『この場所で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
元気な子に弱音を吐いたんだ。
もちろん帰ってくる言葉なんて前向きで自分にはさらに苦しくなる言葉だった。
期待外れだなんて思ってないよでも、自分の弱さをもう君には見せないと思うよ。
苦しいよ、
この場所で生きて、
この場所で思い出を作って、
この場所に還りたい。
この場所で
夫の転勤先が北陸に決まった年の冬。
いく日も続くどんよりとした薄暗い空を見上げながら、私は心の底から泣きたくなっていた。
宮崎生まれ、宮崎育ち。
結婚して北陸に住むまで、雪の降る冬の街など、同じ日本でありながら、テレビの向こうの遠い世界の出来事だった。
私の暮らす小さなこの街は、市街地から離れた山沿いにある。
毎年のように雪が降り、多い年には車が半分埋まるほど、町中が白く覆われる。
冬の北陸から逃れたくて、私は毎年、正月を宮崎の実家で過ごすようになった。
宮崎から日本海側へ近づくにつれて次第に重く暗くなる空を見ては、そのたびに胸の奥もまた曇ったものだ。
それから七年が過ぎたころ、私は長男を出産した。
子どもの成長は早い。
一年もすれば、危なっかしい足取りながら、一人で歩きはじめる。ある日、私は息子の手を引いて、初めて近くの公園へ出かけた。
まだ雪が少し残っていたが、歩けないほどではない。
息子は何度もつまずきながら雪を踏みしめ、草をちぎり、遊具に触れ、世界を確かめるように遊んでいる。
公園の梅の木には、ふくらんだ蕾が見える。
もうすぐこの寒い北陸にも、春が来るのだ。
そのとき、胸の奥に小さな灯がともるのを感じた。
私もまだよく知らないこの公園で、息子は遊んでいる。
私の知らない道が、公園が、校舎が、この子の故郷になっていく。
私はこの場所で、この子とともに、故郷をつくっていくのだ。
気が進まない休み明けの月曜日。
なにも考えずに歩いていたら。
人とぶつかってしまった。
「あっごめんなさい」
「こちらこそすいません」
顔をあげるとどこかで見た事がある人だった。
だけどどこで見た事あるのかは思い出せなかった。
気になって頑張って思い出そうと思う日々。
その日から私は恋をしてたんだ。
【この場所で】
理不尽に押し潰されて泣いた場所。
楽しくておかしくて笑った場所。
全て消えることのない思い出として、
いつまでも僕の心に残っている。
あなた達も、“この場所“ で
また新たな思い出を作ってみるのもいいかもしれない。
「──君、頭と心は別モノなのだよ。」
「博士、では僕が今痛めているのはどちらですか。」
「それは君が決めなさい。君が選びなさい。」
「選べません。それは事実ではなく、意志だ。」
「その通り。痛みとは意志だ。どうだ、もう痛くないだろう?」
「いいえ、痛みます。これからも、ずっと痛みます。僕はそれを選択します。この痛みを、忘れない。両方で覚えています。」
後から来やがったのに悠々と先を越していく奴らの背中を見届ける。
一瞬見れた奴らの表情といえば、なんて勝ち誇った表情をしているんだろうか。
ふざけるな。
お前らの土台になるために俺はやってきたんじゃない。
おれは、
俺は、
俺はこの場所で生き残ってやる。
「……ひと足遅かったみたいだね?」
「だから予約しておけと言ったんだ」
見渡すかぎりの自由席はすべて埋まっていた。青空の下、木々や草花に囲まれて人々がしずかに眠っている。
「あぁでもほら、此処なんか見晴らしが良いよ。立ち見は嫌かい?」
「ひとりで勝手に突っ立っていろ、一生」
「一生って……」
わかりやすく傷ついた顔をして、若い男が腕を下ろした。気にも留めず男は離れてゆく。二人は同僚だった。
ただ一度、同じプロジェクトに参加しただけの。
「悪かったよ」
若い男がぽつりと。
