とある恋人たちの日常。

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 家に帰って、まったりとした時間をふたりでのんびり過ごす。けれど、今日はどこか違った。ふたりとも。
 
 私はソファに座っている恋人前に座り、彼の腕の中に収まって体重を預ける。彼の温もりが私の尖った気持ちをやわらげてくれた。
 彼は彼で私の身体を当たり前のように包み込んだままスマホを見ている。
 
 ふたりとも、〝ただ、離れたくない〟気持ちでいっぱいだったんだと思う。
 
 時々あるんだ、こういうこと。
 
 お互いの体温や鼓動がそばにある安心感が眠気を誘うと、私は彼の腕にしがみついた。
 
「重い?」
「ううん。でも痺れそうになったら横になろ」
「うん」
 
 そして極わずかな静寂。でも優しい空気はそのままだった。
 
「好きだよ」
 
 唐突、と言えば唐突なんだけれど、温もりと一緒により安心を得たくてそう言った。
 すると彼の腕に力が込められて私の身体を抱きしめてくれる。
 
「分かってる、俺も好きだよ」
 
 額に彼の唇が当たる。何をされたか分かるから嬉しくて私も彼の身体を抱き締め返した。
 
 好き。大好き。
 
 これが、私たちふたりの充電時間。
 
 
 
おわり
 
 
 
三二四、好きだよ

4/5/2025, 1:05:05 PM