お題『まだ知らない君」1/31出題用
※お題『日陰』の続き※
芳野は畑の上でバケツに入った土のついた雑草を逆さまにして全て出した。そして一本一本丁寧に雑草を取り出し、土を畑の上に落としていく。その様子を1番左端の畑で刃の部分が4本に分かれている備中鍬(びっちゅうくわ)を持ったまま可崘の祖父はしばらく何も言わず見つめる。
自分も畑を始めたばかり、何も分からなくて数日間、近所の農家の人に教わった時もそうだったなぁと思い出していた。
芳野が再び雑草抜きをはじめた頃、可崘が麦わら帽子をかぶって小走りでこちらにやってきた。
委員長(可崘)「おじいちゃん、芳野さん。遅れてごめんなさい」
芳野「そんな焦って来んでも大丈夫や。畑は逃げへんよ」
委員長(可崘)「そうですよね。私(わたくし)ったらつい焦ってしまったわ」
芳野と委員長は笑った。委員長は祖父の近くに歩みより声をかけた。
委員長(可崘)「おじいちゃん、私も今日は雑草抜きをしたらいいのかしら?」
可論の祖父「あ、あぁ。じゃあ芳野さんの隣の畑(右端から2番目)の方を頼んだよ」
委員長は返事をして屋外用物置から軍手と小さなシャベルを取り出し、雑草を抜きはじめた。
祖父は自分の作業が1ミリも捗っていないことに気づきせっせと畑を耕す。
耕しながら今日、知人と紹介されたばかりでまだ何も知らない君(芳野さん)の事を可崘はどう思っているのだろうと気になった。
End
〜委員長編とあセカ原案100話
お題『日蔭』(1/30分の再投稿)
※『帽子かぶって』の続き※
秋更可崘(あきざらかろん)(委員長)の祖父と芳野月(よしのゆえ)は家の隣にある小さな畑を訪れた。
この小さな畑は今、隣にいる可崘の祖父が趣味でしている家庭菜園だ。
芳野「立派な畑ですね」
可崘の祖父「そうでもないよ。3坪程度だよ」
可崘の祖父は笑っていた。畑の右端を歩くように言われ、奥にある屋外用物置へ2人は向かう。物置の中には農具類が収納されている。芳野は可崘の祖父から軍手と折りたたみの四角いバケツを受け取る。
可崘の祖父「あのレーンの場所(畑)の雑草抜きを手伝ってもらえないかな」
可崘の祖父は芳野の目の前にある1番右端の畑を指さした。土の上にぴょっこっと細い黄緑色の草が雑草だと丁寧に教える。
芳野「わかりました」
返事をして腰を下ろし畑に近づく。そして雑草を見つけては次々に抜いていく。可崘の祖父は何かを思い出し、芳野に声をかけた。
可崘の祖父「芳野さ〜〜ん。言い忘れていたが、雑草についた土は払い落としてくれないか?」
畑の半分くらい行った所で声がかかる。芳野はバケツの中を見る。雑草と一緒に土も抜いてしまい、分量を例えるとしたら紙コップ1〜2個分くらいの土が入っていることに気がづいた。
芳野「これはあかんわ、やり直しやわ」
日陰のない小さな畑これをほぼ1人でしているのだとしたら大変だろうなぁと思う芳野であった。
End
〜委員長編とあセカ原案99話〜
お題『帽子かぶって』1/29出題用(再投稿)
※お題『明日に向かって歩く、でも』の続きです※
麦わら帽子を届けたお礼に秋更(委員長)の家で麦茶をご馳走になってしばらく経つ。自分より年下の女の子に少しだけ悩みを打ち明け、心が軽くなった芳野(よしの)は何かお礼がしたいと言い出した。
芳野「麦茶ゴチになったし、なんかお礼させてや」
委員長(可崘)「急にそう言われましても……」
元々は自分の麦わら帽子を拾ってくれたお礼がしたかったから誘っただけなのに。この芳野という男“礼をもって礼を尽くす“人間なのだろうか。委員長が戸惑っていると客間の戸が2回叩かれた。委員長は返事をする。
祖父「可崘、まだそこに青年はいるのか?」
青年、芳野さんのことだろう。2人は互いの顔を見合わる。芳野は立ち上がり、客間の戸を開けた。
芳野「あ、すみません。長居して。オレそろそろ帰ります」
芳野は祖父に一礼する。すると祖父は芳野に帽子を被らせた。
祖父「まだ日が高い。帰るならその帽子被って帰りなさい」
芳野「え?あ、はい。ありがとうございます」
