僕は事故にあった。
生きるためには記憶をなくすリスクの高い手術をしなければならなかった。
僕には可愛い可愛い好きな人がいる。
でもきっと君のことを忘れてしまうだろう。
忘れてしまっても僕に優しく笑いかけてくれるだろうか?
でも忘れてしまってもまた僕は君に恋をしてしまうだろう。
なぜなら僕は僕だから。
手術が終わった。
無事に失敗したんだろうか?生きているということは成功…か
一目惚れをしてしまった。前世で会ったことあるのかぐらいに引き寄せられた。でも相手には残念ながら恋人がいた。
今更記憶があるなんて
言い出せなかった。
夏の忘れ物を探しに行った。
僕は取り残された。
僕は完璧だった。というか完璧という言葉好きで仕方なかった。完璧は落ち度がないどこをとっても100点。
たがら取り残されることも、置いてかれることも、離れることもなかった。
だから僕は僕を探しに行こうと思う。
もともと気づいてだんだ。僕は最初から完璧でもなければ今も完璧じゃない。
ただ何もない自分に、自信だけあるバカな自分が金魚の糞のようにくっついてるみたいだった。
そんな自信のある自分は死んだ。
僕は取り残された。
わからない。今までが嘘だから。
本当を目の前にどう生きればいいかわからない。
何をするにも僕らはいつも2人だった。
双子でもましてや家族でもないけど双子のようであり家族みたいなものだった。
僕らの関係は近所の子供。僕が1人で遊んでいるとき君は親子で楽しそうに手を繋ぎながら散歩していた。
羨ましかった。
そこから僕は君に興味を持った。偶然君もいつも外で遊んでいる僕に興味を持ったようだった、羨ましかったんだって。
僕らはそこから始まった。
君が大事そうに繋いでた母親の手は前までの近くの公園まででなく隣の僕の家までという君の母がつながなくても大丈夫と思える時間に変わってしまった。
僕はずっとお母さんが帰ってくるまで家で待ってなきゃいけない。外に出ても怒られないし、お母さんが新しい人とうまくいけばまた腕にあざができることもなくなる。きっと僕がいなくなっても気づかないだろう。
君は1人の時間が欲しかったんだ。
確かに今思えば前僕が羨ましいと思った時も君は外で遊んでいる僕を不思議そうに見つめていた。
そんなに1人で遊ぶのが珍しいのか、はたまた腕にある大きな痣を見て驚いたのか。愛しているで表していいかと思うほどの愛。愛に罪なんかない。つまり罪になる愛は愛なんかじゃない。頭のいい君たちなら僕の言いたいことわかるだろ?
普通なんかわからないけど君も僕の親も普通じゃない。
そうやって理解しあって僕が学校に行けないから学校や塾習い事でいっぱいの1日を送る君がスケジュールを調整して貴重な休みを使い馬鹿な僕に教えてくれた。
学校なんか行けないけど先生?よりも君は教え方は絶対上手いと思った。
偶然生まれた日が一緒で似たもの同士の僕ら、唯一正反対の愛だけが特別であり2人にとっては邪魔でしかなかった。
ある日もう終わりにしたい言わんばかりの今までに見たことくらい疲れ切った顔で君の目は僕に訴えかける。
2人とも同じ思いだった。お互いの首に手をかけゆっくりと力を込める。
それすら救いの手と思うほどふたりはバカで狂っていた。
あともう一歩ってとこでやめてしまう。
周りからはあともう一歩だったのにーとか惜しかったねとか同情、慰めの言葉だけで頑張ったね。なんて言ってくれなかった。
諦めなければいつか報われるなんて嘘だよ…
じゃあいつ?いつ報われるの?
どこまで頑張ればいい?あとどれくらい頑張らなきゃいけないの?
もう疲れたよ…
頑張れば頑張るたびに周りと比べられて、頑張っても一位じゃなきゃ褒めてくれないんでしょ?
何か目指すたびに口出しして、素直に諦めたら怒られる。
もう無理だよ…
リズムを刻む電車の窓を見ながらほうづえをつく君。
退屈だと言わんばかりにあくびをした。
普通なら気にならないのに君が見ているから見てしまう。
特別でもなんでもない殺風景な風景、正直どこも面白くない。
でも君と同じ景色を見ていることだけが幸せだった。
僕らは今見知らぬ街に逃げている。
遠い遠い街、何にも追われてないくせに勝手に周りの圧を察して嫌になって気持ち悪くなるまでが1日のルーティンだった。
そんな僕を救ってくれたのが君だった。
きっと君は気づいてないんだろう?
君の何気ない一言が僕にとっての浮き輪だった。
深くて暗い海に沈んでいた僕に光が刺して…
時々自分に嫌気がさす、恩人にも関わらず比べてしまう。
君の暖かさは痛いほど暖かかった。