『さよならは言わないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「起立、気をつけ、礼!」
「さようなら!!」
「はい、さよなら〜 今週末は冷え込むみたいだから、みんな暖かくして過ごすんだよ〜」
その週末は、例年より随分と早く、そして随分と多くの雪が降った。雪だるまを作って遊んだ。月曜日になったら、先生と一緒に雪合戦をするんだとワクワクした。
週が明けて、先生は来なかった。しばらく、ずっと、来なかった。1ヶ月後に回ってきた回覧板の中のプリントには先生によく似た人の白黒写真が貼ってあって、この辺りの地図に『異例の大雪、スリップ事故多発』という文が添えられていた。
あの日の帰りの挨拶にさようならではなく「またね」と言っていれば、先生と雪合戦できていただろうか。
さよならは言わないでおいた
君からのさよならも受け取らなかった
先日見かけた君は私を認知しているのかいないのか
そんなことどうだっていいんだけど
元気ならそれでいいんだけど
遠く見えた君のこと
そばにいたかった誰よりも
元気でいるならそれでいいのだ
自分に言い聞かせて私も元気でいなきゃ
空っぽになった私の体は記憶を辿る
さよならは言わないでよかった
本当によかった
じゃあねなら ようやく言える 仲の君
だって重いもの さよならの音
さよならは言わないで
カレンダーの赤い丸
お気に入りのペンで
丁寧に印をつける
君と会える街角
会える日が来たら
足早に心をはずませ
君へと向かう
楽しい時間は
またたく間にすぎ
バスの最終便の時刻
さよならはいつも
お決まりのまたね
さよならを言われたら
心が置いてきぼりにされ
もう君に
たどり着けなくなりそうだから
「そう泣くなって。別に、俺のことを忘れるわけじゃないんだ。」
体が白い鱗に包まれ始めた彼は、既に龍の体表ように変貌した手を私の頬に伸ばした。
反射が虹色に光っている鉄のように硬い白い鱗に私の涙が伝う。
「…もう時間だな。」
白鱗の手を離した。私の頬にはまだ彼に僅かに残っていた温もりが跡を引いている。
「まって、あのね……
ううん、いい。決してさよならは言わないでほしいの。それだけよ」
彼はその言葉を聞くと、少し立ち止まって、いつもと変わらない調子で明るく笑った。
「大丈夫。わかってるさ。
……じゃあな、また逢う日まで。」
そう言って彼は七色に光る水晶に取り込まれて消えていった。
彼のいた場所には白い鱗、そして形見の懐中時計が転がっている。
私は彼の温もりを、彼の残滓に求め続けた。
"さよなら"を知らないようにするために。
<さよならは言わないで>
「何...するつもりだよ...」
「....見ればわかる、自殺さ」
「いやだ、逝かないで....お願いだから、お前迄俺の前から消えないでくれ...いなくならないでくれ」
それは、ちょっと無理なお願いだなぁ。私はもう逝く事を決意したわけだし、漸く此の世界とさよならができるんだ。
「ねぇ、来世ではたくさん話そう」
「今じゃ駄目なのかよ」
「うん、じゃあ....さよなら」
下の方で嫌な音がした。
そして人の叫び声や混乱の声。
「こんなの呪いじゃねぇか。さよなら何て言うなよ....」
# 11
「さよならは言わないで」
さよならは言わないで
あなたにまた会いたいから
私のこの想い
あなただけは否定しないでよ
さよならはいわないでどこへ行こう。
心配させることになるだろうが仕方がない。必ず戻るなどという嘘もつけそうにない。
こうでもしないと決心が鈍るのだ。
一応、共通の友人にメッセージは託してある。
あとは友人次第かと船に乗り出した。
ゆっくりと、沖から離れるのと同じくらい、寂しさが込み上げてきた。引き換えそうと実行できないのが船のいいところか。
やはり船にして正解だったと沖を見る。
すると友人を伴って相方の顔が見えた。
涙でぐちゃぐちゃの顔を見られないのも、船のいいところか。
それ!
ほんとに。
さよならなんて言われたくもない。
寂しいけど面白かったから
さよなら言ってあげる!
