あじさい』の作文集

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あじさい』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

6/13/2024, 2:49:25 PM

環境が変われば、君のようになれるかな
君にはなれない、そんなことは知っている
人は変わらない、代われないんだ
言葉が伝わるか、伝えきれるだろうか
悩んでばかりで、ごめんなさい
勘違いされたくなくて黙ってる 
もっと君を真似て表に出してみて
こういう僕なんだと教えてみたい
この色を気に入るかは分からないけど




あじさい

6/13/2024, 2:47:49 PM

紫陽花の咲く

雨の中は心が安らぐ

暗闇の中で一人になれる

6/13/2024, 2:45:11 PM

きれいに咲いたあじさいを見ながら

[2人で見たかったな]

雨が降って傘に雨が当たる音がうるさくて
ひとりごとが聞こえなくなる。

雨の日もたまにはいいかも

マリン

6/13/2024, 2:45:05 PM

あじさい

あじさいの最後は、ひまわりの最後と同じで何処か人を想わせて恐怖する。

人は結局桜の様に美しくは散らない。
けれど錆色のあじさいも、夏の終わりに倒れているひまわりもどこかもの悲しく、この世の諸行無常を想わせて人の世が透かして見えてハッとしてゾクッとする。

雨にうたれて今が旬と咲き誇る艷やかなあじさいの時の後、人が足を止めなくなった静かに降る雨の中に見つける旬を過ぎた錆色のあじさい。

最後の最後美しさを放つ終焉の美のような
錆色のあじさいが私は子供の頃から少し怖くそして何故か惹かれて美しいと思う。

今年もそんなあじさいが見ることが出来る季節がやって来た。

2024年6月13日

心幸

6/13/2024, 2:44:32 PM

梅雨になると思い出す

いつも泣いていたあの子のこと

なにか悲しいことがあったのかな
なにか辛いことがあったのかな

そんな風に思っていつも見ていた私

ある時やっぱりあの子は泣いていて
私は思わず声をかけた

なにがそんなに悲しいの

あの子は言った

悲しくないよ
嬉しんだよ
梅雨は僕らにとって大事な時期だから
いろいろ育つ時期だから
嬉しいから泣いてるの

そっか、悲しくないんだ
辛くないんだ
嬉しいんだ

よかった

6/13/2024, 2:41:36 PM

作品No.74【2024/06/13 テーマ:あじさい】


この爪に
紫陽花を咲かせたい

そう思って
ネイルサロンの予約を入れた

あと四日
だからどうかそれまでは

梅雨が明けないでほしいな

6/13/2024, 2:35:45 PM

たくさんの花が塊になって映える、あじさい。
個々の花はあんまし見られない、あじさい。
どこか枯れ始めたらそこが気になりだす、あじさい。
今まで見なかったくせに、こんなときにだけ見るなよ。

6/13/2024, 2:33:47 PM

「土砂降りだね。」
彼女が呟く。雨のせいだろうか。彼女はどこか儚かった。

「桜より、あじさいの様に生きたいよ。」
突然、彼女が言った。いつもは明るく元気な彼女。しかし今日は、どこか悲しみが表情に含まれている。
「どうして?」
僕は彼女に気を使わせぬよう、笑顔で聞いた。
「桜はだんだんと散っていくでしょ?それは嫌なの。私はあじさいの様に、落ちる時は老いてからがいいの。」
彼女の想いに、胸が苦しくなる。
「まぁ、私には過ぎた夢かもだけど。」
そんな事ない、なんて軽々しく言えない。彼女の現状は誰よりも理解している。その分、苦しみも増えていく。それでも、笑顔は崩さない。彼女が気軽に話せる存在。それが僕なのだから。僕が暗い顔なんてできない。
「今度、あじさいを見に行こうか。」
僕の提案に、彼女は笑顔を見せた。少しでも彼女が喜ぶように気を回す。それが僕の役目だった。

「今までありがとう。元気でね。」
「やめてよ。お別れの言葉なんて聞きたくない。」
「ごめんね。」

彼女が死んだ。元々体が弱かったが、最近は悪化していた。そして、死んだ。僕は知った。この世界の不平等さを。もう嫌だよ。
〈私の夢は君に託した。〉
僕宛の彼女からの遺書。これだけしか書かれていない遺書。しかし、それだけで伝わる。彼女の想いが、優しさが。もう少し、生きようかな。

