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涙の理由

最初は、分からなかった『涙』と言う
物が私には、涙を流す機能が無いから
そう言う風にプログラムされてないから

博士は言った「君は、まずいろいろな経験を積んで外部からいろんな刺激を受けるんだそうすればたとえ涙を流す事が出来なくてもいろいろな事が分かるはずだよ」
(いろいろな事? いろいろな事って何?)
訳が分からなかったが博士が言うなら
従わなければならない だって私は博士に
作られたのだから命令なら実行しなければ
ならない こうして私は博士の命令通り
いろいろな物を見たり聞いたり
博士以外の人間とも触れ合った。


そうしてその命令を実行して30年の時が
過ぎたいつしか仲良くなった人間達も
年を取り皆『死』と言う物を迎えた。

私は、『死』と言う物も具体的には
分からなかった。
唯 『死』と言う物を迎えたら皆消えて行く でもそれは、私達のいわゆる『壊れた』とは、違うらしい
死んだら修理して直せば良いと思っていた
でも人間の体は、修理して直す事は
出来なかった。
治療して心臓を動かしたり怪我に絆創膏や
包帯をしたり病気をしたら薬を飲んだり
そう言う事は、私達の修理とは微妙に違うらしい
私達は、部品さえあれば修理して完璧に
体を直す事が出来るけれど人間の治療は
違うらしい手術と言う治療を施しても
時には感染と言う物をしない様に人体の一部を切る事もあるらしい

病気をして薬と言う物を飲んでも時には
それは、病気の進行を遅らせるだけで
完璧には、直らない事もあるらしい
そう常に人間は、生きると言う行為をする
だけで『死』と言う物に直面する

それなのに人間は何故立ち上がろうとするのだろう いや 絶望する人間も
確かに存在する でもそんな時は他の人間がその人間を励まし支えようとする

そんな姿の人間を見ると何て言うんだろう
私のプログラムのデータの中では見つけられない言葉で上手く表現出来ないが....
そんな姿の人間を見ると何だか一層輝いて
見えるのだ....
ふいに気が付くと私の目からオイルが流れた。

10/11/2024, 12:23:33 AM