「君を巻き込むつもりは無かったんだけどさ」
「…………」
謝られた男はそのとき背を向けており、視線の先には刻名があった。どこかで聞いたことのあるような、いちどは呼んだことがあるような、ありふれた名のひとつ。それがなぜか、いまは無性に懐かしく。
石のように固まる後ろ姿に、先ほど謝った男は気まずそうな顔をした。
「『―――』! ……本当に、ごめん」
男はそのときようやく顔をあげ、横を向いた。
「何か言ったか」
夢から醒めたような目をしている。
「君ねぇ……」
もういいよ、一人で勝手に行くから。拗ねた態度を隠さずに、男が離れてゆく。そのあとをもう一人の男が着いていった。
青空の下、見渡すかぎりの墓石が土に埋もれていた。それぞれが何度も足を運び、謝罪し、決意を供え、空席を探したことのある。
【この場所で】
この場所で貴方達と出会えてホント良かった。
この教室に来るのもあと3回?くらいかな。あっという間に時間は過ぎていったね。
照れくさいけど、私は貴方達にたくさん救われたし、笑顔になる事が増えたし、毎日学校に行くのが楽しみで仕方なかったよ。嫌な授業とか課題があっても貴方達がいたから今日学校行こうかなって思えたし、貴方達のおかげで自己肯定感がバカみたいに上がったし、自分に自信が持てたんだ。ありがとう。大好きだよ。
「この場所で」
何もかもが凍った町に どこか懐かしさを覚えた
触れれば切り裂かれるような氷の花があちこちに咲いている。その冷たく鋭い花の美しさに思わず目を奪われた。
今まで空っぽだった心が震えている。私はこの場所を知っているような気がする。
街の入り口から見える氷の壁に覆われた城
そこに行かなければいけないと思った。ずっと長い間、記憶のない私が探し続けていたもの。それがあの城にあるのだと確信した。
雪に白く染められた家々の間を通り抜け、氷の花だけが咲く広場を抜ける。
小さな町で、あっという間に氷の壁の前までたどり着いた。氷の壁は厚く、城の入り口を頑丈に塞いでいた。
けれど、私には関係ない
氷の壁など無いかのように私は城の入り口をすり抜けた
城のステンドグラスは全て割れ、薄水色の氷で覆われていて、城の中はまるで水の中のように澄んで見えた。
床には一面に透明な水と氷の花が浮かんでいる。
その先を見ると玉座があるべき場所に、異形の姿をした巨大な石像があった。太ったトカゲのような頭に巨大な人間に近い手、ヘビのような尻尾がある。全てが鱗で覆われている。あまりにも精巧な石像だった。
その石像は、床に伏していて閉じた目からは絶えず水が流れていた。城の入り口の氷の壁はこの涙によるものなのかもしれない。
私はしばらくその石像を見ていた。
心がずっと叫んでいた。何に叫んでいるのかは分からない。けれど、私はこの石像を、この異形を
彼を知っている。
ずっと忘れていたこと、いや、ずっと覚えていたこと
この町を、愛しい彼を、約束を、全部覚えていた
石像に近付いて、彼に笑いかけた
「あなたも約束を覚えていてくれたのね」
石像にそっと触れる。形の無かったはずの体が光に包まれるようにして私の姿を見せた。
「ごめんね、私、ずっと昔に死んじゃったの。でも、帰らなきゃって気持ちだけが残って、幽霊になって長いこと彷徨ってたの」
石像は動かない。固く閉じたまぶたを優しく撫でる
「待っててくれてありがとう。私の大好きな花を覚えててくれてありがとう」
そうして、彼のまぶたに顔を近づけてキスをした。すると、絶えず流れていた涙がゆっくりと止まった
バシャバシャと音がして振り返ると、窓や入り口の氷が溶け出して氷の塊が水の中へ落ちていった
窓から明るい光が差し込んできた。月の光か太陽の光か、それはもうどちらでも良かった
彼がもう涙を流さずにいられるのなら、彼がもう苦しまずにいられるなら全部どうだってよかった
「遅くなってごめんなさい」
