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12/16/2023, 3:06:55 PM

その日、嫌な夢で目が覚めたかと思うと、喉奥から込み上げてくる異物感に慌ててトイレに駆け込んだ。
一度喉を滑り落ちてしまうと、それはもう制御できず、自分の意思とは関係なく何度も何度もせり上がってくる。
びしゃびしゃと打ち付けられる水音に気分が悪くなり、更にえずいた。

もう何も出てこなくなっても、食道の辺りがひっきりなしに収縮を繰り返し、えずくたびにギリっと痛む。

…うっ、おぇ。

最後に小さくえずくと、吐き気が少し引いていった様な気がした。その隙に枯渇した酸素を求め浅く呼吸を繰り返し、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をトイレットペーパーで拭う。

ハァ、ハァ…。
参ったな。変な物でも食べたのだろうか。

便器にしがみついていた手を緩め、視線を下に下ろしたまま右手で水洗レバーを引き、吐き出したそれらを流した。まだ少し吐き気の残る体で立ち上がると、視界がぐらっと歪む。

ガン、と後頭部を強打したかと思うとバランスの取れなくなった体はトイレの狭い空間で左右に何度か揺れながら床に沈んだ。

どれくらいそうしていただろうか。体の痛みと寒気、おまけにひどい頭痛。こんな体調が悪くなる事なんて小学生以来ではなかろうか。

ピピピ、ピピピ…

ドア越しに聞こえてくる微かなアラーム音にハッと我に返ると、這うようにベッドに戻り、もぞもぞと毛布にもぐっていく。

寒い。気持ち悪い。体全体が痛い。

ベッドサイドの引き出しを弄り体温計を引っ張り出すと、数秒後に表示されたのは"38.5"の文字。そりゃ具合悪い訳だ。
しばらく横になっていると少し気分が良くなった気がしたが、起き上がろうとするとズキッとした痛みが身体を刺した。

今日は休もう。連絡を入れなくては。そう思って携帯を手に取るが、画面を見ると先程の強烈な吐き気がぶり返してきて、だめだった。もう部屋を出なくてはいけない時刻だったが、寝返りすらままならず、ただただ体の不快感に耐えていた。

──────

「おーい、傑。寝てんの?時間過ぎてんぞ。」

そう言ってガチャリとドアを開けると、隙間から悟がひょこっと顔を出した。いつもなら、ノックしてから入るのが礼儀だろ、と正論をぶつけていたが、それすら出来ず、顔だけ悟の方に向けた。

「…入ってくるな。」

そう、強がって言うのが精一杯で言葉が続かない。
それ以上近付いたら確実にうつしてしまう。お願いだからそのまま戻ってくれ。

そんな傑の思いとは裏腹に悟は傑の部屋にズカズカと入ってくると、徐に携帯を耳に当てる。

「あ、硝子?うん、そう。傑部屋にいたわ。具合悪いっぽいから今日休むって夜蛾センに言っといて。」

端的に状況を伝えると、携帯をパタンと閉じてベッドに腰掛けた。

「何が欲しい?」
「なんか冷たいやつ…。」
「おけ。」

風邪の時は心が弱くなるのだ。先程まで強がっていた気持ちが、どこかに消えてしまったようだ。
悟が持ってきてくれた氷嚢を頭に当てるとひんやりとして気持ちがいい。
悟の存在に安堵し、少しだけ気分が良くなった気がする。

「…ありがとう。」
「いーえ、どういたしまして。」

そう言うと髪の毛をサラッと撫でる。

「こないだのこと忘れてないかんな。俺が風邪ひいてんのに襲いやがって。」
「あ…あれは…。」
「仕返し。」

そう言い、おでこに優しく口付ける。

「俺は最強だし優しいからな。今日はこれで許してやるよ。」

劣情に抗えず、欲を吐き出した自分とは比べ物にならない程、余裕がある。格の違いを見せつけられたような気がして、とてつもなく恥ずかしくなった。

「風邪治ったら、今度こそ仕返しすんかんな。覚えとけよ。」

悟は、アハっと笑いながら、乱れた毛布をかけ直して、頭をポンポンと叩く。

「本当君には敵わないよ…。」

傑もまた力なく笑い、安堵から訪れた眠気に身を任せ、静かに瞳を閉じた。

12/15/2023, 3:52:29 PM

※BLです。ご注意を。お題ガン無視です。書きたいとこだけ。

(続き)

「お仕置き?!は?うそ、何で?!」

悟は慌てて拘束されてた腕を解こうともがくが、びくともしない。
その気になれば一瞬にして解ける事ぐらい自分でもわかっていたが、それをしてはいけないと本能が訴えていた。

俺が任務中に電話したから?1人で気持ちよくなってたから?
でもそんなキレるほどの事でもなくない?

