『お祭り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
喧騒から抜け出して、水たまりのそばにしゃがんだ
雨で中止になればよかったのに。
こう言う時に限って嘘みたいに雨が止む
はぐれてしまったし、来るんじゃなかった
帰ろうかな、呟いた時あの人が走ってくるのが見えた
彼は戻ろうとは言わず、線香花火を差し出した
火が消えるまで一緒にいたいと思った。
火が消えなくても良かった
私はそっと彼に目を合わせた
一人で行くお祭りは寂しいというより不気味である。露店が並ぶ通路を歩き回ることは何ら訳ない。むしろめぼしいものがあちこちにあってつい衝動買いをしそうになる。だが問題は踊りの場面である。老若男女交えた人間が列をなし、曲に合わせて舞いながら移動する姿は、むろんにぎやかとも取れるのだが、あれに囲われると異界へ連れ去られそうで不安になる。普段と違う夜の空気が見慣れたはずの景色を特別なものに塗り替え、それにより見えない不思議な力が作用してあらぬ"手違い"が起きるのではないかという気にさせられるのである。あり得ないとばかり思い込んでいた何かの扉が、高揚した人間の欲と夜闇に響く曲の妖艶さによって知らず知らずのうちに開いていくような不穏さが、華やかに賑わう周囲の様子をかえって不気味にする。あるはずのない疑念や恐れが広がるにつれ、目の前の明るさが一層目立つのが気が気でなくて仕方ない。
お祭りがある日って、なんだか朝からソワソワしている。
小学生の頃は、今日の夕方六時に公園前に集合ねー!なんて言い合って、友達と浴衣を着るかどうか頭を突き合わせて会議をしていた。今見れば狭すぎる公園は、あの当時のお祭りの夜、どこまでも広がった赤くゆらめく異世界だった。
社会人になった今も、私は祭りのある日の朝は少しソワソワしている。というのも、例のその公園は家からすぐ近くにあって、私は数日前から公園が飾り付けられている様を目にする羽目になり、否が応でも無関係ではいられないからだ。それに、当日の夜は家にいても祭りの音がどんどこ聞こえてくる。家でじっとしている方が無理というものだ。
幼い頃は友人と連れ立って行っていた祭り。今は毎年一人でりんご飴を買いに行って、そこで食べて帰宅するだけだけれど、結構楽しかったりする。大人になってしまった私にとって、狭い公園は到底異世界とは思えない場所になってしまったのだけれど、でも、普段の光景とはやっぱり違う。
祭りって、そこで何をするかが大事なんじゃなくて、その場の空気を吸いに行くことが肝要なんじゃないかな、と思う。
お祭り
ミッサくん!お祭り楽しみだね!
そう愛花は俺に告げた。
そうだな!愛花とお祭りに行けるなんて凄く嬉しいわ!
俺もそう言葉を返す。
2023年7月28日、今日は1ヶ月前から楽しみにしていた地域の祭の日である。チラシによると今年はかなり力を入れていて、花火も前年よりグレードアップしているという。待ち合わせの場所は夜の6時に駅の北口だそうだ。そのことを確認し、俺は家へ帰った。
まずは着物だな!
俺はたんすの奥深くに眠っていた着物を取り出した。
昔はこれ着てプロ棋士ごっことかしてたなあ~
俺は昔のことを懐かしみながら着物に袖を通す。そして机の端に置かれている必勝と書かれた対局扇子に目をうつす。
すみませ〜ん!大人1人で!
夜の6時、7・六歩と角道を開けた。
【お祭り】
お祭りは、何が起こるかわからない。
「夏の祭典だぁああああ!!」
と意気込んでいたのは数分前のこと。
俺は念願のコミケ会場でぶっ倒れたのだ。
この日の為に、バイトで金を貯めたと言うのに。
まさか、こんなことになるなんて。
「熱中症だね、無理しちゃダメだよ」
じきにスタッフが来るからね、と話すのは俺を助けてくれた三崎と言うお兄さんだった。
倒れた俺に気付き、スタッフを呼んでくれた親切な人。
そしてスタッフは他の客の対応や、熱中症に倒れた人の看護で大忙しなので、暫く話し相手になってくれていた。
「すいません。東京がこんなに暑いと知らず……」
ドンマイ、と三崎さんが苦笑して。半分凍ったスポーツドリンクを渡される。
頭に押し当てると頭痛が引くような気がした。
ありがたいけど申し訳ない。
本当なら今頃、お互いに薄い本を買い漁っていただろうに。
三崎さんの持っていたカラのトートバッグをながめていると、彼は小さな鞄にトートを折りたたんでしまってしまった。
「気にしないで。僕は帰るところだったから」
「帰る? まだ始まったばかりですよね?」
変わった人だなと思う。
「うん、ちょっと挫けちゃってね。君こそ、行きたいサークルがあったんじゃない?」
その言葉に、あっと思い出した。
「俺、『弱虫のミケ』さんの作品欲しくて来たんですよ!」
「……え?」
驚いたのは三崎さんだった。
「あ、知ってます?」
「うん、まぁ……でも、あそこは極小サークルだよ? 大した作品は……」
「そんな事! 無いです!」
俺は思わず声を荒げた。
「どんな作品も、“大したことない”物なんて一つもないですよ!」
……はっとして、我に帰る。
三崎さんが目を点にしていたからだ。
「えっと……その。俺は絵も文も書けないんで尊敬してて……!