彼に寄り添うように頬を擦り合わせて静かにつぶやいた
「一緒に眠りましょう。私たちの出会ったこの場所で」
「この場所で」
運命の悪戯で、気づけばこんな所にいた。
望んではいなかった場所。けれど、運命を責めたところで何も変わらない。だから誰かを責めるのはやめた。代わりに、ひたすら走り懸命に生きることにした。
今いるこの場所で、夢を咲かせるために。
運命なんかに、負けないように。
この場所で何があった誰がいた、あの場所で何があった誰がいたと、人付き合いが苦手ですぐに壊してきた人生だから、その土地土地にあまり思い出したくない思いが残っている。電車に乗ってひとまわりするだけで辛い。
「大昔にさあ、僕はこの世界を創ったわけ。
だけど一回壊されちゃってさ。壊した奴に途方もない時間をかけて創り直させたんだ。
そしたら世界がちょっと不安定になってね。これまではどうにかこうにか出来たんだけど、さすがにもう無理になっちゃってね。
ひじょーに心苦しいけどとても強い力を持っている命を使ってこの世界の柱として据えなきゃいけなかったんだ」
「……それで選ばれたのが私というわけか」
「そうなっちゃうね。でも、こんな体験生きてちゃ絶対に出来なかったよ?
この場所で創造神と二人で語り合うなんてさ!
あはっ、とっても得難い体験でしょ?
だから選ばれたのも悪くなかったでしょ〜?」
「……別に、こんな体験どうでもいいが」
「うわ辛辣〜。まあその答えが人間らしいけどね。
自分勝手で他者のこと全く考えないで迷惑かけてばっかり。そのくせ自分が同じことされたらやってたことを棚に上げて怒る……
全くもう、人間ってばなんて面白いんだろうね!
見ていて本っ当に飽きないよ!」
「……お前みたいなのが神だから、人間もそうなるのではないか?」
「蛙の子は蛙ってことかい? あはははっ! 凄いこと言うねえ!
ま、いいけどね。そう思ってても。たぶん嘘じゃないかもだし。
しかしまあ何とか記憶の修正が間に合って良かったよ。あのまま思い出されてたらまた誰かが芋づる式に思い出すところだったからね。あー、危なかった」
「なぜ?」
「だってしょうがないじゃん。いない人を覚えててもさ。
思い出した人が近くにいたら触発されてほんの小さな違和感が忘れられずに思い出そうと頑張っちゃうじゃん。今回の彼女や君のお友達みたいにさ。
もういないのに、もう会えないのに思い出だけ残ってるなんてとても辛いし最悪じゃん?
だから記憶を改変するんだ。僕なりのアフターケアってやつだよ。僕ってばちょー優し〜!」
「……私には理解できない考えだ」
「ふーん? そういうものか」
この場所で生きていくと決めた
聞こえはいいが
今さら環境を変える勇気もないし
先行きが不透明なのに
人生もお金もかけたくない
ならこの場所でいいやと思った
―この場所で―
この場所で、僕は今日も立っている。
駅前の、あの自動販売機の横。
待ち合わせはいつもそこだった。
君はだいたい遅れるから、
僕は少し早めに来て
飲み物を一本買って待つのが習慣だった。
今日も同じ。
炭酸のボタンを押して、
ぬるくなりかけた缶を手に持つ。
開けないまま。
君が来たら、
「それ、もう炭酸抜けてるよ」って笑うはずだから。
人が通り過ぎていく。
足音。
笑い声。
改札の音。
世界は、何も変わっていない。
変わったのは、
君が来なくなったことだけ。
——そう、言われた。
ちゃんと説明も受けた。
数字も、時間も、
もう動かないことも。
僕はそのとき、泣かなかった。
泣いたら、本当に終わる気がしたから。
だから今も、
終わっていない。
この場所で待っていれば、
まだ「約束の途中」だ。
遅れているだけ。
きっとそう。
最近は、
君の顔を思い出すのに時間がかかる。
声も、少し遠い。
代わりに、
「来ない」という事実だけが、
やけにはっきりしてきた。
それでも足はここに向かう。
