よつば666

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お題「小さな勇気」1/28出題用
大神パート(過去)

大神天河(おおがみてんが)彼がまだ幼稚園に通っていた5歳の話。その頃は父と母(実母)の3人で団地に住んでいた。
団地の敷地内には公園のような砂場や鉄棒、そしてに幼児用の遊具と思われるゾウの形をした滑り台が設置された広場がある。大神は幼稚園から団地に帰宅すると黄色のショルダーバッグを母に預け滑り台を目指して急に走り出す。この行動は雨の日以外彼の日課(ルーティーン)だ。

幼少期の大神「おかん。ちょっとすべってくる!」

大神の実母は微笑み、走る大神を見送る。

大神の実母「はい、いってらっしゃい」

ゾウの滑り台に着くと、今日は珍しく先客が居た。
先客は幼少期の大神と同じくらいの身長の子供だった、おそらく同学年だろう。
滑り台で遊ぶにはゾウのお尻部分に見える階段を上がらなければならいのだが、先客は階段を前にして一歩、1段目に足を出してはすぐ地面へ足を戻すという行為を繰り返している。早く滑りたい大神は先客に背後から声をかけた。

幼少期の大神「なぁ、なにしてんの?はよ、かいだんのぼってや」

先客は自分の後ろに誰かがいることを気づいておらずものすごく驚いてしまい肩をびくりとさせ、「うわぁ?!」と思わず声を出した。そしてゆっくり後ろを振り向き––––。

先客「ごめん。きゅうにこわーなってもうてん」

先客は今日初めて1人で滑り台で遊ぶらしい。いつもは大人の人が彼の側で見守ってくれている。近い内彼には兄弟が産まれるらしくお兄ちゃんとして一人前になる為この滑り台に挑んでいると話す。そんな彼の小さな勇気に大神は応援したくなった。

幼少期の大神「おれ、うしろにならぶのやめるわ。じぶん(先客)がすべるまでとなりでみとくわ!」

先客「うん。ありがとう」

大神が側にいるとわかると先客は躊躇なく階段を上がり、ゾウの背中へ歩く。そして頭(頂上)から一気に地上に降りる鼻先へ滑って行くのだった。

End とあセカ原案(97話)

1/27/2025, 10:51:30 AM