あじさいの様に生きる事を望んだ彼女。そんな彼女に魅了された僕。結ばれない恋だとしても、いいよ。彼女の願いを叶えられるなら。

6/13/2024, 2:30:48 PM

帰り道にね

あじさいを見つけたの。

でもね、そのあじさいね、

かれていたの。茶色くなってたの。

それでね、踏まれてたの。

周りにいるあじさいは、踏まれてないのに。

かれたら踏んでいい花なんてあるのかな。

よくわかんなかった。

みんな自分が踏まれたら怒るのにね。

ただそう思った暑い夏の始まりの日。

(題・あじさい)

6/13/2024, 2:29:00 PM

あじさい


今日ちょうど近所の人に紫陽花もらった。

凄い大きくてとても綺麗。
琥珀糖食べたくなってきた。



あと紫陽花といえば椿屋四重奏を思い出す。
好きだったのよね。
………
今調べたら別人のような姿になってた。
これはこれでかっこいい。
艶ロック!

6/13/2024, 2:25:12 PM

あじさいを見ると昔の私を思い出す
ぷりきゅあになる!とかアイドルになる!とか言ってキラキラしてた頃の、自分の物語で自分が主人公だった頃の私
祖父母に連れて行ってもらって見てたたくさんのあじさい
今の私はあじさいなんて昔みたいに純粋に凄いなんて思えるか分からないし物語の主人公なんかじゃない
でもいつかまた主人公に、綺麗なお姫様になって誰よりもこの人生という名の舞台を楽しんで華になるからそれまで見守ってて、長生きしようね

6/13/2024, 2:24:44 PM

【あじさい】

紫陽花で
歩みを緩める
七時前

水玉が乗る
桃色の上


…………


青色か

酸性示す

土試験

6/13/2024, 2:19:12 PM

あじさい

 実はですね、あじさいって花じゃないんですよ。
 え、知ってる? 花びらじゃなくて萼だろうって?
 それは事実ですが、そういう話じゃありません。

 本当のあじさいは、枝から離れて動けるんですよ。
 あのちっさい花(萼ですが)の塊が、夜になるとこっそり動き出すんです。
 あのむくむくしたぬいぐるみみたいな塊に目や鼻をつけて踊ってみたり、星型になってみたり、雪だるまみたいに重なってみたり…時には飛び上がって雪合戦の真似事をしています。

 私がなぜそんなことを知っているかと云うと、ここでこんな文章を書いている私は、実はカタツムリだからなんですね。
 毎晩寝る前に我が家を背負って庭に出るので、皆さんの知らないことも知っているという訳です。
 ですがガクアジサイと呼ばれるヤツらが何をしているかについては…それを言ったら私の身が危ういので秘密です。

 ところで明日は大変暑いそうで…週明けに会社に現れなかったら、私は日乾しになったとお考えください。
 ちなみに、どんなに興味があっても夜更かしはいけませんよ。あじさいは見た目よりも繊細なので、あなたが見ていては遊べません。なので今の話はあくまで秘密です。
 それでは皆さまおやすみなさい、どうかよい夜を。

6/13/2024, 2:17:34 PM

『あじさい』

初めて自分で買った浴衣の柄があじさいだった。青地に緩く描かれたお花模様を、紅と白と紫色でぼかし染めした朗らかな柄。なんというか…すごくダサいの。ひまわり組さくら組あじさい組って感じでこれじゃないなぁって柄。初めての浴衣デートで大人っぽくて清楚な柄が欲しかった。よくわかんないけどアジサイとか紫陽花とか。だけど着物屋さんが絶対似合うって譲らないし値段は手頃だしで押し切られてそれを買ったの。

結局当日のことなんて覚えてない。だけど、ずっと雨空みたいにどんよりモヤモヤしてたのは覚えてる。だって未だに着てるんだもん。その後ちょっと着付けを習う機会があってね、趣味の一つが着物になったの。それで今も手習いでよく浴衣を着てるの。もう感覚は中学ジャージ。今となってはこの柄にも愛着持ってるし、なにより仕立てがとってもいいの。それでかな、ずっと雨に滲んだ花なんだと思ってたけど、最近は夜空に上がった花火の方のあじさいなんじゃないかって。晴れやかに空へ滲むなら悪くないかもって。

