『ところにより雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ところにより雨」
<ところにより雨>じゃなくて、<ところにより晴れ>って言い方もたまには良いかもね。
『ところにより雨』
僕が少年野球を始めたのは小学校2年生だ。
最初は打ったら三塁に走ってしまうほど何も知らなかった。お世辞にも運動神経がいいとはいえないので万年ベンチを温めてきた。
それでも野球が好きで色々練習を重ねて来た。
毎週土日休みなんかなく雨だろうが雪だろうが練習してきた。小学校5年生のチームの時は人数がギリギリのこともあってオーダー次第では試合に出させて貰えることもあった。
5/5子どもの日の祝日は毎年、春期大会だ。
1年間のスタートの大会で上位大会に通じる大事な試合だ。にも関わらず先輩の一人が休みであろうことか僕がスタートメンバーに選ばれた。
朝見たテレビでは「k県y市はところにより雨になるでしょう。」天気予報が当たってくれれば良いのに
ところにより雨ってどんな雨だ?小雨位じゃ試合延期にはならないぞ!そう思って家を出たが、曇り空ではあるが降る様子はない。
6回裏の攻撃、皆で頑張っているが5-3で負けている。前の打者がファーボールで塁にでた。
次にバッターボックスに入るのは僕だ!
ワンナウトでゲッツーなら負けてしまう。
と考えていたら顔にぽつぽつと雨が当たったかと思うと途端に雨がザーっと降ってきて試合が止まってしまった。ベンチに皆戻ってきて審判の裁量を待つ。何分か経っただろうか?スコールみたいに降った雨が止んでしまった。グランドは水分を含みコンディション的には最悪だが大会日程の絡みもあって再開された。
僕はバッターボックスに入り相手ピッチャーを見たが雨のおかげか集中力が切れているように見える。
審判のプレイのコールで投球モーションに入った瞬間一塁が走った。ヤバイエンドランか?
僕はバットを振った。打った打球はポテンヒットではあるが先程降った雨の影響でイレギュラーを起こし焦った相手チームはセカンド送球諦めファーストへ、ところがボールが濡れて握りが甘かったのか暴投ランナーをホームに返して僕はセカンド同点ランナーになれた。「雨様様だな!」役割を果たせた僕は少しホッとしていた。
予想外の雨に予想外の引きこもり
予想外の君の寝顔と体温が
やさしい雨音のように部屋中に降り注いでいた昼下がり
(ところにより雨)
傘を差し出すあなたを見た。
「よかったの?」
「え?……ああ、僕は近いし。遠出するやつが濡れたら大変だろ」
慈善、というよりは美徳を目指す人だ。「優しい人になりたい」だったか、いつか言っていた言葉を思い出す。
そう褒めたら笑ってくれるだろうか。
カニ歩きで一歩近づいて目だけで見上げる。
「優しいね」
すると、いっときこちらを見つめてそれから嬉しそうに鼻の下をこすった。
宿舎までは相当歩くのに相合傘とやらを申し出すには折り畳みは心許ない。ので、また一歩近づいて袖を引いた。
「よければ、一緒に踊りませんか」
「お、おどる?」
「そう、踊る」
そういう曲があったのを思い出して。先んじて歌うように告げて、袖から今度はするりと手を攫った。
「僕は踊るとか得意じゃないんだ。ボックスステップくらいで」
「いいじゃんそれで。行こう」
「いいのか」
「いいの、いいの」
向き合って反対の手も取る。
「濡れて踊ろう」
「それは、絶対に風邪を引く!やめよう!」
ふざけて背中側に倒れ込もうとしたのを支えてくれる、優しい人。握ったままの両手で支えるので拘束したまま抱きしめられてるみたいで。
通りすがりの生徒が口笛を吹いた気がする。
どう?私たち、お似合いかな?
