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「病気の漫画家」

とある漫画家が居ました。

漫画家は仕事に厳しくて、新人ならまだしも同期の漫画家が描く漫画にも批判をしていました。

漫画家は、絵が物凄く上手くて、話もあらゆる人を惹きつけるような魅力ある物でした。そのせいで、自分より売れている同期や後輩の漫画が手を抜いていたら許せなかったのです。

漫画家は、新連載が始まってしばらく経った頃、腰が痛むようになりました。漫画家は仕事が続行不可能だと思い、休載をする事にしました。

ベッドで休む日々が続いたある日、漫画家の妻が気分転換にと旦那を海外旅行に誘いました。

漫画家は海外旅行が良い気分転換になり、復帰しないと妻に申し訳無いと思い、仕事を再開しました。

漫画家は、作者コーナーに旅行の事を書くと、読者から
「病気で休んでたんじゃ無かったのかよ」
「仕事しろ」
と、厳しい意見がネットで飛び交いました。

漫画家は休めない辛さの余り、腰痛が酷くなった頃、同業者達が漫画家の漫画を真似るようになりました。

漫画家は、
「自分の作品が、盗みに盗まれて良い様にされる位なら抗議のつもりで休んでやる」
と思い、長期の休載を繰り返すようになりました。

ネットでは、漫画家の連載再開を望む声が飛び交う様になりました。ただ、ずっと休載していた訳じゃないので、連載が再開される度にネットニュースで大々的に取り上げられました。

漫画家の休載中、妻が漫画の仕事をして生活費を稼いでいましたが、結婚前程成果が上がらず苦悩の日々でした。

漫画家に追い打ちをかけるかの様に、漫画家の作品を真似た新人達の漫画が大々的にヒットする様になりました。

漫画家は更に腰痛が酷くなり、
「世間では自分は必要とされていないんだな」
と思う様になった漫画家は、その時期を境に漫画を描かなくなりました。

2/4/2022, 5:03:41 AM