初心者太郎

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1/31/2026, 2:08:05 AM

—誕生日プレゼント—

お昼休みに友人と話しながら昼食をとっていると、偶然男子たちの会話が耳に入ってきた。

「そういえば明日、涼介誕生日じゃん」
「めっちゃ忘れてた。明日、菓子パでも開くか」
「別にいいよ」

涼介君が苦笑いしていった。
こうして私は偶然、明日が好きな人の誕生日であることを知ってしまったのだ。

皆が眠りについた夜の時間。
だから私は、料理をしている。渡せるかもわからないお菓子を黙々と作っていた。

「ちょっと苦いけど、おいしい」

赤いプラスチックの袋にガトーショコラを詰め込んだ。

そして次の日。
朝、いつもと同じように席に向かう。

「誕生日、おめでとう」

涼介の周りで、いつものメンツがそう声をかけている。
私も素知らぬ顔で、彼におめでとうと声をかけた。でも周りに男子が群がっているせいで、プレゼントは渡しづらい。

時は流れ、昼休み。
昨日の会話通り、お菓子パーティが開催していた。
チャンスは一向に訪れない。

気づけば帰りのホームルームになっていた。
私は正直諦めていた。
家で美味しく食べようと、そう思っていた。

「プレゼントは渡せたの?」

部室に向かう時、優菜が訊いてきた。
私はかぶりを振った。

「勇気が出なかった」苦笑いして見せた。

バスケ部の練習を終え、ついに一日を終えてしまった。

「じゃあね、また明日ー」

チームメイトたちと挨拶して、部室を出た。皆は駅の方に向かい、私は駐輪場に向かう。

「あれ、どうしたの」

グラウンドの近くを通ったときに、偶然涼介と出会した。

「血が出たから洗おうと思って」

膝から、血が流れていた。彼はサッカー部だからスライディングでもしたんだろう。

「痛そう。……これあげるよ」

私は赤い袋を手渡した。

「こういうのって普通、絆創膏をくれるんじゃないのか」
「持ってないんだから、しょうがないじゃない。カカオが多いから貧血予防になるわよ」
「まぁ、ありがとう」

彼は釈然としない顔で袋を開けた。

「うまい!どこで買ったの、これ」
「私が作ったんだ」
「へぇ、料理上手なんだな。美味しかったよ、ありがとう」
「そう……、また明日」

駐輪場に着くと、私は大きく息を吐いた。
長い緊張が解けたようだった。

ウキウキの気分で、自転車を漕ぎ始めた。
ペダルを踏み込む度に、彼の声が頭の中に響いていた。

お題:あなたに届けたい

1/30/2026, 8:06:03 AM

—狂愛—

幼馴染の海斗から、恋愛相談を持ち込まれた。

「初美にしか頼めないんだ……!」

隣のクラスの山崎という女が好きらしい。
一目惚れだということも聞かされた。

「いいよ。私はプロだからね、任せてよ」私は胸を張り、笑顔でいった。
「ありがとう、本当に助かる」

海斗は両手を合わせた。

「連絡先は持ってるの?」
「いや、まだなんだ」
「わかった。なんとかしてあげるから待っときな」

彼は赤い顔を見せながら頷いた。

「じゃあ、また連絡するね」
「うん、また明日」

彼と別れた後、私はある友人に電話した。


週明けの月曜日、海斗が駆け寄ってきた。

「山崎さんの連絡先くれてありがとうな」
「全然いいよ。で、何か話してみた?」

海斗は浮かない顔をしている。

「それが、既読無視されるんだよ……」
「え?嘘でしょ?」
「本当だよ。ほら」

画面を見る。確かに返信は来てない。

「だから、今日直接会って話してみる」
「ごめんね、力になれなくて……」
「全然そんなことないよ。むしろめっちゃ助かってる。じゃあ行くね」

彼は走って教室へ向かった。
だが、私は知っている。今日、山崎が学校に来ることはない。

私はある友人に電話した。

「奈々、助かったよ。ありがとう」
『うん、いいよー。私もあいつ気に食わなかったからね』

私たちはくすくすと笑った。

