『お祭り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
背中にしっかりと乗せた
絞り染めの蝶々を連れて
鼻緒がどうも慣れなくて
足の指が笑ってるみたい
持っていてねと言われた
りんご飴がころころりん
お姉ちゃんが一つため息
少ししか食べてないのと
何年も語り継がれた昔話
今年のお祭り晴れるかな
『お祭り』
神様が舞い降りてきて、こう言った。
「ちょっと金貸してくんない?」
「は?」
白い布を体に巻き付けて、葉っぱの冠を被って、後光で眩しくて直視できないそれは、誰がどう見ても神様なのに、発言が完全にチンピラだった。
「いや喉乾いちゃって」
「はあ」
「100円でいいからさ」
「100円じゃ自販機では買えないですけど」
「いいのいいの。コインで地面ぶち抜いて水湧かせるから」
「200円あげるんで自販機使ってもらっていいですか」
「え、いいの? 炭酸飲みたい」
お祭り
お囃子の音が近づいてくる。神輿、山車、掛け声をあげる男達、子どものはしゃぎ声、女達の鮮やかな浴衣、見物人の波。照りつける陽も、今日ばかりは人々の熱気に負け気味だ。
屋台からは醤油の焼ける匂い、かすてらの甘い香り。射的の間抜けた音と、涼しげな金魚の泳ぐ様。
ああ、やっとこの時期が来た。
神輿の上から、社から、楽しむ人々を見て回る。顔を隠さなくなったのも良い。笑顔がよく見える。
人々の病の快癒を寿いだ。
花火のときに聞こえた言葉。
「好きですっ」
聞こえちゃったな、、、
だけど君の照れる顔がまた見たいから、
私は聞こえないフリをする。
明日は『お祭り』なんだぞ。もっとやる気を出せ!
ちゃんと歩道の草を刈れ!街中だけ綺麗にしたって意味ないんだ!遠くから歩いてくる人たちもいる。国道沿いに歩道があって、皆そこを会場に向かって歩いていく。そこからは花火も凄くよく見える。
なのに何ですそのみすぼらしい雑草の凄さは!
明日は花火なんだぞ。何が「未来に繋げる」だ!
見に来る人々はこうなるかもしれない。「帰り道で、変な虫に刺された所が半年治らなかった。もうあそこには行きたくない。」「歩道の雑草が凄くて嫌な思いをした」せめてこうならないように整備を。住んでる町じゃないけど、職場が近いので愛着が沸いてすごく気になる。歩道だから特に雑草が目立って見映えが悪い。車で通過するだけでも良い気持ちはしないものだ。市の端っこの町はこうなりがちなのは分かっている。でも街中整備だけ頑張ったってダメなのだよ。
いくら祭りの準備頑張っても道が汚きゃ、「ちょっと寄ってこうか」とはならないぞ。
小さい頃はクラスの友達みんなが集まって、
大人数で歩き回ってた。
りんご飴やら焼きそばやら
みんなで思い思いのもの買って
シェアして笑って、それなりに楽しかったけど。
ちょっとだけ気疲れしちゃうんだ。
食べ物のシェアも本当は苦手でさ、
だからみんなと解散したあとに
1人で回るのが好きだった。
すれ違う人の浴衣姿とか、
花火の後の煙の匂いとか、
お面が安く買えたりとか、
そういうのが好きだった。
人が居なくなってちょっと空いた公園で、
ひとりでぼーっとしてる時間が、
好きだったな。
【お祭り】
#4 お祭り
お祭りは嫌いだ。
だってうるさいから。
色んな角度から聞こえる人の話し声。
絶え間なく耳に入る下駄の音。
太鼓や花火の心臓に響く大きな音。
時々届くシャッター音。
色んな音が混じってる。
隣を見ると君がいる。
普段と全然違う格好で
普段と全然違う雰囲気で
普段と全然違う声色で
普段と全く同じ笑顔で
私の隣に立っている。
左手にはりんご飴を
右手には私の手を大事そうに握って離さない。
じっと見ていると
君はこちらに目を向けて小さく微笑む。
私は思わず目をそらす。
色んな角度から聞こえる人の話し声。
絶え間なく耳に入る下駄の音。
太鼓や花火の心臓に響く大きな音。
時々届くシャッター音。
それらに負けないくらいの大きな音が
私の胸から聞こえてくる。
やっぱり
お祭りはうるさい。
#お祭り
お祭りというと、何となく夏祭りを真っ先に思い浮かべてしまいそうになる。そこには熱狂がある。ええじゃないかと手を叩いき、はしゃいで浮かれて、非日常へとざぶざぶ、あっという間に潜ってしまえる。お祭りには、そういった浮足立った空気を感じ取る。それは何だか、虫さされに似ているかもしれない。じわじわと身体の中を蝕んでゆき、気がついたらもう「そういう風に」なってしまっているのだ。花火大会だとか、浴衣姿だとか、金魚すくいに射的に、それからあとは、まあいろいろと。からころと鳴る下駄の音。肺の奥底に滑り込む和太鼓の振動。暫く歩き疲れて張って来た脚と、じんわり汗でにじんで動きづらい背中を忘れてしまいそうになる。暑さは異様な熱さの厚さが重なっていて、ああなんでこんなことを言っているんだっけか。