「雨の中じゃないと曲からズレるもの」
「それは恋愛ソング?」
「うん、まあ」
すでに近い距離をさらに引き寄せられる。
「僕としては、僕らはじゅうぶん恋人だと思うんだが。完全に真似をしないと安心しないか?」
前髪がさらりと私に落ちて、額をくすぐる。
今回くらいは譲ってあげてもいいくらい、そういうところが好きだった。
『ところにより雨』
不意に吹いた風に、雨の気配を感じる。
気がつけば、湿度を含み僅かに重さを増したような空気が辺りを満たしていた。
先ほどまでハッキリと見えていた木漏れ日の輪郭は曖昧になっている。
見上げれば、まだら模様の青空。太陽は雲に覆われ始めていた。
ところにより雨。
今朝確認した天気予報を思い出す。
再び吹いた風が雨の匂いを運んできて、ここに降る雨の最初の一滴が頬を濡らした。
ウィンドブレーカーのフードを目深にかぶると、ぽつぽつと色を変えていくアスファルトへと視線を落とし、少し足早に目的地へと歩みを進めた。
俺の人生は、晴れ時々くもり、ところにより雨。
イヤなこともあるけれど、楽しく過ごせることの方が多かった。でも、イヤなことのなかでも、一際大きく、心の中に大雨を降らせるような出来事が稀に起こる。そんな、泣きたくなるほど落ち込んでるとき、そばにいてくれるのがキミで。
キミは、俺がイライラして八つ当たりしても、笑顔で受け止めて、優しく包んでくれる。
俺の大雨を大きな虹にかえてくれる、キミという太陽がいてくれるから、俺は歩いていけるんだね。
これからは、俺がキミの太陽になれるように頑張る。だから、この先も一緒に、晴れ時々くもり、ところにより雨の人生を歩いてください。
#62 雨男の朝
今日の天気は晴れ
ところにより雨が降るでしょう
お天気お姉さんがにこやかに伝える
ところによる...か、
雨男の僕は今日も傘を持って
でも、レインコートはいらないかな...
雨男は毎日荷物が多い
お題 ところにより雨
君と目があった。
君が他の子と話してた。
#ところにより雨
【特別な存在】【ところにより雨】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
3/25 AM 11:50
「《特別な存在》って、
都合のいい言葉よね」
部活が終わって、体育館からの移動中、
綾音(あやね)がボヤくようにそう言った。
「え、なんで? 《特別》なのに?」
「だからよ。《特別》って思わせぶりな
言葉じゃない。でも、《特別》って
恋愛感情じゃなくても使えるでしょ」
「確かにねぇ。付き合う気がないくせに
その言葉を簡単に使う卑怯な男って
いるわよねぇ」
心愛(ここあ)が素直に疑問を口にすると、
綾音と暦(こよみ)先輩がすぐさま答える。
「あー……。なんとなく言いたいこと
分かった気がする……」
「他の人より好感とか親しみは持ってる。
でも異性としての魅力を感じてるのとは
違う。だけど、離したくはない。
それで《特別な存在》っていう
心を揺さぶる言葉を使って
繋ぎ止めようとする。そういうこと?」
美羽(みわ)が遠い目をしている内に、
瑠宇依(るうい)が相変わらず
分かりやすくまとめてくれていた。
「ええっ、そういう意味なの!?
《特別な存在》なんて言われたら、
嬉しくて舞い上がっちゃうんだけど!」
「勿論、ちゃんと唯一無二の愛しい人
という意味で使う場合も多いと思うわよ?