ぐるぐると理由を考えてはみるものの、さっぱりわからない。
目の前にいる傑はそんな俺を冷めた目で見ている。

怖い。なに、この感じ。こんな傑知らない…。

「悟。」
「な…に。」
「考え事できる余裕があるんだ?1人で気持ちよくなって、私の気持ちを掻き回して。」

言い終わらぬうちに、傑のモノがぐりぐりと奥を攻めてきて、怖いのに気持ちよくて、もう訳がわからなくなっていた。

「うぁっ、やだ、そこ!やっだ、あぁうぁ、ぅ。」
「1人でイってさ、気持ち良かった?」
「はぁっ、も、無理、あぁっ。」

ぐいっと足を持ち上げられ傑の肩にかけられる。その体勢で一気に最奥を貫かれ、目の前に星が飛び、視界が霞む。

「ふぁっ…はぁっ、あん、あーーっ。そこ、だ、め、、!」
「喘いでばっかりいないで、ちゃんと考えな。」
「ぅ、あ、ごめん…ごめんなさぃ、あっぅぅ、ふぁっ。」

悟は涙目になりながら、必死に快感を逃がそうと腰を引くが、傑がそれを許してくれる訳がなかった。逃げようとすればする程、傑が奥に入ってきて頭がおかしくなりそうだった。

ぐっと悟の体にに体重をかけられ、息が苦しくなる。途端に傑は激しく腰を打ちつけてきて、悟は先ほどより薄くなった精液を自身の腹に吐き出した。出し入れされている場所が嫌でも目に入ってきて頭がおかしくなる。ぴん、と伸ばされた足は痙攣し、ガクガクと震えていた。

「ごめんなさ…いっ。もうむり…もうイっったぁっ、とまってぇっ、あぅ。」
「…。」

悟の懇願をガン無視して、傑は更に打ち付るスピードを上げる。

「ぅぅ、あ、ぁ。なんっでぇ、あっ。あっ、ふぅ。はっ。」
「私だって、今日はゆっくり悟と過ごしたくて。でも出来なくて、我慢してたのに、あんな電話してきてさ。酷いじゃないか。」

やばい。完全にキレてる。

「イきたかったんでしょ?イきなよ。」

イったばかりの身体に傑の雄が打ち付けられ、敏感になっている悟の中に更なる快感が上書きされていく。もうだめ。死ぬ。

一気に身体に電流が走り、イくのを止めることが出来ない。

「ゆるし…てぇっ、ごめ…んって…もう、やだぁっ、たす…けてっ。」

傑はニヤリと笑い、耳を喰みながら

「気持ち良いのを与えてるのは私なのに、やめると思う?」

そう言うと、悟の弱い所ばかり刺激してくる。

もう出ているものが性液なのか潮なのかわからないほど悟の腹に液体が溜まっていく。次第に意識が薄れていき、目の前が真っ白になった。

あ、やばい、落ちる。

与えられ過ぎた快感で意識を飛ばしかけたその時、乳首をギュウっとつねられて、悟の身体は弓なりに反り返った。落ちることも許されない。

「私まだイってないんだけど。」

繋がったまま身体を起こされ気付けばうつ伏せの状態になっていた。身動きの取れない体勢に痙攣が止まらない。

もう息も絶え絶えで上手く声を出すことも出来なくなっていた。狭くなった気道からカフ、ヒューと乾いた音が鳴る。

一段と早くなっていく抽送に身体全体がガクガクと痙攣し、打ち付ける度に悟の雄からは、びしゃびしゃと液体が飛び散っていた。

もう限界はとっくに超えていた。何度イったかわからない。
イき続けて戻ってくることが出来ない。

「悟っ。ハァっ、うっ…。」

傑が果てると同時に悟は急速に意識が薄れていった。

12/14/2023, 3:08:39 PM

※BLです。ご注意を。

(続き)