6/13/2024, 2:17:28 PM

あじさいは花色にpH(水素イオン指数)が関わるため、リトマス紙のように例えられることが多い。
土壌が酸性だと青色に、アルカリ性だと赤色の花になる。

しかし、あじさいの色素であるアントシアニンは、
酸性(pHが低い)だと赤色に、アルカリ性(pHが高い)だと青~緑色になる。

あじさいの花色がアントシアニンだけによるものだと真逆の花色になってしまう。

近年の研究で、あじさいの花色は【pH】【助色素】【アルミニウムイオン】の組み合わせで決まることがわかった。

助色素=アントシアニンの発色に重要な役割を果たす
    色素(無色)。
    5CQ、5pCQ、3CQの三種類がある。

pH3(食酢と同じ酸度)で、アルミニウムイオン量が少なく、助色素の中で3CQの比率が高いとき、赤色のあじさいになる。

pH4(ヨーグルトと同じ酸度)で、アルミニウムイオンが多く、助色素の中で5CQが多いとき、青色のあじさいになる。

白色のあじさいについては例外で、元々色素を持っていないため、土壌のphに関係しない。

色素と助色素の含有量は遺伝によるものだが、酸性度やアルミニウムイオンの量は環境条件に由来するため、紫などの色が現れると考えられている。

上記は、ネット情報と文献を寄せ集めて整えただけに過ぎない文章だ。

例にあげられなかった5pCQについて、いくつかの学術機関の文献を流し見たが、青色発色に関わっているらしいくらいしか凡人の私にはわからなかった。

専門用語と数式の羅列が並ぶ論文は、その道を行く人にとっては貴重な資料なのだろう。

素人の私にとってそれは難解過ぎるものだったが、流し見ただけでも伝わってくる研究への熱意に、敬服の念を抱かずにいられなかった。

今日もどこかで、論文を書き、それを足がかりに研究をする人がいるのだろう。

世界を真摯に見つめた先に、どんな景色や発見があるのだろうか。
そうして発見された定理や真理は、この世界をどう変えていくのだろうか。

未知への扉が開かれるような気がして、凡人な私はワクワクしてしまうのだった。

6/13/2024, 2:15:46 PM

"あじさい"

「今朝、花屋の店員にこれを貰った」
 いつもの人気のない休憩スペース。先に行って待っていると、テーブルに近付くやいなや片手に持ったリースのようなものを掲げながら言った。
 玄関扉に飾る物だろうか、焦げ茶色の細い蔓を三本程束ねて円形に型どっていて、円の内側の下部に小さな花が飾られている。
 花は淡い青色で、外側に向かって円形に咲いている。外側に咲く花は枚数と一枚一枚の形が紫陽花を思わせるような花弁だ。
「試作で作った物だそうで、是非と渡された。失敗作ではなさそうなクオリティだが」
 確かに思った。『試作品』と言うには綺麗な仕上がりで、普通に店頭に並んでいてもおかしくない。
「綺麗にはできたけど、商品として置くには地味だからだろ」
 飛彩が言う『花屋』があの通りの花屋なら、店の内装や照明と合わせると、この色味は地味すぎる。店の飾りとして見えてしまうだろう。
 なるほど、と小さく呟くと自販機に近付き、硬貨を入れていつものボタンを押した。途端に紙コップが落ちる乾いた音が響いて紙コップの中に入れられていく音が響いた数秒後、紙コップを取って向かいに座った。
「んで?どうすんだ、これ」
 既に買っていたコーヒーを啜りながら飾りを指して問うた。
「お前にやる」
 思わず「は?」と疑問の声を上げる。
「貰った時、診察室の扉を彩っているのが浮かんだ」
「貰ったのお前だろ?」
「俺がお前にあげたいと思っただけだ。それに貰う時、店員に『これをあげたい人がいる』と言ったら、『勿論』と快く了承してくれた」
 だから受け取って欲しい、と差し出してきた。
 確かに診察室の扉に飾るには良いサイズと色味だ。それにこれを見せられた時『俺に渡す』と決めて受け取っていた。受け取れないと断わる訳にはいかない。
「……わーった、貰っとく」
 ありがと、と小さく言うと、小さく笑って頷いた。
「……ところでこれ、なんて花だ?聞いてねぇか?」
 とっさに手の中の飾りに視線を落として疑問をぶつける。あぁ、と声を漏らした。
「『ヤマアジサイ』という花らしい」
「へぇ、どうりで紫陽花みてぇな花弁してる訳だ」
 後で調べよう、と呟いてコーヒーを啜る。
 中身が空になったので立ち上がって、紙コップ専用のゴミ箱に紙コップを捨てる。
「んじゃ、そろそろ行く。これ、飾っとく」
 片手に持った飾りを掲げる。
「好みに合って良かった」
「扉に飾るのに良いと思っただけで、好みかどうかは別だ」
「確かにそうだな。……では、また」
「あぁ、またな」
 そう言って身を翻し、休憩スペースを出て鼻歌交じりにロビーへ向かった。