そうだ、夏祭りの話をしていたんだ……。お祭りというと、何となく夏祭りを真っ先に思い浮かべてしまいそうになるが、別にお祭りは夏だけに集中してやってる訳でもない。青春に挟み込まれてる文化祭だって祭の一文字は入っている。フェスティバルなんて祭を英語にしただけだ。こういった類のものは春夏秋冬、見渡せばどこかにはある。そうした中で、夏祭りだけ、何か特別なものを持っているような気がする。
夏の魔法とやらの力がはたらいているのだろうか。夏祭りに人は幻想を持ちすぎているのだろうか。そうでも言っておかないと、お祭りの後にやってくるあの何とも言えない静けさの中にある胸騒ぎを説明できる自信がなくなってしまう。魔法の解けたシンデレラみたい。あんなに大急ぎで帰っていくものでもないけど、微かな焦燥感が拭えない、気持ち悪くもあり気持ちよくもある、あの心地は、そんなように思えるのだ。
夏祭りの虜になる。夏祭りのお姫様になる。ああまったく、なんてプレイボーイなお祭りなんだ。
♯お祭り
「ドンドンドン」
太鼓の音がする。今日はお祭りの日だ。
みんなかき氷やりんご飴などたくさん持っている。
でも僕は、お祭りなんか行けない。
お父さんが、危険だからダメって言うんだ。
みんなはお祭りに行ってるのに、どうして危険だと言うのだろうか。
涙をためながら、部屋に戻る。太鼓の音が響く。
僕は、耳障りで、つい、叫んでしまった。
お父さんがすぐ来てくれた。心配してくれた。
僕は泣くのを我慢してお父さんに事実を伝えた。
お父さんは、ふふふっと笑って、こう言った。
『お祭りは、人混みがすごいから、言っちゃいけないんだ。6歳だから、もうわかるだろ?』
僕は我慢ができなくなった。部屋まで駆け出す。
「もう一人で行けるもん!」頭の中で流れる声。
お父さんには、内緒で、お祭りの準備をした。
お父さんがいないうちに、僕は外まで走った。
『見えた!屋台だ!』
僕は叫んだ。見えた屋台まで裸足で走る。
この時の僕は、裸足で行けばバレないと思ってた。
屋台に入り、かき氷を頬張る。
僕は、ビックリして、食べるのを止めた。
なんと、屋台には、お父さんがいたんだ。
お父さんはつぶやいていた。
『流石にあの子には悪いから、かき氷を2つ、買って帰ろう。』と。
僕はショックで、走って家に戻る。
すぐに浴衣を脱ぎ、普通の服に着替えたら、
お父さんが丁度いいタイミングで帰ってきた。
僕は、『おかえり!!』と喜びながら言った。
お父さんは、『なんでそんなに喜んでいるんだ?』
僕は、つい本音が出てしまったと焦り、
『ごめんごめん、何か買ってきてくれたのかとおもってさ。』と誤魔化した。
お父さんは、『そういえば、お前みたいな子供が走って家に帰っていたんだが、お前じゃないな?』
僕は、ビクッとした。
僕は、『そんな訳ないじゃん。僕じゃないよ。』
と嘘を付いた。
お父さんは、ちょっと低い声で、『そっか、そうだよな。』と言った。次に、『そういえば、2人分のかき氷を買ってきたんだ。食べないか?』
と言ってくれた。僕は、待ってましたと思って、
『え!?いいの!?』と叫んだ。
かき氷を食べながら、お父さんはこう言った。
『お前、嘘付いてるよな?』
僕は、『えっ?付いてるわけ無いじゃん。』と抵抗した。お父さんは、『すべて分かってるんだぞ。かき氷を食べてるところも、裸足で逃げるところも、見てないと思ってるのか?』
怒られた。初めて怒られた。
僕は、『ごめんなさい!』と誤った。
お父さんは、『お前ってやつは。さあ、お父さんも食べよう!』と、笑って許してくれた。
僕は、部屋に戻って、考えた。
お父さんは、僕がこんなに悪いことをしたのに、笑って許してくれたんだ。僕は一言を作った。
「お父さんの心は希望の光」とね。
お母さんがいない生活で、僕は、お父さんは大切だと言うことを忘れないようにずっと心に残した。
夕食を食べ始めると聞こえてくる、ドーン、パラパラパラという音。
うちの地区は7月〜8月、毎年夜の7時に十五分だけ花火が打ち上がる。
だから夏は、丁度居間のベランダから見える位置で夕食を食べながら花火鑑賞が出来るのだ。
お祭りじゃない花火も、なかなかオツなモノ。
早く
3月3日の
ひな祭り
こーいー
ひーなー祭りーを
うぉーーーーーーーーーーーーーー
3月のーーーーー
早くこいー(3月3日)
うぉーーーーーーーーーーーーーー
そう俺の(貴方の)目的はーーー
そうさ
君と君の間でただただひな祭りをままーーーーつだけっ
今年も楽しみにしていた夏祭り。
今年も大切な彼と一緒に行くことができる。
すごく楽しみだな〜。これからも彼との時間を大切に過ごしていきたい。
お祭りの雰囲気が、音が、空気感が好き。
お囃子を昔からやっていて、太鼓の音が合わさるのが好き。
暑いけど、汗だくになるけど、みんなで笑い合えてるのが楽しい。
今年はコロナのこともあって、お酒が飲める年になってから初めて迎えたお祭りだった。
みんなと、憧れの人と、一緒に飲みながら太鼓を叩きながら、お喋りしながら過ごす夜はキラキラ輝いていた。
この輝きがいつまでも続いてほしいと、後もう少しだけでも続いてほしいと終わる前から願うほどにはキラキラしていた。
