の持ち物を貸してくれ。
相手にそう言われて微笑まれたら、あんなに焦っていた気持ちがなくなり、肩がすうっと軽くなった。
【ないものねだり】
どんなに富を築いても
全てを手に入れたと思っても
やっぱり隣の芝は青いもので
貪欲に強欲に求めてしまう
ないものねだりがループする
あれがいい、これがいい
と言っているうちはまだ手に入らない
ないものはないのだから、
今ある物を大事にするか、どうしてもほしければ
手に届くまで歩んでいくしかない
理想を抱くのは大事な事だが、それを他人に押し付けるとわがままと言われてしまう。
理想を潰されないためにも、理想を現実にするために
歩んでいくのだ
憧れのあの人になりたいの
可愛くて堂々としていて
カッコイイあの人になりたい
目が大きくて笑顔が素敵で
声に特徴があって私の理想のあの人になりたい
それに比べて
私はブスで常に周りの目を気にして
自分を表現する事なんて出来ない
元が悪いのもだけどメイクも頑張ってるのに
全然上手くいかないし笑顔なんて可愛くない
理想の人とは程遠い
私は今すぐにでもあの人になりたい
できる訳じゃないのにね
私,最近気になってる子が居るの
あんまり話したことないけど可愛くて
常に周りを見て気遣いが出来る素敵な子なの
みんなの意見を上手くまとめてくれるの
彼女は元がいいしメイクも毎回変わっていて
自分に合うメイクをどんどんチャレンジして
かっこいいって思う
きっと笑顔も素敵だと思う
私は彼女みたいな人になりたい
いつか貴方と話してみたい
─────『ないものねだり』
ないものねだり
あるものを都度賢くねだり倒すより欲はないのかもしれない。
理想の靴に出会えるまでは、いまある古靴履き潰すわ。
身長
背が小さい人は背が高い人を羨ましがる
背が高い人は背が小さい人を羨ましがる
それぞれにいいところがあるのに
真面目で落ち着いていて大人っぽくてなんでもできる
これが世間一般の私のイメージ
他にも朝に強そうだとか
部屋はいつも綺麗で物も少なそうだとか
なんか勉強できそうだとか
とにかくそんなイメージ。
ほんとの私は
ただ怒られたくないからルールに従って
舐められたくないから落ち着いてる風を装って
とくに面白い事も言えないから言葉数も減らして
TPOをわきまえたそれなりに小綺麗な服に身を包んで
朝起きるのは苦手で寝起きも最悪
余裕を持って家を出れたことなんて一度もない
片付けも苦手で部屋は汚いのがデフォルト
勉強はしないと怒られるからしてただけで好きじゃない
ほんとは私は
いつも元気で愛嬌もあって
困ったときは人に頼ることができて
人と話すことが好きで、人が好きで
表情もコロコロ変わって毎日楽しそうで
早寝早起きで朝にも強くて
要領良くて部屋はいつも綺麗で
勉強はできなくても色々な分野に興味関心を持てる
そんな人がいい
はい、次の方。どうぞ、おかけになって。
ご相談は? うん、ええ。
なるほど、それがなおしたい所。
うん、そうすればあなたは完璧だと。
えっ?違う、ああよりマシにはなると。
なるほどねぇ。それって誰かと比べてません?
ですよね。そういう場合はうちでは無いですよ。
嫉妬課のほうに、ええ。
ウチの場合はですね、生きてて困ったなぁ、直したいな、ぁという場合だけですね受け取るように、上からの命令なんですね。
そうなんですよねぇ、あの人いいなぁではお願いは受け取れないんです。
はいすいません。
最近増えましたね。ああいう人。SNSの影響かなぁ。
次の人来ました。お賽銭はいくらかな?