6/13/2024, 2:14:53 PM

No.9
お題「あじさい」
今日は眠いから今度描く

6/13/2024, 2:13:05 PM

『あじさい』題材変更
  ⇓
『さようなら』

私事だが
私は…明日誕生日を迎える

でも私は…この日が毎年怖かった
年老いていくことが怖いのではない

毒母からの書留と共に必ず入っている手紙
何を伝えたいのかいつも曖昧なのだ
まるでこの先は「自分で考えろ!」
そう言われているかのような…
必ず不確かな言葉を残すのだ

今年は
『昔に戻りたいな…無理だけど』と
最後に記されていた

前文の近況や年老いたことへの
弱さを示す言葉からの思いか?
それとも私への謝罪のつもりだろうか?

例年だと、届いたら必ずお礼の電話
もしくはメールをした

だが今年は…
感謝もなく、怒りが先ずこみ上げた

そして、今日この私の40年以上の苦悩を
順を追って、パソコンで
14ページに渡り書き終えた

書留が届いた昨夜は、
書き始めた手紙を送るべきか?
年老いた毒親でも、最後まで私の苦悩を
知らぬまま逝った方が幸せなのか?
はたまた、伝えたところで誰かが幸せになれるのか?
それらが頭を支配し、いつも通り
眠剤を飲んでも何度も目覚めた

朝から、最近では珍しく
何も知らない君からの電話が鳴った
「聞こえますかー?おはようございまーす!w」
君のいつもの第一声で
込み上げてきた想いを声にして泣いた

あー、そうか…
私は…泣きたかったんだ…
君の前だけはこの何十年も封印していた涙が
毎回溢れる
どんなに辛くても、人前で泣かない私は…
君の声だけでも安心して泣くことが出来る

君がいてよかった
ありがとう♡

誕生日の、前日は大切な人に感謝する日らしい
だから…
君に出逢えてよかった
本当にありがとう♡

結局、手紙は出さないという選択をした
でも書き記すことで、
自分と向き合うことが出来たし
相手には伝わらないけれど
自分の想いは書き記すことが出来た

電話もメールもこれからはしないし、受け取らない
コレが私に出来る毒親への
最初で最後の優しさであり
私にとって完全なる毒親との決別となる

今日までの私に『さようなら』
産み養ってくれただけの毒親、姉妹との
決別と『さようなら』

明日から私は…ゼロ歳から生まれ変わる
そう、決めた!

6/13/2024, 2:13:01 PM

紫陽花(あじさい)

あじさいは、色んな色があって花びらは、4枚
あじさいの季節なのでとても綺麗で素敵😍
私は、あじさいが大好きなのでとても嬉しいです。
あじさいに出会えて良かった

6/13/2024, 2:08:46 PM

「アジサイだとよ」
「なに?」

 あらかたの装備を確認し終えた段になって、私のバディがつぶやいた。
 どうにも意味が掴みきれず顔を見ると、その男は笑って言った。

「アイオリス基地からの最後の通信だよ。“アジサイが咲いた”って」
「バカな。緊急通信を使って言うことがそれか?」
「へへ。もしかすっと、鉢植えなんか抱えた研究者を救助することになるかもな」

 あまりにふざけた想像に、笑みすら漏れない。ため息と共に防御チョッキを着込むと、最後に酸素マスクを着用する。物騒な重みで、体の関節が軋む。


 西暦40××年。長らく膠着していた他惑星への移住計画は、とある試みによって少しずつ前進を見せ始めていた。

 植物を極限環境に適応できるよう進化させて、星の地表に植え付けるのだ。焦げ付くような暑さも、極寒の冷たさも、吹き飛ぶような風圧も、何があっても枯れない植物を。

 おかげで、選ばれたごく少数の人間は、惑星に点在する「基地」に住めるようになった。住めると言っても、居住可能区域を広める使命を帯びた状態で、だが。

 私達はいわばそのバックアップ。各基地内で不測の事態が発生した場合、ツーマンセルの「解決屋」が派遣される。今回は、不運にも、私達が選ばれたということだった。


「おい、入るぞ」
「あぁ」

 我が身の不幸に思いを馳せていたら、はやくも問題の基地のエントランスに到着していたようだ。バディの声で我に返り、銃を構える。

 荒涼とした風が吹き荒ぶ中、緊張感がみなぎる。酸素マスクの呼吸音を感じながら、私は胸の通信機をオンにした。

「HQ、こちらチームオリオン。ポイントEに到着」
『ザ……ザザ、こちら本部。チームオリオン、基地への進入を開始せよ』
「了解。オリオン2、ハッチ開け」
「イエッサーってな」