私の憧れの人は、一緒に太鼓を叩く時に「私が1番相性いい」なんて言ってくれる人。私も一緒に叩いてて1番安心できると思っていたから、それが共有できて嬉しい気持ちでいっぱいだった。
今年は一緒に叩けた。来年も一緒に叩けたらいいな。
他の人の成長ももちろん嬉しいけれど、機会を失うのは悲しいから、ここまではどうか来ないでほしいと思ってしまう。
お祭り
葵祭
祇園祭
山笠
阿波踊り
花火大会
ずらっと並んだ屋台
笑いながら話す声
いろんな早さの足音
舞い上がる土埃
強い日差し
夜の気配
ふと漂ってくる花の香り
遠くで誰かが歌う声
すぐ近くで始まる喧嘩
走り回る小さな子ども
いろんな人のいろんなエネルギーが集まって、ひとつになり
商店街を
参道を
河川敷を
勢いよく流れて行く
そこに滞っていた黒くて重い、
鈍い形の様々なものたちも一緒に
綺麗さっぱり
一つも残すことなく
全て浄化されていくのが見える
さよなら!
祭りのあとはいつも
スッキリさっぱり
気分爽快
何もない
祭りは祀り
話してて楽しい人がいるけど友達としては本当に大好き!たくさん心配かけてごめんって言いたい でも私の事心配してくれたの嬉しかった。
お祭り
遠くから聞こえてくる祭囃子。
お祭りが開催されている神社から、少し離れた公園のベンチに座っている少女が一人。
浴衣を着ているが、どこか楽しそうな雰囲気ではない。地面を見つめて、小さくため息をついていた。
「……遅い」
巾着からスマホを取り出し、画面を見つめる。何も連絡がなく、時刻だけが過ぎていく。
またため息をついた。幸せがドンドン逃げていっているような気がすると思った少女は首を左右に振った。
「……まぁ、どうせ、遅い原因はアイツだろうけど」
ベンチから立ちあがろうとした時だった――
「ごめん、待った?」
「わりぃ、腹痛くてさぁー」
走る様子もなく、のろのろとゆっくり歩いて登場した二人の青年。
一人は黒髪で黒縁メガネをかけていて、もう一人は銀髪で両耳にピアスをつけていた。
「やっぱり、原因はアンタか……連絡しろ、バカ兄弟」
「あ?わざわざ、来てやったのに」
銀髪の青年は少女を睨みつけた。
それを制するように、黒髪の青年が銀髪の青年の頭を軽くこづいた。
「こーら、睨まない。ごめんね、真白(ましろ)は腹の調子悪くてイライラしているんだ」
「してねぇーし、もう平気だし、清澄(きよすみ)」
銀髪の青年、真白はお腹をさすりながら答えた。
だが、黒髪の青年、清澄はそれを無視して、少女の髪に触れる。
「浴衣に似合っているね、この髪型」
「流石、清澄わかっているね、ありがとう」
「ふふっ、杏樹(あんじゅ) は、いつもかわいいから」
「さらりとそう言うこと言えるの、素晴らしいと思う」
少女、杏樹は少し背伸びをして、清澄の頭を撫でた。
耳を赤らめる清澄を横目に頬を膨らませて拗ねている真白の姿。
「なぁー、さっさと祭りに行こうぜ」
「アンタが、それを言う?私、かなり待っていたんだけど?」
「へーへー、わるぅーござんした」
べーっと舌を出して、一人スタスタと公園の出口に向かう真白。
「ごめんね、真白が。行こっか、杏樹」
「うん、いいよ、気にしてないから。どうせ真白だもの」
苦笑いをする杏樹。真白の性格をわかっているので気にしても、仕方がないと心の中で思っていた。
清澄と一緒にゆっくりと歩き出し、祭りを開催している神社へと向かう。
――
神社に着くと人が結構集まっている。焼きそばやたこ焼き、唐揚げなどの匂いが漂っていた。
清澄と杏樹は何をするかを話しながら歩いているのに対し、真白は二人より先々と歩いてい離れていく。時々、振り返り二人の様子を伺っていた。
「ねぇ、杏樹、たこせん食べようよ」
「いいね、清澄、食べよう食べよう」
「んじゃぁ、俺が買ってくるから、あそこの石段で待っていて」
清澄に言われて、指定された石段へと向かい、そして座る。
少し硬くて冷たいと思った杏樹だが、時期に慣れると。
しばらく行き交う人を眺めていると、真白が右手に何か持っていた。
真白は杏樹の隣にどかっと座った。数秒沈黙が続いていたが、杏樹にりんご飴を差し出す。
「私に?」
「……好きだろ、りんご飴」
「好きだけど、何も言っていないのに、わざわざ買って来てくれたの?」
「……いらねぇーの……?」
少し不安そうな表情をする真白。
きゅっと口を結び、杏樹の出方を伺う。
「ううん、いるよ。嬉しい、ありがとう」
真白はその言葉を聞いて、安堵した。
口が少し悪いが優しい一面を持っている真白を知っている杏樹。
りんご飴をぺろっと舐めると甘い味が口の中に広がっていった。
「……清澄は?」
「たこせん買ってくるって言って、帰ってこない」
「……そっか」
すると、花火が打ち上がった。大きな音が神社に鳴り響く。
「始まったね、花火」
「……そだな」
二人揃って、夜空を見つめる。
綺麗に咲き乱れる花火たち。そして、儚く美しくて散っていく。
「……清澄と付き合うのか?」
ドーンっとまた音が鳴り響いた。
杏樹は真白にどう答えようか悩んでいた。
確かにこの祭りがある日までに告白はされたが、返事を保留にしている。