「森宮くんって、本当に頭良くてかっこよくてなんでも出来るよね!」
なんでも出来る。
僕は才能と環境に恵まれていたから、今までの人生では何不自由なく過ごしていた。欲しいと言ったものは大抵手に入る。
なんでも出来る。なんでも手に入る。
でも、それはいい事ばかりではなくて。
僕はお金で手に入るものも、それだけじゃ得られないものも全部もってる。だから、よく言われるんだ。羨ましい、って。羨ましいならまだいいけど、たまに、お前ばっかりずるいって言われる。
僕はそんな言葉まで欲しくない。確かになんでもできるというのも素敵で、幸せな事だと思う。けど、僕は多少貧しくてもいいからみんなと一緒に話したい。話しかけてくれる人はいるけど、みんな僕を羨ましいだとか、そんなことばかり言う。僕はみんなが羨ましい。
みんなが僕に言う羨ましいが本当なら、人間はどこまでもないものねだりな生き物なんだね。
――ないものねだり
『ないものねだり』
ないものをねだるより、
あるものに目を向けた方が良い。
あの人はあれを持っているけれど、
私はこれを持っているんだって誇れば良い。
というのは、誇れるものがある人にだけできることで。
ないものをねだってしまうのは、
対抗できるものを持っていないからなんだ。
自分には何もないと思っているから、
ないものをねだるしかないんだ。
何か欲しいんだ。一つくらい。
もちろん、自分では何もないと思っていても、
他者から見たらそうでないこともあるけれど。
自分では気付けないんだから仕方がない。
ないものが欲しいな。
才能、お金、コミュニケーション能力、エトセトラ。
幸せな人生が欲しいね。
幸せだと感じられる人生。
30分でどこまで書けるかチャレンジ
#ないものねだり
ーーー
「マコトが羨ましい」
それを口に出してしまうと、自分が酷く自分勝手でわがままな人間であるように思えた。実際、そうなのだろう。
「マコトには、家族がいる」
だけど、仲は良好ではないと言っていた。いつか見た夢の中では、家族の誰にも見つけてもらえないまま、マコトは死んだ。
「マコトには、僕以外の友達がいる」
だけど、マコトはその誰にも心を開いていないようだった。僕に向けるのとは違う、作り物の笑顔。等しく愛想を振りまいておきながら、誰にもあと一歩を踏み込ませない。
「僕は、」
これ以上はだめだ。分かっているのに、
「僕には、お前しかいない」
それだけで十分であるはずなのに、僕は、十分である以上の意味を持たせてしまっている。そしてそれを、マコトにも理解させようとしている。
「お前しかいないんだ」
期待と、羨望と、嫉妬と、執着と、依存と。他には、何があるだろう。いろんな感情をごちゃまぜにして絡め合わせて、僕はお前を縛りつける。されるがままなお前は、他の奴らに向けるのとは違う、『本当の笑顔』を浮かべる。
「俺も、お前だけだよ」
あいつらは全部ニセモノだ。マコトの大きな手が頬に触れる。ごちゃまぜたものが、元々は僕の感情だから、僕の心を蝕んでいく。
僕はどんどん、だめになる。
「うそつき」
うそつき、うそつき。マコトはうそをついている。マコトにとっては『お前』は僕だけじゃない。僕だけじゃない。
僕はこれ以上ないくらい尽くされているはずなのに、愛されているはずなのに。思考が止まらない、汚い感情ばかりがどんどん出てくる。許せない、羨ましい、もっと欲しい、あれが欲しい。
あいつらにあげているあれが欲しい。
「……ユキ」
「やだ」
「何が。なぁ、ユキ、聞いて。俺は嘘なんて言ってないよ」
「やだ、やだ」
「ユキ」
僕だけがいい。全部、全部、僕だけがいい。
僕だけにして、僕以外の人は見ないで。僕にもちょうだい、全部ちょうだい。
「ユキ、」
「もういっかい」
それは、その名前は、僕だけのものだから。
「もういっかい、呼んで」
「……いいよ、ユキ」
ユキ、ユキ、ユキ。これは僕の名前、僕だけのもの。あいつらの誰にも渡されないもの。
マコトの、僕よりもたくましい体が僕を抱きしめる。体温を感じる。心臓の音がする。それでも足りない、全然足りない。
自分で自分が分からなくなる。僕は何を嫌がってる? 僕は何に対してこんなにも腹を立てている?
僕は、どうしてこんなにも怖がっている?
あいつらと話しているときのマコトを思い出す。
いったいおれのどこを羨ましがってんだ
今さらおれには何もねえ
何もない、は言い過ぎか?
でも大事なものは昔捨てた
おれはお前が羨ましいよ
大事なものを大事にできて
大きな過ちもなく
おれはお前に頭を下げて
いつか許してもらわなきゃならねえ
お前から奪ったものを
ひとつずつ返してゆくわけだが
おい、だから何を求めてんだ
おれなんて虚しいだけだろうが
あの頃の世界への憧憬か
あれはもうない
いやそもそも最初からない
幻覚を追いかけるな
手に入るわけがねえ
お前が羨ましいよ
ただただ羨ましいよ
ただ、ただひたすら
『ないものねだり』
幸せが欲しい
愛してくれる人が欲しい
愛せる人が欲しい
穏やかに過ごしたい、永遠に
手に入らないと分かっているものばかりを夢見る
そんなものたちに振り回されて生きてる、常に
だから、日々つらくなるのかな
ふとした時に、ないものねだりだって気づくの
そんなのはもう嫌だからさ、
せめて身の丈に合ったないものねだりを。
隣のあの子は、かっこいい彼氏と恵まれた家族。
向かいのあの子は、仲良し夫婦。
遊びに来られるお客様の大半は、お金持ち。
私には無いものばかり。
そして、全て欲しいものばかり。
心を売ったら、私は満たされますか?
