愛言葉の続き
懐かしく思うこと
私が小さい頃 お父さんとお母さんが
私に言った。
『シズクは、好きな人は、居るのかい?』
お父さんが私に聞く
『貴方シズクにその質問は、まだ早いわよ』お母さんが可笑しそうにお父さんの
言葉に笑う
『好きな人?私は、お父さんとお母さんが
一番好きだよ!!』
その私の言葉にお父さんとお母さんは
クスクスと笑い二人揃って
『『ありがとう!!』』とお礼を言ってくれる。
『もちろん僕だってティアとシズクが
一番好きだよ! でもいつかシズクにも
僕達より好きな人が出来る それは僕達に
とってとても嬉しい事なんだ 何より
シズクの可愛さを分かってくれる人と僕は
シズクの可愛さについて一晩中語り合いたいんだ』
『もう貴方ったら仕方無い人ねぇ』
そう言って、楽しそうに笑う二人がシズクは大好きだった。
(懐かしいなぁ....)シズクは、感慨深げに
イクスとティアが眠っているお墓を見つめ
手を合わせる。
(お父さん お母さん 今日またルークさんとも話ました。ルークさんに一緒に
お父さんとお母さんのお墓参りに行こうと
言ったら一緒に付いて来てくれて
バインダー局の皆も一緒です これルークさんがくれた花束ですお母さんが大好き
だった黄色いマリーゴールドです
ルークさんは、私と少しお話ししたら
すぐ帰っちゃったけど.....何だか前会った時よりルークさんの笑顔が柔らかくなってて
良かったです....)
シズクは、お墓に手を合わせた
そうしてイクスとティアに自分は
今 幸せですと報告する
そうしてシズクが報告し終わって立ち上がり振り返るとシズクの大好きな人が
ぶっきらぼうな顔でシズクの事を待って
いた。
「終わったか.....」とハイネが不機嫌な
目付きがつり上がった表情で問いかける
「うん!」しかしシズクは、知っている
ハイネは、本当は、とても優しい事を....
シズクが泣いている時優しく抱き締めてくれる事も.....
シズクが転びそうになった時必ず
受け止めてくれる事も....
(お母さん お父さん 私 この世で
一番大好きな人が出来たよ.....)
空に向かってシズクは、懐かしい二人に
心の中でそう呼び掛ける。
「ほら ミーナとナイトが待ってるぞ!」
ハイネの促しにシズクは少しだけハイネに
甘えたくなって..... 意を決してこんな
お願いをしてみる。
「あっ.....あの....ハイネ....手繋いで良い」
シズクが真っ赤になってお願いしてみると
少しの間があって....それから優しくシズクの手にハイネの手が触れてシズクより
大きな手でシズクの手を包んでくれる。
シズクがハイネの方を見るとハイネは横を
向いていてシズクに表情を見せてくれない
「一々言って来るんじゃねェ繋ぎたいなら
勝手に繋げよ!」そうぶっきらぼうに
ハイネは言うがシズクから手を離したいと
思うまで決して自分からは、シズクの手を
離さない シズクにはそれが嬉しくて嬉しくてたまらない
こうしてミーナとナイトのところに戻っても二人は手を繋いだままだった。
お互いの体温を感じて体も心もぽかぽかと
暖かくなって行く
これからもシズクの周りでは、色んな事が
起こるだろう
楽しい事ばかりじゃ無く....辛い事
悲しい事苦しい事も生きていれば起こるかもしれない.....
だけど....ミーナ ナイト ハロルド マリアの変わらない優しさそしてハイネの
不器用なこの温もりさえあればシズクは
どんな事でも乗り越えられると胸の中で
強く信じられるのだった....。
(完)
紅茶の香り(番外編)24の続き
もう一つの物語(番外編)25
●シズクとシズクちゃん
シズクが目を開くとそこは、いつも皆と
いる場所では、ありませんでした。
(此処は、何処だろう?)