「お似合いだ思う、二人は。幼い時から清澄はお前のこと好きだったからなぁ。付き合えば、絶対大事にしてくれると思う」
ちくりと杏樹の心に何かが刺さる。何故か、真白にはそう言って欲しくなかったと思っていた。
夜空に連続に花火が打ち上がると歓声が沸いた。
「おぉー、綺麗だな、花火」
寂しそうに笑う真白。瞳は、花火を映している。
「……んじゃ、俺帰るわ」
静かに石段から立ち上がる。そして、人混みへ向かおうとするのを引き止めた杏樹。
するりとりんご飴が地面へと落ちていった。
「な、なんで帰るの?まだ……まだ花火上がっているじゃん‼︎」
「おいっ、りんご飴落ち――」
「りんご飴、今はどうでもいい。なんで帰るの?」
「もう見たし、いいかなと。あと、暑いから帰る」
大きな花火が打ち上がった。ドーンと鳴り響く。
「最後もっと花火は綺麗だと思うし、暑いならかき氷食べよう‼︎」
「何必死になってんだよ」
「なってないなってない」
杏樹は焦っていたて。離れていきそうで。消えてしまいそうで。
「いや、なってんじゃん。……清澄、そろそろ帰ってくると思うし」
「いいじゃん、三人で花火見ようよ」
真白は首を左右に振る。そして、へにゃっと笑って見せた。
「今年の祭りで最後。いつまでも一緒にはいられない」
その言葉を言うと同時に清澄が戻って来た。
「ごめん、遅くなって。結構並んでいてさぁ。しかも花火も始まったからなかなか、動かなくて」
「清澄、俺帰るわ。腹いてぇーし」
「え、そうなの、大丈夫?」
「んー、わからん。まぁ、帰るわ」
ひらひらと手を振って去る真白。そして、人混みの中に消えていった。
「大丈夫かなぁ、真白。あ、そうだ、お待たせ杏樹。たこせん――」
清澄が言い終わる前に、杏樹は駆け出した。
人混みの中、真白を探す。しかし、見当たらない。
本当に消えてしまったようだ。急に息が苦しくなった杏樹。
どうやって自分が呼吸していたか、わからなくなったようだ。
胸もぎゅうっと締め付けられ、足も慣れない下駄で痛くなってきていた。
「いない、いない、どこにもいない、なんで?」
神社の階段を降りても、真白の姿はどこにもなかった。
「ましろ、ましろ」
杏樹の目には涙が。ポロポロとこぼれ落ちた。
清澄よりも真白のことが好きだと今、わかったと。
だから、杏樹は清澄に告白されても即答ができなかった。
「杏樹?」
声がする方を振り返ると、神社の階段から真白が降りて来ていた。
「あれ、清澄は?」
「……バカ‼︎真白のバカ‼︎どこ行っていたのよ‼︎」
ばちんと両手で真白の頬を叩いた。突然のことに目を丸くする真白。
「えっ、トイレに行っていました……」
「なんでトイレなのよ‼︎」
「えっ、腹いてぇーから」
叩かれた両頬がヒリヒリするのと腹を交互にさする真白。
すると、真白に抱きつく杏樹。ミシッと音がした。
「いででででで、こんのゴリラ怪力女、離せって」
「いやだ、真白から離れない‼︎」
「いやいやいやいや、離れないと俺の骨がミシミシ言っているって、いででででで‼︎」
「これ、離したら、真白は帰るでしょ、消えるでしょ‼︎」
ギリギリと締める力を強める杏樹。絶対に離すまいと。
「わかった、わかったから‼︎帰らない、消えない‼︎だから、離せって」
「真白は嘘つくから信じない」
「いや、マジでやばいって、複雑骨折になるから、祭り来て複雑骨折とかありえないから‼︎」
「そんなに力強くないっ‼︎」
最後の花火が打ち上がった。夜空に繚乱の花火がキラキラ輝く。
「花火、終わっちゃったじゃんかっ‼︎」
「俺のせいじゃないつぅーの‼︎離せって‼︎」
渋々だが、真白を解放した杏樹。
やっと解放された真白は、ぜーはーと息をついた、
「……来年もお祭り来るから、ずっと、真白と一緒だから‼︎」
涙をポロポロ溢しながら言い放った。
真白はギョッと驚いたが、すぐに表情を戻し、杏樹の頭を撫でる。
「わかった、わかったから、泣くなって。来年も三人で祭り来よう。な、これでいいだろ?」
「よくない、全然、よくない‼︎」
「んでだよっ‼︎」
「真白のわからずや、もう知らない‼︎」
杏樹はそのまま走って帰って行った。
ぽかーんと一人残された真白。しばらく、その場で立ち尽くしていると、清澄に声をかけられた。
「やっと見つけた、連絡しても出ないし……あれ、杏樹は?」
「なんか帰った」
「はぁ?また何かいらないことでも言ったの?」
清澄の言葉に首を左右に振ろうとしたが、やめた真白。
「ゴリラ怪力女って言った」
「いや、なんでそれを言った?はぁー、謝りに帰るよ」
やれやれとした表情で真白の横を通り過ぎる清澄。
少し距離をあけてから、清澄の後ろを歩く真白。
「……わからずやか……そっくりそのまま返すし」
頬をさすりながら、小さく呟いた――
題:お祭り 主人公は妹です。「私」と書きます。
中3妹の名前…さゆり
高2姉の名前…やよい
母の名前…ともえ
父の名前…ゆうすけ
姉)ねぇ今日お祭りあるらしい。友達に誘われてるから行ってくる。
母)え??そういう事は昨日とかに言っといてよ。まぁ行ってらっしゃーい。あ、ご飯どーするの?
