僕の好きなあの子は授業中、空をずっと眺めている。まるで空に恋をしたような顔をして、そんな君を僕は好きになった。
話しかけてみる勇気なんてない。かといって君を諦める気なんてない。僕の好きなその目がいつか僕を見てくれるまで頑張ろうと思う。
君に見惚れているとちょうどチャイムが鳴った。もう時間かぁなんて思いながら教科書などをしまい、次の授業の準備をする。
暇さえあれば君に頭を支配されてしまう。人聞きの悪い言い方だけどよく言えば僕は君に夢中なんだ。
次の時間は美術で班活動的なやつをする。先生の方で班は決めているらしい。あの子と班にならないかななんて考えながら席に着く。
先生が名前を呼ぶ自分ともう1人あの子の名前が呼ばれた。
ラッキーなんて思いながら、顔に出さず心の中でガッツポーズをする。
「よろしく」
なんて挨拶をして荷物を移動する。
美術のお題は“好きな場所”
ありきたりだ、なぜそんなお題を出すのかと思ったがあの子がなぜそんな空を見るのか今聞けるチャンスだと思った。
「空、いつも見てるけど好きなの?」
僕が最初に口を開く。頑張って言葉を考えてこの言葉しか出なかった。なんでこんなこと言ったんだ。もっと他の言い方あっただろなんて自分の中で反省しながら君の返事を待つ。
「うん、、、好きな子が空が好きって言ってたから。空を見てると遠くにいても繋がってるって思えるの」
「は、?」
急な言葉に自分の口から思っていなかった言葉がこぼれた。咄嗟に口を押さえ謝る。
「ご、ごめん!そんなんじゃなくて…」
「ううん、大丈夫」
僕はほっと胸を撫で下ろす。嫌われてしまっただろうかダサかっただろうなぁって頭を抱える。でもそんなこともう関係ない。
「君は?」
君が好きだからなんで口が裂けても言えない。
「空が、空が綺麗だから」
「そっか、」
そのあとのことは覚えてない。
自分は失恋をした。君にとって僕の恋は迷惑だったんだ。
恋を教えてくれたのは君なのに失恋も教えてくれるとは、、、
君が毎日空を見るのなら僕が空になってしまえば君は見てくれるのだろうか?僕の大好きな君の瞳に僕を入れてくれるだろうか?
そう思うと無駄に長く続く空も美しく思えた。
空を優雅に飛ぶ鳥を見る。
僕も飛んでみたいな。手を広げ空に抱かれる。
7/6/2025, 11:57:47 AM