見渡すと何処かの森の中でした。
シズクは、木々の間の光を頼りに森を
出ました。
すると.... パチパチとシズクは、丸い目を
瞬きました。
シズクの顔を見てパチパチとシズクちゃんも同じ様に瞬きました。
「?」とシズクが疑問符を浮かべて首を
傾げると「?」と同じ様にシズクちゃんも
首を傾げます。
(この子は、誰だろう....?)自分と顔が
そっくりなけれど小柄な自分よりさらに
小さい5歳位の女の子がシズクの事を
見つめていました。
シズクがどうしようかとこわごわとしていると....シズクちゃんがパッと顔を
明るくして「お姉ちゃんだあれ?お名前は」シズクは、ビクッと肩を震わせ
「シズク....」と何とか答えます
「シズク!私と同じ名前」シズクちゃんは、お揃いの名前なのが嬉しくなって
シズクの手を繋ぎます。
シズクは、勇気を出してシズクちゃんに
聞いてみます。
「あの....此処は、どこ....ですか?」
「此処は私のお家の庭だよ!今皆と
パーティーをしてるの私は、お花を摘んでたの.... お姉ちゃんも私の家でパーティーしよう!!」とシズクちゃんは、シズクの
手を引っ張ります
シズクは、どうしたらいいか分からず
シズクちゃんに手を引っ張られるまま
シズクちゃんの家に行きました
そうしてシズクちゃんが皆にシズクを
紹介します。
その面々を見てシズクは、心の中で
驚きを隠せませんでした。
(ハイネ....ミーナ....ナイト....ハロルド局長....マリアさん...)シズクの知っている
人達に皆 顔がそっくりでした。
シズクの心中を知ってか知らずか
シズクちゃんは、元気良くシズクを
皆に紹介していました。
紹介された灰色猫ハイネ達も目を丸くして
びっくりしていました。
にこにこしているのはシズクちゃんだけ
です
そうしてシズクは、灰色猫ハイネ達に自分の状況を説明し気が付いたら此処に居た事を自分の拙い言葉で一生懸命説明しました。
「なるほど」シズクの話を聞き終わり
魔法使いハロルドが言いました
「結論から言おう君が居た森の中を逆方向に進めば君は、元居た場所に帰れる」
「どう言う事だよ!」灰色猫ハイネが
魔法使いハロルドに質問します
「この世界は、私達には、現実だが別の
次元に住んでいる私達には、唯の夢だからさ!」灰色猫ハイネ 帽子屋ナイト
白兎ミーナは、首を傾げます。
「私達の住んでいる世界には、それぞれ
色んな世界がある 同じ様に別空間にも
それぞれの世界がある そこには私達と
同じ魂を持つが全く違う人達が住んでいる
んだ」
つまりシズクが目を覚ませばシズクの居た
世界に帰れるらしい
目を覚ます為には、あの森の道を引き返さなければならないらしい
シズクは、帰れると知って安堵した。
(良かった.....)
そうしてシズクは、シズクちゃん達皆に
いろいろともてなされパーティーにも
少しだけ参加して元の世界に帰る為
またシズクちゃん達のお家の庭の森に
入ります。
途中シズクちゃんが状況が分からずシズクと一緒に森の中に入ろうとした時は、
灰色猫ハイネが慌ててシズクちゃんを
抱き上げ引き留めます。
「お前は、こっちだろう!」
「? ?」シズクちゃんは、訳が分からず
疑問符を浮かべます。
「この道を真っ直ぐ行けば帰れるからね」
と魔法使いハロルドが森の道を真っ直ぐ
指差します。
「はい....いろいろありがとうございました....」シズクは、ぺこりと頭を下げました
「シズクお姉ちゃん今度は、いつ遊びに
来れる?」シズクちゃんはすっかりシズクに懐いていました。
「えっとぉ~」シズクは、シズクちゃんの
問いかけに答える事が出来ません
「もう会えねぇよ!こいつと俺らは
違う所に住んでんだから!」灰色猫ハイネが
シズクちゃんを窘めます
「もう会えないの....ぐすっ....ふぇっ....
