『たそがれ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨の黄昏時…
通りの喫茶店sabo-ru
窓越しの雨空
駅へと行き交う帰宅時
傘の模様の雨模様
雨具に包まれた仔犬と恋頃
スクランブルの群れに
恋が雨音と共に渦巻く
脚を止めて暫し立ち止まり
ふたりになって歩きだす
傘と傘の触れ合い
微妙な距離感が恋をさせる
恋馳せる!🍀……
幼い頃、僕は近所の神社の
ぐにゃりと曲がった松の木に登るのが好きだった
水平に円を書くように曲がった幹は
今じゃ不躾だって失笑してしまうけれど
腰掛けるのに丁度良くて
よくそこに座ってただぼうっと遠くを見ていた
下では当時出来たばかりだった団地の子供達が
こぞって集まって遊んでいて
その笑い声と何処かから漂う夕ご飯の匂いと
遠くから聴こえる夕焼け小焼けのチャイムと
たった一人の僕と
確かに寂しいのに、どこか落ち着くような心地で
僕はその光景が好きだった
今ではもうその松の木は
あっさりと切られてしまって
新しく出来た公園に子供達は吸い寄せられ
神社は夕方になっても伽藍堂になってしまった
ただ西向きの僕の部屋からは
夕日が真っ直ぐ入り込んできて
部屋を橙に染め上げて
窓辺の植物が影を落とすその様を
やはり僕はぼうっと見て
この時間が一番好きだ、と思うのだ
空が金色に染まる黄昏時。友人は、楽しい時間が終わるようで嫌いだと言うが、僕は好きだった。
友人と並んで歩く帰り道、ふと横を見た時の友人の顔にうっすらと橙がのるのに、万葉集の詩のように言いようのない風情を感じるのだ。
この感情を、ありきたりな言葉に当てはめたいとは思わない。誰かと共有したいとも思わないし、ましてや共感なんて必要ない。
ただそれでも、友人に、君にこの感情を抱くことを許して欲しいと願わずにはいられない。
将来、2人がどうなるかは誰も知らないけれど、僕の想いを君は知らないけれど、黄昏を共に歩いたことだけは覚えていて欲しいな。
たそがれ
黄昏時のせいか
あなたの表情がよく見えない
こっちを向いているのかさえ
確認できず、目を細めてみる
あぁ。今はそっとしておいて
ほしいんだと気付き
何も見えなかったふりをする
「さよならだね」
今思えば
全部、君の策略だったのかもしれない。
君と僕は毎日のように一緒に帰った。
でもそれは、全て黄昏時だった。
黄昏時ってさ、
人の顔が一番見えない時間らしい。
それを知ってか、
君は毎日この時間を選んで帰ってた。
太陽を背にして、
逆光で顔をはっきり見せないようにして。
…だからかな。
あれだけ話したのに。
あれだけ一緒に帰ったのに。
君の顔が、はっきり思い出せないんだ。
ーたそがれー
青白い肌の少年は絵を描く道を選んだ。
芸術の才能は25で死ぬらしい。
それでも描き続けた青年は壮年になった。
昼下がり絵以外何もない自室で彼は白い首に湿った縄をかけた。
跳ぼうとした瞬間、床の隅に置いておいたラジオからザーザーと音が流れてきた、
「ゆ…夕日が…落…ば」
彼は気になって縄を外し、ラジオのコマをいじった。
「今日、夕日が落ちる瞬間世界は爆発すると政府が…」
ラジオはその瞬間壊れて何も聞こえなくなった。
彼はラジオの内容を頭で何度も反芻した。
彼は爆発するそれまで生きることにした。
暇になった彼は思い出の夕日の見やすい丘の上を目指した。
夕暮れに沈むオレンジの夕日、それを讃えるように広がる青や桃色の雲、うっすらとのぞく夜の紫、疲れた赤色に染まる街並み。
彼は思い出していた。絵を描く理由を。
彼は現実よりもきれいな絵を描きたかった。
未来の自分と約束していた。
彼は涙が止まらなかった。
奇妙な鉄がひしゃげるような音がした。
彼がそちらを向くとそこには地面に接してしまいそうなほど暮れた夕日が無慈悲に存在した。
彼は戦慄した。
彼はおもむろに手帳とペンを取りだし泣きながら風景を写し始めた。彼はペンが急いで紙はボロボロで何もうまくかけなかった。
今日ラジオが流れた瞬間、縄を首からはずした理由も丘の上にきた理由も彼には分かっていた。
彼はまだ死にたくなかった。
世界が爆発することなどなかった。
彼の名はどこにも残らなかった、それでも作品は誰もが目を見張る夕日の名画として残り続けていた
たそがれ
パッと浮かぶのは
スパイファミリーのコードネーム
秋の夕暮れ
このあたりが適切かな
秋は秋でも深い秋
冬の少し手前
夕空が凄いよね
バスからよく見ていたかも
少し高い視界と
帰宅時間が相まって
深いし凄いけど
これからだとも思える
そんな夕焼けが黄昏ではないかと
Theme:たそがれ
日が落ちて空から赤みが消えるまでの短い時間だけ、いつも同じところに佇んでいる女性がいた。
公園の時計台の前で、まるで誰かを待っているように。
いわゆる黄昏時というのだろうか。彼女がいるのはその時間帯だけだった。
そのことと関係あるのかわからないけれど、10年以上前にその公園の近くで交通事故があったと聞いた。
一人の女性が亡くなったという。事故があったのは、ちょうど黄昏時だったらしい。
ねえ。あなたは誰かを待っているの?