姉)屋台に売ってるの適当に食べて済ませるから要らない。
母)はーい。気をつけてねー!
姉)うん。
最近お姉ちゃんは反抗期で家族みんなに冷たいんだ。
もう少し柔らかい言い方できないのかなぁ。
私)ねぇお母さん!私もお祭り行きたい!!
母)友達と行ってきなさーい(*^^*)
私)……友達…うん、わかった(˶' ᵕ ' )
母)ご飯は屋台で売ってるの食べるのよね!お金あげる!お姉ちゃんには内緒よー!
私)…うん!ありがとう!行ってくるね!
母)行ってらっしゃい!
私は外に出た。。。
父)ともえー
母)あら、どーしたのよゆうすけさん
父)さゆり、なんか元気なかったと思ったけど気のせいなのかな。。
母)きっと私たちと行けなかったのが寂しかったのよー!
さっ!私たちは私たちで楽しくご飯食べたり映画見たりしましょ!
父)そーだなぁ!楽しむか!
その頃私は……
私)友達か、
私は学校でいじめにあっている。親には言ってない。
友達すらいない。いつも独りなんだ。
私)一応ちらっと見ていこうかな。
お祭りは賑やかだった。私の見る限り一人の人なんて見当たらなかった。
私)うわぁ。めっちゃいる…とてもじゃないけど私1人で入るなんて出来ないよ。。どうしようかな…お母さんは友達とお祭り行ってるって思ってるもんねー。コンビニでご飯買って公園にでも行こうかな。
そう思った瞬間近くにお姉ちゃんが居ることに気が付いた。私はとっさに木の影に隠れた。
姉)えー!まじか!
姉友)まじまじwてかお祭り混みすぎじゃね?ww
姉)それな?wあ、親にお金もらった?
姉友)え貰ってないわ。貰った?
姉)いや貰ってないw
姉友)なんだ一緒じゃーん!あー絶対金欠になるw
………………………
私)……いいな…楽しそう。私にも友達いたらしょうもない事で笑ったりして、すごく楽しいだろうな…
私の目から涙が溢れ出てきた。
私)え?なに。。なんで?なんで私泣いてるの?
私は涙が止まらなくて焦りだした。
ご飯を買いにコンビニに行きたいけどこんな顔じゃ行けないからとりあえず少し離れた公園に行った。
私)……私、今すごく哀れだな。周りから見た私ってどんな感じなんだろう。
私は中学一年生から振り返ってみた。
そしたらなんだか心が苦しくなった。
締め付けられる感じで目からはまた涙が溢れだしていた。
私)もうやだよ。何も楽しくない。ただただ苦しいだけじゃん。疲れたよ。
その時。急に体が操られているかのような感覚になった。
そして目が見えなくなった。何が起こったのか分からなかった。気がつくと私は人のいない神社のお祭りでポツンと立っていた。
私)え?…ここどこ?お祭りだよね。ここ。屋台あるけど。え、人がいない。何?どういうこと?え??
暖かい風が私を包み込んでいる感じがする。
なんだか力が抜けていく。足の力が抜けて膝から崩れ落ちた。
私)痛い!!!うわ!血だ…ちょ、まって1回たった方が良いよね。
私は立とうとした。でも立てない。
私)え?なんで…?なんでなんでなんで!!!ねぇなんなのコレ。やめてやめてやめて!誰かいるの?何してるの?私に何してるの!!
私は必死になって見えない誰かに話しかけた。
すると、どこからか声がした。
謎の声)ねぇあなた。もしかして自分は不幸だとか思ってる?もうやだって思ってる?
私)え?だ、だれなの。だれ…だれ!
