イブリ学校

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青白い肌の少年は絵を描く道を選んだ。
芸術の才能は25で死ぬらしい。
それでも描き続けた青年は壮年になった。
昼下がり絵以外何もない自室で彼は白い首に湿った縄をかけた。

跳ぼうとした瞬間、床の隅に置いておいたラジオからザーザーと音が流れてきた、
「ゆ…夕日が…落…ば」
彼は気になって縄を外し、ラジオのコマをいじった。
「今日、夕日が落ちる瞬間世界は爆発すると政府が…」
ラジオはその瞬間壊れて何も聞こえなくなった。
彼はラジオの内容を頭で何度も反芻した。
彼は爆発するそれまで生きることにした。

暇になった彼は思い出の夕日の見やすい丘の上を目指した。
夕暮れに沈むオレンジの夕日、それを讃えるように広がる青や桃色の雲、うっすらとのぞく夜の紫、疲れた赤色に染まる街並み。
彼は思い出していた。絵を描く理由を。
彼は現実よりもきれいな絵を描きたかった。
未来の自分と約束していた。
彼は涙が止まらなかった。
奇妙な鉄がひしゃげるような音がした。
彼がそちらを向くとそこには地面に接してしまいそうなほど暮れた夕日が無慈悲に存在した。
彼は戦慄した。
彼はおもむろに手帳とペンを取りだし泣きながら風景を写し始めた。彼はペンが急いで紙はボロボロで何もうまくかけなかった。
今日ラジオが流れた瞬間、縄を首からはずした理由も丘の上にきた理由も彼には分かっていた。
彼はまだ死にたくなかった。

世界が爆発することなどなかった。
彼の名はどこにも残らなかった、それでも作品は誰もが目を見張る夕日の名画として残り続けていた

10/1/2023, 3:20:24 PM