どれくらいの間、待っているの?
あなたは誰なの?
いつもの疑問を飲み込んだまま、今日も私は彼女が佇む公園を横切っていく。
指折りかぞえて足りなくなって、あなたの指を借りても足りなくなって、たそがれから朝にいたるまで、ふたりで泣いて過ごしたね。ふたりで完全になることなんて叶わなくて、足りないものを補うものも持ち得ずに、終わりの果てのその先へ、何もないわたしたちで行けるだろうか。
たそがれ
1日が終わる時。
仕事が終わったときはいい時間だと思う。
休みの時は嫌だなって感じる。
「たそがれ、たそがれ……ねぇ」
「黄昏」、「誰そ彼」とか書くらしいが、LEDだの液晶だの大量展開してる東京じゃ「誰そ」なんて言うこと少ねぇ気がするわな。某所在住物書きは言った。
似た題目として、4月の最初頃に「沈む夕日」なら遭遇していた物書き。同名でBGM検索をして、「沈む夕陽」、某有名探偵アニメがヒット。無事爆笑した経緯がある。
「アレの劇場版第一作目、たしか環状線の爆弾回収、たそがれ時だったな」
実際、現実世界じゃ有り得ないシチュエーションで、管制室のシーンも観る人が観れば指摘箇所満載らしいが、俺はああいうの、好きだったよ。
物書きは昔々に思いを馳せ、今日もため息を吐く。
――――――
10月だ。
最高気温はまだ数日、夏日が続くみたいだけど、最「低」の方がやっと下がってきた。
明日の21℃予報を区切りに、向こう1週間以上、都の最低気温はずっと20℃未満の予想。
来週3連休の最後、月曜日なんて14℃だって。
先月までの熱帯夜が、ウソみたい。
今日も、ほんのちょっとだけ涼しさを、感じるような気のせいっぽいような日没前、たそがれ時を、
その涼しさのせいで、微妙に崩れちゃった体調のために、同じ職場の先輩のアパートに向かってる。
体調だのメンタルだのの波でダウンな時とか、単純に食費節約したい時とか、
事情を話すと、先輩は5:5の割り勘想定な金額で、よほどの事情でも無い限りは、調理代行を引き受けてくれる。
なんなら防音設備の整ってる静かな部屋と、心落ち着くお茶なんかも、料理と一緒にシェアしてくれる。
近々東京から離れて、実家のある雪国の田舎に、戻っちゃうかもしれないのがアレだ。
「にしたって、悪いタイミングで来たな」
さて。
「今日のメシ、私のレパートリー開拓用の、試作品だぞ。同額でデリバリーでも頼んだ方が美味い」
秋は、夕暮れから暗くなるまでが短い。
私がダルい体を引きずって、先輩の部屋にたどり着いた頃には、もう「誰そ彼」どころか、照明ついて広告も光って、「彼」が簡単に特定できる頃になった。
ほぼ夜だ。
「それでも、良いのか」
「いい。先輩の部屋、落ち着くから」
ウェルカムドリンクで出された、ちょっと温かめのハーブティーを飲みながら、私はちまちま先輩の料理を突っついた。
今日のメインは、半額だったらしいカツオ。
担々麺の素、ポーションタイプのやつを、お刺身なカツオに絡めてサッと熱を通して、
伝家の宝刀「実家から送られてきたお米」にイン、からのお豆腐と一緒に混ぜ混ぜして、完成。
カツオは生臭さ等々を消すため、生姜のような薬味を使うだろう、って先輩。
カレーや担々麺の素なんかでも、臭み消しはできないだろうかと思ってな、だって。
こういう実験と、トライアンドエラーの積み重ねで、先輩の低糖質低塩分メニューは作られてるんだなぁ(たそがれ後のしみじみ)
「メシの後は?帰る気力は、残っているのか?」
