ヨルガオ(短編小説)

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「さよならだね」

今思えば

全部、君の策略だったのかもしれない。

君と僕は毎日のように一緒に帰った。

でもそれは、全て黄昏時だった。

黄昏時ってさ、

人の顔が一番見えない時間らしい。

それを知ってか、

君は毎日この時間を選んで帰ってた。

太陽を背にして、

逆光で顔をはっきり見せないようにして。

…だからかな。

あれだけ話したのに。

あれだけ一緒に帰ったのに。

君の顔が、はっきり思い出せないんだ。


ーたそがれー

10/1/2023, 3:25:32 PM