さよなら。
辛いから言ってあげる
だから言わないのが優しさでしょう…
見える景色すべてに君の幻を見る。
聴こえる音すべてに君の声が混じる。
君色のガラスを通して見ていた日々の鮮やかさを、もう思い出せなくなった。
冬が好きだった君は、冬と共に僕から去った。
春の訪れを告げる陽光も、もはや凍りついた僕の心を溶かせない。
愛してると素直に言えたら。
あるいは、行かないでと泣きつけたら。
僕の隣には今日も君がいただろうか。
「さよなら。大好きだったよ」
さよならなんて言わないでほしかった。
振り向かない君になんて返せばよかったのか、僕はいまだに答えを知らない。
さよならは言わないで
本当は、ずっとずっと一緒に居たい…夜も、別々の家では無く、二人で過ごしたい…我儘だって解ってるし、今の二人には、出来ないって知ってるけれど…暗い冷たい部屋に一人で戻りたくない、出来る事なら君と此の儘二人で帰りたい…こんなに、君の存在が大きくなるなんて思っていなかったけれど。同じ時間を過ごす度に、この時間が関係が愛おしくなって、繋いだ手を離したくない、もっと君の温もりを感じていたい、もっと君の優しさに包まれていたい…
だから、さよならまたね、なんて言わずに、絡めた指を解かないで欲しい…
・さよならは言わないで
二月初旬〜五月初旬 春の神
五月初旬〜八月初旬 夏の神
八月初旬〜十一月初旬 秋の神
十一月初旬〜二月初旬 冬の神
役割分担は、このとおり。
そして立冬の今日、私、冬の神は、秋の神から仕事を受け継ぐことになっている。
一年ぶりに会う秋の神は、困ったような笑みを浮かべていた。
理由はすぐにわかった。秋の神の隣には、もう一人、仏頂面の少年がいたのだから。夏の神くんだよ、と、秋の神が説明してくれる。
秋から冬への引き継ぎの日に、なんで夏の神が。とっくに任期は終わっているだろうに。
最近やけに地上が残暑だと騒がしいのはこいつのせいか。
「どうして夏の神がここにいるのか、説明してくれる?規約違反だってことは、わかってるんでしょうね?」
秋の神は穏やかだが優柔不断だ。夏の神に押し切られたんだろうと察しがつくが。
「まぁまぁ冬ちゃん、落ち着いて。夏くんもほら、黙ってないで」
何が冬ちゃんだ。秋の神に背中を押されて、夏の神が前に出てくる。
当然だけど、ほとんど話したことはない。とゆーか、全くない、と思う。
秋の神や春の神に聞くところによると、子供っぽくて怒りっぽくてバカっぽいとか。
ふうむ、あながち間違ってもなさそうだ。
「何の用?」
「……お前が好きだ」
……は?
「だから、お前が好きだ。俺と付きあってほしい」
ここは嫌だと、正直に言っていいものだろうか。
「夏くんねー、冬ちゃんに一目惚れしたんだって。ほら、今年の春、春ちゃんの代理で冬ちゃんが担当した日あったじゃない」
ややこしいが、こういうことだ。
その季節の担当の神が出られない日は、他の季節の神が代理を務めることが許されている。
今年の春、私は一日だけ、春の神の代理を務めた。
地上では季節外れの雪だと騒がれたが。それを、夏の神は見ていたということか。
「綺麗、だった。雪も、お前も。冷たくて、澄んでて」
そんなこと…カッと顔が熱くなる。いけない。熱は体に毒だ。
「友達、なら、いい」
パッと顔を上げた夏の神は、わかりやすく安堵の表情を浮かべた。
なんだか照れくさくて、私は言葉を紡ぐ。
「用は済んだでしょ。帰りなさいよ」
さよなら、は、なんとなく言いたくなくて。
「半年後に、また」
あのとき、きょとんとしていた彼は、もしかしたら気づかないだろうか。
その年の冬が、記録的な大雪となった理由に。
富士山頂、高く積もった固い雪の意味に。
夏までもつといいけど。
独り言は、冬空に消えた。
「先生!私に帰る時さよならって言うのやめてください」
ドアを開けて先生の顔を見るやいなやそう言い放った私に先生は面食らったような表情を浮かべている。
訳が分からないって顔に書いてありますよ、と声に出してあげたいぐらいには。
「あ~えっと、とりあえず中入りな?寒かったね、」
唐突に変なことを宣った私にも先生はいつも通り優しい。
丁度職員室に用があって渡り廊下を歩いてきたからか、スカートから覗く足が氷のように冷たくなっていた。
「脚真っ赤だよ。ストーブだけじゃ寒いよね。ブランケット良かったらつかって、」
さらっと私の話流そうとしてます?なんて可愛くない言葉が口から出そうになったが、先生の可愛くて嬉しい気遣いを前にしたらそんな言葉は吹っ飛んだ。
可愛いうさぎ柄で先生がこれを普段使ってるのを想像したら妙に可愛くて口元が緩む。
わんこみたいな先生とうさぎって可愛いの過剰摂取だ
「そうは言っても下校時間まであと5分ぐらいか。女の子なんだからちゃんと暖かくしないとダメだよ?脚なんて見てるだけで寒そう」
「寒いけど可愛さは大事じゃないですか、」
「えぇ~?おじさんには理解できないなぁ」
おじさんって呼ぶにはまだ早いです、などど話していると下校を促す放送が流れる。
