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2/11/2022, 7:19:43 AM

「電子世界」

子供達はコンピューターの展示会に来ました。

「うわぁ!スゴイ」
子供達の目に映ったのは、仮想空間に行く事が出来る機械の数々です。
「この機械で、夢の国の様な世界へ行く事が出来るよ」
展示会のスタッフは、子供達に仮想空間に行く事が出来るゴーグルを被せました。

「ケガとかしない?」
子供の一人がスタッフに質問すると、
「アハハ!仮想空間は映像だけの世界だからケガはしないよ。どんな事があっても無傷で帰って来れるから安心して」
と、返事が返って来ました。
「じゃ、行ってらっしゃ〜い!」
子供達は、仮想空間の世界に行きました。

「スゲー!ゲームの中じゃん!」
子供達の目には、大好きなゲームの世界が現実に現れたかの様な世界が広がっていました。

「このエリア行ってみよーよ!」
「オレはコッチ!」
子供達は、それぞれ自分が行きたいエリアに行きました。
「私は…ファッションコーデのエリア行ってみよう」
外見に自信が無い子供は、オシャレの勉強を兼ねてファッションコーデのエリアに行きました。

「ようこそ!ファッションコーデのエリアへ。このエリアではファッションセンスを磨く事が出来るわよ」
ファッションコーデのキャラクターの周りには、オシャレ好きな子供達が集まっていました。

「みんな可愛くてオシャレだな…」
外見に自信が無い子供は緊張していました。

「まず、オシャレ女子は顔が命!とことん、美しく可愛くメイクしなきゃね♡…まさか、顔がそばかすやニキビで荒れてるって事は無いわよね?」
ファッションコーデのキャラクターは皮肉を言いました。
「…(まさか、私の事?)」
外見に自信が無い子供は、まさか自分に言ってるのでは無いかと不安になりました。

「コッチがガーリーファッションのコーナーよ。いかにも女の子らしさを出したい時にオススメのテイストよ。オシャレ女子たる者、これくらいの基礎知識は知ってて当たり前よね!」
「…(何か、この人の説明について行けない…。さっきから私の事を馬鹿にしてる様な事しか言わないし…)」
外見に自信が無い子供の顔から元気が無くなりました。

「ココはみんなのお待ちかね!試着ターイム♡」
「ヤッター!」
「着よう着よう!」
オシャレ好きな子供達は、ゲームの世界の服を着始めました。

「どうしよう…」
外見に自信が無い子供は、自分の似合う服がどれかが分からなかったので困っていました。
「あら?オシャレの仕方が分からない?なら、私のオススメを教えてあげるわ」
ファッションコーデのキャラクターは、外見に自信が無い子供に芸人のコントで来そうな決してお洒落とは言えない服を着せました。

「ひ、ヒドイ…」
「ドジでマヌケでブサイクなあなたにはコレがお似合いよ。馬鹿丸出しなのがいかにもお洒落の努力を全くしないあなたらしさを演出しているわ」
ファッションコーデのキャラクターにキツイ一言を言われた外見に自信が無い子供は泣いてしまいました。
「あんた馬鹿じゃない?どう見ても服装とかダサいしさ」
「ファッションに興味が無いの丸わかりだし」
「てか、アンタ男子から人気無さそ〜wそんな奴がここに居る事自体間違いだし」
オシャレ好きな子供達は、外見に自信が無い子供の方を見てクスクス笑い始めました。

「みんな、最下位ランクの子にメイクの勉強教えてあげてね」
ファッションコーデのキャラクターはそう言うと、オシャレ好きな子供達は外見に自信が無い子供の顔に落書きし始めました。
「現実世界に帰りたい…」
外見に自信が無い子供は、逃げるように現実世界に帰りました。

現実世界に帰った外見に自信が無い子供は、展示会のスタッフにこの事を話しました。
「あ、ひょっとして上級者コースに行っちゃったんじゃ無いかな?仮想空間は、大勢が参加だとトラブルが起きる事もあるんだ。でも、大丈夫。仮想空間でケガはしないから」
「体はケガしなくても、心はケガしますよね?それに、上級者コースとか書いてありませんでしたよ?」
外見に自信が無い子供は、ショボンとしながら家に帰りました。

2/8/2022, 12:18:57 PM

「ねずみの誘い」

とある大きな屋敷に美しい少年と美しい女性が暮らしていました。美しい少年は美しい女性の大きな愛情を受けて育ちました。

ある日、美しい少年は美しい女性に
「お父さんはいないの?」
と、聞きました。美しい女性は
「そんな事、気にしなくて良いのよ」
と、苦い顔をしていました。美しい少年はそれ以来、自分の父親の話はしなくなりました。

しばらく経ってからの事。美しい少年は庭で遊んでいると、パンの欠片をくわえた一匹のねずみを見つけました。美しい少年は、好奇心からか夢中でねずみを追いかけました。ねずみは、地下の物置の扉の側の穴に入って行きました。

