リル

Open App
8/29/2025, 12:22:41 AM

夏草

 はあ〜、疲れた。毎日毎日同じ光景。どこか遠くに行きたい…。風に吹かれるのは気持ち良いけど、だんだん飽きてくるし。お腹すいたと思っても動く気になれない。というか、動けない。
 脚があったら走れるのに、遠くに行けるのに。もう誰かに踏みつぶされるのは嫌だ。何度も傷ついて潰れて、そして傷を治して、また潰されて。
 こんな生き方、好きな人がいるのかな。風に吹かれるのは気持ち良さそうに見える。そう言う人が時々いるけど自由がないから、あまり楽しくはない。夏の日差しはとても体に良いんだ。生命力がみなぎっていく。あと、雨も降ってくれるともっと良い。
 だけど最近、暑すぎて仲間がバタバタと死んでいく。日陰に入りたいと、初めて思った。地面はどれくらいの温度になっているのだろう。40度くらいにはなっているんじゃないの?脚があれば、日差しから逃げることくらいできるのに。そしてまた初めて、本気で脚が欲しいと思った。
 今年の夏は地獄。そんなテーマをつけられそうだ。それくらいに暑い。マグマの中にいるようだ。明日は雨が降ってくれるといいが、ここまでいくともう期待ができなくなる。明日に希望が持てなくなる。明日、目が覚めたら死んでいるかもしれない。まあとにかく、明日は雨が降ってくれると信じて、蒸し暑い夜を過ごそうか。

夏草の気持ち(訳:リル)

8/27/2025, 12:06:16 PM

ここにある

 一人で街に放り出された気持ちは、大人と違って疎外感と不安が溢れ出す。
 大切な人というのは大人にとっても必要だ。だが、未熟で発達しきっていない子供には全てが大きく、全てが見知らぬ冷たい生き物としか考えることができない。
 それはつまり、頼れる人間が見知った人しかいないということ。だから、親というのはとても重要なのだ。
 何もかもが初めてで、間違いを犯してしまうことも子供にはあるだろう。しかしその失敗から学んでいき、何が信用できるのか、何が信用できないのかが分かってくる。
 とても面白い。失敗談はなぜか忘れることができない。最も忘れたいものこそ、忘れられないのだ。楽しいことは忘れるくせに。しかしそのおかげで、次に同じようなことが起こっても対処ができる。その仕組みがなければ、私たちは永遠に子どものままだ。
 失敗を恐れずに突き進んだ人こそ、立派な大人になれるのだと私は信じている。大人になるために大切なものは、きっともう私たちの中に、ここに備わっているのだろう。

8/25/2025, 12:25:49 AM

見知らぬ街

 見知らぬ街など、もうすでにこの世にはないのだろう。何もかも調べればすぐに分かってしまう。街の風景、言語、生活習慣、そしてその街の場所。昔は街に着いてもここが目的の場所かどうか、調べる方法があまりなかった。
 昔、コロンブスはアメリカ大陸をインドだと勘違いをした。人間とは恐ろしいものだ。インドを目指したために、どこに着いてもインドだと勘違いしてしまう。
 昔は全てが未知の世界であり、興味がそそられるものばかりだ。知らないことが多ければ、知っているもので補おうとする。コロンブスはインドという国名を知っていた。しかし、行ったことがないため、どのような場所が分からなかった。だから、アメリカ大陸を知っている単語のインドで補った。ということだろう。
 しかし、今では何でも調べられてしまう。そのため、とても効率的に動くことが可能で、行きたい場所にも簡単に行ける。世の中は便利になりすぎて、逆につまらないかもしれない。
 フロンティアの開拓、フロンティア精神などという言葉があったように、人々は土地の開拓に心がときめいていた。やはり、人間は好奇心が爆発したときに本領を発揮するのだろう。見知らぬ街は興味をそそられる。現在、この世のどこかに見知らぬ街があれば、きっとこぞって調べるはずだ。この今の時代に、人々が好奇心のままに動ける街があれば、さらに楽しめるのではないだろうか。

8/24/2025, 1:07:01 AM

遠雷

 ただ手を握られただけだった。それだけで、ネットに拡散されてしまった。一体、誰が盗撮をしたのだろうと気になって仕方がない。一瞬にして、全てを奪われた。遠くで雷の音がする。それはまるで、何か変化が起こる前兆に感じる。
 不倫などしていないのに、勝手に決めつけられる。ネット上の人間は、雷の刃物が突き刺さるように鋭く、相手の心をえぐる。
 雷が鳴る日に、この暴言はきつすぎる。私は家の中に引きこもって、ブルブル震えている。何も知らない、やっていないのに、なぜそこまで人を傷つけられるのだろうか。
 昼間なのに真っ暗な空。どうしても気分が落ち込む。雷の音を恐怖としか思えない。しかし、雷はいつか去っていく。ネットの炎上もいつかは小さくなっていく。それは、他に標的を見つけたか、もう叩くのに飽きたのか、人それぞれだ。
 早くネットの雷雲が去ってくれ。窓の外、遠くの方で鳴る雷は気づくと音が聞こえなくなっていた。自然と口角が上がった。スマホの画面をもう一度見ると、炎上は続いたまま。
 まあ、いつかは去っていくだろう。そう思うと、なんだか少しラクになった。
 明日は、仕事に行こうかな。そう決めて、今日は早めに寝ることにした。

8/22/2025, 11:54:35 PM

Midnight Blue

 濃い紺色。なんだか、闇を思わせる。暗い闇の中では気分が落ち込む。それにずっと一人で泣いている子供が遠くにいる。そんな気持ちになって仕方がない。
 根拠などないが、夢の中で見たことがある気がするのだ。助けてあげたい。そう思っても近づけない。いくら走ってもあの子供との距離が縮まらない。周りの木々たちが私自身を取り囲んでいるようで、動いても全く景色が変わらない。全てが私を中心に動いているようだ。
 しばらくもがいていると、闇の中でうっすらと遠くの方が青くなりだした。朝焼けという感じか。とても透き通った空気をめいいっぱい吸い込みたくなった。
 気がついたら、あの子供はいなくなっていた。しかし前にも、こんな事があったように感じる。夢の中で気分が明るくなると、あの子供は必ずいなくなる。夢の中でしか見ることのできないあの子供。気分が落ち込んでいる、暗い気持ちのときにだけ現れるんだ。
 どうしてあの子は泣いていたのか。その理由は、何となく分かる。ような気がする。自分自身への失望、子供の頃の私への怒り、それらの気持ちが溢れ出しているのだ。それに私と何かつながりを感じる。子供の頃の自分にあの子供がそっくりなのだ。
 夢の中でしか会えない、触れることもできないあの子供に、また夢の中で会いに行こうと思う。

Next