川柳えむ

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 スカイランタンのイベントが行われていた。気球みたいなランタンを空に飛ばすあれだ。
 そのイベントの概要に、不思議なことが書かれていた。
『短冊に忘れたいことを書いて、空に飛ばしてしまいましょう』
 こういうのって、願い事を書くんじゃなく?
 まぁ忘れてしまいたいこともあったし、面白そうだし、何より空を舞うたくさんのランタンは綺麗だろうと、参加することに決めた。
 願い事を書いた短冊をランタンに貼り付け、放つ為の会場へ移動する。
 みんな恥ずかしかったことでも書いているのか、短冊が見えないよう隠している人が多かった。
 日が暮れて、ライトを灯したランタンが一斉に放たれた。カラフルなLEDの灯りに、ヘリウムガスで飛ばされているので、空は様々な色で覆い尽くされた。
 なんて綺麗だろう……。
 その光景を見ているうちに、短冊に書いたことだけでなく、ランタンを飛ばしたことも、自分がなぜここにいるのかすらも忘れてしまったのだ。


『記憶のランタン』

11/19/2025, 3:35:26 AM