どこかの人

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「実は私、、隣のクラスの鈴木くんが好きなんよね、
確か、佐藤くんって鈴木くんと仲良かったよね?
だからさ!鈴木くんの好きな人聞き出して欲しいな!
ねぇ!一生のお願い!!」

そうだよね、、俺なんかね、、
彼女のことが好きだった俺は放課後突然呼び出されたことで心踊っていたのだ。
今年から同じクラスになって一目見た時から彼女の虜になっていた。
俺とは違って明るくて、俗に言う陽キャだ。
彼女からの視線をよく感じてたし、彼女の横を通ると俺の話をしてたような気がしてた。
呼び出された場所へ向かうまでの俺が馬鹿馬鹿しい。
俺の期待を返して欲しい、、
とても失望して落胆しながら帰路についていた。

「おーい!一緒帰ろうぜー!!!」

後ろから聞き馴染みのある声が聞こえた。
そう、彼が噂の鈴木だ。
鈴木とは小学校の頃からの仲で昔からよく二人で色んなことをして遊んでいた。
彼とは今話したくないな。
そう思い、逃げるようにして彼から離れた。
彼には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

俺はただ彼女と鈴木とのパイプ役なのだろうか。
家のベッドでうつ伏せになっている。
直接的ではないが彼女から振られた感覚になっており、生憎親友の鈴木が好きと聞いて目を開けることが出来なかった。
彼女からの視線、、噂話、、
どれもこれも俺の思い違いだったのだろう。
ただ俺の気にしすぎだったのかな。
これからのことが考えられない。
ピーンポーン、、、
家のチャイムがなった。

「よ!俺を置いて帰るとはお前にしては珍しい、
なんかあったんか?話なら聞くよ!」

彼の顔を見ると俺は今さっきまでの嫌悪感は消え、故郷のような温かみを感じた。

「ほら!キャッチボールでもしようぜ!!」

その言葉を聞いて俺は思った。
俺は彼女の恋愛対象の外にあり、彼の存在に届かないのは分かっている。
けれども、そんな彼と一緒に遊んでいたい、俺も彼のようになりたい、そう強く思った。

「おう!!今から速攻準備してくるー!」

俺はそう言って、外へと駆け出した。



(届かない思い)

6/18/2025, 6:07:57 AM