──────

本当なら今日は一緒にイルミネーションを見に行く約束だった。

クリスマスまで1週間。奇跡的に休みが被ったのだ。

クリスマスは華やかで楽しい反面、その裏には恋人との別れ、寂しさなどの負の感情が集まりやすい。ただでさえ人手不足の術師にクリスマスの休日などあるはずもなかった。

だから今日は朝から悟とずっと一緒に過ごすはずだったのに。

朝イチで鳴った携帯を取ると、補助監督から告げられたのは緊急の任務要請。それも場所が近いからといって2件掛け持ちで、傑のテンションはガタ落ちだった。

なぁ、本当に行くの?断っちゃえよ。

そう言って拗ねる悟を宥めて、すぐ片付けてくるから、と出掛けて行ったのが今日の任務だった。

傑は特級だ。その2件の任務は確かにすぐに片付いた。しかし事前の調査不足だったのだろう。2体目を祓った瞬間に現れた、3体目。それが先程のあいつだった。

参ったな。そう思いながらも、このまま放っておくわけにはいかないと、悟に詫びのメールを入れ、任務に集中した矢先の悟からの電話だった。

「悟、一旦手止めな。」
「ふぁ、え、なんで…。」
「私がイっていいって言うまでイっちゃだめだよ。」

そう言った直後、傑は自室のドアを開けた。
傑の顔を見て込み上げたものが途端に溢れ出す。

「あ、すぐるっ…うぁ…くっ、あぁっ…!」

びゅく、びゅくと白濁を吐き出し悟は果てた。それを無表情で見下ろす傑の剣幕に体が強張る。

「ねぇ、…私言ったよね。イったらだめだって。」
「あ…ごめん。だって。」

傑の顔見たら急に気持ち良くなって、と言い訳をしたがもう時はすでに遅し。傑はズボンと下着を膝まで下ろすと、悟の両手を拘束し、そのまま一気に奥まで貫く。

「かはっ、ふっ、あっ…!」

いくら自身で慣らしたとはいえ、質量があまりにも違う。悟はビクン、と身体を弓なりに反らせ痙攣し、突然の凄まじい快感に息ができなくなった。

傑は動かずそっと悟の耳を喰み、悟の呼吸が落ち着くまで待ってから

「お仕置きだね。悟。」と囁いた。

(続く)

12/14/2023, 12:20:29 AM

※BLです。ご注意を。
#2次創作 #夏五


あーあ、マジかよ。

傑の部屋で今か今かと帰りを待っていた悟の元に映し出されたその文字は、余りにもつまらないものだった。

"今日、帰れなくなった。ごめん。"

はぁ?嘘だろ。なんだよ、せっかく愛しの恋人が準備して待ってるってのにさ。
ひでぇ奴。

自分で慣らしたそこは、もうすっかりその気になっており、傑のモノを受け入れる為にヒクヒクと疼いて切なかった。
携帯をベッドに投げ込み、悟もそのままなだれ込む。枕を抱き抱えて顔をうずめると傑の匂いがして、腹の奥が更にヒクついた。

なぜ帰れなくなったのかはわからないが、きっと補助監督から任務の追加の連絡でも来たんだろう。傑は生真面目だからな。本当にさぁ、俺と約束してるんだから断れよ。バカ。

もういい。1人でするからな。傑なんてしらねぇ。

イライラとムラムラが入り混じりながら、後ろに手を伸ばし、入り口付近をぐるりと円を描くようになぞると、ゆっくり指を挿れた。

ツプッ。

くちゅっ、くちゅ、くちゅっ。

指を乱暴に掻き回しながら、自身を慰めてみるも、なんかいつもより気持ちよくない。指なんかじゃ物足りなかった。これでもかと愛を注がれた悟のそこはもう傑しか受け入れられない身体になっていた。

