ごめんね。
心配かけているよね。
でも、俺が今どうしているかはきっと伝わっていると思うんだ。
救急隊員として、後には引けないものがあるんだ。
――
一緒に住むようになって、長く共に過ごす時間が増えることで言葉にしなくても彼女の言葉が分かる時がある。
もちろん、言葉にする大切さがあるのは分かっているから、ささいな言葉ほど大切に伝えるようにしているよ。
でも、緊張している時ほど言葉にしなくても通じる瞬間があるんだ。
今日は早く帰るつもりだった。
でも、帰る直前に大きな事故で行くことになったから、すぐにメッセージを送った。
終わったらすぐ帰るよ。
でも、今は救急隊員として人を助けてくる。
おわり
六五九、絆
俺と彼女は、どちらかと言えばワーカーホリックのタイプで、俺は彼女の仕事をする姿も好きで、彼女もそう言ってくれる。
もちろんそれだけじゃないよ。
誰よりも俺を大切にしてくれるから、俺も大切にしているし、彼女を笑顔にしたいって思ってる。
彼女とはお互い今の仕事についたばかりの時に出会って、少しずつ格好よくなる彼女を見続けていたんだ。
だから仕事をする姿がより好きになったんだよ。
でもね。
「よし、明日の休みは同じ日だから、温泉行くよー!!」
「え!?」
俺は彼女の前に元気な声で言った。
元々は外出デートって話になっていたから、他の予定はない。
いつも以上に目を大きく開いて俺を見上げる。
「さぁ、支度して。たまにはゆっくり休もう」
そう。
仕事している時も格好いいんだけどさ、たまには息抜きしたっていいよね。
おわり
六五八、たまには
最近仕事が忙しくて疲れている彼女に何かしてあげたいって思ったんだ。
まあ、俺ができることって少ないから、今度休みを合わせて温泉でも行こうなんて考えてる。
でもそれだけじゃなくて、彼女も好きなクリームソーダを作りたいんだよなー。
なんと言っても俺たちを繋げたきっかけだしね。
クリームソーダのシロップはどれにしようかな。
いつものメロンソーダでもいいんだけど……。
俺はクリームソーダ用のシロップを覗く。
やっぱり彼女の好きな青色のシロップで作ろう。
ブルーキュラソーのシロップ、ちょっと高級なバニラアイスも用意している。
うちで作る時はさくらんぼ無し。
クリームソーダのためだけに買うわけにはいかないからね。飽きちゃうのも嫌だしさ。
お風呂も夕飯も準備してあるから、あとは彼女が帰ってくるのを待つだけ。
癒しになってくれたら良いな。
おわり
六五七、大好きな君に
ヨタヨタとおぼつかない足取りで俺の元に飛びついてくれる、可愛い俺たちの天使。
満面の笑みを向けながら受け止めると、そのまま抱き上げた。
キャッキャと喜ぶ天使。
この可愛さプライスレス。
愛しい人との初めての子供だから、可愛くて仕方がない。
愛しい娘が、この先も健やかに過ごせるよう願いを込める日だから、今は妻が娘のために色々用意してくれている。
「ぱぁ〜あ?」
「なぁに〜?」
妻に似た無垢な瞳が俺をとらえる。
ああ、愛しい天使がこの先も健やかにありますように。
おわり
六五六、ひなまつり
やらかしたー。
スマホを見ようと運転していた車を止めて、スマホを見たり、連絡したりと続けていたらエンストしてしまった。
「やばーい」
遠出とは言わないけれど、いつもの道ではないところに来てしまったから、どうしようかと途方にくれていた。
でも俺には強い味方がいる。
彼女が俺の希望だ!
俺はまたスマホを取り出して、恋人に電話をかけた。
『はい、どうしましたか?』
「助けてー!」
『はい?』
彼女は車の修理を行える仕事に就いている。だからこんな状況になったら真っ先に頼れる俺の希望だった。
「車、エンストしちゃったー!」
『あやや。じゃあ、今いる場所の住所をメールしてください』
「分かった」
『ちゃんと料金もらいますからねー』
「それはもちろん」
『じゃあ、住所お願いします。準備したらすぐに行きますねー』
「よろしく」
プツンと通話を切る。
こういう時にとても頼りになるのが彼女で。
あまり本人には言ってないけれど、彼女の仕事をしているする姿を見るのが大好きだからちょっと楽しみだ。
おわり
六五五、たった一つの希望