「今度、学食奢るよ」
『サンキュー。じゃあまた』
「うん」

あとは、失恋した海斗を私が慰めるだけだ。
そうすれば、やっと敵はいなくなる。
長い道のりだったな、と私はしみじみ思う。

私はスキップしながら、教室へ向かった。

お題:I LOVE…

1/29/2026, 5:45:19 AM

—気分だけでも—

私には、二歳年上の姉がいる。

「あ、お姉ちゃん」
「お土産、買ってきたよ」

姉の手には『横濱ハーバー』の手提げがぶら下がっている。彼女の明るい茶色に染まった髪を見て、私はため息を吐いた。

「いいなぁ。お姉ちゃんは……」
「どうしたの」
「別に」そっぽを向いていった。

姉は田舎から離れて、神奈川県にある大学に通っている。
一人暮らし、都会。
私の憧れるものだった。

「大変なことも多いのよ」と姉はいった。

私は、窓の外を見た。
落葉した木々が立ち並び、深い緑色の山々が見える。
ここにきて三年間、景色はほとんど変わっていない。

「それでも、一回は行ってみたいな」
「あなたが元気になったら、どこへでも連れて行ってあげる」
「本当⁈」

姉は頷き、白いベッドに腰を下ろした。

「この前ね、東京にある、神田神社に行ってきたの」

姉は、茶色い封筒を渡してきた。
中には『平癒守』という金文字が刻まれたお守りが入っていた。

「そこには、医学の神様がいるらしいわ。だから大切に持っていなさい」
「うん!」

姉は伸びをして、立ち上がった。
微かに花のような香水の香りが残っている。

「じゃあ、また来るね」
「お姉ちゃん、いつもありがとう」

手を振って見送った。
姉が持ってきてくれたお土産を手に取る。袋を開け、一口かじった。

「おいしい……!」

外に出られない代わり、いつも姉のお土産で街へ行った気分になれる。
窓の外を見ると、涙が落ちてきた。

お題:街へ

1/28/2026, 5:08:54 AM

—祝福—

タキシードに身を包んだ新郎と、ウェディングドレスを纏う新婦。
祭壇の上を、俺はペューから真っ直ぐに見ていた。

今日は友人の結婚式だ。彼女とは、大学で同じ水泳部だった。

「では、新郎は新婦に誓いのキスを」

牧師の声が、会場内によく響く。
二人は、唇を合わせた。それが終わると、祝福の拍手が起きた。
俺は、誰にも負けないように強く叩いた。

その後の儀式も、しっかり目に焼き付ける。二人が退場するまで、笑顔を作りながら見ていた。

「はい、撮ります——」

教会の外で写真撮影は行われた。雲一つない青空だった。
それが終わると、彼女の元へ歩み寄った。

「結婚おめでとう」
「ありがとう。二次会、来てほしかったな」
「ごめん。本当は行きたかったんだけど、どうしても外せない仕事があって……」

俺は、顔の前で両手を合わせた。

「そっか……。でも、また水泳部のみんなでご飯とか行こうね」
「そうだね。今日は本当におめでとう。そして、お幸せに」

今の自分にできる最高の笑顔を見せた。

帰り道、俺はずっと堪えてた涙を流した。
それは、しばらく止まらなかった。

お題:優しさ

1/27/2026, 12:17:52 AM

—今日は今日。明日は明日—

喉が痛い。お酒のせいもあるのだろうが、間違いなく歌いすぎだ。

カラオケボックスに入ってから、かなりの時間が経っていた。コンパの時にいた、俺を含む男子三人、女子三人がここにいる。

明日はヤバいな、と心の中でそう思った。

「はい、どうぞ」

隣からデンモクが回ってきた。だんだんと疲れてきたせいか、思考は回らない。

『恋するフォーチュンクッキー』が止み、俺の番がきた。
曲名が表示された途端、場が一気に盛り上がった。

Adoの『新時代』だ。

気になっているカオリちゃんの熱い視線を受け止める。
今日はもうどうにでもなれ、と思いながら限界まで声を張り上げた。

お題:ミッドナイト

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