「あ、ここはお母さんが入っちゃいけないって言ってる所だ…」
美しい少年は引き返そうとすると、
「入って来いよ。良い事を教えてやる」
と言う声がしたので、美しい少年は物置の中に入って行きました。

「誰か居るの?」
美しい少年は声の主を探すと、さっきのねずみが現れました。
「魔女には気を付けろよ。俺達を豚やねずみの姿に変えてこんな所に閉じ込めやがるからな」
「ねずみが喋った!それに豚って…」
美しい少年は辺りを見渡すと、地下牢の光景が広がり、奥の方に一匹の豚が閉じ込められていました。

「その豚は俺の妻だ。すいぶんと閉じ込められてるが、ここは時計が無いからどれ位閉じ込められているか分からねぇ」
「お願い、私達を助けて…」
ねずみと豚は美しい少年に助けを求めました。

「え?でも、ねずみの方は物置の外に出られたんじゃ…」
「動物の姿じゃこの土地の外に出られねぇんだ。子供は魔女に取り上げられるし、分だり蹴ったりだ!」
「私達の赤ちゃん、無事かしら…?」
「えーと…あ、そうだ!今日の日付くらいなら分かるよ」
美しい少年は、ねずみと豚に今日の日付を教えました。

「あれから13年も経ってるの?」
「おい、まさか…お前が俺達の子供か?」
3人は驚いていると、
「感動の再会はいかがかしら?」
と、美しい女性が入って来ました。

「この自惚れと魔性の女との間に出来たのがあなたよ?我が子のように愛して育てて食べるつもりだったけど…食べ時が早くなったわね」
美しい女性は恐ろしい魔女の姿に変わり、美しい少年を牛の姿に変えました。だけど、術が甘かったのか美しい少年は下半身のみ牛に変わりました。

「しまった…」
「よし、突進すれば檻を壊せるかも!」
美しい少年は突進して豚が閉じ込められている檻を壊しました。
「やったわ!」
「みんな逃げるぞ!」
美しい少年は、ねずみと豚を背中に乗せて物置の外に出ました。

「あ…外に出たのは良いけど、この姿じゃ敷地の外に出られないよ…」
迷路の様な庭を走って来た3人は門の前で止まってしまいました。
「おやおや、出られないみたいね。3人ともここで料理してあげるわ」
魔女は3人に術をかけようとすると、美しい少年は大きな鏡を掴んで術を魔女に跳ね返しました。

「あ、あれ?」
魔女はねずみの姿になってしまいました。そして、猫の集団に囲まれて食べられてしまいました。
「やった!人間の姿に戻った!」
3人は人間に戻り、故郷の自分達の我が家に帰って幸せに暮らしました。

2/4/2022, 5:03:41 AM

「病気の漫画家」

とある漫画家が居ました。

漫画家は仕事に厳しくて、新人ならまだしも同期の漫画家が描く漫画にも批判をしていました。

漫画家は、絵が物凄く上手くて、話もあらゆる人を惹きつけるような魅力ある物でした。そのせいで、自分より売れている同期や後輩の漫画が手を抜いていたら許せなかったのです。

漫画家は、新連載が始まってしばらく経った頃、腰が痛むようになりました。漫画家は仕事が続行不可能だと思い、休載をする事にしました。

ベッドで休む日々が続いたある日、漫画家の妻が気分転換にと旦那を海外旅行に誘いました。

漫画家は海外旅行が良い気分転換になり、復帰しないと妻に申し訳無いと思い、仕事を再開しました。

漫画家は、作者コーナーに旅行の事を書くと、読者から
「病気で休んでたんじゃ無かったのかよ」
「仕事しろ」
と、厳しい意見がネットで飛び交いました。

漫画家は休めない辛さの余り、腰痛が酷くなった頃、同業者達が漫画家の漫画を真似るようになりました。

漫画家は、
「自分の作品が、盗みに盗まれて良い様にされる位なら抗議のつもりで休んでやる」
と思い、長期の休載を繰り返すようになりました。

ネットでは、漫画家の連載再開を望む声が飛び交う様になりました。ただ、ずっと休載していた訳じゃないので、連載が再開される度にネットニュースで大々的に取り上げられました。

漫画家の休載中、妻が漫画の仕事をして生活費を稼いでいましたが、結婚前程成果が上がらず苦悩の日々でした。

漫画家に追い打ちをかけるかの様に、漫画家の作品を真似た新人達の漫画が大々的にヒットする様になりました。

漫画家は更に腰痛が酷くなり、
「世間では自分は必要とされていないんだな」
と思う様になった漫画家は、その時期を境に漫画を描かなくなりました。

2/1/2022, 5:09:28 AM

「誰も助けてくれない」

一人の真面目な中学生が居ました。中学生は少ないながらも友達が居て、有名大学に進学し、有名企業に就職して両親を楽させてあげたいと言う夢がありました。

ある日、中学生は同じクラスの同級生に呼び出されました。その同級生は、髪は金髪で、耳にピアスを空けていて、改造制服を着ている、言わば校則違反の常習者の不良です。その同級生は、腕っぷしが強い為、誰も逆らう事が出来ませんでした。