「わかんない」
「変なことを聞くが、今日の睡眠時間は?」
「寝る時暑くて、寝たら夜中涼し過ぎて、結局ちゃんと寝れてない」
「少し寝ていけ。ベッドは貸してやるし、ホットミルクも必要なら作る」
「お砂糖5個入れて」
「糖質過多。ハチミツで我慢しろ」
ちまちまちま。
れんげスプーンでカツオの担々丼をすくって、お豆腐と一緒に食べる。
先輩は相当味に自信無いみたいで、「今日は割り勘の代金はいらない」とまで申し出てたけど、
別に、言うほどマズいとは、個人的には思わない。
「カツオってパスタ行けるのかな」
「なんだって?」
「先輩よくパスタ作るじゃん。ブリの進化前のクリームパスタおいしかった」
「イナダだ」
ハーブティーおかわり貰って、坦々丼にマヨネーズ追加してみて、たそがれ後の試食会はいつも通り、ほっこり進む。
仮眠前のホットミルクは結局ハチミツ少々になった。
BRAND-NEW-DAY
旅の終わりが近づき
後悔や焦りを感じなくなってきた
達成感なのか
諦めることができる様になったのか
判別できないが
どちらにせよ明日はまた来る
似ている様で毎度違う
違いを見つけるのは大変だけど
※たそがれ
#たそがれ
黄昏染まるこの景色を
今日も変わらすひとり見つめる
思うことはただひとつ
それを口にすることはない
今日も変わらず
ただひとり
佇む彼の姿を
ここからそっと見守っている
黄昏時
君と坂を下った通学路
近すぎて気づけなかった
君が私にとってどんな存在か
でも今なら分かる
君がいないと私はだめだ
夕日を見て
あぁ
綺麗だなー
って思える時
あぁ
明日が来てしまう
って思ってしまう時。
良い時も
悪い時も
人生にはある
って分かってる。
けど
夕日を見つめる
今を
ちゃんと
大事にして
生きていきたいな。
#たそがれ
『オワコン』
1日は案外長いのに 夕暮れ時にフォーカスしてる
靴擦れを気にして歩く 吊り看板が揺れている
次のトレンドの闇市が始まる 自分らしさが投げ売りされている 個性はもはやアプリケーションの中にある 私の中古のiPadは巷ではオワコンと言われている
愛着があるので さして気にならない 剥がれかけたムーミンのステッカー 薬指で撫でつける
目の裏で蚕を飼う
ねばねばした昼の夢と 故人の肖像
何故嘘をつけないか
喉焼く痛みを何度も
何度も
おまえの細い首を撫でる様に
汚れた快楽
角膜がタンゴの唾とフェチズムの吐瀉物で潤う
手が震えて何も言えない
それで その節 その覚悟
視覚が死んでも地殻は癒えぬ
戸惑いと 渦
1日のうち、きみが一番大きくなる時間。
私のくたびれた仕事着も、魔法のようにあかく染まる。
そのまま一つステップを踏めば、きみは体をゆらゆら揺らしてついてくる。
まっかなドレスと、まっくろのタキシード。
二人だけの舞踏会は、長い帰り道の中。
たそがれどきは、誰そ彼時。
お顔の見えないきみと シャル ウィ ダンス ?
【たそがれ】
黄昏時
久しぶり君を見た
あの頃と何も変わらぬ君
とても美しかった
【たそがれ】
たそがれ
たそがれどき、夕焼けに街が染まっていく
何もかも茜色に溶けていく あの頃と何も変わらない
けれどもう戻れない ただ忘れていくだけ
見ず知らずの子供にいつかの自分を重ねてみる
在りし日の影法師が私には見える
夕日がこんなに真っ赤なのはきっと
苦しみも悲しみも痛みも知っているから
この夕日もいつか沈む
いつかこの気持ちも忘れていく