Saco

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8/20/2025, 4:23:36 AM

なぜ泣くの?と聞かれたから

「なぜ泣くの?」と疑問符を浮かべ聞かれて 私は、最初意味が分からなかった

そうして彼女の丸い瞳の中に自分の
泣き顔が映っている事に気が付いた。

自分でも自分が何故泣いているのか
分からなかった。

しかし気が付いたら私は、緊張の糸が
解れたみたいに泣いていた。
止めようと思っても涙が後から後から
流れて来て止まらなかった。

そうしてとうとう口から嗚咽が漏れ出した
時....唐突に私は、彼女の胸の中にいた。

彼女は、何も言わずただ黙って私の
背中を優しく摩る。

そうして私は、彼女の腕の中で大きな声を
上げて何十年分の想いを泣き声と涙に
変えて吐き出したのだった....。

8/16/2025, 7:48:13 AM

!マークじゃ足りない感情

それは、二重の驚き それは、二倍の嬉しさ どこまでも続く!マークに感情が
追い付かない.....

「お誕生日おめでとう!!!!!」

たくさんのブレゼントと山盛りに盛られた
ごちそうに巨大なケーキ
そしてたくさんの人の笑顔

私を喜ばせる為に皆何日も掛けて準備して
私に内緒で企画してくれたんだ

ありがとう ありがとう 驚きの数だけ
サプライズがある。

私は、この日のサプライズパーティーを
一生忘れないだろう

最後に私は、ケーキの上のろうそくを
思いっきり息を吸ってろうそくの火を
吹き消したのだった.....。

8/6/2025, 7:40:31 AM

泡になりたい

君の体を持ち上げるとまるで泡みたいに
軽かった。....

「きっと私の体は、この炭酸水の泡みたいに最期には、消えてなくなるの....」

白く枯れ木の様な手を炭酸水の泡がポコポコと上がって行くグラスの滴をなぞるみたいに同じく白く細い指をグラスに添える

僕は、君の手からグラスが落ちない様に
君の手を強く支える。

そうして炭酸水の泡をじっと見て君は、
呟く....
「でも何もかも消えて無くなるより
儚く存在を主張して無色透明になって溶けて消えていける方が普通に死ぬよりきっと
幸せって思えるの...」

そう言って君は、窓の外に視線を向ける
枕に頭を預けながら.....



そして君が居なくなって一年
僕は、炭酸飲料の泡を見ると君を思い出す

本来は、積極的で活動的の君の事だから
重い体を脱ぎ捨てた君は、.....
きっと君があの日呟いた綺麗な泡になって
無色透明な心持ちで僕達の周りを楽しく
揺蕩っている事だろう....。

8/5/2025, 12:41:24 AM

ただいま、夏。

照りつける太陽 じめじめした湿気


茹だるような熱光線 今やすっかり
嫌われ者になってしまった夏...

緑の木々の青々とした緑も 夏の虫達を
捕まえる子供達の笑い声も今やすっかり
なりを潜め日中は、太陽の光をうけて
熱くなり誰も近付かなくなった公園の遊具

そんな自分の季節の光景を見て夏は、
すっかり落ち込んでしまった。

(僕は、人間達に嫌われてるんだ....僕は、
もう居ない方がいいのかもしれない...)

そんな自分自身の存在にすっかり自信を
無くしてしまった夏は、季節の枠から
出て行こうと荷物を纏め旅に出ようとしてた矢先 夏を呼び止める声がして夏が
振り向くと.....「ちょっと ちょっとどこに
行くんだい 困るよ勝手に居なくなっちゃ!」

夏は「え?」とポカンと口を開ける。

「君が中々来ないから海である僕の所に
人が来ないじゃないか!!夏は、稼ぎ時だって言うのに....」そんな言葉に重ねる様に
更に声が聞こえた。

「僕だって困るよ!花火である僕はこの
年に一回の夏祭りの為に作られたって言うのに....夏が来なかったら僕の出番が
無いじゃないか....」

夏は、呆気に取られその場に固まる。
「「ほら早く行くよ」」そうして夏は、
海と花火に両手を取られ季節の枠に
強制的に戻されたのだった....

そうして海水浴や夏祭りを楽しむ人間達を
見下ろしながら夏は、思う...

(人間は、夏の暑さに愚痴を零し夏なんか
来なければ良いと文句を言うくせに
決して家の中で時を過ごす事を良しとしない....変なの....)そんな事を夏が考えていると右隣に居る春がクスクスと笑い出して
「夏が来ると人間は一番興奮して盛り上がるわね」そんな春の言葉を受け取ると
左隣に居る秋が「良いなあ....楽しそう」と
羨ましそうに呟く
その秋の隣に居る冬も「我の季節にも冬祭りと言う物があるが防寒の為に着込んで
居るからか体を縮こませて静かに粛々と
厳かに祭りが始まる雰囲気があるが
夏祭りは、また一味違って人間達が活き活きしているなあ」

そんな冬の言葉を聞いて夏は目を丸くして
そうして思わず

「あれ?夏どうして泣いてるの?」
左隣に居る秋が夏に気付いて声を掛ける。
他の皆も気付いて心配そうに夏の顔を覗き込んだ。

そんな心配顔の皆を誤魔化す様に夏は、
敢えて偉そうに「今年の夏は、一段と暑いから目に汗が流れて拭いても拭いても
追いつかないや」と夏空を見上げて
誇らし気に言ったのだった。

そんな夏の姿を見て他の季節達は、
楽しそうにクスクスと笑ったのだった。






   『おかえり、夏』

    『ただいま!』。

8/4/2025, 12:08:50 AM

ぬるい炭酸と無口な君

照りつける太陽に立ち向かって行く様に
全身汗だくな君 ぬるくなって炭酸が
飽和状態のコーラを喉仏を上下させ
ごくりと言う音を立て黙って飲み干し

また走り出す君の姿を私は、口角を緩く上げ目元を細めながら優しくフェンス越しに
見守るのだった....。

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