うう~」シズクちゃんは、灰色猫ハイネの
腕の中で泣き出してしまいました。
「ほら お前最後なんだからちゃんと
バイバイしろ」灰色猫ハイネがシズクちゃんに言い聞かせます。
「ぐすっ....シズクお姉ちゃんこれ私が摘んだお花シズクお姉ちゃんにあげる元気でね」シズクちゃんは、泣きながらシズクに
バイバイと手を振りました。
「ありがとう....シズクちゃんも元気でね」
シズクも手を振り返し元来た道を帰って行きました。
そうしてシズクは、目を覚まし....
パチクリと瞬きをして....
「おはようシズク!」とにこにことしてる
ナイトがいて.....
「暖かいと眠くなっちゃうわよね!」と
気遣ってくれるミーナがいて....
「ったくいつまで寝てんだ馬鹿シズク」
不機嫌な顔のハイネがいる
そう此処が私の世界 ふとシズクは手の中で自分が握り締めている物を見た
自分の手の中に小さなお花が握り締められていた。
(夢じゃ無かったのかなあ....)シズクは、
自分にそっくりな小さな女の子の笑顔を
思い出す。
あの子には、あの子の物語(人生)があり
私には私の物語(世界)があるんだ。
どっちが良いとかでは無い....
唯 願わくばもう一人の私が幸せであります様に....シズクは、シズクちゃんがくれた
小さな花を見てそう思ったのだった。
暗がりの中で
真っ暗な暗がりの夜道 街灯も無く
人の気配も無い真っ暗な道を二人で歩く
君と二人で.... 君の手の温もりを灯り火に
「大丈夫?」君の声を道しるべにして
早くこの暗がりから抜け出したいのに
家の明かりは、一向に見えて来ない
そうして歩いている内に思考がふと
立ち止まる。
私は、いつからこの道を歩いているんだっけ? 前を行く君に引っ張られる形で
進んでいる私 でも.... そもそも前を行く
この人は、誰だっけ?
暗がりで、はっきりとは前を行く人の姿は、見えない....
私の歩みが遅くなったのが分かったのか
私を引っ張っていた誰かが立ち止まり
「どうしたの?」と私に声を掛ける
私は、この人の声に答えられない
だって答えてしまったら今まで忘れていた
何かを思い出しそうだから....
でも足も止められ無い 引っ張られるまま
進むしかない だってこの暗がりから
早く出たいから....
私は、少しの違和感にすぐに蓋をして
君の声に答える「ううん 何でも無い」
私がそう言うと君は、安心したような
気配を残し 「そう もうすぐ着くからね」 君は何処に着くとは、私にははっきりとは言わず柔らかい声で私に話し掛けた。
私は、この暗がりの中で せめて明るい
場所に着くようにと強く願った...。
束の間の休息(番外編)23の続き
紅茶の香り(番外編)24
●お茶会
シズクちゃんは、今日は、帽子屋のナイト
白兎のミーナが主催するお茶会に来て
いました。
シズクちゃんは、灰色猫ハイネの
膝の上に乗ってサクリとしたクッキーや
甘いクリームの載ったケーキを紅茶の香りと共に堪能してご機嫌でした。
ハイネの膝の上で手足をバタバタさせ
幸せを噛み締めます。
「....美味しい....」「良いから落ち着いて
食べろ!」ハイネがシズクちゃんの頬に
付いたクリームを拭き取りながら
シズクちゃんを落ち着かせます。
「たくさんあるからどんどん食べてね!」
白兎ミーナがシズクちゃんに勧めますが
灰色猫ハイネがシズクちゃんが手を伸ばそうとしていたクッキーに待ったを掛けます
「お腹いっぱいになったら夕飯食べれなくなるから程々にな」シズクちゃんは、
ハイネの注意に「うん!」と頷き
最後のクッキーをゆっくりと味わいます
「あんたすっかりこの子のお母さんね」と
ミーナが突っ込みます。
「だってこいつ危なかっしいんだよ
仕方ねぇだろう!」
「仲良い事は良き事かな」魔法使いハロルドとその助手のマリアが微笑ましく
シズクちゃん達を見守ります
いつものメンバーで楽しくお茶会をして
そろそろ終わりが近付いて来た時....
