貴方は誰よりも口下手で、それなのに文章を書くのが大好きでした。
でも、そんな貴方にたくさんの苦労が降り注いで、いつしか口を全く開かなくなってしまいました。
心配した私は、しばらくお互いに手紙を書き合って、放課後に交換し合わないかと提案しました。
そしたら、貴方は嬉しそうな顔をして、元気よく首を縦に振りました。
それから、手紙を書く日々が始まりました。
最初のうちは、家を出る前に書いていたのだけれど、段々と授業中に書くようになっていき、いっかいだけ先生に見つかって注意を受けたときは、最近滅多に笑わなかった貴方を、笑わせることができました。
その日、貴方から受け取った手紙を開くと、
「必死に文章を綴っている貴方は、とても綺麗で、恋に落ちそうでした」
なんて、かくかくした字で、そんな恥ずかしいことが書かれてありました。
それから少しずつ、貴方の口から言葉が溢れ始めたのは、ここだけの話にしといてください。
貴方は、言葉遊びが好きだった。
「こっちに恋」
普段は、そんな強い言い方はしないのに、急にそんなメールをしてきた貴方。
多分、単純に、言葉遊びがしたかったのだろう。
確かに、最近はお互い忙しくて、全然会えていなかった気がする。
それでも、滅多に貴方はこっちに来て、なんて身勝手なことは言わないのに。
それとも、会いたいっていう気持ちを、伝えたかったのだろうか。
「愛にきて」
私も同じ気持ちだよ、という思いで、私はそう返信した。
今回は、お題と関係ない文章を書こうと思います。
小説でもありません。すみません。
昨日の私は、キラキラしていて、色んな人と会話をして、楽しい日を過していました。
特別な日、という訳ではありませんでした。
でも、いつもは噛み合わなかった歯車たちが、何かの手違いでカチっとはまって、急速に回り始めたんです。
奇跡的に色んなことが起こって、それは私にとっていい事だった故に、体と心が疲れてしまいました。
今日の朝、身体中が痛くて、だるくて、心も少し冷たくなっていました。
昨日の私はもう、いません。
今日はいつも通り、何も噛み合わない一日で、誰かといるのにずっと寂しくて。
昨日の私は、どこへ行ったのでしょう。
いつも通り、が、私にとっては、今日の私。
そう思いながら、今日も頑張って生きようと思います。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
まだまだ拙い文章ですが、これからも定期的に書いていくので、温かい目で見て下さると嬉しいです。
私は小説を書いている身なのですが(最近は休止中)、いつも一番最初の文章を書くのに困るのです。
まず、セリフから始めようか、地の文から始めようか。
どの場面から、物語を語ろうか。
考える時間は、とても楽しいのですが、いざ書き始めると、自分の表現力のなさや、物語の詰めの甘さに嫌気がさして、結局書かなくなっちゃうのです。
でも、物語の始まりの部分は、当時の私の心を写す、鏡のようになってることが多いです。
だから、途中で諦めてしまっても、絶対にその物語は消さないようにしています。
小説は、私にとって日記のようなものなので。
今回は、いつもの登場人物たちは出てきませんでしたが、また、心が落ち着いたら書こうと思います。
あの日、初めてステージにたった時の、目の前に拡がった風景。
酷く、恐ろしかったのを覚えている。
たくさんの人の目が、私を凝視していたから。
この人たちに、私は自分の想いを、伝えなくてはいけない。
出来るのかな、私に?
結局、何も出来なかったのを覚えているけれど、あの風景は、今の私にとってとてもいい思い出になっている。
音楽は、演奏者だけじゃなく、聞き手と一緒に作っていくものだ。
目の前のお客さんから逃げていたら、この音楽は、誰にも届けられず、拾われず、静かに消えていくだけ。
この、何百人もの人たちがいるステージ、風景を、私は見渡す。
貴方を見つけて、思わず笑顔になってしまったのは、ここだけのお話。