月影

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6/9/2025, 12:06:51 PM

――どうしてこの世界は悲しい。
――どうしてこの世界は醜い。
――どうしてこの世界は失望と絶望が入り混じっている。
 悲しくても、醜くても、失望、絶望に押し潰されそうになっても、僕はこの世界を嫌いになれない。君がいるならどんな世界でも僕は美しいと胸を張れる。
この世界に君さえいてくれれば僕は生きていける。

6/8/2025, 11:00:45 AM

今年も桜の季節が来た。
 君と歩いた道は薄紅色の絨毯が敷かれている。一人で歩くと酷く胸が痛い、行き過ぎる春風、木々に止まった小鳥の囀り、舞い散り落ちる桜の花弁、それから――。
 君の声が耳元で聞こえた気がして、振り向くけれど、余りにも遠すぎて面影さえ見えなかった。
今年も私は君と歩いた道を一人で歩く。遠い君を想いながら。

6/7/2025, 11:53:35 AM

 
 夢見る少女のように、絵本のお姫様に私は憧れていた。華やかなドレスに身を包み、格好いい勇者様やら王子様と恋に落ちる。
 分かってる。分かってるよ。やっぱり、現実とは違うって、今の自分を省みる。学校では虐められ、家では親から成績の事ばかり言われ、毎日のようにできるアザや泪の跡さえ気づいていない。誰も助けてくれない。誰も私を気にかけない。
 だから、嬉しかった。貴方が私の手を引いてくれたから、私は救われた。ずっと私の側にいてくれた。
 夢見る少女のままじゃ生きていけない。けれど、貴方は私にとっての王子様だった。

6/6/2025, 4:19:54 PM

さあ行こうと、手を引いてくれた貴方の手は暖かった。
 あんなに朝が怖かったのに、貴方の手の温もりで不安で押し潰されそうなる夜も乗り越えられた。
早く朝が来てほしいとさえ思えるようになれた。
 まだ手の温もりはまだ覚えてる、貴方の声も、全部大切な思い出だから。
 ありがとう、貴方のおかげで私は一人で歩けてるよ。本当に、ありがとう。
私は貴方が眠る場所に手を合わせた。
風は冷たいのに、手だけは暖かった。

6/4/2025, 10:19:09 PM

あいつに抱いたのは、恋か、愛か、それとも――。
 当たり前のように何時も隣にいた。口数は少ない奴で、何処かほっとけなくて、側にいた。
 一人にならないように、他の人達とも話さず、ずっとあいつの側にいたのに。―――それなのに。
 あいつに抱いたのは、最初は恋だったかもしれない。愛だったかもしれない。だけど、今は酷く淀んだ暗く冷たい感情。
私以外の人といるあいつなんて、いらない。

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