何かを生み出すってスゲー事だと思うんっすよ!
特に『弱虫のミケ』のミケさんの作品は、繊細で、綺麗で、キャラクターの心情を丁寧に描くところが大好きなんです。俺なミケさんの作品読んで感動したことあって。泣いたことすらありまして…!
だから、その、大ファンで、つい……」
ごにょ、ごにょ。もじもじ。
言い訳を連ねる自分の姿が恥ずかしい。
ついでに頭もまたガンガンと痛み出して目が回りそうだった。
なのに。
そんな俺の事より、三崎さんのが顔を真っ赤にしていた事に驚いた。
「……そんな事、初めて言われた」
口元を手で隠し、遠くに視線を投げていた。
あ、え? うん?
どう言う事だろう。
あれかな、俺の発想が田舎すぎて恥ずかしい台詞を吐く人間でした的な……?
恥で死にかけてると、やっとスタッフがやってくる。
念の為、病院行きましょうと言われて、ヒィッと俺は悲鳴をあげた。
さらに追い討ちとなったのは。
「ミケさん、お手伝いありがとうございました」
とスタッフが三崎さんに投げた一言だ。
……え? まさか?
真相を確認する前に。三崎さんは雑踏へと消えてしまった。
お祭りは、何が起こるかわからない。
夏の祭りは特にそう。
会場を後にする俺。けれど、その心臓は、お祭り騒ぎで暫くうるさく高鳴っていた。
遠くで、篠笛の音、トントンと調子の良い小太鼓。
焼きそば、たこ焼き、お好み焼きソースの香り、そのまた向こうには、鯛焼き、ベビーカステラの甘い粉もんのええ匂い。綿あめ、りんご飴、チョコバナナ、頑張れば家でもできるけど面倒臭い。金魚掬い、ヨーヨー釣り、お面売り。クジ引き。薄靄の夏の夕方前。
あれは魔術祝祭のときのことだ。我々の中で、わたしとわかる記憶。眩しい記憶。
国内で三番目に大きな街の、最も暑い時期にある祭りだった。路地ではない通りという通り全てに露天が立った。揚げ物も焼き物も酸いも甘いも全て魔術がかかっていた。この日だけ有効な魔術はあらゆることを可能にした。黄金の卵を産む雌鶏、一滴で人を虜にする媚薬、酒の尽きない瓶、食べ物が湧いてくる皿。
だがこの日一日だけ。
そんな品を高く売りつけようと、一日だけでもと買い求めようと、人が通りという通りを埋め尽くした。
だが、魔術師がひとたび現れると、人はさあっと道をあけた。深々と頭を下げる者もいる。
「魔術祝祭ってそんなものじゃないでしょ」
彼女がいつもの不機嫌で言う。わたしは周りに聞こえないように、と宥めながら先を聞く。
「魔術は魔術師から人へ与えられるものじゃない。誰にでも受け取ることができるもので、だから、魔術師を崇めるなんて」
彼女はぶつぶつ文句をいう。わたしたちには魔術祝祭でしなければならない魔術師としてのとても重要な仕事があって、しかもそれは民衆から敬われてしかるべきものだった。
わたしは、彼女は権力が嫌いなのだと思っていた。実際はそうではなくて、彼女はただ周りが見えていなかっただけだったんだ。今ならわかる。
「なら楽しめばいいじゃない」
わたしは彼女の口へ、串焼き肉をつきつける。彼女はいたずらっぽい目つきで串を奪い取る。
「世界よ魔術をありがとうって? この肉、手がべたべたするんじゃないの?」
「しないしない。それはべたべたしない魔術のかかった串焼き肉なの!」
お祭り
この時期だと
やっぱり花火
近づかないけど
河川敷か海あたりでやってたはず
