『ずっとこのまま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ずっとこのまま
独りぼっちのバス停に佇む、冷えた長椅子に座る。足元を眺めては通り過ぎる車の風を感じるたび、少しづつ心も冷えていった。このまま凍えてしまうのは本望だっていう孤独の中で、ありのままの自分で居られる感覚に身を預けた。ずっとこのまままでいいって気がしてならなかった。
#98 ずっとこのまま
抱き合った貴方の心音が、
心地よくて離れられない。
愛しているねと問われて。
愛していますと答えた。
本心からの言葉だったけれど、どうしてか貴方は哀しげだった。
これでも愛しているかと問われて。
いつだって愛していますと答えた。
痛みも苦しみも、貴方からのものであれば耐えられた。
次も愛してくれるかと問われて。
当然愛しに行きますと答えた。
何度目かも忘れた輪廻だった。
愛していたよと貴方は笑って。
愛していましたと私も笑った。
広がり行く赤の色すら美しい人だった。
<ずっとこのまま>
ずっとこのまま
ずっとこのまま、永遠に俺と生きてほしい
ずっとこのまま、貴方と生きていたい
報われぬ願いは、闇夜に消えていった
「ずっとこのままが良い」
年齢、容姿、環境、人間関係、様々な理由を以てそう願う人々は少なくない。かく言う自分もそう願った事がないと言えば嘘になる。
それでも。
時間は進み世界は回る。季節は巡り人は変わる。
全てが変わり行くこの世で、それでも変わらずに在る何かがあるのなら。
それはきっと、かけがえのない手放してはならない宝なのだと思うのだ。
ほんのひと握り、変わり進む世界で変わらない何か。
「ずっとこのまま」の願いを叶えるそれを、どれだけ大切に握って居られるか。
不変と変化は等しく尊く、然し不変を知るには遠い時間の他に同じ不変を信じる心も必要なのである
2024.01.13夜「ずっとこのまま」#12
ずっとこのまま
ずっとこのままで、
あの時心底そう思った。
そんな瞬間は、
いつになっても、
胸が痛くなるほど、
懐かしい思い出になる。
#145
『ずっとこのまま』
異世界から来たという勇者さまが現れて爆速で魔王を倒してしまった、らしい。私がそれを知ったのは幽閉されていた洞窟から助け出されたときのこと。
「あなたサイドクエスト扱いなんで後回しにしてました。ごめんね」
松明片手に気安い謝罪を見せた勇者さまに好意を抱く要素など微塵もないのにどういうわけか胸が高鳴ってしまう。
「歩けます?」
「いえ、ちょっとめまいがして……」
か弱いふりにどう対応するのかと嘘をつくと、じゃあ僕が連れていきますと軽々抱え上げられた。加点10点。
城への道すがらに勇者さまはわかる単語とわからない単語を混じえてお話ししてくれた。実績やフラグがどうとかツールやチートがどうとか。まとめると、メインとサブのクエストとやらをすべて完了させてこの世界を平和にしてみたが、こちらから元いた世界に帰るようにはできていないようだとのことだった。
「ずっとこのまま、ここで暮らすことになるのかもしれません」
遠くどこかを見つめる勇者さまの表情に諦めが見える。弱った様子、加点20点。
「ならば、私の城にお招きしますわ。そしてゆくゆくは私の、ははは、伴侶に、」
「あなたのその好意があらかじめ決められた感情だとしたらどうしますか?」
じっと私を見つめる瞳には好奇心だけが宿っている。この人危ないやつかもしれない。それでも。
「きっかけはどうあれ、行動を選び取っているのは私です。ですから、どうもいたしませんわ」
言ってみせると勇者さまはあははと声を上げて笑った。笑う振動がこちらにまで伝わってくる。加点30点。
「あなたおもしろいですね。あなたの城で暮らすの、ちょっと楽しみになってきました」
なにげに失礼なことを言われたので減点10点。けれど、ということは、勇者さまはこの世界に留まるつもりになってくれたことになる。胸がまた高鳴るが、今のところ50点という事実に不安になってくる。
「ところであなたもう歩けるのでは?」
「……このまま城まで連れていってくだされば、もう50点加算してさしあげます」
「あっ、これ隠しスコアのやつなんだ」
じゃあもうひとがんばりしますか、と勇者さまは私を抱え上げたまま、変わらぬ足取りで歩き始めた。城に着くまでの長いようで短いサブクエストが終わろうとしている。城に着いたら何か起こるのか、何も起こらないのか。もう少しだけこのままでいたいと思いながら、歩みをただ見つめていた。
Theme:ずっとこのまま
不意に目が覚めた。随分と長い間眠っていたような気がする。
目を開けても、周囲には闇が広がっているだけだった。
とりあえず起き上がろうとしたら、したたかに頭を打ってしまい思わず呻く。