ローションでとろとろになった右手を後孔から抜き、まだ半勃ちの雄にあてがうと、裏筋に沿って上下に動かした。

空いている左手をまた後孔に受け入れ、前と後ろを同時に責め立てる。

「はぁっはぁっ…ん、ふぅ、あっ、あーっ、すぐ…る、すぐる…」

傑との行為を想像しながら必死に快感を追いかけていくが、あと少しの所でどうしてもイけない。イきたい。

気付けば、携帯を握りしめて傑に電話していた。ローションまみれの手が携帯を汚していたが、もうそんなことはどうでも良かった。傑の声が聞きたい。イかせてほしい。

プルルルル…プルルルル…プル…

3コール目で音は途切れた。

「もしもし、悟?」
「はぁっ、あ…すぐ…るっ」
「悟…?」
「あっ、はっ、んぁ、ハァ…」

傑は電話越しから聞こえてくる悟の声にゴクリと喉を鳴らした。
聞き覚えのある甘ったるい上擦った声。悟が今何をしているのかは言うまでもなかった。

「…悟、あともう少し我慢できる?すぐ終わらせるから…。」

──────

今日の敵はそんなに強くはなかったが少々厄介だった。
確実に呪力は感じるのに、姿が見えないのだ。目を凝らし敵の残穢を追うものの、もうかれこれ数時間、膠着状態が続いていた。今日を楽しみにしていたのは悟だけではない。傑のイライラはピークに達していた。

電話を繋げたまま、より一層神経を研ぎ澄まさせる。
もうこうなったらやるしかない。呪力を極限まで消費する為、一度も試したことのないそれを無差別に一気に放つ。

全てを巻き込み、壊滅させながら、渦を巻く。
ものの数秒で事は片付いた。これは傑の"とっておき"だったが、最初からこうすれば良かったのだ。格下の相手に使うのは少々癇に触ったが、まぁ仕方ない。悟が待っているのだ。

あの蕩けた表情で、甘い声で、私を求めている。

手中に収めた黒をゴクン、と飲み込むと、すぐさま呪霊に飛び乗り
「飛ばせ」そう命令を出した。

「すぐるぅ…1人じゃイけない…もうイきたい…ふぅ、うぁ。」

移動している間も携帯から悟の切ない声が漏れていた。

(続く)

12/12/2023, 2:23:22 PM

#二次創作 #呪術廻戦


「最期くらい、呪いの言葉を吐けよ。」

そう言って、傑はふっと顔を綻ばせた。

…あぁ、遂にその時が来たのか。

目の前の傑は、今までに見たことのないような穏やかな表情で微笑んでいる。僕が腕を上げ掌印を結ぶと観念したように目線を下におろし、静かにその時を待っていた。

体を纏う呪力を丁寧に指先に集めると、ジュクジュクと皮膚が波打つ。

なるべく苦しまないように。安らかに逝けるように…。

極限まで高められた呪力は指先で眩い光を放ち、ピリピリと焼いたように熱く、指と指が触れると、微かにジジジ、と音がした。

一点に集中し、狙いを定めたその瞬間。

──────



世界は一瞬にして漆黒に変わっていた。

光も、音も、時間も存在しない、その空間に僕はただ茫然と立ち尽くしていた。

「やだ、やだよぉ!やめてよぉ!」

ふと気が付くと、足元で小さな男の子が目から大粒の涙をこぼし、僕の服をギュッと掴みながら懇願し、泣き喚いていた。

「おねがいだから…そんなことしないでぇ…。」

涙が溜まって視界がぼやけているのだろうか。男の子は焦点の合わない淡いブルーの瞳で必死に僕を見上げている。

同時に背中に鈍い衝撃が走る。

「お前がもっと早く気付いていたらこんなことにはならなかった。」

僕の後ろで絞り出すようにそう言うと、ドン、ドン、と更に二度背中を打ち、ずる、と地面に崩れ落ちていった。

「全部お前のせいだ…。」



──────

あぁ、これは僕の心だ。

本当は傑に死んでほしくない。一緒に罪を背負って生きていきたい。
殺したくない。生きていてほしい。

…だけどそれはできない。もう戻れないんだ。

僕は目を見開いて漆黒の世界の外に意識を集中させ、結んだ掌印にグッと力を込め直した。

「うぁああん、やだよぉ!殺さないでよぉ!」

小さな僕がやだやだと地団駄を踏み号泣している。
後ろでは声を上げることもなく、何度も何度も地面に拳を叩きつけている僕がいた。

心と心が交差する。

誰にも言えなかった、無かったものにしていた感情が溢れ出し胸の奥を刺す。ぐらりと揺れる心に蓋をするように、僕は指先から呪力を放った。

──────

バシュッ

乾いた音が鳴った瞬間、そこにいたはずの二つの影は消えていた。

僕はゆっくりと歩を進めると、たった今、自分が殺した親友の前に座り、ひんやりと冷たくなった手をそっと握る。

「僕が死ぬまで…あっちで待っててよ。」

そう言うと堰を切ったように溢れ出した涙が止まらない。

またね、傑。またね、僕。

そう心で呟き、そっと目を閉じた。

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