 ハッチの解放ボタンが押され、黄色い回転灯が回り出す。仰々しい警告音が数度鳴ったあと、あっさりと基地はひらけた。

「……」
「……」

 バディと頷き合い、突入を開始する。長い灰色の廊下を進むうちに、ハッチはゆっくりと閉ざされてゆき、私達の影を呑み込んだ。



 室内には、荒らされた痕跡はなかった。色とりどりな花が整然と並んで、来訪者の私達を見つめているだけだ。ときおり起こる人工風で葉がこすれ、サワサワと鳴く音が聞こえる。

 その静けさが、異様だった。我々の来訪を聞きつける者すら居ない。既に全滅したのか。

 ……と、その時。バディの腕時計がアラームを鳴らした。

「お、時間だな。さあ諸君、酸素残量を報告せよ」
「残り74%。お前は?」
「残り77。……基地内なら外しても良いんじゃねえのか、コレ」
「ガス兵器の可能性もある」

 バディが鬱陶しそうに酸素マスクを指差すが、私は首を振って否定した。そうでなくとも、事故で毒ガスが発生した事案例もあるのだ。

 ここまで基地内から反応がないのも、今回の事態がいかに深刻かを物語っている。安易な行動は慎むべきだ。

「へいへい。まじめ腐って結構なコト……おい、アレ」
「!」

 そこでバディが言葉を切り、何かを指さした。そちらに視線をやると……なんと、白衣の研究者が一名、倒れている。

「HQ。こちらオリオン1、救助対象を視認。これより救助に向かう」
『オリオン1、了解。ボディカメラをオンにしたまま救助に当たられたし』
「了解。オリオン2、周囲を警戒してくれ」
「オリオン2、了解」

 HQとのやりとりを終え、研究者に駆け寄って抱き起こす。ぐったりとしているその体は、触れてもピクリとも動かない。

 ロビーのベンチに横たわらせ、白衣も、シャツも千切るようにして傷の確認を行う。……しかし、何も見当たらない。綺麗なものだ。

「HQ、見えるか。外傷はないが……脈もない。死亡しているようだ」
『……こちらHQ。なんらかの毒が発生した可能性がある。血液サンプルを採取せよ。リモートで分析機にかける』
「了解。この者の血液を採取する」

 遺体に手を合わせてから注射器を取り出し、その首筋に針を突き立てる。すぐに赤黒い液体でシリンジが満たされ、サンプルデータが本部へと転送され始めた。

 少し時間がかかるか。そう思ってバディを見ると、なにやら妙な動きをして遊んでいるようだ。

「オリオン2、減給処分が嫌なら……」
「おいおい、お前も見ろよ。ロビーの監視カメラの映像を、ロビーで流してるみたいだぜ」
「はぁ?」

 やけに楽しそうな声に促されるまま天井を見上げると、確かに吊り下げたテレビは数秒前の私達を映しているようだ。オリオン2が跳ねるのを、困惑したように私が見ている。

「ロビーのカメラ映像をロビーで流す意味があんのか? 誰が考えたんだ、コレ」
「……待てよ、監視カメラか。お前、機械をいじれたよな?」
「あ?」



 モニター室にて。傍に置かれたパンジーの鉢植えに見守られながら、バディは操作パネルにタイピングしている。

 機械系に役立てぬ私は、ときおり廊下に顔を出し、敵を警戒しているのだが……並んだ植物が見えるだけで、平和そのものな光景だ。こんな時でも、花を見れば心がなごむ。

 やがて、オリオン2が派手にエンターキーを押す音が聞こえてきた。どうやら終わったらしい。

「どうだ」
「俺ってマジ天才。通報前のデータ1日分、ぜーんぶサルベージしたもんね」
「お前ではなく、データサーバーが働いたんじゃないのか?」
「はー、ヤダヤダ! このパワハラ映像もサーバーに残りゃなぁ」

