とある恋人たちの日常。

Open App
6/30/2025, 2:03:50 PM

 
 季節的に日差しが強くなって、カーテンを開けっ放しにしていると冷房の温度がなかなか下がらない。
 
「カーテン閉めるから電気つけるね」
「はーい」 
 
 俺は水色のカーテンを閉めてから、LED蛍光灯をリモコンて付けた。
 
 彼女が麦茶を出してくれて、ふたり揃ってソファに座る。昨日何があったとか、こういう話をしたとか、他愛のない話をしていると気温が下がっていく。
 彼女の肩がブルっと震えている姿を見てしまった。
 
「カーテン閉めたから寒くなったかな、温度上げるね」
 
 そう言いながらリモコンで温度を一度上げた。
 
「もう少し上げたほうが良かったら言ってね」
「はい」
 
 彼女はふわりと微笑んで、俺の腕に手を絡ませてから肩に寄りかかってくる。
 
「ありがとうございます。まずは、あなたからあっためてもらいます」
 
 ほんのりと頬を赤らめてから寄り添ってくれる。触れる彼女の体温が冷たくて本当に冷えていると理解したから、俺はその手を離して肩から抱き寄せた。
 
「じゃあ、まずはこうしようか」
 
 彼女は驚いたけれど、嬉しそうに俺の腰に両手を回してピッタリとくっつく。
 
 いや、本当に冷たいな。
 
 俺はリモコンでもう一度温度をあげてから彼女を抱きしめた。
 
 俺の体温を分け合えたらいいな。
 
 
 
おわり
 
 
 
四一〇、カーテン

6/29/2025, 2:07:39 PM

 
 暑い日が続くから、涼しい場所でのデートをすることにした。
 何度か来ているプラネタリウム。
 
 今回もちょっと良いペアシートを選択。横になって宇宙(そら)を見上げられるシートで、最初に見てからとりこになっていた。
 
「今日のお話も楽しみだね」
「はい!」
 
 私と彼は、ペアシートに寝転がる。彼を見つめながら横になり目が合うと同時に笑い合う。
 彼の柔らかい笑顔が大好きで、胸が暖かくなった。
 
 始まる前にふたりで宇宙を見上げるように身体を仰向けにして、私は彼の手の甲に触れると彼の手が私の手を包み込む。
 
 上映が開始されると、青い空が深い深い紺に変わり、星々が美しい光を放ってキラキラしていた。
 
 吸い込まれそうな深い青だった。
 
 でも、彼と繋いだ手の体温は私と彼がここにいると伝えてくれるようで、しあわせと安心を覚えた。
 
 
 
おわり
 
 
 
四〇九、青く深く

6/28/2025, 2:00:27 PM

 
 もわんと湿度が高くて、服が身体にベタついてしまい不快指数が無駄に上がる。
 空を見あげれば日差しは強くて手で顔に日陰を作るけれど暑さは増すばかり。
 首から汗が身体に流れ落ちて汗を拭う。
 
「あづーい!!!」
「暑いですね」
「夏の気配が近づくどころか、既に居座ってるよ……」
 
 ぐったりと頭を傾けると、滝のように汗が吹き出てきた。流石に不快過ぎて辟易していると頬に冷たいものが当たる。
 
「ひゃあっ、冷たっ!!」
「ふふ」
 
 彼女の手からペットボトルを頬に当てられて、その冷たさに驚くと俺を見て楽しそうに笑う彼女が見えた。
 
「飲んでください」
「ありがとう」
 
 彼女からペットボトルを受け取り、水分を身体に取り込んだ。
 
 もう初夏なんて言えないくらい暑いから、熱中症には気をつけないとね。
 
 
 
おわり
 
 
 
四〇八、夏の気配

6/27/2025, 12:28:36 PM

 
 この先がどうなるのか分からない。
 俺は今いる所から新しい都市に行く。
 まだ見ぬ世界へ、旅立つんだ。
 
 どんな自分になれるか分からない。
 どんな出会いがあるか分からない。
 やりたいことも見つけらるかも分からない。
 
 それでも今、ここで燻っているよりよっぽどいい。
 
 俺は前に進むんだ。
 
 大切な人ができるかもしれない。
 仲間かな。
 家族みたいな人かな。
 それとも、誰よりも愛しい人かな。
 
 分からないからこそ期待がワクワクするんだ!
 まだ見ぬ世界へ、歩きだそう。
 
 
 
おわり
 
 
 
四〇七、まだ見ぬ世界へ!

6/26/2025, 2:31:46 PM

 
 夕飯の片付けも終わったし、お風呂も入った。明日の支度は明日の私に任せましょう、とベッドへ先に入っていた恋人の上にダイブする。
 
「ぐえぇぇ」
「そんなに重くないー」
「ゆ、油断してた時に乗っかってきた……」
 
 なんとも心許ないか細い声が布団の下から聞こえてくる。私はそのままベッドに入り込むと彼の腕が私の身体に絡みつく。
 
 あったかいなあ……。
 
 そう思って、私も彼の腕に自分の手を重ねた。
 
「おやぁすみぃ……」
 
 それが、今日の彼が発した最後の声。
 
 彼の体重が少し私に乗せられて、ちょっと重いけれど嬉しくて、私も瞳を閉じてしまった。
 
 おやすみなさい。
 
 
 
おわり
 
 
 
四〇六、最後の声

Next