認めてしまえば簡単で。
なんで否定できたんだろうと思うくらいには彼女に惹かれているんだ。
目が離せるくらいなら否定できたよ。
それが出来ないくらい、彼女の存在は俺の中で大きくなっていたんだから。
ここでは大切な人を作らないって決めていたのに、スルッと俺の心に入り込んで、笑顔が離れなくなった。
本当に、自分の心なのにままならないよね。
おわり
六八〇、My Heart
大好きな社長のようにシゴデキで格好良いオンナになりたい!
私が仕事で大きな失敗した時、そのフォローの対応に感謝しかなくて、格好良くて。この人の背中を見て役に立てるようになろうって思ったんだ。
社長は可愛い衣装も似合うし、仕事の時のスタイリッシュな姿も格好良くて憧れなの。
悩みも真摯に聞いてくれたし、笑いながら助けてくれた。私もそんな人になりたいんだ。
おっちょこちょいな私は、些細な凡ミスをしてしまう。ミスはミスとして報告し、自分でも対応できるようになった。
できることも増えたし、後輩もできて、先輩として教えられるようにもなった。
それでも、まだ追いつけない。
そりゃそうだよね。社長も成長しているんだから。
「なかなか上手くいかないなー」
そんなふうに恋人に言うと、彼は笑ってポンと頭を撫でてくれる。
「大丈夫だよ」
その瞳は優しくて、私の好きな表情を向けてくれた。
「君には君の良さがあるんだから」
おわり
六七九、ないものねだり
気がつくと視線があの子を追っている……気がする。
なんでだろう。
あの子になにか〝特別な感情〟があるのだろうか?
うーん。
そんなことないと思うんだよな。
そう首を傾げる。
でも、なんだかモヤモヤするんだ。
この都市に来たとき、特別な人は作らない。そう決めたのに、なんでだろう?
どんよりとした心持ちのまま、仕事場に戻った。
おわり
六七八、好きじゃないのに
「俺の、彼女になってくれますか?」
本当に思いもよらなかったの。
私を選んでくれるなんてミリもないと思っていた。
だから嬉しくて笑顔を向けて言ったの。
「喜んで!!」
そう言いながら正面から彼に飛び込む。彼はゆっくりと私を抱きしめてくれた。
私も彼に応えたくて彼の身体を強く抱き締める。
「ふふ、嬉しい……です」
目頭が熱くなって涙が溢れてきた。
嬉しくて、嬉しくて。
溢れる涙を止められなさそうだった。
土砂降りの雨のようにこぼれ落ちる。
この場所だけの雨が。
おわり
六七七、ところにより雨
「私も、だいすきです」
え?
心臓の音がうるさ過ぎて彼女の言葉が聞き取りにくかった。
でも、〝好き〟って言ってくれたような気が、する。
頬を赤らめながら見せてくれる笑顔は、とびきり可愛くて。
自覚してしまったからより可愛く見えてドキドキしちゃう。
でも勇気を振り絞って彼女にお願いを言った。
「俺の、彼女になってくれますか?」
驚いた表情の後に花が咲いたような満面の笑顔を向けてくれた。
「喜んで!!」
おわり
六七六、特別な関係