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1/19/2022, 10:33:22 AM

「喋るお人形」

女の子は、お母さんと二人で暮らしていました。

お母さんは、本当のお母さんでは無くて、女の子の本当のお母さんは女の子を産んですぐに天国に行ってしまいました。お父さんは、今のお母さんと再婚しましたが、事故に遭って本当のお母さんと同じ天国へ行ってしまいました。

お母さんは、恋人を見つけてとても幸せな気分でしたが、血の繋がりの無い娘を目障りに思っていました。お母さんは、女の子を何とか痛めつけられないかと思っていて、友達から聞いた話の中に
「怖い人形を買い与えると地獄に追いやれる」
と言う話を聞いた出来事を思い出したお母さんは、女の子にお人形を買い与えました。

女の子は、「アバターゲームをやりたい」と、お母さんに言ってましたが、お母さんは「ダメに決まってるでしょ!」と、女の子に強く言い放ち、「家は貧乏だからお人形で我慢しなさい!」と、女の子にお人形遊びを押し付けました。

女の子は、お人形遊びを始めましたが、今の時代は、流行り病の影響があるのと、スマホゲームの普及でお人形遊びをする子供は殆ど居ません。お友達を誘っても誰も遊び相手になりませんでしたので、女の子は一人で遊ぶしかありませんでした。

「何でお人形遊びをしなきゃいけないの?お人形遊びなんて誰もしないよ?本当は皆と一緒にスマホみたいな機械のゲームで遊びたいのに…」女の子は泣きながらお人形遊びをしていると、「ご主人様は泣いてるの?」と、突然お人形が喋り始めました。

「お人形が喋った!」女の子は驚きました。「ご主人様、最近は誰も遊び相手になってくれなくて寂しかったの。ずーっと遊び相手になってくれる?」お人形は女の子にお願いをしました。「良いよ」女の子は、お人形以外遊び道具が無かったので、渋々お人形のお願いを聞くしかありませんでした。

家に帰ると、お母さんは笑顔で「新しいお父さんが出来るよ!」と、嬉しそうに女の子に報告しました。「それに、新しい弟か妹も出来るよ!」お母さんは、女の子に母子手帳を見せました。「良かったね。家族が増えるよ」お人形の立体映像が女の子の前に現れました。「お母さん、お人形の立体映像が目の前に居るよ」と、女の子はお母さんに言いましたが、「ハァ?お前、熱でもあんの?」と、言い返されました。

お母さんが寝静まった後、女の子はお人形に聞きました。「立体映像みたいに現れる事が出来るの?」お人形は「もちろん!だって、ご主人様は私の友達だからね」と、言いました。「授業の時は現れないでね」女の子はお人形に言いました。

お母さんは、新しいお父さんと再婚して妹が生まれました。お母さんは血の繋がった娘を溺愛して、お父さんも血の繋がった娘を溺愛しました。お父さんとお母さんは、赤の他人の様な血の繋がっていない娘を虐待し始めました。

女の子は、お風呂に入れてもらえず、食事も一日に白米を茶碗半分しか食べさせてもらえません。お父さんから毎日の様に殴られて、お母さんは些細な事でもキツく怒る様になりました。

女の子の家族は、幸せそうな家庭だなと思わせる様でしたが、女の子だけは中世ヨーロッパの貧しい乞食を思わせる様な身なりでした。女の子の親は、学校の先生や近所の大人に「うちの子は変わり者で、お風呂も嫌いだし、好き嫌いも激しいんです。それに引っ込み思案で…」
と、子育てに困ってる様な素振りを見せていました。そのせいか、周囲の大人達は誰も女の子を助けませんでした。

女の子は、泣きながら「死にたい」と、呟きました。お人形は「じゃあ、死ねば?」と、女の子に言いました。「お前、前世で私をイジメてただろ?私は、お前のイジメのせいで友達も家族もみーんな失った。お前に私の辛さを味わってもらってたんだ。今度はお前が死ぬ番。死ねよ!」お人形は女の子と同じ大きさになって、女の子を線路に突き落としました。女の子は、電車に轢かれてあの世に行きました。

お人形は、女の子の人生記録を見て「あ、間違いだった。コイツ同姓同名の別人じゃん」と言い、どこかへと消えて行きました。「本物、何処行った?!」ちなみにお人形が探している人物は、お金持ちの家に生まれ、人生のエリートコースを歩み、友達も多く、恋人にも恵まれる何不自由無い幸せな人生を送っていました。

お人形が目的を果たせる日は果たして来るのでしょうか…?

