とある恋人たちの日常。

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4/5/2025, 1:05:05 PM

 
 家に帰って、まったりとした時間をふたりでのんびり過ごす。けれど、今日はどこか違った。ふたりとも。
 
 私はソファに座っている恋人前に座り、彼の腕の中に収まって体重を預ける。彼の温もりが私の尖った気持ちをやわらげてくれた。
 彼は彼で私の身体を当たり前のように包み込んだままスマホを見ている。
 
 ふたりとも、〝ただ、離れたくない〟気持ちでいっぱいだったんだと思う。
 
 時々あるんだ、こういうこと。
 
 お互いの体温や鼓動がそばにある安心感が眠気を誘うと、私は彼の腕にしがみついた。
 
「重い?」
「ううん。でも痺れそうになったら横になろ」
「うん」
 
 そして極わずかな静寂。でも優しい空気はそのままだった。
 
「好きだよ」
 
 唐突、と言えば唐突なんだけれど、温もりと一緒により安心を得たくてそう言った。
 すると彼の腕に力が込められて私の身体を抱きしめてくれる。
 
「分かってる、俺も好きだよ」
 
 額に彼の唇が当たる。何をされたか分かるから嬉しくて私も彼の身体を抱き締め返した。
 
 好き。大好き。
 
 これが、私たちふたりの充電時間。
 
 
 
おわり
 
 
 
三二四、好きだよ

4/4/2025, 12:06:41 PM

 
「うぅ……寒い!」
「もう四月に入ったのに肌寒いですねぇ」
 
 そう言うと、暖を取るためと彼が私の手を取って自分のポケットにしまう。
 自然と視線が合い、ふふっと笑いあってしまった。
 
 そんな今日は仕事が休みだからとのんびりとお散歩デート。
 
 普段の仕事に追われることが多いし、二人とも土日休みって訳でもないから、休日が被った日くらいゆっくりとデートしたい……のです。
 
 それなのに、まだ春は来てくれなくて。
 吹きゆく風は冷たいまま。
 
 ほんの少し前までは気温が高かったから、私たちも風邪をひきそうだし、桜も季節を間違えちゃいそう。
 
 ひとつ、また風が通り過ぎる。
 揺れる枝にはまだピンクにもなっていない豆のような蕾が沢山。
 
「これから暖かくなるから来週には見頃ですかね?」
「なら、また来週も散歩に来ようか」
 
 彼の提案はとても素敵で、私の心を暖かくさせてくれる。
 
「行きたいです!!」
「じゃあ、また休みを確認しよう」
 
 手を離せばスマホでふたりともスケジュールを確認できるのに、彼は手を離す気は無いみたいでまた私は笑ってしまった。
 
「今度は桜、咲いていると良いねぇ」
「はい!!」
 
 来週はふたりで桜吹雪が見られたら、嬉しいな。
 
 そう思いながら、彼の手を握り返した。
 
 
 
おわり
 
 
 
三二三、桜

4/3/2025, 12:42:00 PM

 
「え?」
 
 先輩から聞いた。
 気になる彼女に運転を教えてあげたんだ。そうしたら先輩から声をかけられた。
 
「だから。頑張っているみたいだよ、彼女」
 
 話を聞いてみると、運転の練習姿をよく見かけるし、怪我をして病院にも来ているみたいだった。
 
「そうなんだ……」
 
 ぼんやりと呟いて、練習している時の彼女を思い出す。
 幼さなさも残していて、少しおっちょこちょいで、クルクルと表情が変わる。そんな彼女が普段見せない真剣な顔をして俺の話を聞いていた。
 
 そして、ひとつひとつを実行していく。
 
 いつものフワッとした声も違っていて、横で見ていた俺の胸は高鳴った。
 
「頑張っているんだな……」
 
 まだ教えてないことがあって、それは彼女が練習して成長したらまた教えると話していた。
 その機会は意外と早く来るのかもしれない。
 
 また君と一緒に練習する時間が。
 
 
 
おわり
 
 
 
三二二、君と

4/2/2025, 1:07:06 PM

 
 私と恋人は水色が好き。
 恋人の彼と仲良くなるきっかけのひとつは、水色……と言うか空色だった。
 
 少し前に、彼に救われた。
 肉体的には勿論だけれど、心が救われた。
 
 亡くした人を悼みながら一緒にいたら、察してくれて相談に乗ってくれた。
 
 優しい人。
 
 なにかお礼をしたいと思った時に、二人でヘリコプターに乗って空を見に行こうと思った。二人の大好きな空を!
 
 色々調べたら、遊覧で10分乗るだけでそれなりのお値段だった。
 
 どうしようかなと悩んだ。
 でも、彼の笑顔が見たい。
 
 それが私の独りよがりだって分かっているけれど、頑張りたいんだ。
 
 なんとか会社を決めて聞いてみた。
 季節や色々と丁寧に相談に乗ってくれて本当に助かった。
 今はお金が足りないから、それまでにお金を貯める。
 
 久しぶりに目標が出来た。
 それが何より嬉しい。
 
 彼とヘリコプターに乗りたい。その願いのために一生懸命働くんだ。
 
 あの空に向かって行けるように、私は頑張る!
 
 あの空と、彼の笑顔を見るために。
 
 しばらくして、彼にヘリコプターに乗らないかと相談してみたら、満面の笑みと共に二つ返事をもらえて、凄く嬉しい!
 
 私一人の目標が、彼と二人の目標になった。
 
 
 
おわり
 
 
 
二三一、空に向かって

4/1/2025, 1:34:07 PM

 
 苦しくて、痛くて、辛くて。
 身体を引き裂かれる痛みに気がふれそうだった。
 
 痛みは少しづつ並みのように来て、その感覚は短くなって今に至る。
 
 身体中の力を振り絞っていきみながら、うめき声をあげてしまう。
 
「頑張って」
 
 愛しい彼が私の手の上に自分の手を重ねてくれていた。私を見る彼の瞳からは泣きそうなほどの切なさを感じられる。
 
 苦しい。痛い。辛い。痛い。
 ああ、でも愛してる。
 
 そこからは、あまり記憶がない。
 引き裂かれそうな……ううん、実際に身体は引き裂かれていたの。
 痛みのピークが通り過ぎ、お腹の重さ、痛みが解放される。
 
 そして響き渡る子供の泣き声。
 
 良かった……。
 
 今までずっと全身で力を入れていたから、身体中の力を上手く抜けない。
 
 身体中から精一杯の声をあげて泣く今産まれたばかりの私の可愛い赤ちゃんが視界に入る。
 
「はじめまして……」
 
 色々な想いが溢れて涙がこぼれ落ちた。
 
「これからよろしくね」
 
 
 
おわり
 
 
 
三二〇、はじめまして

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