でも、綾音ちゃんが言った通り、
煮え切らない都合のいい言葉として
使われることもあるから、
心愛ちゃんみたいに素直な子は
気をつけた方がいいかもしれないわ」
「そんなこと気にしなくていい
爽やかな恋愛がしたいです、先輩!」
「……で、宵。あんたは話に全然乗って
来ないで、スマホで何してんのよ?」
綾音が振り返って、後ろを歩いていた
アタシに言う。
「……雨が降りそうだと思って」
「ほんとだ。外が暗くなってきてる」
「そういえば、朝の天気予報で
ところにより雨って言ってたっけ。
雨雲の動き、どんな感じ?」
美羽がアタシのスマホ画面を覗き込む。
「あと15分もすれば、雨が降りだすわね」
「ちょっとスクロールして。
……1時間もすればやみそうじゃない?」
「じゃあ、雨宿り兼ねてスイパラでも
行こうよ」
「そうね。女子会して、宵にも少しは
恋愛に興味持たせないと」
美羽と心愛がアタシの腕を掴む。
行かないとは、言わせないつもりの
ようだった。
テーマ『ところにより雨』
目立たないように、打たれないように
息を潜めていたつもりだったのに、つい感情を出してしまった
教師に暴言を吐いた
小声だったのに、敏く聞かれてチクられた
クラスの皆の前で、公開処刑
自由に自分を貫く教師が、嫌いだった
生徒に規律を押し付けるくせに、型にはまらない担任が嫌いだった
今なら、それが羨ましさの裏返しだって分かる
けれどまだ子供だった私は、ただただ悔しくて仕方がなかった
「いつもいい子なんだから、たまには許してくれたっていいじゃない!」
他人だらけの社会で、それが通じない理屈なのは分かってる
けれどどうか、この甘えを許してほしい
私には、いい子の仮面を脱ぎ捨てられる「家」がなかった
ただ、悔しかった
自分らしくいられるあいつらに、私の苦しみなんて分かるわけがない
他人と喧嘩した後でも、教師に叱られたあとでも、
陰でへらへら笑えるあいつらに
崖っぷちで、海に落とされないよう息を殺す私の辛さが、分かってたまるか
これは、自分以外全員に対する「敵意」だ
誰も私を受け入れてくれない、誰も私を救ってくれない
家でも、学校でも
そして私自身ですら、当時の私にとっては敵だった
トイレに駆け込んだ
個室の中で、声を殺して泣いた
足元に、ポタポタと雫が落ちる
他の女子が入ってきた
バレない訳はなくても、泣き声を聞かれたくないと思った
教師に叱られた自分を、私はこれ以上ないほど、心のなかで罵った
言葉というより 全身の感覚として、私の存在を消してしまいたくなる
消えてしまえばいい 他人に否定される私なんか いらない
……本当に、そうだろうか?
たしかに私は、教師に向かって多少粗雑な言葉を言った
それが、羨ましさからくる嫉妬だということも認める
しかし暴言を吐くことも、嫉妬することも。そんなに悪いことだろうか
人間一人を消してまで、贖(あがな)わなければいけない罪だろうか
大人になった私なら。今ならば、言える
『辛かった。あのとき私は、誰にも理解されない闘いをしていた。そして勝ち抜いた。私が生きているから、勝ちだ』
誰にも分かってもらえない葛藤だった
胸の中で嵐を抑え込んで、息が詰まるほどの苦しみを味わった
心の拠り所がなかった
ありのままの感情を、静かに聞いてくれる人を見つけられなかった
私のために時間を使わせたら、申し訳ないと思った
私の中にある葛藤を誰かに打ち明けたら、鬱陶しがられると思った
他人を頼る方法が、分からなかった
学生の私は、誰よりも自分らしさを求めていた
しかし。自己の責任で通せるほどに、自分を信頼できなかった
自分が頼りなくて「どうせ叱られて、心が折れて終わる」と分かっていた
親がいて、生活の世話をしてくれる
教師がいて、勉強の手伝いをしてくれる
子供の頃の私は、自分と向き合う術を知らなかった
大人になった私の中にはまだ、暗闇でうずくまる子供の私がいる
寂しかった 孤独だった 見捨てられた
何度も何度も本心に蓋をして、見ないふりをして生きてきた
今ここで書いて、また一人
少女が独りで抱えていた、錆びついた感情が少し和らいだと思う
あれは失敗の記憶ではなく、孤独な闘いの記憶だったのだ