1/18/2022, 11:38:43 AM

「牧師の人助け」

ある日、教会の牧師さんの元に貧しそうな夫婦がやって来ました。夫婦は、
「お願いです。水を下さい」
と、牧師さんにお願いしました。牧師さんは、夫婦に水をあげました。

牧師さんは、何故夫婦が教会に来たのか聞くと、
「結婚したは良いが、あまりにも貧しくて住む所を追い出されてしまいました。手持ちのお金もあとわずか。夫婦共倒れを覚悟した時にこの教会が目に入ったのです」
と、いかに自分が大変だったかを夫婦は牧師さんに説明しました。

「良いでしょう。住む所をお貸しします」
牧師さんは、夫婦に教会の空き部屋を貸しました。
「ありがとうございます」
夫婦は、牧師さんにお礼を言いました。

夫婦は、最初は教会の掃除や手伝いを自主的にやっていましたが、次第に怠けて過ごすようになりました。

それからしばらく経ち、夫婦は、
「職を探すのにお金が必要です。何とかなりませんか?」
と、牧師さんにお金を貸してくれるようにお願いしました。
「仕方ありませんね」
牧師さんは、夫婦にお金を貸しました。夫婦は職を探して、教会を後にしました。

数十年後、夫婦が経営する店が成功し、大きな会社になるまで成功し、夫婦はお偉いさんになっていました。

牧師さんは、夫婦に貸したお金を返してもらおうと夫婦の元に向かいましたが、「そんなの身に覚えが無い」と、言われて門前払いされました。

夫婦は、
「牧師さんが自分達の悪い噂を流すんじゃないか?」
と、思ったのか、牧師さんに嫌がらせを始めました。

牧師さんは、高い税金を払わされて、教会を修理出来ず、挙句の果てには、信者達から村八分にされてしまいました。

夫婦は、贅の限りを尽くす生活を送りに送りました。だが、夫婦は学ぶ努力を一切しなかったので、仕事ぶりはそんなに良くありませんでした。

この事を不審に思ったお巡りさんは、国中を聴き込みに回り、遂には夫婦を捕まえました。

貧しい頃に戻った夫婦は、牧師さんに
「助けてくれ」
と、お願いしましたが、牧師さんは助けてくれませんでした。

1/12/2022, 8:07:32 AM

「妖精の国と天使の国」

妖精の国のお姫様は、誰からも好かれて、誰からも愛されて育ちました。お茶会、パーティー、公務などの仕事も嫌な顔せずに笑顔でこなしました。

誰からも愛されるお姫様ですが、一部の妖精はお姫様の事を良い様には思っていませんでした。ある日、お姫様は公務で魔法が苦手な妖精を自分の魔法で助けた事がきっかけで、お礼がしたいと言って来たその妖精に会いに行く事にしました。

お姫様は、待ち合わせ場所まで行くと、助けた妖精以外に復数の妖精が待ち構えていました。お姫様は妖精達に取り押さえられて、王族の証であるペンダントを壊されてしまいました。

「ククク、良い気味」と言い残して、妖精達は去って行きました。

お姫様は、待ち合わせ場所が国の外だったので、自分の国に入ろうとしました。お姫様は、「君、妖精の国の者か証明する物はあるか?」と、門番に言われたので、壊れたペンダントを見せると、「何で壊れてるんだ?まさか盗んだな?!」と、門番はお姫様を悪者扱いしました。

「違います!盗んでいません!何者かに壊されてしまったんです!」と、お姫様は今までの事を話しましたが、「犯罪者を国に入れる訳にはいけない」と、門番は聞く耳持たずでした。

「捕まえろ!」門番は他の仕事仲間を呼んでお姫様を捕えようとすると、真珠の様な輝きのペガサスが現れて、お姫様を背中に乗せて空高く飛んで行きました。

「ありがとう!…えーと、あなた誰ですか?」お姫様はペガサスに聞きました。「僕は天使の国の王子です。恐ろしい魔女が妖精の国を乗っ取って、貴女達王族を始末しようとしています」王子様はお姫様に今起こっている事を説明しました。

