「電子世界」
子供達はコンピューターの展示会に来ました。
「うわぁ!スゴイ」
子供達の目に映ったのは、仮想空間に行く事が出来る機械の数々です。
「この機械で、夢の国の様な世界へ行く事が出来るよ」
展示会のスタッフは、子供達に仮想空間に行く事が出来るゴーグルを被せました。
「ケガとかしない?」
子供の一人がスタッフに質問すると、
「アハハ!仮想空間は映像だけの世界だからケガはしないよ。どんな事があっても無傷で帰って来れるから安心して」
と、返事が返って来ました。
「じゃ、行ってらっしゃ〜い!」
子供達は、仮想空間の世界に行きました。
「スゲー!ゲームの中じゃん!」
子供達の目には、大好きなゲームの世界が現実に現れたかの様な世界が広がっていました。
「このエリア行ってみよーよ!」
「オレはコッチ!」
子供達は、それぞれ自分が行きたいエリアに行きました。
「私は…ファッションコーデのエリア行ってみよう」
外見に自信が無い子供は、オシャレの勉強を兼ねてファッションコーデのエリアに行きました。
「ようこそ!ファッションコーデのエリアへ。このエリアではファッションセンスを磨く事が出来るわよ」
ファッションコーデのキャラクターの周りには、オシャレ好きな子供達が集まっていました。
「みんな可愛くてオシャレだな…」
外見に自信が無い子供は緊張していました。
「まず、オシャレ女子は顔が命!とことん、美しく可愛くメイクしなきゃね♡…まさか、顔がそばかすやニキビで荒れてるって事は無いわよね?」
ファッションコーデのキャラクターは皮肉を言いました。
「…(まさか、私の事?)」
外見に自信が無い子供は、まさか自分に言ってるのでは無いかと不安になりました。
「コッチがガーリーファッションのコーナーよ。いかにも女の子らしさを出したい時にオススメのテイストよ。オシャレ女子たる者、これくらいの基礎知識は知ってて当たり前よね!」
「…(何か、この人の説明について行けない…。さっきから私の事を馬鹿にしてる様な事しか言わないし…)」
外見に自信が無い子供の顔から元気が無くなりました。
「ココはみんなのお待ちかね!試着ターイム♡」
「ヤッター!」
「着よう着よう!」
オシャレ好きな子供達は、ゲームの世界の服を着始めました。
「どうしよう…」
外見に自信が無い子供は、自分の似合う服がどれかが分からなかったので困っていました。
「あら?オシャレの仕方が分からない?なら、私のオススメを教えてあげるわ」
ファッションコーデのキャラクターは、外見に自信が無い子供に芸人のコントで来そうな決してお洒落とは言えない服を着せました。
「ひ、ヒドイ…」
「ドジでマヌケでブサイクなあなたにはコレがお似合いよ。馬鹿丸出しなのがいかにもお洒落の努力を全くしないあなたらしさを演出しているわ」
ファッションコーデのキャラクターにキツイ一言を言われた外見に自信が無い子供は泣いてしまいました。
「あんた馬鹿じゃない?どう見ても服装とかダサいしさ」
「ファッションに興味が無いの丸わかりだし」
「てか、アンタ男子から人気無さそ〜wそんな奴がここに居る事自体間違いだし」
オシャレ好きな子供達は、外見に自信が無い子供の方を見てクスクス笑い始めました。
「みんな、最下位ランクの子にメイクの勉強教えてあげてね」
ファッションコーデのキャラクターはそう言うと、オシャレ好きな子供達は外見に自信が無い子供の顔に落書きし始めました。
「現実世界に帰りたい…」
外見に自信が無い子供は、逃げるように現実世界に帰りました。
現実世界に帰った外見に自信が無い子供は、展示会のスタッフにこの事を話しました。
「あ、ひょっとして上級者コースに行っちゃったんじゃ無いかな?仮想空間は、大勢が参加だとトラブルが起きる事もあるんだ。でも、大丈夫。仮想空間でケガはしないから」
「体はケガしなくても、心はケガしますよね?それに、上級者コースとか書いてありませんでしたよ?」
外見に自信が無い子供は、ショボンとしながら家に帰りました。
2/11/2022, 7:19:43 AM