手足を動かしても壁らしき何かにぶつかってしまい、まともに身動きが取れない。
どうやら私はひどく狭い空間に横たわっているらしい。
何故こんなことになっているのだろう。
思い出そうとしても、すっぽりと記憶が抜け落ちてしまっているように、経緯が全く思い出せない。
段々と暗闇に目が慣れてきた。
周囲はどうやら木製の壁で囲まれているようだ。
ふと、手が冷たい何かに触れた。警戒しながらそっと手繰り寄せてみる。
鼻を抜けるような独特の香りが鼻をくすぐった。
それは菊の花だった。茎は付いておらず、花の部分だけが落ちている。
周囲を探ると、同じものが幾つも落ちていた。
これはどういう状況なんだ?ますます混乱しながらも、すぐ鼻先にある天井を叩いて叫ぶ。しかし、返事はない。
そして天井を叩いたときに気がついてしまった。
私は浴衣のような薄い服を着ている。普通の浴衣と違って真っ白な布だ。
これは、死装束だ。
ふと、記憶が甦る。
運転している私の眼前いっぱいに、車のヘッドライトが溢れる。
…そうだ。私は交通事故にあったのだ。そこから先の記憶はない。
まさか、そんな。
「早すぎた埋葬」という言葉が頭を過る。
私はずっとこのまま、餓死するまでここに閉じ込められるのか?
「誰か!誰か助けてくれ!」
喉が破れる勢いで叫ぶが、何の反応もない。無音が私の恐怖を更に増大させていく。
「嫌だ!誰か、助けてくれ!!」
叫びながら不意に気がついた。
これは早すぎた埋葬ではない。あの物語が書かれた頃とは時代も文化も違う。
ずっとこのまま閉じこめられることなんてあり得ない。
だって、今は――
その時、あのヘッドライトを思い出させるような眩しさと、経験したこともない熱を感じ、私は永遠に恐怖から解放されたのだった。
このままずっと健康に暮らせる
このままずっと幸せが続く
このままずっと活き活きと生きる
このままずっと活力に満ちた日々を送る
このままずっと笑顔でいられる
ループしているみたい。
同じような日の繰り返しのなかを、生きていく。
ヒトとは違って老いることはなくて。
あの頃に戻りたいなぁ
お題:ずっとこのまま
このままでいたくない
前に進まなくちゃ
心は焦るばかり
結果を出せぬまま
時間ばかりが過ぎてゆく
いつも花束が置かれている樹の下
僕は君の顔も声も知らない
だいぶ前に事故で亡くなった学生がいたらしい
この場所で息絶えた君に
僕からかけられる言葉は何一つない
同じ道を志していた若い君の死が
この場所で訪れたことだけを知っている
毎日君の死を悼み
自分の生を思い
比べられないはずの命を勝手に比較して
君ならどう生きたかなんて考えて
自分を惨めに思っている
僕は迷惑なやつだ
足掻いても前に進めずに
やがては老いて君のいる場所へ向かうことを
勝手に申し訳なく思っている
このままでは嫌だ
このままでは嫌だ
志し半ばに命を落とした君に
安らかな言葉をかけられる日が
いつか来るのだろうか
#ずっとこのままで
ずっとこのまま風のように生きたい。
責任とか呪縛とか縛り付けられるものから逃れて、気ままに生きたい。
だがふと、精神的な支柱が欲しくなる。
あまりにも変化に富んだ毎日に安心感が欲しくなる。
土台が欲しい。
甘えられる何か。
それを探して今日も生きる。生ききる。
真面目に、愚直に。
でもきっと、外にはないんだろうな。と勘づいている。
内側に、それはあるんだろうな。
等身大の自分を認めたい。
プライドが邪魔をする。
いや、それはプライドと呼ぶにはあまりにも拙く、筋が通っていない、傲慢さ。
傲ってしまうには十分な凹凸の突出した部分。
一方で、社会人に求められる基礎的な、当然な部分。そこが凹んでいる。足りない。
当然、あぶれる。
足りない部分に合わせようとしても、突出した部分に合わせようとしても、なんか合わない。居場所がない。
たぶん、居場所を創りに行くしかないんだ。
自分で自分の人生を切り拓くしかないんだ。
だから、どんな自分であっても、過程であっても、ありのままを認めて生きていきたい。
そういう風に思っていく。
『ずっとこのまま』
ずっとこのまま引きこもってたら、社会的に死にます。
ずっとこのまま
おうちにいたい
おへやにいたい
でも 出ていかなければ
自由がなければ
先に進めないから
パパとママと
ずっといたい
そして 本当に
この部屋が好き
だけど 自由になるためには
出ていかなければ
ずっとこのまま
あぁ、お日さまの光が心地良い、
川もあるし、お花もたくさん咲いていて綺麗。
しかもここにはお母さんがいる。
私、お母さんとずっとここにいたい。
ねぇ良いでしょ?ずっと、休めなかったの。
お母さんも病院から外出たかったでしょ。
「そうだねぇ、でもねお母さんはあんたにはここに居てほしくないの。」
どうして?