体育館の裏に呼び出された中学生は、同級生に
「ケンカで負けた方が丸坊主な」
と言われ、顔や体が痣だらけになる程殴られました。

中学生がケンカに強い同級生に勝てる訳が無く、動けなくなった中学生は髪の毛を毟り取られて丸坊主状態になり、裸にされて動画や画像を撮られてしまいました。

数日後、中学生は教師に呼び出されました。中学生は、事情を話せば先生に助けてもらえると思っていましたが、教師は動画や画像がネットで拡散されたのを
「お前のせいで、学校は大恥をかいたんだぞ!」
と言い、中学生を責めました。

「誰も助けてくれない…」中学生は悲しみの余り、雪が吹雪くとても寒い日の夜に公園に行き、自らあの世に行ってしまいました。

中学生の両親は学校に抗議を申し立てましたが、学校は、
「中学生は悪ふざけが過ぎたのでしょう。一人の被害者と十人の有望な加害者、どっちが大切ですか?そりゃあ、加害者でしょう。生きている生徒を守るのが大事ですから」
と、返事を返すだけでした。中学生の両親は
「頭がおかしいんじゃないですか?子供が被害に遭っているんです!」
と反論しましたが、学校は、
「頭がおかしいのはそっちでしょう。精神科のある病院に行ったらどうです?」
と言い、両親を追い返しました。

中学生の両親は、マスコミに子供の件を告発しましたが、マスコミは流行り病に関する報道をするのに忙しくて、大々的には取り上げませんでした。年月と共にこの事件の事は人々の記憶から消えて行きました。

加害者である同級生達は中学卒業後、高校大学と進学して卒業し、中流階級の裕福な人生を送り、主犯格は芸能界で成功を収めました。

1/28/2022, 8:48:35 AM

「オシャレしたいけど…」

とある学生は、駅で電車が来るのを待っていました。電車が来るのを今か今かと待っていると、一人の中年女性が学生に話しかけました。

「あら!素敵なお召し物ですね。どこで買われたのですか?」
「…ファストブランドですけど」
学生が中年女性にそう言うと、中年女性の表情が曇りました。

「…いつ、ご購入されたのですか?」
「高校入学の年だから5年くらい前ですけど…」
学生は、変な質問をして来る他人に警戒心を持ち始めました。
「なら、良かったです。お洋服、大切になさって下さいね!」
中年女性は、そう言うとどこかへと行ってしまいました。

「君、大丈夫だったかい?」
学生の隣に居た中年男性は心配そうでした。
「あの人は環境保護団体の職員だよ。新品の服を着ている人を見つけると注意し回って行くんだよ」
中年男性は、言い争いを起こしている職員とティーンの女性達の方を見ました。

「ちょっと!警察呼ぶよ!」
「あなた達は間違っています。環境保護の為にも、その自然を犠牲にして作られた新品の服を脱いで、環境に配慮した服を着て下さい!」
「ダサい古着を着ろっての?!」

「…注意は大声だから、本当に迷惑だよ」
中年男性は苦い顔をしていました。
「今は、お洒落したら叩かれる時代ですもんね…」
学生は難しい顔をしていました。
「昔は、オシャレはステータスだったけど、見栄えの良い服を皆の手に届く様に安く作ろう思ったら、綿花や石油や動物の毛を大量に作らなければならないし、それらを作る過程で大量の真水を消費するからな。生地を染める染料もそのまま川に流してるって話だしな」
中年男性は学生に説明しました。
「真水って飲める水の事ですよね?それに、そのまま川に流してるって…」
「服の生地を作っているのは、建物が整備されていない発展途上国が多いんだよ。ろ過装置の建設技術が無いから使った染料はそのまま海にダダ流しだ。それに、海水では陸上の植物は育たんからな」
「おじさん、詳しいですね」
「小難しい話を長々とスマンかったな」
中年男性は頭をかきました。
「とにかく、あの人らは新品の服が環境汚染の元だと主張しとるから、買ったばかりの服を着る時は気をつけるんだよ」
中年男性はそう言うと、学生が乗らない電車に乗って行きました。

「環境も大切だけど、行き過ぎた主張は争いを生むだけで迷惑なんだよね。今の時代、着飾りたいならアバターアプリがあるし、現実の服は売れない服や古着でも良いと思うんだ」
学生の目的の電車が来て、学生は乗って行きました。

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