謎の声)私の質問に答えなさい。
私)っ……思ってるよ。だってそーなんだもん。辛いんだもん。
謎の声)へぇ。あなた、自分のした事記憶の中から上手く消せた訳ね。
私)は?何言ってるの??私は何もしてない。
謎の声)そーかそーか、でもあなたの記憶の中に無いものを私は持っている。もう一度あなたに戻してあげるよ。
私)え?なにいって……ッア゙頭が痛い。。ねぇ何したの。やめて!あなた誰なの!
謎の声)……私?私はここの神社の守り神。
私)え?
守り神)まぁとにかく。思い出した?あの時の事を。
私)あの時?あの時っていったi…え。
守り神)思い出したのね。あの時あなたがしたこと。
私)まって、この神社…私が…私…が…
息が荒くなっているのがわかる。暖かかった空気が冷たくなり鳥肌が立った。
私)あぁ。そーだ。そーだった。私は…あぁそーだ。私は…わた、わ、わたしは…
上手く話せない。。。あぁそうだ。
私は一昨年の今日クラスのみんなでこの神社に集まって仲良く遊んでたんだ。私はクラスの中心だったんだ。私の言ったことを聞かなかった男子が居たからムカついて仲間はずれにしたんだ。そしたらその子が泣いちゃって…でも私はそんなの気にしないでみんなと遊んでたんだ。その子が
私に謝ってきたからしょうがなく許してやった。それで、その子を色んな事に使ってた。私はその子に無理な命令をしたんだ。崖の上にある綺麗な花を取って来いって。その子は本当に取りに行ってしまった。女王様気分で大きな岩に座って登っているのを見ていたらその子がいなくなった。みんなの叫び声が聞こえる。私は視線を下にしたくなかった。分かっていたから。その子は…落っこちて死んだんだ。あぁそーだ。私はある意味人を殺したんだ。私が命令したからその子が死んだ。私は必死に記憶の中から消したんだ。みんなが私にいじめをする理由はこれだったんだ。
私)あ、あぁ、あぁごめんなさい。。
手と足が震えている。
私)ッア゙……
痛い。なんだ?何があったの。
ポタ…ポタ…
え?
私)なに。頭が痛い。
私は頭を押さえた。
手が濡れた。そして独特な匂いがした。
血だ。
私)やだ、なに、なんで。え、??
守り神)私はあの時お前たちのことを見ていた。お前は自分のした事から逃げた。あの少年の気持ちも考えないで…
私)だ、だからってなんで血が…え、。。
私は分かった。今から何が起こるのか。
守り神)お前は今から少年と同じようになってもらう。
だが崖には登らなくていい。勝手にお前の頭が潰れるだけだ。
私)まって!おねがい!まっ…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
姉)ただいまー
母)おかえりー!
父)あれ、さゆりは?
母)やよいー!さゆりと会った?
姉)さゆり?今日来てたの?
母)え?…やだ心配……もうこんな遅いのよ?
父)スマホは?
姉)は?机にさゆりのスマホあるじゃん。
父)え、じゃ、え警察に言うか?
母)ええ、そーしましょ。。
母)あの、私の娘が……帰ってこなくて。
(詳しく説明した。)
警察)分かりました。すぐに見回りにいきます。また後で連絡します。
母)はい。あ、写真を渡しに行きます。
警察)はい。
後日連絡があった。
警察)○○神社で遺体が発見されました。
お題:鳥かご
お題:誰かのためになるならば
お題:神様が舞い降りてきて、こう言った。
※通信が死んでいたため
過去お題を遡って書いています
◆◆◆
息が苦しくなる
酸素を求めて、吸えば吸うほどにそれは酷くなる
ああ、もっと話したかった
歌いたかった
何でこんな狭くて暗い場所で死ぬんだ
お題:鳥かご
◆◇◆
私を利用するな!!!!