制服を着た少女を今、腕のなかで優しく抱きしめている
いやぁ、今日は楽しかったな
家に帰ってきたお父さんとも一緒に出かけられたし
久々に家族4人揃って楽しかった
家に帰ってきて私はキャプカットという編集アプリで遊んでたんだけど
編集で新しいことがまた出来るようになって
お母さんに見せに行ったんだ
『 お母さん見て』
と言ったら
『 なんでそんなくらい言い方なの?もっと元気よく喋りなさいよ。
朝、リビングに降りてきた時の”おはよう”もいつも暗いし。』
と言われれた。
あいにくこの日は自分の体調が悪く、凄く体はだるかった
これを知ってるはずなのに、そんなこと言うんだ
楽しかったはずなのに。
そういえば今日出かけてる時も言われたな
『 体調が悪いなら早く言いなさいよ。』
『 それも言わないとか、あんたがそれだけ”我儘”ってことだからね』
私は、久しぶりに家族4人揃って出かけられるからみんな楽しみにしてると思って
遠慮してたんだけどな。
素直に言えば良かったのかな
わかんないな
もう
#ところにより雨
「ところにより雨」という予報だったけれど、「俺のところだけ雨」の間違いじゃないか。俺以外、誰も傘さしてないんだけど。
#1 【晴れ、ところにより雨。】
「今日のお天気は晴れ、ところにより雨です。」
テレビからお天気キャスターのお姉さんの声がした。
No.39『別れの情景』
散文/掌編小説/恋愛
もう少しだけ一緒にいたかった。先輩がいなくなった部室は、どこか寂しげで。先輩が引退したのは随分と前になるけれど、まだこの学校に籍を置いている、それだけで、どこか安心していたのかも知れなかった。
「いよいよ、かあ」
今日は先輩の卒業式。卒業してしまえば、もう二度と学校では会えなくて。卒業後に都会へと行ってしまう先輩。学校でどころか、本当に二度と会えなくなるかも知れなくて。
そう思うと涙が出た。先輩の前では泣かないと決めていたのに。
「泣くなよ」
そう言われると、余計に泣きたくなる。
「泣いてませんよ。きっと局地的に雨が降っているんです」
そう言って見上げた空は、泣きたくなるほど青かった。
お題:ところにより雨
私は小説家である。自分で言うのもなんだが、それなりに有名だ。ここまで登りつめるのに幾多の紆余曲折があり、年月もずいぶんと要した。だというのに、近頃現れた新人が、容易く私の隣に並び、その地位を危うくしたのだ。私には思いつきもしない奇抜な物語を書いてみせる。加えて彼は、己の作風を体現したかのような派手な装いを好んでいた。ああ、これが時代の流れか。私の書く物語は些か古臭い。私は若者についていけない。現代の風潮が肌に合わない。そろそろ筆の折り時かと思った。
そんな時、私の作品に文句をつけているブログ記事がふと目に止まった。しかしながら、こんなことは日常茶飯事である。私はいつも通りスルーを決め込もうとしたのだが、書いた人物の名を見て思わずコメントをしていた。あの新人だった。私は彼よりずっと大人であるから、とても理性的に反論をしてやった。それに新人がまた反論し、私はそれに更に反論する。いつの間にか、文字で殴り合っていた。どうやら彼は、私の作品を細かに読み込んでいるらしい。そう思わせる指摘ばかりで、正直どの発言も反論に苦労した。
いつしか、私たちの喧嘩はファンの間では有名になり、セットとして扱われることが増えた。まったく不名誉だ。私はあんな品のない作品は書かない。よくもここまで下品な内容を書けたものだ。その日、私は喧嘩の最後を「君は神を冒涜しすぎです。いつか天罰が下って、雷に撃たれて死にますよ」なんて言葉で締めくくった。私は無神論者だ。もちろん冗談である。
その翌日のことだった。新人が落雷で落命したニュースがテレビから流れたのは。私を預言者だの神だのと騒ぎ立てる輩もいたが、馬鹿か。私がそんな大層なもののはずがなかろう。私はしがない作家なのだ。それしか取り柄のない、ただの老いぼれだ。
「先生、原稿の進捗はいかがですか?」
「ああ、もう少しで出来上がるよ」
私は万年筆を原稿用紙に走らせ、ラストスパートをかける。そんな私の集中を乱そうとしているのか、はたまたこの程度で私の集中は途切れまいと信じているのか、編集は無遠慮に話しかけてくる。
