月凪あゆむ

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ないものねだり


子どもの頃はよく、
「ふつうってどんなだろう」
とか思ってた。

周りの子は
「お姉ちゃんがほしかった」
「妹がいたらなあ」
なんて言うけど。

私には、いわゆる
「普通のきょうだい」がいない。
だから家ではいつも、ひとり遊びが大半。
トランプもなければ、サッカーボールもない。
 代わりとなると、人形やぬいぐるみくらい。


その頃はきっと
「普通が欲しいか?」
なんて、聞いてくる人なんていなかったけど。
今聞かれても、私の答えは同じ。

「わからない」

なんとなく思う。
ふつうならふつうの。
こちらにはこちらの。
それぞれのねだり事があるのだろう。

そんなことを本気でねだっても、ただ虚しくなるだけで。
小学生には、なんと酷な願いか。

大人になっている今となっては。
現状を、わりかし受け入れている自分がいる。

とはいえ。
ふつうに恋焦がれ、家を離れる人も居る。
逆に、受け入れ、その道に進む人も居る。

どちらが善か悪かなんて、そんな単純な話ではない。

ないものねだりとは、とても贅沢な
「夢」だ。

3/27/2023, 3:52:05 AM