川柳えむ

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11/20/2025, 11:49:32 PM

 タイムマシンを開発するのが夢だ。
 その第一歩として、未来が覗ける双眼鏡を開発した。
 左のレンズにあるリングで日付を、右のレンズにあるリングで時間を指定すると、その指定した日時が覗けるのだ。
 早速試してみる。まずは一分後。特に変化はないが、ちゃんと覗き込める。次は一時間後。お、物の位置が変わっている。じゃあ次は明日。大きな変化は見られないが、やはり物の位置が若干変わっている。
 よし、次は百年後……見えない? 十年後も、見えない……。五年後も見えない。では、一年後は?
 驚いた。一年後、タイムマシンを完成させている自分の姿が見えた。
 もしかして、この双眼鏡では一年後が限界なのかもしれない。しかし、それでも構わない。タイムマシンを完成させて、直接自分の目で未来を確かめればいいのだから!
 それから一心不乱に開発を続けた。
 とうとうあの日見た瞬間が訪れた。タイムマシンを完成させたのだ。
 意気揚々とタイムマシンに乗り込み、百年後を設定する。
 あの日見えなかった未来へ、出発だ!
 そして、その未来で何も見ることはなかった。あの日見えていたもの――いや、見えなかったものは、確かだった。


『見えない未来へ』

11/19/2025, 10:34:36 PM

 空を一陣の風が吹き抜けていった。
 誰も気を止めていなかった。いつもの風だと思っていたから。
 風は大地を揺るがして、世界を変えた。
 今はもう、そこに風を感じる者はいなかった。


『吹き抜ける風』

11/19/2025, 3:35:26 AM

 スカイランタンのイベントが行われていた。気球みたいなランタンを空に飛ばすあれだ。
 そのイベントの概要に、不思議なことが書かれていた。
『短冊に忘れたいことを書いて、空に飛ばしてしまいましょう』
 こういうのって、願い事を書くんじゃなく?
 まぁ忘れてしまいたいこともあったし、面白そうだし、何より空を舞うたくさんのランタンは綺麗だろうと、参加することに決めた。
 願い事を書いた短冊をランタンに貼り付け、放つ為の会場へ移動する。
 みんな恥ずかしかったことでも書いているのか、短冊が見えないよう隠している人が多かった。
 日が暮れて、ライトを灯したランタンが一斉に放たれた。カラフルなLEDの灯りに、ヘリウムガスで飛ばされているので、空は様々な色で覆い尽くされた。
 なんて綺麗だろう……。
 その光景を見ているうちに、短冊に書いたことだけでなく、ランタンを飛ばしたことも、自分がなぜここにいるのかすらも忘れてしまったのだ。


『記憶のランタン』

11/17/2025, 10:30:31 PM

 すっかり肌寒くなってきて、もうすぐ君の出番ですね。
 頼りない僕を、いつも助けてくれてありがとう。
 僕は、今年どうだったかな? 少しくらいはちゃんと役目を果たすことができたかな?
 ここからは君が頑張ってね。僕が言うことじゃないかもしれないけど。
 僕は君の季節も楽しみにしてるよ。
 また来年会いましょう。

                    秋より


『冬へ』

11/16/2025, 9:04:54 PM

 月が君を照らしていた。
 雲の隙間から顔を覗かせた月が、まるで君だけのスポットライトのように、ぽっかりと。
 そんなことがあるのだろうか? 君は月の精のように見えた。
 儚く笑う君は、今にも月に帰っていきそうで。
 思わずそっと優しく抱き締めた。


『君を照らす月』

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