「???」
褒め称える言葉の中、似つかわしくない遠吠えが聞こえた。
まあ、間違いだろう。
だって私は正しいことをした。
為になることをした。
責められる理由などないのだから。
お題:誰かのためになるならば
◆◆◆
「あ、やばっ。設計ミスってるわ」
お題:神様が舞い降りてきて、こう言った。
「コレが最後の祭りのようですなぁ」
隣に立つ黒服にしか聞こえない声でいう。
『そうですね』
花火は上がらないけれど、出店のように並ぶ受付。
どデカい祭壇。
菊の花は目についた物を全部買い取って全て並べたようで、気品なんかあらしまへん。恥ずかしい。
気高く生きてきた私への冒涜か。
私、遺言にも密葬とは言わへんけど、うちうちにしてなるだけ小さいもんを。と書いたんに。
「こら、あきまへんな。子供達が大変やわ」
『そうでしょうね。』
私の家は古い古い家柄で、だから何だと言われたら、しがない印鑑屋。
別に判子売って生計をたてとるわけやない。
古いからこそ。博物館やら展示会なんかで昔の判子をお貸しして展示していただいてお金をいただく商いの家。
長く続いた家系の末、長男だった父から生まれたんは私1人。一人娘として、箱入りで育てて貰いながら、あくまで経営者として学も学ばせていただきました。
ありがたい事に、私は経営の手腕はあったようで、20代のうちに父の右腕になれました。
そんな私を見初めてくださったんが、とあるデパートの次男さん。
デパートの展示会の時に、私の仕事ぶりを見て惚れてくれはったらしい。
次男ということで、我が家の養子になってくれはるならと、結婚の話はとんとん進んで、気がついた時には一棟のマンションを持参金に我が家の婿さんになりはった夫。
この夫がボンクラで、金持ちボンボンのお坊ちゃん。
作法も何もあらしまへん。
商売のイロハもわからしまへん。
ただただ家長の座におるだけのお飾り。
私に子供ができた頃には、夫の持参金のマンションに住む私の階より上の階に愛人囲っておりました。
仕事で主人を出さんとならぬ時は仕方なしに出てもろうても恥晒しもええとこで、なんの役にも立たぬ。腹もたちましたが、建前もありましたし、我慢の妻として株も上がりましたし、よしとしましょう。
私の父が天に旅立ち、母も後を追うように亡くなって、夫は阿保に磨きをかけて傍若無人な行動で、社員さんや業者さんを困らせよって、頭を下げ続け胃の痛い日々でした。しかしながら、夫ボンクラでしたさかい、夫の持参金のマンション以外の財産を管理する会社を作って、子供と私だけの会社にしました。夫はソレと知らずに私の財産はいずれ自分のものになると信じてはったようですね。
元ある会社の名前での私の葬式。
ゆかりのある会社もたくさんいらしてくださいまして。ありがたい事にたくさんの香典や花をいただいている私の葬式。
ここらで一番の大きな葬儀場に何人もの坊さん呼んで、立派な葬儀をしてくれてはります。
どこから葬儀代を出す算段をつけとるかわからしまへん。
夫の愛人さんも、何を考えてか喪服で親族席に座って、図々しい。
綺麗なイミテーションの真珠の耳飾りがお似合いだこと。
ガラス玉の数珠もこの業界の人ならわかるような安物で。
私の最後の祭りの葬儀の見所は、この後だろうとは思うけれど、抜かりなく財産は子供に。
後継は子供だけ。
死後離婚の手筈は済ませているけれど、遺留分すら惜しいと思う私は鬼でしょうか?
夫の不甲斐なさは皆様の知る所に多分にございますよって、商売の分かれ道は我が子に託しました。
印鑑なんて、見せるだけの価値しかないものばかりの装飾品。売ればひと財産にはなるでしょうが、使うも売るも子供しだい。
アホな夫にその権利だけはやりません。
その信念だけで、闘病生活、死期の先延ばし。
コレを恨みと言う人もおりますが、それでも先祖が残してくれたもんを無様に阿呆に使わせたくなかったのです。
あの、阿保のやった最後の祭りは私の葬儀。
夫のこさえた借金は夫の持参金のマンション売ればなんとかなるでしょうて。
子をくれたあの人へのささやかな、温情。
あとは悔いて生きなはれ。
子に頼っても断れなはれ。
阿保な夫は、阿保のままで、私の葬儀代すら稼ぐ事は叶わんでしょう。
夫がどう生きて、どう死ぬか興味はありまへん。
ただ、私の最後の祭りとなった葬式の喪主として、あの阿保が立っておるのが悔しいが、これが夫の最後の花舞台やと思えば我慢もしてやりましょう。
『終始、恋愛物語(しゅうし、れんあいものがたり)』
夏、千変万化の影送り。
只今の時刻は午後六時十分。
七月も下旬に差し掛かり、僕の町「夏ノ斗町」では夏祭りが開催される時期になった。
僕、近衛凛太(このえりんた)も、その夏祭りに行く最中だ。
夏祭りと言えばよくみるあれ、
告白しようと思ったらちょうど花火がばーんってなるやつ
本当に見たことある人いるのかなぁ。
そんな凡な考えを空中に浮かばせ、夕暮れの川沿いにてゆっくりと歩いている。
そう、ゆっくり、ゆっくり歩いているのだ。
…うん。正直言っちゃえば行きたくない。
実は、今から僕が行こうとしている夏祭りに誘ってきたのって学校でも有名な
「撫楽子(ならしこ)さん」なんだよなぁ。
何がいけないかって、、、その、ね、ふくよかなお方…なんだよね。
うん…ごめんなさい。なんか、うん…
残念ながらスレンダー体型が好みな僕は、
今からのことを考え少し途方に暮れそうだった。
まだ、夏祭りに誘われたところまでならギリギリOKなんだけども
あろうことか撫楽子さんの口からでたのは
「告白するから覚悟しといてね」
っていう…覚悟もなにもってなっている状態なのです。
人を見た目で判断しちゃいけないっていうのは正論だけれど、
残念ながら正論とはちょっぴりズレた位置にいる僕。
しかしまぁ、そういう奴らが大抵なこの世では…
「可哀想」やら「終わったな」って同情の目が夏祭りに誘われた僕に向けらた。
うぅん…どうしよう、、
一応浴衣で行っているけれど、もしかしてこの浴衣はあれか?
「あーれー」ってくるくるさせられるやつか。
撫楽子さんってそういうのが趣味なのか…?