「まだ、ここに来るべきではない。ほら、もうそろそろ時間だよ。あんたは戻りなさい。」
ま、まってよお母さん。ようやく、会えたのに。
「大丈夫よ。お母さんはずっーとここで待ってるから。
苦しくても、最後まで生きたらここに来れるから。」
目を覚ますと私はなぜか川に浮いていた。
ずっとこのまま
ある日のデート
彼は私より先に着いて待っていた
最初はずっとこのままでいれたらなんて思っていた
でも今は違う
あの日の「ずっとこのまま」が
今も変わらなければ良かったのに、、、笑
わたしは、いじめられた腹いせに、濡れ衣を着せて相手の子を孤立させるような子供でした。
飼っていた鼠が怪我をした時には、早く、タヒんでしまえばいいとだけ思いました。
あわよくば自タヒを選んでくれないかと、期待と悪意を込めて人間に言の葉を吐いたことすらありました。
わたしをわたしたらしめるのは、いつも幼稚な、稚拙な、しかし確かに理解の得られない、無垢な化け物根性でした。
それは時に不理解に悶え、殺意すらも孕むような激しい人間憎悪に向かいました。
わたしは、野良猫に魚肉ソーセージをやりました。
それは猫が食えるか、わたしには興味がありませんでした。それを食ったことにより元気になってくれたなら、わたしは嬉しいと思いました。しかし、それを食ったことによりタヒんでしまっても、街のお掃除になってラッキーと思いました。
わたしの正気に、眉を顰めるのが人間というものですが、それでもわたしはあの方を愛していました。
異端を突きつけてくるだけの役割をもつ、ヒト属が、初めてわたしに温さをくれました。
軽率でした。どれだけ苦しくても、わたしは人間になりたいと思いました。中身を理解できなくても、せめて、皮だけでも、人間になりたいと。
人間にしてください。もう、血で謝罪文なんて書かないから。タヒんだペットを食わないから。人間の頸に噛みつかないから。失禁だとかも恥じるから。自分の肉を焼かないから。何も言いたいことはわからないけど、ちゃんと、人間みたいなことをするから。するから、ね。
ね、わたしは人間でした。
ただきっと、正気ではなかったのです。
だから人間みたいなことをしようと、あのご縁は無かったことに致しました。
とても美しい方々だったのです。
あの方々がわたしに欺かれたままでは、どうも辛くて、辛くて…
だって、人間なもんですから、わたし、飼ってた鼠がタヒんだときね、嬉しかったのです。
もう、苦しくなくて、よかったと。
君への想いがずっとこのまま同じなんかじゃない。毎日毎日、君が愛おしくて仕方ないという気持ちがどんどん募っていく。
時よ止まれ
——とまでは、思わないけれど。
このままずっと、この仲間とこの間柄が続けばいいのに、と願ったことは何度もある。
子供時代は、親の転勤で引越すことが多く。
友好関係は築いては無くなり、を繰り返した。
悲しい、寂しい、悔しい——
そんな思いを繰り返すうちに、『ずっと』は望めない、望んでも無駄なのだと、諦めた。
『ずっと』がある人も、もちろんいる。
けれど私には、なかった。
そういう星回り的なものかもしれない。
もしかしたらこの先にあるかもしれないけれど……、多分ないのじゃないかな。
でも、いいんだ。
『ずっとこのまま』
そうありたいな、と思う時は、結構たくさんあったもの。
そして『ずっと』はありえないから、その時を精一杯、できる限り満喫しようと思って過ごしてきた。
思い出は、たくさんたくさんあるの。
キラキラ光るようなことばかりでもないけれど、とても大切な思い出だ。
『ずっと』はなくとも。
揺らいで延々と変容していくのも悪くないな、と思うのです。
このままでは居たくない。なぜなら受験が近づいているからだ。この状態をずっと保っているのは地獄だ。早く受験を終わらして遊びたい。