お祭りと言えば
色々な物事の変わる時
時代の流れだから
仕方がないってある人が言ってたっけ
だから仕方なくそうなってる
それも終わると思われる
周囲にバレないように
ゆっくりやるんだろうけど
足が遅いので
手を出そうかと思っている
ほとんど必要な情報はあるから
一応は確認してからになるはず
始める時には集まってきた後で
その前に始まる予兆があるんだけど
揃った時にあの時からだったって
それまでも予感はあるんだけど
準備期間中にやるしかなくなって
気がつくとやった後になってたりする
後の祭りなんだよ
手遅れでご愁傷様です
お祭りって終わりで始まりでもある
宵闇に響く祭囃子が聞こえた。
陽気な笛の音や太鼓の音につられて通りに出れば
明かりを灯した提灯が緋色に輝きながら揺れている。
「はて、今日は祭りの日だったかな?」
思えば大人になってから随分と祭りには行っていない。子供の時であれば夕方から夜遅くまで友達と楽しんだものだ。
祭りの時だけ門限が緩かったのも、祭りならではで、特別感があった。…大人になった今となっては夕方に帰る方が難しく、夜遅くまで外にいることに特別感を感じることはもうない。
ビールを片手にテキ屋巡りというのもたまには良いかもしれない。
祭囃子がする方へ俺は足を進めた。
通りにぶら下がる提灯が風に揺られている。
提灯には祭りの協賛社名が書かれているがどうも妙だ。
㈲稲荷大神
㈲御食津神
㈱大黒天
㈱弁財天
随分と験を担ぐ会社が多い。
この地域にそんな会社があっただろうか。
そんな事を思いつつ、祭りが行われているであろう方角へ俺は歩を進めた。
おかしい。
そんな言葉が過ったのは、四辻を曲がった時だった。
ズラリと並ぶ提灯が辺りを照らしている道をずっと歩いてきたが、今のところ一人ともすれ違っていない。
いくら盛大な祭りで盛り上がっているからだとしても、祭り会場から帰るグループと一組もすれ違わないということは無いだろう。
その奇妙さに気が付くと途端に冷や汗が吹き出し、
心臓がバクバクと音を立て始めた。
そもそも今は何時だ?
俺は腕時計を見ようとして固まった。
腕時計がない。
そうだった。
仕事から帰ってきて腕時計は外したのだった。
それから、出来合いの夕飯を食べて、風呂に入って、窓辺で涼もうと窓を開けたら祭囃子が聞こえて…。
仕事が終わったのは9時過ぎだ。
ならば、家につくのは半過ぎだろう。
たいていの祭りは9時頃でお開きのはずだ。
では、今行われている祭りは一体何時間延長しているというのだ。
冷静になればなるほど冷や汗が止まらない。
そもそも、提灯の名前だっておかしい。
神の名前を騙る会社がこんなにこの地域に密集しているのはどう考えても変だ。
生温く、どこか血生臭い風が背後から吹いてきた。
風に煽られた提灯がゆらゆらと不気味に動く。
俺は驚愕で目を張った。
提灯に書いてある文字が社名ではなくなっている。
同じ文字がズラリと並びこちらを見ている。
「黄泉路へようこそ」
俺は恐怖から後ろへ逃げ出そうとして…。
おやおや、黄泉では振り向いてはいけないったら。
貴方と見た花火
貴方の笑顔のように
美しく輝いて
来年も再来年も
ずっと一緒に
そう願ってた
なのに..
なぜ..
美しいものは
消えてしまう
あの日の朝
突然去った
貴方のように
もう..