#ないものねだり
【ないものねだり】BL
「しかし意外でした、Kaedeさんとカルノ選手がご友人というのは」
「ええ、よく言われます。僕にとっては得難い友人で、今でもプライベートでよく会ってますよ」
Kaedeは屈託のない笑顔で司会者に応えている。カルノと呼ばれた覆面レスラーは、日頃着ることのないスーツ姿で緊張していた。人前に出ること自体には然程抵抗も緊張もないが、自分の言動次第で人気アイドルグループ“Euphoria”のKaedeの株を落としかねない。
バラエティ番組の、バトン式のインタビューコーナー。前回のゲストがKaedeを指名したらしい。ゲストは必ず一人誰かを連れてきて、その誰かと会話することが望まれる。例えば前からファンだった相手や、話してみたかったという人物、或いはジャンルを越えた知人だったり、家族を連れてきたりと、ゲストの連れてくる相手の内容は問われない。ただ、極力同じグループやチームの人間ではないほうが良いとはされるらしい。
だからって、アイドルが覆面レスラーを選ぶなんて、とカルノは依頼された時には頭を抱えた。
「カルノ選手はKaedeさんとの出会いを憶えていらっしゃいますか?」
「えー、あ、そうですね」
ちら、とKaedeを窺う。あ、懐かしい話? と相槌を打つ目は優しい。だが、どこか濁ったものが見えた。多分本当のことを話してはいけないんだろうと察して、カルノは半分だけ本当のことを話すことにした。
「中学に入学してすぐ、同じクラス、同じ班になった、というのがきっかけです。たまたま同じゲームをやっていて、話が弾んでしまって」
「当時流行ってたシリーズ物だったんですけど、同じところで躓いてて」
と、Kaedeが引き受けた。そうなんですねー、と分かってるんだか分かってないんだか分からない返事のあと、その頃からずっと交友を続けているのか、という問いが続く。
カルノはまた、ちらりとKaedeを窺った。笑顔に嘘はなさそうで、今の回答で大丈夫そうだ、と判断する。
「周輔っ」
のし、と背中に重み。番組の収録の後、Kaedeこと下井田楓と、カルノこと加留部周輔は、一度事務所に立ち寄ってから、別々のルートで都内のホテルにいた。所謂VIPやスイートルームで、裏手の専用口から人目を気にせず入れる部屋だ。後から来た周輔が玄関で靴を脱いでいたところに、楓が伸し掛かってきたのだ。
「お疲れ様、今日、来てくれてありがとね」
「ん、いい。緊張はしたが、お前の瑕疵になってないなら構わない」
「もう、お固いんだから」
笑いながら酒を飲んでいる。楓は周輔の背中に被さりながら、ちゅ、と首にキスをした。
「ごめんね、また言えなかった」
「馬鹿言うな、言ったらアイドル続けられないんだから」
周輔は靴を脱ぎ終えると、楓の方に向き直る。
楓は華奢には見えるが均整の取れた細い筋肉に覆われ、造形の美しい顔立ちをしている。メイクをしている時のキリリとした顔立ちが人気だが、周輔は少し柔らかな線の出る素顔の方が好きだった。
「俺が言ったら、周輔も続けられなくなる?」
「どうだろうな、こっちは公言してる選手もいるにはいるが……」
そっかぁ、と酒の匂いがする息を吐きながら立ち上がる。周輔もそれに倣って、リビングになっている方へ向かった。
「ねぇ、別れる?」
「また言うか。俺からは絶対にない」
楓は度々そう尋ねてきた。周輔はくどいと思っても、何度でもそれを否定する。自分も少し、そういう気分になることがあるからだ。
「早くもっと、僕らみたいのが認められるといいなぁ」
「ま、アイドルに恋人や伴侶がいるってのは、大分物議を醸すがな」
ふふ、と楓は笑う。周輔がなにか言う前に、胸にどん、と飛び込んできて抱きつく。
「俺の大きな熊さん。俺にない強くてカッコいい体、大好きだよ」
それが本当のきっかけだった。同じクラスで、同じ班で、なにかスポーツやってるの、カッコいいね、と腕に触れてきたのが楓だった。
「俺も……お前の細い骨格と、優しい声が好きだよ、俺の可愛い……」
いつも、なんと呼ぶか迷う。小鳥と言ったらそんなに小さくないと膨れられ、竪琴と言ったら動物にしろと言われ、難しいな、と首を傾げる。
覆面プロレスラーカルノの部屋が、実は世界各国のアイドルの写真で埋め尽くされていると言ったら、きっと誰もが笑うだろう。幼い頃から憧れた世界だった。
それを、見方によっては恵まれた体躯と、天性の才能がそれを許さなかった。変声期に声も嗄れて、万に一つの望みさえ失った周輔に、「俺はスポーツ選手になれないから」と、傷付いた膝を見せたのが楓だった。それでもやれること、できることに食らいついて、彼はアイドルとして華々しい世界に身を置いた。互いの夢を、互いに叶えあってここまで来た。
「俺の可愛い、狼さん」
「……及第点」
はぁ、と胸を吐息がくすぐる。周輔は楓をギュッと抱き締めた。少し下にある頭に頬ずりする。お互いの世界でその生命を終えるまで、きっと終えても、こうして抱き合っているのだろうと思いながら。