「とにかく、今は天使の国で避難して下さい」王子様はお姫様を天使の国に連れて行きました。

天使の国は、全てが真珠で出来ている様な白く美しく輝く景色が広がっていました。「王子様の国って白くて綺麗な所ね」お姫様は天使の国を見て感動しました。

お姫様は王子様のお城に行きました。「おやおや、大変でしたでしょうに…」天使の国の人達は、お姫様を温かく迎えました。その夜、お姫様は王子様に「妖精の国の皆を助けたい」と、言いました。

お姫様や王子様達は、一週間準備をして妖精の国に乗り込みました。妖精の国では、オーロラ色の空の他、妖精達の体が真っ黒になり、目がギロッと赤くなっていました。「魔女の仕業だな?!こんな時は、聖水の雨が一番!」王子様の友達の兵士は、空に雨雲を発生させて聖水の雨を降らしました。

「犯罪者は許さない」と、呟き続けていた妖精達は、聖水の雨を浴びると元に戻りました。「まずは戦う人数を減らさないとな」大成功と兵士は小声で言いました。「早くお城に向かわなきゃ!」お姫様達はお城に向かいました。

お城に着いたお姫様は、何もかもが真っ黒になり、血の様に赤い薔薇がお城中に咲き乱れていました。「魔女はきっと王座ね!それに、私達の家族が心配だわ…」お姫様は、家族を心配しました。

「貴女は家族を助けに行きなさい。僕達は魔女の所へ向かいます」天使達は王の広間へ向かいました。お姫様は地下牢へ向かいました。

「お父様お母様達が地下牢に閉じ込められて無きゃ良いんだけど…」お姫様が地下牢の扉を開けると、自分の家族達が牢屋に閉じ込められていました。「この裏切り者が…!!」家族達も体が黒くなっていたので、お姫様は牢屋全体に聖水を振りまきました。

「…!何でわし等が牢に居るのじゃ?」正気を取り戻した妖精の国の王族達に、お姫様は今までの事を説明しました。「おのれ、魔女の奴め!」「今は、天使達が魔女と戦ってるわ」お姫様は檻の扉を開けて、家族達を助けました。

「姫よ、ペンダントが壊れてるのでは無いか?修理した方が良いじゃろ」お姫様は、王様にペンダントを渡しました。「お父様、天使達の様子を見て来ます」王様の子供達は王の広間へ向かいました。

王の広間へ着いたお姫様達は、黒くて大きな魔女が天使達を叩きのめしていました。「おやおや、誰かと思えば犯罪者達ではないか」魔女は薔薇に息を吹きかけると、血のように赤い兵士の姿に化けてお姫様達を攻撃し始めました。

「お姫様、残ってる聖水を魔女にかけてくれ!」兵士はお姫様に聖水の瓶を渡しました。「フン、その手には乗らないよ」魔女の爪が聖水の瓶を突き刺そうとしました。

お姫様は魔女の攻撃をかわし、魔女の頭まで飛びました。「愛される存在は嫌いだよ。誰からも憎まれる思いを味わうと良い」魔女はお姫様を掴んで、お姫様を真っ黒にしようとしました。

「く、苦しい…」お姫様の意識が朦朧とすると、聖水の瓶を落としてしまいましたが、王子様がペガサスの姿になって瓶を掴み取りました。

「喰らえ!」ペガサスは魔女の頭まで飛び、お姫様ごと魔女に聖水をかけました。「ギャァァア!」魔女の姿が消えました。

「妖精の国を助けてくれてありがとう。でも、私のペンダントが壊れたままだから…」「心配しなくて良いですよ。僕の妃になって頂けませんか?」お姫様は王子様と結ばれて、天使の国で幸せに暮らしました。

1/8/2022, 12:06:53 PM

「猫の王様」

ある一匹の猫の話です。

その猫は、自分らしく生きれて、誰からも愛される幸せな人生を夢見ていました。

子供の頃の猫は狩りが苦手で、仲間達にからかわれる毎日を送っていました。仲間達は必死で狩りの練習をしていましたが、猫は、

「どうせいくら頑張っても出来ないままなんだ」

と、全く狩りの練習をしませんでした。

野良猫は、狩りをしないと食べ物が手に入らない為、必死で狩りの練習をしますが、主人公の猫の場合は飼い猫なので狩りをしなくても、飼い主から食べ物をもらえます。

大人になった猫は、必死で立派にネズミを捕まえては明日の食料の心配をしている野良猫達を尻目に、人間の元で愛嬌を振りまき、毎日遊びながら暮らす優雅な生活を送っていました。

