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真昼、やけに重だるい体を起こす気になれなくて、また目を閉じていたら、いつの間にか夢の世界に入り込んでいた。

でも、その世界が夢だとすぐに分かったのは、貴方がいたから。

「お昼ご飯食べたあと、すぐ横になったら、牛になっちゃうんだよ」

「なるわけないでしょ。それに、人間を辞めれるなら本望」

「もう、貴方はいつだってそういう人なんだから」

冗談が通じない、ひねくれてる性格だって、言いたいのだろうか。実際、貴方からも周りからも、ずっとそう言われ続けてきたから。

「ねぇ、外で遊ぼうよ。外の世界は楽しいよ」

もう社会人にもなった大人が、そういうだなんて。でも貴方ならきっと、大人になってもこんな子供っぽい発言をするのだろう。

外の世界なんて、貴方の居ない世界なんて、楽しくないのに。

そこで、夢は途切れてしまった。貴方の声が、まだ耳の近くで聞こえてくる気がするのに、実際に聞こえてくるのはエアコンの音と、外でなってる風鈴の音だけ。

そうだ、あの日も、こんな風に風鈴がなっていた。

貴方が別の世界へ旅立ったあの瞬間、私は真昼の夢へ旅立っていた。

それを知った日から、真昼の夢を見るのが、私の日課になった。

7/16/2025, 2:47:37 PM