 軽口を叩きながらも、オリオン2はツマミを動かして映像を早送りし、めぼしい箇所を探しはじめる。

 その時、装着した通信機がノイズを発した。HQからだ。

『……ザザ……リオン1、聞こえるか。オリオン1、応答せよ』
「こちらオリオン1、聞こえている」
『オリオン1、血液の解析が完了した。結果から言うと、強い毒性をもつ粒子を吸い込み、アレルギー反応で死亡したと考えられる。酸素マスクを外さないよう注意せよ』
「……毒の粒子?」
『毒の方は詳しく分析できていないが……花粉に着想を得た化学兵器の可能性がある』

「おい、見つけたぜ」

 通信に夢中になっていた私は、バディのその言葉でモニターに目をやった。
 そこでは、口を抑え、喉をかきむしりながら、もだえ苦しんで倒れゆく白衣の研究者たちが映っていた。何度か痙攣したのち、皆が一様に動かなくなる。

 周囲の植物の量から見て、奥の研究エリアか。死体に出くわさなかったわけだ。

「……これは」
「で、コイツが通報者だ。どうやら花粉症気味で、普通のマスクをしてて延命できたらしいな」
「……」

 画面に映されたその1人は、まわりでバタバタと死んでゆく研究者たちを見て、当惑しながらも逃げ出そうとしていたようだった。

 しかし、彼もやがて喉を抑え、苦しそうに表情を歪ませ始める。ロビーまできて、あと一歩というところで倒れ伏した。

「……」
「……」

 文字通りの全滅。あまりにもむごい結果に、言葉を探すことすらできない。
 
 バディはゆっくりとツマミを動かし、惨劇の少し前の映像を注視している。そして、ポンと膝を打った。

「あぁ、アジサイだ。見つけたぜ、ホレ」
「アジサイ?」
「言っただろ? 通報者のダイイング・メッセージだよ。“アジサイが咲いた”」

 モニターには、確かに、惑星の擬似環境下でツボミを開く紫陽花が映っていた。
 そのわずか数秒後に、この大量死だ。この基地は、もう破棄するしかないだろう。研究成果もすべて水の泡になる。

 損失額は莫大なものになるだろう。我が社もどれほど保険金を払わされるか……そんなことを考えていると、オリオン2が妙に悟ったような顔で話しかけてきた。

「……なぁオイ。これはよ、植物の復讐なんじゃねえか」
「なんだ、また突飛なことを」
「それまで幸せに暮らしてた花をよ、こんなサイアクな環境に押し込んでよ……なんとか生き延びたら“成功例”として、そのサイアクな惑星にポイってなもんだぜ。そりゃ、怒るだろ」

 バディは、真剣だった。真剣に、この信じられない筋書きを語っているのが伝わってきた。神妙な顔に、口出しするのもはばかられる。

「だからよ……植物にゴメンナサイをしようぜ。俺とお前で、ダブル土下座」
「あのな。テロリストが毒性の植物を持ち込んでこうなった方が確率は高いなとか、思わんのかお前は」
「なんだよ夢のねえやつ! ディズニー観たことねえのか?」
「だいたい、本当にミスター植物とやらが怒っているのなら、我々2人の土下座で足りるわけないだろうが」
「ちぇー、それもそうか」


 不貞腐れたように舌打ちし、オリオン2は椅子に背を預けた。
 そのとき、映像をあやつるツマミから指が離れた。



 すべてのモニターが一斉に、現在の状況を映し出す。



 全身の汗腺が、一気に開いた。



 モニターに映る植物が。
 花が。
 すべてこちらを見つめていた。




 私の異常に気付き、バディもモニターを見た。そして、固まった。

 蛇ににらまれたカエルのように、我々は息すら潜める時間が続いた。そんな緊張感の中で、ようやく、基地に入ってからの違和感に気付いた。

 そうだ。エントランスからずっと、見られていた。長い廊下を渡り、ロビーで死体を検分し、そして今。隣の鉢植えからも。


 視線を、感じる。




 長く、いやな静寂が続いた。



 やがて、沈黙が破られた。オリオン2の腕時計が、アラーム音を鳴らしたのだ。


 震えを押し殺した声で私達は酸素残量を確認し、即座に撤退を決定した。毒素の濃厚なエリアへは、この装備では突入できないという結論に達したのだ。

 そうして、逃げるようにモニタールームを後にする。


 最後にチラと見えたモニターでは、咲き誇るアジサイが、極彩色の輝きを放っていた。



 
 

 目標文字数 1800字
 実際の文字数 3972字

主題「あじさい」
副題「SF」

 うーん、まとめる能力を感じる。(錯覚)

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