二度と来ない
貴方との夏
せめて
届いて欲しい
心で撮った花火を
夜空へ
最近コロナウイルスのせいもあってか、昔よりもお祭りというのをお目にかかる機会が減っていると感じる。
特に私の地域は祇園祭のような有名なお祭りがない。
そもそも私の中のお祭りといえば、近くの小学校の敷地を使った夜のお祭りをすぐにイメージする。
地域の人達が一丸となって様々な屋台を出し、真ん中では祭太鼓と共に盆踊りを踊る、そんな小規模なお祭りだ。
でも、私はそんなお祭りが好きだった。
浴衣を着て、食べたいものを食べて、遊びたいものを遊ぶ、そんなお祭りの夜が好きだったのだ。
またあのお祭りの夜を過ごしたい。
そう思うのは、私が大人になってしまったということなのだろうか。
■テーマ:お祭り
『お祭りの日』
神社の鳥居をくぐれば、そこはまるで非現実的な世界だ。ほとんどが夏に開催されるお祭りは、夏の醍醐味だ。
どんどがやがやとなる祭り囃子。思わずわくわくしてしまう。
花火、屋台、オレンジ色の光。
どれもが非日常で素敵だ。
周りは家族連れ、カップル、友達グループ。
みんなが幸せそうな顔をしていて私も幸せになる。
フリフリポテトにからあげ、わたがしにりんごあめ。お祭りは無駄遣いが良い。
お題:《お祭り》
私の住んでいる地域には、伝統的な祭りがある。
とはいえ、お年寄りも多いし、人もそう多くはないため、極めて小規模なものではあるのだが。しかし、花火が上がり、幟旗が立ち、提灯が色づくこの季節を、私は今も昔も、変わらず楽しみにしている。
思えば、3年ほど前の夏は、私は塾と家を往復し、マスク、消毒を徹底することだけをこなす、そんな日々を送っていた。祭りなんてもってのほか。なんだか、日本中から灯火が消えてしまったみたい。そんなことを思っていた。
けれど今年、やっとあの灯火が再び灯ろうとしている。祭りは日本の魂だ。大切な、愛する母国の伝統だ。これから何度災難に見舞われようとも、この灯火が消えることなどない。あの辛く苦しい病魔と闘った全ての人が、確信しているのではないだろうか。
「祭り」
お祭り
夏は、嫌いだ。
額を伝う汗も、耳障りな蝉の鳴き声も、汗ではりつくTシャツも。不快で、暑苦しくて、それでいてどこか背筋が凍るような、そんな季節が嫌いだった。
それなのに、他のみんなは楽しそうに夏を満喫している。海にプール、お祭りだってそうだ。
家族に連れられて行ったお祭りは人混みがすごくて、すぐはぐれてしまった。キョロキョロと辺りを見回して探すが、人が邪魔で見当たらなかった。
ふと、視線を感じてそちらを向けば、そこには女の子が立っていた。夏らしい海を思わせるような浴衣に、キツネのような、ネコのようなお面をつけた十歳くらいの背の低い女の子。
お面のくりぬかれたその穴からは、視線を感じるのに、瞳が見えなくてゾッとした。その向こう側に闇が広がっているようなそれに、嫌な汗が背中を伝う。
リィン、と鈴の音がどこかで鳴って、その子は人混みの中へと消えていく。
ああ、だから夏は嫌いだ。
独りの時は
行きたくても
ちょっと行きにくかった。
映画とか
カフェとか
旅行とかは
独りでも
行けるのにね。
誰かと一緒に
楽しい雰囲気の中で
観たり
食べたり
飲んだり
する場な気がしたから。
あなたと
一緒に
行けるのが
すごく楽しみ。
#お祭り
お祭り
近所のお祭りが、思い浮かんだ。
子どもの頃から、
お店の人の雰囲気が
怖くて苦手。
今でもあまり好きではない。
子どもが出来て
楽しんでもらいたいけど
やはり怖い。
そして、
単価が高くなりましたな。
[お祭り]
「ねぇねぇ、明日のお祭り一緒に行こうよ!」
と親友の里奈に誘われた。
『特に、誰かと行く予定はないから、いいよ^^』
と答える。
「あっ、男子誘ってもいい?」
『知ってる人だったら構わないよ!』
「悠太と颯なんだけど、大丈夫?」
悠太くんと颯かー。
颯は、私たちの幼なじみ。
悠太くんは、中学からのお友達。
男女グループになる時は、だいたいこのメンバーが多い。
悠太くんは、人気者だから、よくいろんな女の子に話しかけられたり、お手紙をもらったりしてる。
『悠太くんとは、あんまり話したことないけど、颯がいるなら大丈夫!』
「OK!伝えとくね!明日は、浴衣着ようね💕︎」
翌日。
里奈の家に行って、里奈ママから浴衣を着せてもらう。
「佳奈子さ、悠太のこと好きでしょ!」
『えっ?!なんで知ってんの?!私、里奈に言ったっけ?』
「分かるわよ!何年親友やってると思ってんの?笑」
ば、バレてたか…。
『誰にも言わないでね?』
「言わない言わない!むしろ協力するわ!」
『ホント?』
「佳奈子に嘘ついてどうすんのよ笑」
『ありがとう😊』
持つべきものは友だね。
「よし、そろそろ行くよ!」
待ち合わせに遅れちゃ大変だー。
待ち合わせの境内に行くと、颯がいた。
「颯!おまたせ!」
「里奈、佳奈子!俺も、来たばっか。」
『良かったー。あれ?悠太くんは?』
「悠太なら、ちょっと遅れるって。」
そうなんだ。良かった。ちょっと心の準備の時間があるのね。
2人にさせてあげるって言ってたけど、あからさまだと颯にバレちゃうよー💦
「おまたせ。遅れてごめん。」
と悠太くん登場。
「じゃあ、行こっか!」
「2人とも浴衣なのに、俺ら私服って合わなくね?笑」
『気にしないで!私たちが着たかっただけだから!』
悠太くんに変に気を遣わせてしまった…。
「あっ!里奈!射的しよーぜ!!」
と射的の屋台へ走っていく颯。
「ちょっと!私、浴衣なんだから、走らないでよね!」
と言いながら、颯を追いかける里奈。
えー、序盤から2人きり?!
