川柳えむ

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11/26/2025, 5:14:40 AM

 赤く染まった落ち葉で道が敷き詰められて、それはまるでレッドカーペットのようだった。
 レッドカーペットの先には、明るい場所。
 スポットライトのように明るい日差しに照らされた君が、そこで待っている。笑いながら、こちらに手を振る。
 僕は手を振り返すと、落ち葉の道を足早に歩き出した。


『落ち葉の道』

11/24/2025, 11:04:41 PM

 子供の頃、家で見つけた小さな金色の鍵を大切にしていた。
 何の鍵かはわからない。ただのアクセサリーだったのかもしれない。
 でも、同時の私にはそれが、魔法の扉を開く鍵のように思えて、わくわくした。
 ネックレスにしてしばらく身に着けていたけど、その鍵はいつの間にかどこかへ行ってしまった。
 どこにやったかわからない。落としてしまったのかもしれない。
 そのことすら忘れて、日々を過ごしていた。

 目の前に妖精がいる。
 妖精なんて架空の存在だろう。
 わかっているのに、何故かその光景を受け入れていた。
 妖精が手招きをする。
 ついていくと、妖精が実家の私の部屋の、机の引き出しを開けた。
 妖精は、その引き出しの奥底を指差した。
 ――そこで、目が覚めた。

 丁度休みだったので、電車を乗り継ぎ、実家へと帰ってきた。
 夢だとわかっているのに、何をやっているんだろう。
 家に着くとすぐに、今はもう物置になっている自分の部屋へと駆け込み、とっくに使われていない机の引き出しを開けた。
 そこには、たくさんの宝物が詰まっていた。
 好きだった人形、おもちゃの宝石、海岸で拾った貝殻やシーグラス、かわいいシール、子供の頃の写真もあった。
 その一番奥に、あの鍵のネックレスが、静かに横たわっていた。
 そして、気付いた。
 あの妖精は、小さい頃の私の姿をしていた。
 あの頃、たくさんの出来事が重なって、もう子供を卒業しなきゃいけないと、大切なものを全て仕舞い込んで、隠して、心に鍵をかけた。捨てられなかった。でも、忘れようと。
「もういいよ」
 あの妖精の姿が見えた気がした。子供の頃の自分が、そう言った気がした。
 無理して大人にならなくても良かったんだ、と。

 子供の頃、家で見つけた小さな金色の鍵を大切にしていた。
 ネックレスにしていたその鍵を、今も身に着けている。


『君が隠した鍵』

11/23/2025, 10:34:37 PM

 たくさんの物を手放していく。あなたから貰ったあれやこれ。あなた自身も。
 悲しかった。でも、いつまでも持っているわけにはいかないから。
 泣きながら、日々を耐えた。

 あれからどれくらい経っただろう。
 ある日、あなたからメッセージが届いた。
 そこには、あの頃ずっと待ち望んでいた言葉が書かれていた。
 でも、もう遅いよ。
 あなたの全てを手放して、空いてしまった空間は、時が過ぎ、今はもうそれ以外で満たされている。
 私は今ある宝物を大切に持っていく。


『手放した時間』

11/23/2025, 3:03:28 AM

 辺り一面の紅葉に顔も上気する。あまりに見事な光景で、子供ながらに、これが美しいと呼ばれるものなのだろうと理解した。
 両親が呼んでいる。
 そちらへ向かおうと一歩踏み出した。
 次の瞬間、風が吹いて木の葉が宙を舞った。視界が紅く遮られて何も見えなくなり、その場から動けなくなる。
 徐々に風は収まっていき、視界が晴れていく。
 次に目にしたのは、知らない男と、その場に倒れた両親と、ただただ美しい紅に染まった世界だった。


『紅の記憶』

11/21/2025, 10:35:07 PM

 たくさん踏み躙られたそれは、とうとう粉々になって壊れてしまった。
 その断片を一欠片だけ拾って、泣きながら箱のずっと奥底に仕舞い込んだ。
 そのまま忘れて、長い年月が過ぎた。
 何かあった気がしていたけれど、思い出さないようにしていた。ずっと目を塞いでいた。
 ある日、弾けるように箱が開いた。奥底から、あの頃の気持ちが溢れ出した。
 今からでも間に合うだろうか?
 その小さくなった、けれども重い断片を、大切に手に取った。


『夢の断片』

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