ストック

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Theme:たそがれ

日が落ちて空から赤みが消えるまでの短い時間だけ、いつも同じところに佇んでいる女性がいた。
公園の時計台の前で、まるで誰かを待っているように。
いわゆる黄昏時というのだろうか。彼女がいるのはその時間帯だけだった。

そのことと関係あるのかわからないけれど、10年以上前にその公園の近くで交通事故があったと聞いた。
一人の女性が亡くなったという。事故があったのは、ちょうど黄昏時だったらしい。

ねえ。あなたは誰かを待っているの?
どれくらいの間、待っているの?
あなたは誰なの?

いつもの疑問を飲み込んだまま、今日も私は彼女が佇む公園を横切っていく。

10/1/2023, 3:11:19 PM