「あーあ。行っちゃった。」
『2人になっちゃったね。』
「だな。中学から一緒だけど、俺ら2人になることなかったもんな。佳奈子が嫌じゃなかったら、合流するまで、一緒に回らね?」
『そうだね。うん、回ろ!』
「サンキュ。何したい?」
なんだろー。
『何か食べたいかも!焼きそば行かない?』
「おっ、いいね!焼きそば行くか!あっ、俺も、射的したいかも。」
『じゃあ、焼きそば食べたら射的行こ!』
「昔から、颯ってあんな?」
『そうだね。やりたい所に走っていってた気がする笑』
「変わんねぇんだ笑里奈もよく巻き込まれてた?」
『うん笑2人して、迷子になってた笑』
「颯らしいな笑」
焼きそばを食べ終わって、射的の屋台へ。
『悠太くんは何狙い?』
と聞くと、
「佳奈子が欲しいもの狙う。」
と返ってきた。
えー?!胸きゅんすぎる(*´`)♡
「佳奈子、何が欲しい?」
『えっとー…。あっ、あのぬいぐるみ!』
私の好きなキャラクターのぬいぐるみを指さすと
「取ってやるよ。」
と言って、お店のおじさんにお金を払った。
「ほら。」
と、いとも簡単に取ってしまった、悠太くん。
ゆめかわないぬのぬいぐるみを受け取って
『ありがとう!』
と伝えた。
お祭り
もう楽しめる気がしない
ひとごみ
喧騒
暑さ
お祭り
お祭りといったら、
家の近くの菅生神社
屋台で必ず買うのはキャラクターの袋に入った綿飴
ヨーヨー釣りよりも金魚掬いが好きだけど、金魚はすぐ死んじゃう
浴衣の柄は朝顔
お囃子の笛の音色が好き
必ずカップ酒を飲んでるおじさんがいる
出し物は、漫才よりも手品が面白い
神社のお参りは屋台をまわった後の1番最後
スーパーボール掬いに夢中になって小さな弟をどついてしまうお兄ちゃん
大きな声で泣く迷子
大人になって行かなくなったけど、小さい頃は楽しみだった
今年はお祭り行ってみようかな
ほら、遠くでお囃子が聞こえてる
#お祭り
集合時間に遅れた僕は、花火大会の最寄駅から電話をかけた。
「みんなどこにいる?」
「公民館の横の広場に座ってるよー!香澄も来てないんだけどその辺おらん?もうすぐ駅だってLINE来たんやけど」
周囲を見回すがいないので、女の子を1人ほっとくわけにもいかず待つことにした。
数分後、音がした。
夜空に火花が散った。
ここからでも少し見えるんだ…
とその時後ろから僕を呼ぶ声が。香澄だ。
「水川くんごめんね、待ってくれてたんよね?」
「いや、さっき着いたからどうせなら一緒に行こうかと思って。」
また大きな音がして、今度は花火の半分が見えた。
「ここからでも見えるんやね!駅の端っこ行ってみようよ、あそこ人が集まってるからもっと見えるんやない?」
香澄はキラキラした目で僕の袖を引っ張った。
「特等席見つけたねー」
花火が打ち上がるたび、笑う彼女がなぜか眩しくなっていく。時が止まればいいのにってこういう時に使うのかと知った。