遊びに明け暮れていた猫ですが、ある日、自分の家に新しいペットがやって来ました。それは、自分の餌の親戚の様な生き物、ハムスターです。

飼い主は、ハムスターの世話ばかりして、猫の世話は二の次になってしまいました。猫はハムスターを飼い主から自分への愛情を奪った悪者だと思うようになりました。

ハムスターがやって来てから数ヶ月が経ったある日、オリから脱走したハムスターを目撃した猫は、思わず本能的にハムスターを仕留めて食べてしまいました。猫は、狩りが初めて成功した事に物凄く喜びました。

次の日、ハムスターの籠を見て、何もいなくなってる事に深い悲しみを見せた飼い主は、猫が食べてしまったんだと感づき、猫を保健所送りにしました。

猫は、「このまま死にたくない」と強く願いましたが、刻一刻と殺処分の時間が近づいて来ます。

殺処分まであと一日になった時、保護施設の職員が猫を引き取りに来ました。

猫は、保護施設の一員となり、保護猫達と一緒に暮らす事になりました。

猫の人格は、保健所にいる間に大きく変わってしまい、悪の組織のボスの様になってしまいました。保護施設に来てからの猫は、保護猫達を統括して自分がボス猫になりました。

ボス猫は、保護施設にはテレビの取材が度々来たり、保護施設の職員が動画配信をしているのを利用して、国中の飼い猫達に

「ネズミ共を好き放題させて良いのか?!」

と、訴え続けました。

飼い猫は野良猫より立場が上だと考える野良猫も多かったので、国中の猫はボス猫の言う事を鵜呑みにしました。しばらく年月が経ってからボス猫は、

「ネズミ共を食い荒らせ!」

と、国中の猫達に命令しました。国中の猫達は、一斉にネズミ狩りをし始めました。

この国からネズミがほとんど居なくなり、年老いたボス猫は、ハムスターが来る前の飼い猫の頃を思い出しながら、天国へ旅立ちました。

12/28/2021, 11:20:04 AM

「生まれ変わりの川」

一人の幽霊は天国の光景を見ていました。

その幽霊は、生き物だった頃は一つも良い事が無くて、何かに生まれ変わるのにうんざりしていました。生まれ変わる度に災難に遭っていたからです。

「もう、生まれ変わるのは嫌だ。良い事なんて一つも無いよ」
「行くでしゅ」
幽霊の目の前に、赤ん坊みたいな妖精が現れました。
「生まれ変わって、愛情たっぷりの人生を送るでしゅ」
「ゴメン、他当たってくれない?僕はどの人生も嫌なんだ」
幽霊は、赤ん坊みたいな妖精の誘いを断りました。

「ダメでしゅよ?ほら、さっさと行くでしゅ。ほら、早く行きましょ」
赤ん坊みたいな妖精が生まれ変わりの川に連れて行こうとしました。

「嫌だ!どの人生もゴメンだ!戦争か拷問か処刑の最期の人生なんてもう嫌なんだ!」
「そんな事無いでしゅよ?ホラ…」
赤ん坊みたいな妖精は、怪しい光を放ち始めました。
「赤ん坊に戻そうとしてるんだな」
幽霊は瞬時に悟りました。赤ん坊みたいな妖精は幽霊をグイグイ引っ張って行きました。

「待って。その人嫌がってるよ」
別の幽霊は赤ん坊みたいな妖精を止めました。
「無理に転生させる必要は無いんじゃない?」
「イジメは駄目だよ」
赤ん坊みたいな妖精の周りに幽霊達が集まって来ました。

「ど、どうしたでしゅか?!えーん!」
赤ん坊みたい妖精は泣いてしまいました。すると、怪しい光は強くなりました。

「オイ、妖精。生まれ変わりたいんなら、お前一人で転生すれば良いだろ」
幽霊達に混ざってその場に居た鬼は、赤ん坊みたいな妖精をひょいっと掴んで生まれ変わりの川に放り投げました。

「あっぷあっぷ…何しゅるんでしゅか!覚えてろでしゅ…」
赤ん坊みたいな妖精はそのまま流されて行きました。

「鬼さん、皆さん、ありがとな」
幽霊は、鬼や幽霊達にお礼を言いました。
「いやいや、戦場で助けてもらったお返しですよ」
「一緒に戦った戦友じゃないか!」

鬼や幽霊達は、人間だった頃の姿に戻って天国の光景を見ながら思い出話に浸りました。

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