手のひらで目を塞ぐと、沢山の光が暗闇の中を飛んでいるのが見えた。
小学生の頃の私には、それが面白くて、楽しくて、教室の中でキャッキャと騒いでいた。
他の子にどうしたの?と言われたから説明しても、誰もこの不思議な現象を分かってくれなかった。
だから、幼いながらに、あの頃の私は、自分の手のひらにしかない宇宙を見て目を輝かせていた。
手のひらの宇宙には、蛍みたいにのんびりと動いている星や、様々な色に変わる星……沢山の個性的な星たちが輝いていた。
自分にしか分からないものは沢山あったけれど、それでよかったのかもしれない。
それが、私自身だったのだから。
透明な涙ってなんだろう。
涙って、透明なものじゃない?
でもきっと、ここで言いたいのは輪郭もない、目では見えない涙なのだろう。
きっとそれは、心が流す涙なのだろう。
見えないから、その人を傷つけていることに気づかないのだから
初夢。
貴方と笑顔で話した、あの一時。
自分の思いに気づいてから、貴方の前で笑えなくなった。
でも、夢の中なら笑えた。
あの夢のつづきを求めて、私は今日も鏡の前で下手くそに笑うのです。
「一緒に将来の夢を追いかけようよ」
「一緒に同じ高校と大学行こうね」
「一緒に同じところに住みたいね」
一緒にって、結構幼稚な約束事だけれど、それでも私には嬉しかった。
全部叶わなかったけれど。
君と一緒に、今度はお互いの夢を語り合って、笑い合いたいね。
今日は、肌寒い穏やかな晴れだった。
「夏だと、晴れってギラギラしたイメージあるけど、冬はポカポカなイメージだよね」
「そうだね。あーあ、一生冬がいい」
「そんなことしたら、年がら年中冬眠しちゃう」
「動物も、人間も、やる気もね」
「そうそう」
季節なんて関係ないけれど、夏はみんな、色んなことに向かって頑張っていくイメージがある。
冬は、力を貯める時期。
今日は、冬晴れ。だから、貴方とこうやってゆっくり晩酌をする。居酒屋じゃなくて、貴方の家で。