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「ねずみの誘い」

とある大きな屋敷に美しい少年と美しい女性が暮らしていました。美しい少年は美しい女性の大きな愛情を受けて育ちました。

ある日、美しい少年は美しい女性に
「お父さんはいないの?」
と、聞きました。美しい女性は
「そんな事、気にしなくて良いのよ」
と、苦い顔をしていました。美しい少年はそれ以来、自分の父親の話はしなくなりました。

しばらく経ってからの事。美しい少年は庭で遊んでいると、パンの欠片をくわえた一匹のねずみを見つけました。美しい少年は、好奇心からか夢中でねずみを追いかけました。ねずみは、地下の物置の扉の側の穴に入って行きました。

「あ、ここはお母さんが入っちゃいけないって言ってる所だ…」
美しい少年は引き返そうとすると、
「入って来いよ。良い事を教えてやる」
と言う声がしたので、美しい少年は物置の中に入って行きました。

「誰か居るの?」
美しい少年は声の主を探すと、さっきのねずみが現れました。
「魔女には気を付けろよ。俺達を豚やねずみの姿に変えてこんな所に閉じ込めやがるからな」
「ねずみが喋った!それに豚って…」
美しい少年は辺りを見渡すと、地下牢の光景が広がり、奥の方に一匹の豚が閉じ込められていました。

「その豚は俺の妻だ。すいぶんと閉じ込められてるが、ここは時計が無いからどれ位閉じ込められているか分からねぇ」
「お願い、私達を助けて…」
ねずみと豚は美しい少年に助けを求めました。

「え?でも、ねずみの方は物置の外に出られたんじゃ…」
「動物の姿じゃこの土地の外に出られねぇんだ。子供は魔女に取り上げられるし、分だり蹴ったりだ!」
「私達の赤ちゃん、無事かしら…?」
「えーと…あ、そうだ!今日の日付くらいなら分かるよ」
美しい少年は、ねずみと豚に今日の日付を教えました。

「あれから13年も経ってるの?」
「おい、まさか…お前が俺達の子供か?」
3人は驚いていると、
「感動の再会はいかがかしら?」
と、美しい女性が入って来ました。

「この自惚れと魔性の女との間に出来たのがあなたよ?我が子のように愛して育てて食べるつもりだったけど…食べ時が早くなったわね」
美しい女性は恐ろしい魔女の姿に変わり、美しい少年を牛の姿に変えました。だけど、術が甘かったのか美しい少年は下半身のみ牛に変わりました。

「しまった…」
「よし、突進すれば檻を壊せるかも!」
美しい少年は突進して豚が閉じ込められている檻を壊しました。
「やったわ!」
「みんな逃げるぞ!」
美しい少年は、ねずみと豚を背中に乗せて物置の外に出ました。

「あ…外に出たのは良いけど、この姿じゃ敷地の外に出られないよ…」
迷路の様な庭を走って来た3人は門の前で止まってしまいました。
「おやおや、出られないみたいね。3人ともここで料理してあげるわ」
魔女は3人に術をかけようとすると、美しい少年は大きな鏡を掴んで術を魔女に跳ね返しました。

「あ、あれ?」
魔女はねずみの姿になってしまいました。そして、猫の集団に囲まれて食べられてしまいました。
「やった!人間の姿に戻った!」
3人は人間に戻り、故郷の自分達の我が家に帰って幸せに暮らしました。

2/8/2022, 12:18:57 PM