Saco

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10/14/2024, 12:03:15 AM

子供のように

子供のように燥ぐ君を見て微笑ましい様な
羨ましい様な気持ちになる

そりゃあ いつまでも子供のままで居られ無いのは分かってる

けれどふと何かに追われていると
あの頃の無邪気で無鉄砲で怖い物知らずで
楽しいと言う気持ちだけが自分を動かす
原動力だったあの頃が一番無敵だったのでは無いかと思う

なんて公園で無邪気に子供と全力で遊ぶ
君の姿を見ているとあの頃の自分も其処に
混ざって一緒に追い掛けっこをしている
幻が浮かぶ

その内シャツを汗だくにして僕が座っているベンチの隣に腰掛けて君は言う
「いやあ~やっぱりちょっと動くだけで
疲れるわ~年かなあ」とTシャツの襟の近くを持ち上げてパタパタさせて首元に風を
送りながら君がそんな事を言うから
思わずさっきまでの子供の様な君の姿の
ギャップと相まって僕は笑いが込み上げてきて大きな声でくすくすと笑ってしまった
君は、首を傾げて「何~笑ってんだよ!」と聞いて来たけど僕は笑いが収まるまで
説明することが出来なかった
僕の笑いが収まるまで君は、頭に疑問符を
浮かべ首を傾げ続けていた。

10/12/2024, 10:42:57 PM

放課後

キーンコーン カーンコーンと
下校のチャイムが鳴る
一斉に下校する者
放課後の部活に向かう者
寄り道の相談をする者さまざまだ
学校が終わっても私達の日常は、続いて行く そんな日常風景を窓から目に焼け付けながら 私は、愛用のカップに入れたコーヒーを一口啜り 自分の職員室にある
デスクに戻り椅子に座り大きく伸びをして
テストの採点作業に戻った。

10/12/2024, 12:25:28 AM

カーテン

しくしくとカーテンの裏で君が泣いている
此処なら誰にも見つからないと思っているのか それでも周りの気配に気を配っているのか嗚咽を堪える様では無いけれど
それでもさめざめと小さく泣き
はらはらと小粒の涙を手で覆い隠して
君は、泣く そこには、悔しいやら
寂しいやらも詰まっているのだろう
一人で泣きたくてカーテンの裏を選んだくせに一人のままで居るのは、苦手な君
だから今日も僕は、いや これから
何度だって君が泣いていたらどこに居たって探しに行く だから気が済むまで泣いて
良いよ 必ず君を一人になんてさせないから そうしてカーテンの裏で泣きじゃくって気が済むまで泣いて泣き止んだ君は、
恥ずかしそうにカーテンの裏から顔を出して僕に笑った。

10/11/2024, 12:23:33 AM

涙の理由

最初は、分からなかった『涙』と言う
物が私には、涙を流す機能が無いから
そう言う風にプログラムされてないから

博士は言った「君は、まずいろいろな経験を積んで外部からいろんな刺激を受けるんだそうすればたとえ涙を流す事が出来なくてもいろいろな事が分かるはずだよ」
(いろいろな事? いろいろな事って何?)
訳が分からなかったが博士が言うなら
従わなければならない だって私は博士に
作られたのだから命令なら実行しなければ
ならない こうして私は博士の命令通り
いろいろな物を見たり聞いたり
博士以外の人間とも触れ合った。


そうしてその命令を実行して30年の時が
過ぎたいつしか仲良くなった人間達も
年を取り皆『死』と言う物を迎えた。

私は、『死』と言う物も具体的には
分からなかった。
唯 『死』と言う物を迎えたら皆消えて行く でもそれは、私達のいわゆる『壊れた』とは、違うらしい
死んだら修理して直せば良いと思っていた
でも人間の体は、修理して直す事は
出来なかった。
治療して心臓を動かしたり怪我に絆創膏や
包帯をしたり病気をしたら薬を飲んだり
そう言う事は、私達の修理とは微妙に違うらしい
私達は、部品さえあれば修理して完璧に
体を直す事が出来るけれど人間の治療は
違うらしい手術と言う治療を施しても
時には感染と言う物をしない様に人体の一部を切る事もあるらしい

病気をして薬と言う物を飲んでも時には
それは、病気の進行を遅らせるだけで
完璧には、直らない事もあるらしい
そう常に人間は、生きると言う行為をする
だけで『死』と言う物に直面する

それなのに人間は何故立ち上がろうとするのだろう いや 絶望する人間も
確かに存在する でもそんな時は他の人間がその人間を励まし支えようとする

そんな姿の人間を見ると何て言うんだろう
私のプログラムのデータの中では見つけられない言葉で上手く表現出来ないが....
そんな姿の人間を見ると何だか一層輝いて
見えるのだ....
ふいに気が付くと私の目からオイルが流れた。

10/10/2024, 6:50:18 AM

きっと明日もの続き

ココロオドル

2月14日 バレンタインデー
シズクは、ミーナと一緒にチョコの材料を
買いに来ていた
いっぱいあって一つに決められない
(う~ん う~ん....)シズクは、悩んでいた
去年までは、皆に渡すのが楽しくてワクワクしていた。
でも今年は、その中にドキドキも混じっていた。
ふと顔を上げるとバレンタインデーの広告が目に付いた。
【本命チョコを貴方に....】
(本命チョコ....?)そんな事 去年までは
考えていなかった。
でも今年は、本命チョコと言う単語を
意識してしまう....
そう思うとシズクの頬は自然と赤くなって
しまう....シズクは、目を瞑り
深呼吸する。
(ハイネに喜んで貰えます様に....)
去年のバレンタインデーハイネは
シズクのチョコを家に持って帰って
ゆっくり食べてくれた
他にもいっぱいチョコを貰って食べてた。
つまりそれほどハイネはチョコが好きなんだ だから美味しく食べて貰いたい....
でもどうすればハイネが喜ぶ本命チョコが
作れるだろう....
「シズクどれ買うか決まった?」ミーナが
声を掛けてくれるがシズクは決めかねていた。
「あ....いっぱいあって迷っちゃって....
ハイネ チョコ好きだから美味しく作り
たいけど....手作りだと失敗しちゃうかなあ
でも....手作りあげたい....う~ん....」

実際は、チョコが好きなのでは無くて
シズクがくれるチョコが好きなのだが
そんな細かい機微には、気付かない
シズクなのだった。


一方ハイネ達男性陣は....

