『ところにより雨』
不意に吹いた風に、雨の気配を感じる。
気がつけば、湿度を含み僅かに重さを増したような空気が辺りを満たしていた。
先ほどまでハッキリと見えていた木漏れ日の輪郭は曖昧になっている。
見上げれば、まだら模様の青空。太陽は雲に覆われ始めていた。
ところにより雨。
今朝確認した天気予報を思い出す。
再び吹いた風が雨の匂いを運んできて、ここに降る雨の最初の一滴が頬を濡らした。
ウィンドブレーカーのフードを目深にかぶると、ぽつぽつと色を変えていくアスファルトへと視線を落とし、少し足早に目的地へと歩みを進めた。
3/25/2023, 10:01:28 AM