気をつけて帰りましょう、さよならと言って放送は終わった。
「さよなら、ってなんだかかなしい感じがしません?もう会えないみたいな雰囲気で、」
「なるほど、君はさよならにそんな意味を見出すんだ。じゃあSee you later alligator.ってのはどう?」
「しーゆーれいたーありげーたー…?ワニ…?」
「直訳するとワニさんまた後でねって意味なんだけど日本で言うとダジャレみたいなもんだよ。その返事にln a while crocodile.って返すんだ。」
「なんだか可愛いくて気に入りました。先生と私の秘密ですねっ、」
ワニでもなんでも先生との秘密が嬉しくてたまらない。
「先生!See you later alligator.」
「ln a while crocodile.」
流暢な英語でそう言って笑う先生はたしかにうさぎよりも可愛かった
2023.12.3『さよならは言わないで』
さよならは言わないで、お別れはリムーブorブロックでお願いします。
…………リアルな人間関係でも出来たらいいのに。
END
「さよならは言わないで」
【128,お題:さよならは言わないで】
「またね」
いつもそう言って別れる君が、一度だけ
「さよなら」
そう言った日があったんだ
その翌日、君は行方不明になって、帰ってきたのは2週間後だった
全身傷だらけ泥まみれで、骨も折れてたしあちこちボロボロだったけど
君が帰ってきてくれたこと、また会えたことが何より嬉しくて他の事なんてどうでも良かった
だが、行方不明だった2週間何をしていたのか、何処にいたのかは、何度聞いても教えてはくれなかった
心配で心配でぐずぐずに泣き腫らした顔で訴える
「もう2度と、さよならなんて言わないで」
「...ああ、もう言わない」
その日から帰り際には「さよなら」ではなく
「また明日」と言うのが、僕たちの間の暗黙のルールとなった
さよならは言わないで🕶
偽りなのか疑いなのか不安定な愛を確認した翌日
「ごめん、もう会えない」
いきなりそう伝えられた。朝日がまるでお前がいけないんだと責める様に私を照らす
「なんで…?」
「警察に疑われてる、君を巻き込みたくない」
「もう既に同じ穴のムジナでしょ…昨夜、愛してる言ったじゃない!!」
「申し訳ない。でも本当に君を僕がいるような暗い世界へ巻き込みたくないんだ。」
泣きそうなほど悲しい顔して、冷たく私を引き離す
「あなたが連れてきたのに、あなたが、、、」
「ボス。居場所がバレそうです」
「……もう行かないと。」
「いつか戻ってくるよね?」
床に脱ぎ捨てられたシャツを拾って彼が言った
「…誰かに関係を聞かれても知らないと言ってくれ」
「…わかった。でも…さようならは言わないで。次は私があなたを探し出すから」
「ありがとう。心から愛してる」
初めて見た彼の顔には昨日のような疑いは見えなかった。
「私も」
部屋に残ったのはバニラのようででもどこかスパイシーな彼の残り香と真っ白なシーツと私だけ。
人は生まれた瞬間から、人生という名の線路を走る列車
に乗っているそうです。
切符はお腹の中にいる時に神様から貰ったもの。
しかし、貰えるのは片道分だけ。
一度乗ったら戻れません。
けれど、乗っているのは自分だけ。そして、各駅停車だから疲れたら一度降りて休むことができる。
だから終点に着いた時に、幸せな旅だったと心から思えるように、後悔しないように一日一日を大切に生きていきたいと私は思う。
「さよならは言わないで」
なんでもないただの一日のはずだった...
後味は悪いが、帰ったらまた仲直りしよう。
そうだ...帰ったら...
そのはずだったのに―――
突然電話がなった。
何を言われたかはもう覚えていない。
無我夢中で走った。ただただ走った。
変わり果てた姿で横になるあなたが目に飛び込んできた。
後悔とはなんて残酷な感情だろうか...
まるで一生解かれることのない呪いを被ったようだ。
心の底から押し寄せる波が、あなたの顔に雫を落とす。
ごめん...ごめん...本当に......
さよならは言わない約束だったのに
もう二度と
後悔しない人生を
一日を過ごすと
心に決めた日だった
さよならは言わないで
いつかあなたと別れる日が来るとして。
私は笑顔で「さよなら」と言えるだろうか。
…言えないだろうな。
たくさん泣いてあなたを困らせるだろう。
だから、その時はどうか。
終わらせてね、私の全部。
(その言葉を聞くくらいなら、あなたの手で終わりたい)
陽が傾いて
ビルの合間から
橙の斜光が差す
遠ざかる君を
不安気に見守る
もう直ぐ陽は落ち
茜色から鈍色に変わる
そんな事を思いながら
ふっーとため息を吐き
優しくほほ笑む
それを感じたかの様に
君が振り向いた
立ち止まって
体全体を使いながら
大きく左右に振る手のひら
指折り数える仕草
また逢えるから
大丈夫だよと伝わってきた
バイバイまたね
さよならとは言わないよ
縁があると思ってるから
私は踵を返し歩き出した
[ #34. さよならは言わないで ]