どこかの人

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君と出会ったのはいつだろう

確かとてもにらみつけられて

逃げ腰のくせに暴言を吐いていたよね

そんな中私の家へ招待すると

表情が一変してとても落ち着いていたね

それから一緒に暮らすことになって

私の呼びかけに瞬時に応答して

頭を撫でると私に見せる1番の笑顔を振る舞いてたね

ご飯を食べるために君は一生懸命で

私の機嫌をとっていたね

家の中や窓の外に

君が知らない人を見た時

いつも威嚇して暴言を吐いていたね

私のことを守ってくれていたのかな

外へ一緒に散歩へ行った時の君はね

この上なく楽しそうで

私が全速力で走っても追いつけなかったなぁ

それから十数年たって

君は私よりも歳をとって

かつてのような元気さはなくなり

家の中でゆっくり過ごすことが増えた

呼びかけてもご飯に呼んでも散歩に行こうとしても

足取りがとても遅くなっていた

そしてその時は突然訪れた

朝起きて君を呼んでも反応がない

体は冷たくなっていて落胆した

そんな中君との思い出がフラッシュバックする

初めて会った時君は体をブルブルしながら

私を何度も何度も吠えてたね

おすわり!お手!おまわり!

君は指示に従ってご飯を食べていたね

君の知らない人を見かけると

私を守るために吠えて威嚇していたね

散歩も全速力で駆け抜ける様子がとても愛おしかった

君の声や仕草や全てが

君にしか奏でることが出来ないハーモニーで

もう聴くことが出来ないのか

いや

君との時間を思い出せるのは私しかいない

君との日常を私は一生忘れないよ



(君だけのメロディー)

6/14/2025, 2:25:29 AM