7/5/2025, 10:17:02 AM
君の声と波音が重なり、あの時なんて言ったのか分からない。
もう一度聞き返そうにも、君はもう居ない。
どれだけ耳を澄ましても、波音だけが耳朶を満たすだけだった。
7/5/2025, 9:50:10 AM
風が頬を撫でる。柔らかな風、ふと君を思い出す。
優しくて、温かくて、繊細で、何時も自分よりも人思いで、何処か抜けてて。
側に居てほしかった。勝手に手を離さないでほしかった。
君を例えるなら、こういう風のような人だと答える。
そう、青い風のようだと。
7/3/2025, 5:11:40 PM
君は何処か悲しげに橋の向こうを見つめていた。
――このまま一緒に何処か遠くに行かない?
突然の君の持ち掛けに、思わず頷きそうになった。だけど、僕は何も答えない。
それができたら、どれだけいいだろう。
君と知らない道の先へ歩いていけたら、そう思うと嬉しくなる。でも、僕には償い切れていない罪がある。その罪がある限り、僕は何処へも行けない。
また僕は何も言えないまま、君と橋の向こうを見据えていた。
7/1/2025, 5:28:11 PM
雨の音、夕方に怪しく儚く鳴く蜩、風で揺れる風鈴、あの小屋での記憶、貴方の声。
生まれつき、私の目は光を通さない。闇の中唯一手を取ってくれたのは貴方だった。
夏の匂いと共に姿を消した貴方を、今でも忘れられない。
穢れない思い出の断片を抱いて、今日も深く眠る。
6/30/2025, 2:58:08 PM
カーテンが翻り、春風が桜の花びらを運んできた。
最後に私は長年過ごした室内を見渡した。
色々な思い出が蘇る。
初めての一人部屋にはしゃいだ事。親友達と笑い合ったり、喧嘩したり、恋人と過ごしたりした。
カーテンが翻る度、楽しかった事、悲しかった事が脳裏に過る。
階下から姉の声で我に返る。私は目尻に溜まった涙を拭い、部屋の扉のノブをつかむ。
「じゃあ行ってきます、また帰ってくるよ」
思い出が詰まった部屋に別れを告げ、夢への旅へ出発した。