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5/8/2024, 11:09:11 AM

「星が綺麗ですね。主様。」
「そうだね、ラムリ。」
ボクは星が好きだ。
でも大好きな人と見る星はもっと好きだ。
「あ、あれ、水瓶座じゃないですか?」
「え、どこ?」
「ほら、あそこですよ。」
「こっからじゃわかんない。」
ボクの近くに来る主様。
ふわっと香ってくるシャンプーの匂い。
「あそこです。あそこ。」
「あ、本当だ。じゃあ次は水瓶座の物語作ろっか」
「はい。主様。」
色々語り合って、メモ帳に書く。
時々絵も描いたりして、物語を紡いでいく。
「水瓶座はね、私の星座。」
「そうなんだ!ボク、メモしておきます。」
「ふふ、次はどんな物語作ろうか。」
そう言って、また星空を見る主様。
その横顔が綺麗で、また、瞳に映る星も綺麗で。
「ね、主様。」
「ん?」
「1年後…いや、10年、100年後も一緒にこうやって星を見ましょうね。」
「うん。もちろん。一緒に見ようね。」
微笑む主様は星より綺麗で。
ボクの目を奪っていく。
「これからも一緒です。主様。
 ボクはずっと、ここにいますからね。」

5/7/2024, 10:19:18 AM

初恋の日。
それは今日だと思う。
オレの主様に出会った日。
「初めまして。アモン…さん。」
背丈が小さくて、すぐにでも壊れそうなくらい脆く儚い主様。
「初めましてっす。主様。」
「これからよろしくお願いします。」
優しい声色で微笑む。
その瞬間、恋に落ちる音がした。
「えっと…顔赤いけど大丈夫ですか…?」
敬語で話す主様。
なんて礼儀正しい方なのだろうか。
「あ、だ、大丈夫っす!
ありがとうございますっす。」
「ふふ、アモンさんは庭師と聞いたのですが、良ければアモンさんの育てているお花を見てもいいでしょうか?」
控えめに聞いてくる主様。
少し頬を染めて見てくる。
なんと愛らしいのだろうか。
「もちろんっす。案内するっすね。」
この方に贈りたい。
この方に見てもらうために、オレは育てたんだ。
「主様。」
「なんでしょうか…?」
「良ければ、受け取って欲しいっす。」
秋の夕焼けに煌めく金木犀。
オレの初恋の日。
それは金木犀のよく香る秋の日だった。

5/6/2024, 10:26:11 AM

明日世界が終わるなら、なんてよくあるけど。
本当にそうなったら私はどうするのだろう。
いや、答えなんて1つ。
「ラトと一緒に死ぬ!」
「おや、どうされましたか?
いきなりそんなことを言って。」
ラトは紅茶を注ぎながら言う。
「んーとね、今日友達に明日世界が終わるならどうする?って聞かれたの。それの答えをずっと考えててね。」
友達なんていないけど、ラトに心配されないように友達がいるってことにしてる。
「それで…私と一緒に死ぬ。って言ったのですね」
「そう!」
だって私の人生の全部はラトだもん。
私の全部をラトに注いできた。
出会った日から、ずっと。
私にはラトしかいないって思ってる。
「くふふ、それはそれは。とても嬉しいです。」
ラトはニコニコ微笑んでいる。
そんな彼を見て私も笑う。
「ずーっと一緒って約束したもんね。ラト。」
「ええ。約束しましたね。私は嘘をつきません。」
「ふふ、わかってる。嘘つかないもんね。」
ラト以外何もいらない。
ラトがいれば私は生きれる。
「ね、ラト。」
私は彼が大好きだ。
それも依存形で。
ラトもそうだ。私に依存してる。
「はい。あるじさま。」
私の耳に彼の吐息がかかる。
「すきっていって?」
「ふふ…すきですよ。あるじさま。」
彼の声と体温に包まれて。
私は死にたい。
「わたしもだいすき。ラト。」
一生、死ぬまで離さない。

5/5/2024, 10:38:45 AM

「君と出逢って私は変われたよ。」
そうベリアンに伝えた。
そうしたらベリアンはびっくりしたように
目を開いて涙を零していた。
「え、え?!ベリアン?」
どうしたの?と声をかけると
「嬉しいんです…そう言って貰えて…」
「そう…なの?」
本当のこと言っただけだよ。
私はあなた達に出逢えて本当に良かったと思った。
「私はベリアン達にあってなかったら死んでたと思うの。」
私は話を続ける。
ベリアンは静かに泣きながら聞いた。
「だからね、出逢ってくれてありがとう。」
「私も…主様に出逢えて良かったです。本当に…」
ベリアンはどの執事よりも長くいるから、
色々な死を見ているから。
「それは良かった。」
だから、泣かないで。ベリアン。
どうか笑って。一緒に紅茶を飲もう?
そう言って微笑むとベリアンは少し目を見開いて、にっこりと笑った。
「はい。主様。」
これからも色々な別れと出逢いが来るだろう。
でも彼らがいれば私は怖くないと思う。
変わらず私を受け入れてくれると思うから。
大丈夫。ずっと一緒にいるよ。

5/4/2024, 12:39:02 PM

「ねぇ、ラト。」
「はい、なんでしょう。主様。」
今日の主様はかまって欲しいようです。
私に抱きついて離れない。
「私だけのラトだよね?」
「はい。もちろんです。」
目の周りが赤い。
泣いていたのでしょうか。
「じゃあなんでミヤジの方優先したの。」
私もラトのこと呼んだでしょ。
と怒る主様。
「それはそれは、すいません。
ミヤジ先生の方は何か急ぎのようだったので…
でもそのあとちゃんと主様のとこ行きましたよ。」
「後じゃダメなの。私が呼んだらすぐ来てよ。」
「ふふ、分かりました。」
すぐに情緒不安定になる。
耳を澄ませば、
少し早くなった主様の鼓動がよく聞こえる。
「笑わないでよ。」
あぁ、泣き出してしまった。
可愛いですね。
「すいません。主様。」
主様が可愛くて。
と言うと顔を胸に擦り付けてきた。
「らときらい。」
「おや、私は主様のこと好きですよ。」
「きらいだもん。」
「では離れますか?」
そう言って抱きしめている腕を少し緩める。
「いやだ…なんで…。」
「では、嫌いなんて、言わないでください。」
「うん…わかった…らとすき、すき。」
「はい。主様。私も好きですよ。」
甘く囁くと主様は安心した顔で笑う。
「らとはわたしだけのもの。」
さらに抱きついてくる主様。
「そうです。私は主様のものですよ。」
「うん…ずっとわたしの、わたしのもの。」
「くふふ…。」
こんな小さくてか弱い主様。
目を真っ赤に腫らして見てくる顔も、
目を潤めて私を見る顔も、
光を宿さない目で私を見る顔も、
どれも全部愛おしい。
少しして、頭を撫でていると主様は寝てしまった。
「あぁ、寝てしまいましたか…」
では、私もここで寝てしまいましょう。
誰にも邪魔されない。
この愛おしい寝息を聴きながら。
私は主様が居なくならないように、
強く抱きしめて、眠りについた。

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