ハイネは、ナイトにある相談をしていた
「あのさ....その....女ってどう言う物
あげれば喜ぶと思う?...」
ハイネがナイトにぼそりと呟く
「ハイネ シズクに何かあげたいの?」
ナイトの率直の質問にハイネはバツが悪くなり俯く
「あ...あげたいって言うか....その....
いつも貰ってばっかだし....
ホワイトデーもミーナとか他の奴らと
纏めてお菓子とかだったし....今年は
その....こっ....恋人として何かあげた方が
良いかなあと 少し....思っただけで...」
「つまりシズクに個人的なプレゼントが
したいと」ナイトの指摘にハイネは睨む様にナイトを見る。
「っ.....まあ....そんなとこだよ....」
ナイトは、そんなハイネの様子にくすくすと笑う
「そんな考え込まなくてもシズクはハイネから貰ったものなら何でも嬉しいと思うよ
ハイネだってそうでしょう?」
ハイネはナイトからの問い掛けに視線を
逸らし「ちなみにお前はミーナにどんな
物あげてんだよ参考までに聞いてやるよ」
ハイネがちらちらとナイトの方を見る

「僕?僕は普通だよアクセサリーとか
服とか小物とか」

「女のお洒落なんてわかんねえし....」
「一緒に買いに行けば良いじゃない
シズクが欲しいって言ってた物を買ってあげれば」なんてナイトなりにハイネに
提案してくれるものの ハイネにはそれは
出来なかった シズクを前にしたら
恥ずかしくなって素直に買ってやるなんて
言えないハイネだった。

こうして街を一人でブラブラしてめぼしい
物を探していたハイネだがふと目に
留まった物がシズクらしくて思わず
買ってしまったハイネだったが....
(どうしよう....)買ってから恥ずかしさが
込み上げて来て買った事を後悔する
ハイネだった


そして何んやかんやでバレンタインデー当日 

毎年の様に皆に配り終わったシズク
後は、ハイネだけなのだが 何だか
緊張して未だに話し掛けられずにいた

一方のハイネもプレゼントを渡す機会を
逃してしまい未だ渡しそびれていた

そんな二人を心配そうに覗き込む他の面々
これは二人が両想いになってから
他の面々が気付いた事だが もしかして
ハイネとシズクって一見すると
素直と意地っぱりで性格が正反対だが
根本的な所は、もしかしてそっくりなのではと....


そうしてもじもじしながら意を決して
ハイネに話し掛けるシズク
話し掛ける前にもう一度目を瞑り
深呼吸 そして「ハイネ....これ....」
おずおずとシズクはハイネの前に
ラッピングしたチョコを差し出す
ハイネは去年みたくまた言葉に詰まるが
勇気を出してシズクにお礼を言う
「ああ....ありがとな....」但し顔が真っ赤に
なっている為 俯いたままだった
「あ....開けても良いか....」ハイネが
シズクに尋ねる様に了承を取る。
「うん.....」シズクが恥ずかしそうに
頷く 中を開けるとチョコケーキが
入っていた
「あっ....あのね....ハイネ....チョコ好きだと思ったからそのケ....ケーキを作ってみたの....で....でも....大きいかもしれないから
む....無理しないで 他の人と分けて食べてね 手作りなんてしたから形がその....
大きくなりすぎちゃってごめんなさい....」
シズクが涙目でハイネに謝る。
ハイネは手づかみでケーキを頬張りながら
シズクに言う 「誰にもやらねぇよ馬~鹿
俺が貰ったんだから俺が全部食うに決まってんだろう!!」ハイネは、指に付いた
チョコを舐め取りながらシズクに
向かって不敵に笑う

「で....でも....ハイネ全部食べたら
お腹壊しちゃうよ....」

「壊さねぇよ....意地でもなぁ....!!」
「? ?」シズクはハイネの言葉に
キョトンとして頭に疑問符を浮かべる。
ハイネはシズクのキョトンとした表情に
口元を緩ませるとシズクの手の中に小さな
包みを握らせる そうしてシズクの耳元で
「ハッピーバレンタイン」とぼそりと呟く
「ハイネ....これ....」シズクはハイネに
問い掛けるがハイネはそれ以上何も
言わない シズクは小さな包みを手の中で
ゆっくり丁寧に開ける
中に入っていたのは可愛らしい小花が付いたヘアピンだった
シズクは丸い目でハイネを見上げる
ハイネはシズクの視線を避けるように顔を
逸らし「その....何だ....いつも貰ってばっかじゃ悪いだろう その....人として....
偶々通り掛かったら 偶々見つけて
偶々安かったから買っただけだから
要らなかったら別に捨てても....」
ハイネが最後まで言い終わらない内に
シズクがハイネに抱き付いた。

「....ありがとう....大切にするね....」
ハイネはシズクの嬉しそうな顔から
視線を逸らしそっぽを向いた。

こうして二人の心は幸せいっぱい
胸いっぱいで心踊っていた。

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