「実は私、、隣のクラスの鈴木くんが好きなんよね、
確か、佐藤くんって鈴木くんと仲良かったよね?
だからさ!鈴木くんの好きな人聞き出して欲しいな!
ねぇ!一生のお願い!!」
そうだよね、、俺なんかね、、
彼女のことが好きだった俺は放課後突然呼び出されたことで心踊っていたのだ。
今年から同じクラスになって一目見た時から彼女の虜になっていた。
俺とは違って明るくて、俗に言う陽キャだ。
彼女からの視線をよく感じてたし、彼女の横を通ると俺の話をしてたような気がしてた。
呼び出された場所へ向かうまでの俺が馬鹿馬鹿しい。
俺の期待を返して欲しい、、
とても失望して落胆しながら帰路についていた。
「おーい!一緒帰ろうぜー!!!」
後ろから聞き馴染みのある声が聞こえた。
そう、彼が噂の鈴木だ。
鈴木とは小学校の頃からの仲で昔からよく二人で色んなことをして遊んでいた。
彼とは今話したくないな。
そう思い、逃げるようにして彼から離れた。
彼には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
俺はただ彼女と鈴木とのパイプ役なのだろうか。
家のベッドでうつ伏せになっている。
直接的ではないが彼女から振られた感覚になっており、生憎親友の鈴木が好きと聞いて目を開けることが出来なかった。
彼女からの視線、、噂話、、
どれもこれも俺の思い違いだったのだろう。
ただ俺の気にしすぎだったのかな。
これからのことが考えられない。
ピーンポーン、、、
家のチャイムがなった。
「よ!俺を置いて帰るとはお前にしては珍しい、
なんかあったんか?話なら聞くよ!」
彼の顔を見ると俺は今さっきまでの嫌悪感は消え、故郷のような温かみを感じた。
「ほら!キャッチボールでもしようぜ!!」
その言葉を聞いて俺は思った。
俺は彼女の恋愛対象の外にあり、彼の存在に届かないのは分かっている。
けれども、そんな彼と一緒に遊んでいたい、俺も彼のようになりたい、そう強く思った。
「おう!!今から速攻準備してくるー!」
俺はそう言って、外へと駆け出した。
(届かない思い)
私たち人間は常に記憶の地図が広がっている
刺激のある日も何事も無かった日も
記憶の地図って無限大なのだ
しかしこれは大きくなっていくばかりではない
古くなったもの、印象に残らないもの
それらの記憶は自然と消えてしまう
つまり地図から痕跡が抹消されてしまう
記憶というものは恐ろしいもので
嬉しかったこと、楽しかったことよりも
つらかったこと、恐怖に脅えたことの方が記憶に残る
まるで地図上に示された宝箱を開くと
とてつもない罠が仕掛けられており
恐怖や驚愕といった強烈な感情
それが鮮明に記憶に残るようだ
地図上を歩いているとピンチに遭遇することがある
まずは敵に遭遇しても臆することなく立ち向かう
どうしようもない時は逃げる選択をする
そのピンチを乗り越えた時自分のレベルが上がる
私たちは誰もがRPGの勇者なのだ
(記憶の地図)
マグカップは
様々な色が存在して
どんなに熱くても
どんなに冷たくても動じない
それに取っ手があるから手に取りやすい
でも手を滑らすと
どんなに強くてもバリバリに割れてしまう
まるで人間のようだ
同じ人間なんか存在せず
過酷な状況下でも耐え続け
助けを求めやすい存在だけど
一歩間違えると崩壊してしまう
マグカップと人間は紙一重
(マグカップ)
僕は交通事故に巻き込まれて病院に搬送された
暗闇から痛みを感じながら目覚めた時
君が隣のベット越しに声をかけてくれた
それが僕と君との出会い
その後も二人でよく話すようになって
お互いのこともたくさん知って
一緒に退院することを約束した
話すにつれて僕は君に恋してしまった
僕を見つめる目、笑った顔、しぐさ、優しい心
そんな君が好きだ
あぁ、この気持ちを伝えたいなぁ
??き?お??く???
私は意を決して病院の屋上に君を呼び出した
「お、おれは君が好きだ!」
初めてだったからとても緊張した
そんな君は照れくさそうにしていた
「ありがとう!よろしくね!」
君が僕の手をぎゅっと握ったとたん
身体が熱く熱く、心が飛び出しそうになった
こんな経験絶対に忘れ?ない?だろう??
それからは順風満帆な日々だった
いろんな所へデートへ行ったり
愛情表現をたくさんしたり
夏には花火大会
クリスマスには一緒にイルミネーション行ったね
そして僕らは結婚した
この上ないほど幸せ??だった?
子供もできて誰もが羨む生活を過してた
子供が独り立ちして定年を迎え
寝たきりになってからは君が支えてくれたね
君に見守られ??ながら?人生を終えた?
な?ん??て?いい?じ?ん??せい?なのだ?ろ?
??げ?ん??じ???つ?
じんわりと家の天井が見えてきた
長い長い夢を見てたようだ
机の上にはダバコやお酒が散乱してて
部屋の隅にゴミ袋が沢山置いてあり
仕事も行けず家賃滞納の紙がポストに入っていた
君はもういない
愛しの君はもういない
笑うしぐさが可愛くて優しい君はもういない
僕はずっと後悔してる
好きだと伝えようと心に決めたその後
病状が悪化して帰らぬ人になってしまうなんて
なんでもっと早く動けなかったの?
せめて想いを伝えたかった
ねえ、約束破らないでよ、、
一緒に退院するんじゃなかったの?
「もしも君が生きててくれたら」
頭で何回唱えたのだろうか
夢が現実になんて、、はぁ、むりか、
「もう一度君に会いたい」
(もしも君が)
君と出会ったのはいつだろう
確かとてもにらみつけられて
逃げ腰のくせに暴言を吐いていたよね
そんな中私の家へ招待すると
表情が一変してとても落ち着いていたね
それから一緒に暮らすことになって
私の呼びかけに瞬時に応答して
頭を撫でると私に見せる1番の笑顔を振る舞いてたね
ご飯を食べるために君は一生懸命で
私の機嫌をとっていたね
家の中や窓の外に
君が知らない人を見た時
いつも威嚇して暴言を吐いていたね
私のことを守ってくれていたのかな
外へ一緒に散歩へ行った時の君はね
この上なく楽しそうで
私が全速力で走っても追いつけなかったなぁ
それから十数年たって
君は私よりも歳をとって
かつてのような元気さはなくなり
家の中でゆっくり過ごすことが増えた
呼びかけてもご飯に呼んでも散歩に行こうとしても
足取りがとても遅くなっていた
そしてその時は突然訪れた
朝起きて君を呼んでも反応がない
体は冷たくなっていて落胆した
そんな中君との思い出がフラッシュバックする
初めて会った時君は体をブルブルしながら
私を何度も何度も吠えてたね
おすわり!お手!おまわり!
君は指示に従ってご飯を食べていたね
君の知らない人を見かけると
私を守るために吠えて威嚇していたね
散歩も全速力で駆け抜ける様子がとても愛おしかった
君の声や仕草や全てが
君にしか奏でることが出来ないハーモニーで
もう聴くことが出来ないのか
いや
君との時間を思い出せるのは私しかいない
君との日常を私は一生忘れないよ
(君だけのメロディー)