とある恋人たちの日常。

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12/3/2025, 2:10:50 PM

 
 昨日までは暖かいを通り超えて暑かったのに、今日は本当に寒かった。
 
 ――
 
 私は先にお風呂をいただいたので、恋人はお風呂に入っている。
 風邪をひかないよう今のうちに暖房をつけて寝室を温めていた。
 
「はー、暖かいー」
 
 頭をタオルでわしゃわしゃと拭きながら彼が寝室に入ってくる。
 
「わ、ちゃんと髪の毛乾かしてくださいね?」
「えー暖かいから良くない?」
「良くないです」
「ここにドライヤー持ってきてもいい?」
「あ、じゃあ私がかけてあげます」
「やった!」
 
 弾む声でドライヤーを取りに行く。
 嬉しそうな笑顔で持ってくると、コンセントに指してから私にドライヤーを向けてくる。
 
「よろしく!」
 
 彼の満面の笑みに胸が暖かくなりながらドライヤーを受け取った。
 ヘアミルクをつけてブラッシングをしてからドライヤーをかけていく。根元からしっかりね。
 
 ある程度乾かしてから、冷風で全体にドライヤーをかける。
 
「乾いてないところありますか?」
「……大丈夫そう」
 
 少し考えてからそう答えてくれる。
 私はまた温風に戻して全体にドライヤーかけた。
 
「寒くないですか?」
「うん」
 
 ドライヤーを止めて、軽くまとめていると彼が後ろから抱きしめてくれた。
 
「急に寒くなったから抱き枕になってね」
 
 私が乾かした彼の柔らかい髪が頬にあたって嬉しくなる。
 
「私も抱き枕になってもらいますからね!」

 
 
おわり
 
 
 
五六六、冬の足音
 
 
 

12/2/2025, 1:50:42 PM

 
 今年のクリスマスプレゼント、どうしようかな。
 アクセサリーは付けるタイプじゃないし。
 
 私は左手を開くと薬指の指輪が輝いていた。
 彼がこだわって選んでくれた、アイスブルーダイヤモンドがはまった指輪。
 
 大切な約束の指輪。
 これをくれた意味を思うと胸が熱くなってくる。
 
 同じくらいのものを贈りたい気持ちはあるけれど、それより彼らしいものを贈りたいな。
 
 そんなことを考えながらショーウィンドウを見ていると目を引く腕時計があった。
 
 値札のゼロの多さにびっくりはしたけれど、彼がくれた指輪を思うと気にしていられなかった。
 
 時計屋さんに入って目を引いた腕時計を見せてもらう。
 
 シンプルだけれど洗練された文字盤。
 革のベルトも格好いいと思うけど、金属のもいいな。
 
 日常生活強化防水と聞いて、これなら彼の仕事の邪魔にもならないかな。
 
 そして店員さんから〝時計を渡す意味〟を教えてもらった瞬間、私はこの時計に決めた。
 
 私は彼からこの指輪をもらった。
 それにどんな想いが込められているか知ってる。
 
 だから私はこの腕時計をプレゼントに選んだ。
 
 あなたの時間を私にください。
 
 そんな気持ちを込めて。
 
 
 
おわり
 
 
 
五六五、贈り物の中身
 
 
 

12/1/2025, 2:37:24 PM

 
 気になるあの子のことが頭から離れなくて、頭を冷やそうと外に出る。
 頬に当たる風が冷たい。
 秋色から冬に季節が一気に進んだ気がした。
 
 空を見上げると冬空の大気は澄んで星をより眩い。
 たくさんの星空が輝いていて、キラキラした彼女の瞳を思い出してしまう。
 
 自分が彼女に惹かれているのは、なんとなく察してる。
 でも、認めるのが怖いんだ。
 
 頭を冷やそうと思ったのに、かえって彼女を思い出してしまうほど、想いは募っているのだと痛感した。
 
 
 
おわり
 
 
 
五六四、凍てつく星空


11/30/2025, 1:22:45 PM

 
 今日は恋人と一緒に役所に行って書類を提出する。それは何事もなく受理されて、俺と彼女は正式な家族になった。
 
 家に帰ってから、用意していたプラチナのリングをお互いの薬指にはめ合う。
 
 その時の彼女は頬を赤く染めて、口元が緩んでいる。
 
「うふふ、嬉しいです」
「俺もだよ」
 
 薬指の指輪を改めて見て、俺に向けて見せてくれた。
 
「家族のしるしです!」
 
 えへんと胸を張る姿がまた愛らしい。
 
「これからもよろしくね」
「はい!」
 
 そう、これからも共に。
 
 
 
おわり
 
 
 
五六三、君と紡ぐ物語
 
 
 

11/29/2025, 1:17:29 PM

 
 前までは一人で暮らしていたから、自分の力で起きなきゃいけなかった。
 無機質な目覚まし音は盛大な音で鳴り響かせてようやく目が覚める。
 
 ――
 
「おはようございます!」
 
 恋人が俺の身体を揺すってくる。
 
 彼女の愛らしい声が心地よくて俺はこのまま眠れそうです。
 
「もー、起きないと朝ごはん冷めちゃいますよー!」
 
 その言葉を聞き、眠りから意識が戻ってくる。気がつけばパンの焼けたいい匂いがして、お腹が空いていることも思い出させた。
 
 目を擦りながらゆっくり身体を起こす。
 愛しい彼女がふわりと微笑んでから、俺の身体をギュッと抱きしめてくれた。
 
「おはようございます」
「ん、おはよ」
 
 無機質な目覚まし時計の音は、もう響かない。
 
 
 
おわり
 
 
 
五六二、失われた響き
 
 
 

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