『過去』
ふわりと香る、その匂い。
一瞬で全てがフラッシュバックした。
脳裏に焼き付いた過去。
これは、彼がつけていた香水だ。
幸せだった日々、幸せだった過去。
苦しくて辛かった過去。
全てが昨日のことのように思い出せてしまう。
本当は別れたくなかった。
本当は、ずっと隣に居たかった。
だけど彼は私ではなかった。
この香りをどこかで見つけるたび、私は
泣きながら歩くのだろう。
お題:《香水》
『愛と』
私はもう、長くない。
それは私が一番分かっている。
こんな私のために泣いてくれる貴方が居たから、
私は今まで頑張ってこれた。
でもそろそろ、頑張りだけじゃ無理そうだ。
心意気とは反対にどんどんやつれていく私を見て、
貴方はまた涙を流した。
「死なないで」とたくさん言われた。
それと同じくらい、
「僕が泣くのはダメだ」と言う。
そしてさらに、
「君が一番生きたいって思ってるのを知っている」とも言われる。
私一人なら、この人生も受け入れられただろうな、と思う。でも、貴方が居る。まだ貴方と居たいから、この人生を悔やんでいる。
どうして私なのか、ずっと。
それから1ヶ月を過ぎた頃。私は医者にすごい生命力だと言われていた。余命宣告を受けた日数をだいぶ過ぎたからだった。思わず笑ってしまった。
でもやはり、体の方は限界だったようで。
あ、今日私、死ぬんだな。と直感的に思った。
「………ごめんね。ずっと生きられなくて。
私、貴方のそばに居たかった。貴方を一人にするのがとても心配。でもどうか、幸せになって欲しい。貴方の幸せは、私の幸せっていつも言っているでしょう?
………泣かないで、最後くらいは笑って?」
そう伝えても、貴方は泣くばかりだった。
泣きながら、
「ぼ、ぼくも君のそばに居たい!!
ぼくの幸せは君がそばに居ることなのに
…幸せになれないよ。」
「そういうところも大好きよ。
ごめんね、今までありがとう。」
これが、私がさよならを言う前に告げたこと。
お題:《さよならを言う前に》
『大切な想い出』
ふ、と窓を見て昔を思い出す。
凄く幸せだった日のこと。
もちろん、今は十分幸せだ。結婚して、大好きで一生をかけて守りたい夫がいる。
だからこそなのか、でもなのか、あの時に未だ執着している理由が私には分からない。自分のことなのに。
私には、いつまでも捨てられないものがあって、
それは物でも感情でもある。
初めて付き合った彼から一年目の記念日に貰った、可愛いネックレス。
別れた日に、捨てようと思った。
こんなもの、捨てて忘れようと思った。
でも、思い出すのは幸せな日々ばかり。
どうして私たちはだめになってしまったんだろうって思うくらい、幸せなことばかりで。
そのネックレスを見ると、泣きそうになる。
喧嘩別れじゃなく、ちゃんと話し合って決めた別れ。喧嘩なんてしたことないけれど、年を重ねていくごとに少しずつ見えてきた、合わないズレ。
このままではお互い不幸になると思った。
今はまだ良くても。そういう思いだった。
お互いが。
別れたときはまだ好きだった。
たくさん泣いた。君も泣いたと言っていた。
今は、新しく恋をして、とても大切で大好きな夫がいる。結婚して二人で楽しく幸せに生きている。
私の夫になった人は、昔の私の恋を忘れさせようとはしなかった。
「君が僕のことを好きなのはとても伝わっているし分かるから、君の好きなようにしたら良い」
と言われた。
実際、この想いは確実に過去だ。
夫がとても大好きだし、惜しみ無く愛を伝えている。
初めて付き合った彼は、子宝に恵まれて親子3人で幸せに暮らしているそうだ。
私はただ、少しだけ初めてした恋を忘れられないでいる。初めて貰ったプレゼントを、捨てられないでいる。
お題:《いつまでも捨てられないもの》
『解放』
自転車に乗って今日はどこに行こう。
ぜーーんぶ辞めてきた私に、今怖いものはない。
自転車で日本一周?…は疲れちゃうか。
でも今ならどこにでも行けそう。
とりあえず、ずっと行ってみたかった近場から始めよう。ずっとずっと仕事尽くしで周りのこと知らなかったし。
今ならほんと、なんでも出来るなぁ。
お題:《自転車に乗って》
『ハグ』
ストレスなく生きることは難しい。
今は、鬱だとかストレスだとか色々と分かってきた頃だろうけど、きっともっともっと昔の時代も鬱病や、ストレスはたくさんあったのだろう。
名前は違えど。
ストレス無く生活するのは恐らく無理だ。
でも、ストレス発散は出来る。それにはたくさんの方法があって、それぞれがそれぞれにあったストレス発散方法がある。
私は最近、気付いたことがある。
大好きな人にハグをしてもらうのもストレス発散のひとつになるのだろうな、ということだ。
隣に居るだけで落ち着くその人に、ハグをしてもらえたらそれだけで嬉しくて、幸せになれるのだろう。
お題:《心の健康》