くだらない空想も「おーい」という撫楽子さんの声にかき消された。
「なっななっな、な、撫楽子サン…」
「ごめんね。遅いから少し心配になって迎えに」
「あっ、もしかして六時合流だったのか…?」
「うん」
僕は浴衣とは不釣り合いな腕時計で時刻を確認し、無事六時を過ぎていたことに
あちゃーという顔をする。
「でも、花火が始まる時間はまだまだ先だから落ち着いて会場に行こうね」
「そっ、ソウダネ……」
色々な意味で緊張しすぎている。
一つは告白ってどんなことをされるのかが心配なこと。
もう一つは
「撫楽子サン、その、、浴衣キツくない?大丈夫?」
「うん?大丈夫だよ。お母さんに調節してもらったから」
撫楽子さんの浴衣が少しキツそうで心配なこと。
浴衣に変えたら可愛くってこともなく、いつも通りの撫楽子さん。
ものすごく失礼なことを言っているけれど、不細工なわけではない。
あくまでも平均顔だ。
「あ、ついたよ」
「ひゃ、つ、ついた……」
特に何か喋るでもなく、平和的に会場までついた僕たち。
会場には、恒例であろう屋台が沢山並んでいた。
りんご飴、わたがし、ベビーカステラ、いちごあめ
子供が好きであろうあっまいお菓子が大量にキラキラと輝いていた。
「んー…あ!近衛くん!あれ食べたい!」
「おっ、おぉう!いいよ!何々?…って牛串?」
「うん!物凄く美味しそうだよ!」
撫楽子さんが楽しそうに指差していたのは
「牛串ッ!」と看板に書かれている牛串屋さん。
りんご飴でもなく、わたがしでもなく、なんならとうもろこしでもなく…
牛串ッ!…まぁ、撫楽子さんらしいしいいかな…
「まだ空いてるし今のうちにならんどこうか?撫楽子さん?」
「うん」
「注文…何本にしようか?」
「んー…じゃあ五本で!」
「五本ッ!」
うん。予想はしてたけどね。本当にこられるとね…ハハ。
「だ、大丈夫?お腹壊したりしない?」
「大丈夫だよ。お気遣いありがとう」
そう言ってヘラっと笑う撫楽子さんはまるで無邪気な子供のようだった。
牛串以外にも色々と買い物を済ませ、近くの花火が見えるであろうベンチに座った。
りんご飴、水飴、いちご飴、とうもろこし、牛串、かき氷…いや飴多いな!
心の中でツッコミをいれつつも、それをぺろり食べる撫楽子さんに圧倒される。
もくもくと食べる撫楽子さん。少し気まずい。
「…ねぇ、近衛くん」
「っひゃ!ッハイィ!」
急に名前を呼ばれ肩をはねさせる僕を気にも止めずに撫楽子さんは話を続ける。
「私ね、この体型実は病気だからなの」
「え」
そんなことを伝えられるだなんて思いもしなかった僕は、驚きのあまり目を見張る。
「病気だからね、治すにも治せなくてね…」
「…」
「学校でも沢山いじめられたし、陰口も…物凄く辛かった。でもね、」
「近衛くんが言ってくれたんだ。''笑顔が素敵じゃん''って」
…あっれぇ僕そんなこと言ったかな…?もしかしてそれで僕を好きに?
うっわぁ。我ながら罪な男じゃん…最低。
「ねぇ、近衛くん」
「好きだよ。私、すっごい君が好き」
運よく花火が上がり、言葉がかき消されるなんてことはなく
すんなりと伝えられた、少し重みのある言葉。
「でもきっと、近衛くんはこの体型だと振り向いてくれないよね」
「…私、こうやって近衛くんに好きを伝えられて、少しでも隣にいれて嬉しい」
「これから関わることはないだろうし、もうバラバラで帰っt」
「待って!!!」
自分でも驚いた。こんな声量が出ることに。いや、それ以前に
「僕、撫楽子さんが好きだ」
「えっ」
「僕は、撫楽子さんが好きだ」
「えっと、それってどういう…」
僕は、思い出したんだ。
昔、いじめられていた頃にいじめっ子達に歯向かうたった一人の存在を。
綺麗な名前で、まるで撫子のような。
「…こういうことだよ。撫楽子さん」
ちゅっ
瞬間、花火が上がりまるでキスしたことを内緒にするように大きく、大きく咲いた。
僕の人生という名のお祭りにも、同時に特大サイズの花火が咲き誇った。
お題『お祭り』
あとがき
書くの楽しくてついつい長編ストーリーになってしまいました。
撫楽子さん、近衛くん、どちらも可愛らしいですね。最近暗い感じのが多かったのでいきなり恋愛ぶちこんでみました。味の違いでお腹が胃もたれしちゃいますね。
いいですねぇ、好きな人と夏祭り。皆様は好きな人とお祭りいったことありますか?
私はお祭りは大好きですけれど、好きな人とは、それ以前に好きな人が出来たことがありませんね。お祭り、青春、大好きです。夏は暑い分のエモさがいいですね。
ちなみに撫楽子さんは本当に平均顔ですよ。近衛くんはちょいモテ程度のイケメンです。
これからの二人が楽しみですね。どっちも奥手そうで、応援したくなるようなカップルになりそうっていうか近衛くんが過保護になってバカップルになりそう。
お祭りの日は取り残されたようでさみしくもある。
たこ焼きを食べたい