来ないと分かっているのに、
来ないことを確認しに来るみたいに。
缶はまだ開けていない。
炭酸は、きっともう抜けている。
それでも僕は、
そっと缶を握り直す。
指先の感覚が、少し鈍い。
この場所で、僕は少しずつ削れていく。
悲しみはもう鋭くない。
ただ、薄く、
毎日同じところを擦られている。
いつか本当に、
君の顔も、
声も、
何も思い出せなくなったら。
そのとき、僕はどうするんだろう。
待つ理由がなくなったら。
今日も、
君は来ない。
―もう。君が来ないなら僕が迎えに行ってあげる。
虚ろ虚ろに歩き出し、
駅の改札を乗り越える。
待っててね。今迎えに行くから。
周りの声がよく聞こえない。
向こう側から来る電車を見つめる。
きっと、
君は天国にはいない。
だって、僕にうそをついたから。
きっと、
君はしごくにいる。
だから、むかえにいく。
君はさびしがりやさんだから、
君はぼくがいないとだめなんでしょ。
まってて、いまからそっちにいくから。
じごくは君ひとりだったらかなしいよね。
でもぼくといっしょならたのしいよ
でんしゃがきた。
ぼくはせんろにむかってはしる。
ぼくね
君がいないとたのしくない
ぼくやさしいから
君がやくそくやぶったのはゆるしてあげる
だいすきだよ
いま
むかえにいくからね
そしたら
また
やくそくのばしょつくろ
やっと
また
君にあえる
またせちゃってごめんね
だいす――――――――――
題名:【炭酸が抜ける前に、】
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします。
これまで
いくつかの川を渡り
流れにまかせた
「ナーガの階段」
階段を上がると
ナーガの絵と
可憐な花の植木鉢
ドアを挟んで2つ
新天地と故郷
混ざり合う湿度
故郷を想う
私も同じ
そうね
水がないと
生きていけない
恐れず
敬う
乾かず
潤う
循環し
呼応しあう
#142「この場所で」
この場所で
「この場所は、芭蕉が詠んだ場所」
このお題でこんなアホなことを思いつく
あぁ、このアホさ、読んでほしいな
あの場所で
戻りたいな
あの場所へ
会いたいな
あの場所で
懐かしいな
あの場所が
この気持ちは置いておきましょ
この場所に
『この場所で』
猫が目の前を横切った。
リズミカルに鈴の音を鳴らし、右から左へ。
優雅に過ぎ去っていった。
一見、私の事など気づいていないような素振りだが、
その実ちゃっかり、尻尾を振って誘惑しているのは明白だった。
当然、頭では理解しているのだが、体は正直
というもので、私はまんまと彼女の後を追いかけることとなった。
「ミャーン」
「……‼︎」
何たる甘い鳴き声か、
危うく失神するところだった。
幸いにも今日の私には幸運の女神がついてるようで、
ズボンのポッケに入れていたナイフが偶然突き刺さり、何とか気絶を免れることが出来た。
私は右脚を引きずりながら、子猫ちゃんを追いかけていく。
「ミャー」
「……⁉︎」
危ないところだった。
また私は気を失うところだった。
よろめいた時に、体を電柱にぶつかってしまったが、
幸いにも内ポケットしまっていた粉末の殺虫剤は破れずに済み、代わりに舌を噛むだけで済んだ。
私は彼女を追いかけるため、路地裏の深いところまで進んで行った。
「ミャオ」
相変わらず子猫ちゃんは甘ったるい声を上げたのち、
電柱の前に片足を上げ始める。
「……な゛んだと⁉︎」
まさか子猫ちゃんは、この場所でするつもりなのか。
こんな薄暗いーーー路地裏の隅っこなんかで。
次の瞬間、私は貧血で地面に倒れ込んでいた。
" この場所で "
たくさんの人と出会って、仲良くなってケンカして団結しあって、もちろん好きになった。
嫌な場所でもあり、私の大切な思い出の場所。
それは中学校、そう私のふるさとの母校だ。