見えない未来へ何を願うも何を期待しようも、結局叶えるのはサンタでも妖精でも神でもなく結局は自分自身なんだってこと。
心の境界線は歳を重ねるごとに厚く重ねられていった。
親への拒絶。
友人との亀裂。
恋人とのすれ違い。
社会への恐怖。
できない自分への恨み。
時間への執着。
そんな思いから逃げて逃げて逃げた。
気づけば分からなくなっていた。
僕には妻と妻に似た小さな小さな娘がいた。
妻は病弱で娘を産んでしまったら妻も一緒に死んでしまうそれか妻だけが死んでしまう、そんなどっちに転んでも最悪な状況で彼女は自分が犠牲になることを選んだ。
生まれてきた娘とは代償に妻はいなくなり娘は全てが妻に似ていた。もちろん病弱なことも。
生まれながらに小柄で小さな小さな産声をあげた娘に香澄と名付けた。一つは妻の名前を取ってもう一つは澄んだ日に生まれたから、もともと妻と名前を考えるつもりだったでも感染症やなんやらでなかなか入院している妻に会えなかった。
最後に会ったのは葬儀の時、妻は痩せ細って娘を死に物狂いで産んだのだとわかった。
涙が出ていることも知らずに、
葬儀が終わると、待ってましたと言わんばかりに香澄の病名を知ることになった。
最初は嫌がってた薬も次第に年齢とは見合わないくらい飲み慣れて、小さい顔に大きな呼吸器が装着されている。
普通は色とりどりの写真なのにいつも白く清潔な部屋でたくさんの機械がついた娘が心配させないようにポーズをとっている写真がカメラロールに増えていった。
僕はしだいに弱くなる子供を見ていられるはずがなかった。
数日後状態が悪化し娘は死んでしまった。
僕の中の時計がとうとう壊れてしまったかのように何もかもが遅く感じる。
葬儀の準備は僕を哀れに思った人たちが率先して準備した。
それすらももうどうでもよかった。
小さな体に見合わない箱の中で色白な娘とは真反対に鮮やかな花が置かれていた。
僕はカスミソウをそっとおいた。
娘の火葬されるそんな灯火を囲んで全てを消すように焼却炉に入れた。
無人島に行くならば君を持って行く。
大好きな君を監禁せず自然な方法で一緒に入れるし、好きなことできるし、責められないし、癒しがあるし。
最高だと思わない?
起きて
ハッとして目を覚ますと授業中当てられそうになった僕を隣の席になった好きな子が起こそうとしてくれていた。
夢も現実も同じなんだなって
恋の予感がした。
甘酸っぱくてクセになる、そんな予感がしたのだ。
初めての恋は一目惚れ。
誰にも取られたくなくて必死で必死で、でも嫌われたくなくて見守るだけで終わってしまった。
次の恋もその人だった。
諦めようと思っていた、でもいつもプレッシャーに負ける心が勝ってしまうものだから諦めることができなかった。
でも次第に嫉妬に溺れ、優しさに殺され、周りと比べ、
改良に改良を重ねた結果、自分では無くなってしまった。
どこかでは満足しているけれど、どこかではずっと嫌な予感しかしなかった。