リル

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夏草

 はあ〜、疲れた。毎日毎日同じ光景。どこか遠くに行きたい…。風に吹かれるのは気持ち良いけど、だんだん飽きてくるし。お腹すいたと思っても動く気になれない。というか、動けない。
 脚があったら走れるのに、遠くに行けるのに。もう誰かに踏みつぶされるのは嫌だ。何度も傷ついて潰れて、そして傷を治して、また潰されて。
 こんな生き方、好きな人がいるのかな。風に吹かれるのは気持ち良さそうに見える。そう言う人が時々いるけど自由がないから、あまり楽しくはない。夏の日差しはとても体に良いんだ。生命力がみなぎっていく。あと、雨も降ってくれるともっと良い。
 だけど最近、暑すぎて仲間がバタバタと死んでいく。日陰に入りたいと、初めて思った。地面はどれくらいの温度になっているのだろう。40度くらいにはなっているんじゃないの?脚があれば、日差しから逃げることくらいできるのに。そしてまた初めて、本気で脚が欲しいと思った。
 今年の夏は地獄。そんなテーマをつけられそうだ。それくらいに暑い。マグマの中にいるようだ。明日は雨が降ってくれるといいが、ここまでいくともう期待ができなくなる。明日に希望が持てなくなる。明日、目が覚めたら死んでいるかもしれない。まあとにかく、明日は雨が降ってくれると信じて、蒸し暑い夜を過ごそうか。

夏草の気持ち(訳:リル)

8/29/2025, 12:22:41 AM