委員長「芳野さん、先ほどのお礼の件ですが。もしお暇でしたら夏休みの間祖父と一緒に畑を手伝って頂けませんか?」
芳野「えぇよ。けど、ホンマにそれでえぇんか?」
委員長「はい」
祖父「??……なんだか、話が見えないが芳野さん。もし暇なら今から少しだけ手伝ってもらえますか?」
芳野「あ、はい」
委員長は芳野に手を振り、後で自分もそちらへ向かうと言い芳野と祖父を見送った。
End
〜委員長編 とあセカ原案98話〜
お題「小さな勇気」1/28出題用
大神パート(過去)
大神天河(おおがみてんが)彼がまだ幼稚園に通っていた5歳の話。その頃は父と母(実母)の3人で団地に住んでいた。
団地の敷地内には公園のような砂場や鉄棒、そしてに幼児用の遊具と思われるゾウの形をした滑り台が設置された広場がある。大神は幼稚園から団地に帰宅すると黄色のショルダーバッグを母に預け滑り台を目指して急に走り出す。この行動は雨の日以外彼の日課(ルーティーン)だ。
幼少期の大神「おかん。ちょっとすべってくる!」
大神の実母は微笑み、走る大神を見送る。
大神の実母「はい、いってらっしゃい」
ゾウの滑り台に着くと、今日は珍しく先客が居た。
先客は幼少期の大神と同じくらいの身長の子供だった、おそらく同学年だろう。
滑り台で遊ぶにはゾウのお尻部分に見える階段を上がらなければならいのだが、先客は階段を前にして一歩、1段目に足を出してはすぐ地面へ足を戻すという行為を繰り返している。早く滑りたい大神は先客に背後から声をかけた。
幼少期の大神「なぁ、なにしてんの?はよ、かいだんのぼってや」
先客は自分の後ろに誰かがいることを気づいておらずものすごく驚いてしまい肩をびくりとさせ、「うわぁ?!」と思わず声を出した。そしてゆっくり後ろを振り向き––––。
先客「ごめん。きゅうにこわーなってもうてん」
先客は今日初めて1人で滑り台で遊ぶらしい。いつもは大人の人が彼の側で見守ってくれている。近い内彼には兄弟が産まれるらしくお兄ちゃんとして一人前になる為この滑り台に挑んでいると話す。そんな彼の小さな勇気に大神は応援したくなった。
幼少期の大神「おれ、うしろにならぶのやめるわ。じぶん(先客)がすべるまでとなりでみとくわ!」
先客「うん。ありがとう」
大神が側にいるとわかると先客は躊躇なく階段を上がり、ゾウの背中へ歩く。そして頭(頂上)から一気に地上に降りる鼻先へ滑って行くのだった。
End とあセカ原案(97話)
(再投稿お待たせしました。お題に対して全くストーリーが思い浮かばず、2ヶ月以上も放置しておりすみませんでした。少しづつではありますが再開をして行こうと思っております。しばらくは短い文章箇条書きになるかも知れません。お題次第ですが😅その放置の間❤️を送って下さったユーザー様ありがとうございます。)
お題『わぁ!』1/27出題分 船星パート
大神の優しい嘘に騙されていることに気づかない船星、萌香、くろと(生徒A)、まるた(生徒B)はひたすら笹の葉を探していた。
すると4人の中の誰かひとりが、『うわぁ!」と少し大きな声を発した。大神、真珠星、委員長の3人はその声が聞こえた萌香達がいる場所へ戻ると–––––。
船星が申し訳なさそうに、首を垂れて立っている。声の主は船星だった。彼は笹の葉探しに夢中になりすぎて、誤って柵に躓いて体のバランスを崩し、このエリアで流れている小川に両足が入ってしまったらしい。
大神「船星、何やってんねん……大丈夫か?」
船星「う、うん。足元暗くてよく見えなくて」
委員長「早く、そこから出た方がいいと思うわ」
船星は小川から出ると委員長の指差す方へ目をやる。委員長は警告と書かれた看板を指を差していた。
看板には【警告⚠️ この小川に絶対入らないで下さい!また小川の中にいる昆虫や小魚に手を触れないで下さい】
大神「あちゃ〜。ヤバいなとっと逃げなあかんわ」
と言い急に焦りだした。大神はクロト達に次のエリアに早く行こうと声をかけた。
End とあセカ原案(96話)