「新人作家さんのこと、残念でしたね。先生とずいぶん仲が良かったのに」
「は?君の目は節穴かね?どこをどう見たらそう見えるんだ」
「だって、いつも雑誌で対談してたじゃないですか「あれは仕事だからに決まっているだろう!私は大人なんだ、仕事に私情は挟まんよ」
「そうですか。しかし、事故とはいえ、20代は若すぎますよ」
「ああ、そうだな。まるで流星のようにひどいやつだった。願いを唱える間も与えちゃくれない」
「そういえば、先生。前から気になってたんですが、ずいぶん変わった万年筆を使ってますね」
編集が、私の握っているやたら華美な万年筆を見た。
「ああ、これは貰い物だよ。頗る使いにくい。これでなければ、もっと早く原稿をあげられるというのに」
「なら、どうして使ってるんですか」
「…さて、どうしてだろうね」
本棚に丁寧に並べられた本たちが、私をありもしない瞳で見つめている気がした。
私は編集に出来上がった原稿を渡した。
「あとは新作の打ち合わせだったね、さっそく始めようか」
「いえ、先生」
「どうした?」
「困ったことに、私今日は傘を忘れてしまいまして」
「傘?」
「予報によると本日は“ところにより雨”です。今にも降り出しそうなので、大事な原稿を濡らしてしまう前に社に戻りますね。打ち合わせはまた後日」
「…そうか。では、気をつけて」
編集がバタバタと階段を下りていく。まったく忙しない奴だ。私は全開になった窓から外を眺めた。雲ひとつない晴天が寂れた街を見下ろしている。抜けるような青を見上げた私の頬を、生ぬるい雨が伝った。
「あー、もしもし?次の作品のことなのだがね。死んだ作家が天国でも作家をしている話はどうだろう?」
🍀ところにより雨
私の今日の心の天気は晴れところにより雨でございます。
24日に久しぶりに学校に行くことができ、すごく幸せな時間を過ごすことが出来ました。今日その嬉しさや幸せの余韻に浸りつつ、一人暮らしに向けてやらなければいけないことに追われております。
24日の出来事は片時も忘れないでしょう。
それはそれはとても喜ばしい一日だったのだから。
よこなぐりの雨を旅館の窓から睨めつけて、ため息を一つ。
ずっと前から、具体的に言うと183日前から楽しみにして、綿密なる計画を立てて指折り数えて本当に楽しみにしていた旅行なのに。
あいにくの雨。ありえないくらい土砂降り。
時折、吹きつけてくる風に薄い窓ガラスがピシピシと鳴る。
山の天気は変わりやすいと云うが、山々を削る薄墨色の雲を見る限り、暫くは止みそうにない。
怨みがましく畳の上を這って座椅子に戻れば、読んでいた文庫本を閉じて君がクスクスと笑った。
しょうがないよ、と差し出された菓子を不貞腐れながらモシャモシャとかじる。
再び本を読みだした君の膝を枕にし、唸り声のような風雨をBGMにして、壁掛け時計の振り子が左右にゆらゆら揺れるのをぼんやりと眺めた。
肩を揺すられ、ハッと目が覚める。
旅館の白い布団から這い出て、そのままヨタヨタと窓辺へ。
キラキラと光る湖面が目にうつる。
安堵の溜息一つ、傍らで怪訝そうに立ち尽くす君に、おはようのハグをした。
テーマ「ところにより雨」
ところにより雨
雨打たれる感覚
心地よい。
この感覚が
急に閉ざされた。
私の心を
助けてくれるのは。
あなたの町に降る雨が
どんな音をしているか
ぼんやり想像してる間に
わたしの窓でも雨粒が
ぽつりぽつりと歌いだす
静かな午後のにちようび
春のまんなかなたね梅雨
浅く眠って夢をみて
さくらの花の散る頃に
あなたに会えるその頃に
#ところにより雨
ところにより雨
晴れ女になりたかったけど
あなたはあまりに遠すぎて
寂しくて寂しくて
会いたくて会いたくて
つい口走ってしまった
寂しいって
寂しい気持ちは
SOS(ヘルプ)を求めてる
我慢していた気持ちの糸が
切れたかのように
泣いてしまった
晴れ女になれなかった
うん そう笑えなくなっていた
この雨止みますか?
この雨止ませて下さいますか?
差し伸ばす手はあなたを求めてる
ところにより雨
そしてのち曇り
そして晴れになりますように
あなたの手探してる
今も待っている
2023年 58