不意に「楽しそうだね!」と言う見知らぬ
声が聞こえました。
皆が声のする方に視線を向けると
空いている椅子に黒いローブを纏った
男がいつの間にか座っていました。
そのローブからは、青い髪が覗いていました。
皆が楽しい雰囲気から一斉に立ち上がり
見知らぬ男から距離を取り緊張した
空気を醸し出すと....
一人だけ状況が分かっていなさそうに
「....あっ....!」とシズクちゃんが
ハイネの腕の中から抜け出して
黒いローブの男にトテテテッと近づきます
「あの時のお兄さん!」シズクちゃんの
声に皆 首を傾げます。
ハイネがシズクちゃんに「知り合いか?」と聞きます。
「うん!お父さんとお母さんの居場所を
教えてくれた人」
シズクちゃんがお父さんとお母さんを探しに森に入った時 森に入るきっかけをくれた男の人でした。
(いや.....それめちゃくちゃ怪しい奴じゃ
ねぇか....)ハイネが警戒レベルを上げると
シズクちゃんが「あの時は、お父さんとお母さんの事を教えてくれてありがとうございました お父さんとお母さんには
会えなかったけど....でもハイネと皆に
会えました本当にありがとうございました」シズクちゃんは、ぺこりと男の人に
頭を下げました。
果たして頭を下げても良い人物か
甚だ疑わしいのだが.....
「そんな事あったっけ....まぁ良いや....
僕の名前はルーク面白そうだから覗きに
来ちゃった」
「私の名前はシズクです」シズクちゃんが
ルークに自己紹介します
「よろしくね!」とルークがシズクちゃんに握手を求める様に手を伸ばし
シズクちゃんもルークの手を取ろうと
腕を伸ばし掛けた時....
ハイネが咄嗟にシズクちゃんの体を抱き上げ自分の腕の中に戻します。
「? ?」シズクちゃんは、何故ハイネに
止められたのか分からず頭に疑問符を
浮かべます。
「お前 知らない奴と握手なんかするな
危ないだろう!」ハイネがシズクちゃんに
注意しますがシズクちゃんは
「知らない人じゃないよ!ちゃんとあの時話した人だって覚えてるもん!」と
自信満々です
ハイネが言っているのは、そう言う意味では無いのだが しかしシズクちゃんに
厳しく注意し過ぎてシズクちゃんに泣かれると困るのでハイネはシズクちゃんには
やんわりとしか注意出来ないのだった
その様子を見ていたルークは、クスクスと
笑っていた「何だか初対面なのにえらく
嫌われちゃったなあ.....まぁ良いや
今回は、挨拶しに来ただけだからこの辺で
失礼するよ! またどっかで会ったら
遊ぼうね!」そうしてルークは、最後に
シズクちゃんから余ったクッキーを貰い
皆に胡乱な視線を送られて去って行った
シズクちゃんだけは、ルークに
「バイバイ!」と元気良く手を振っていた
こうしてシズクちゃんに新しいお友達が
出来たのでした。
(めでたし?めでたし?)
行かないでの続き
愛言葉
テレビから流れて来る
『愛してる』『可愛い』と言う言葉達
一度は、好きな人に言われてみたいと
言う憧れを持つ女性達
そんな恋愛モニター番組がなんの気なしに
付けていたテレビから流れていた。
(くだらねェ....)ハイネは、ぼーっと欠伸を
しながらそろそろチャンネルを替えようかとリモコンに手を伸ばしかけた時....
『そう言う事をちゃんと言葉に出来る
男の人って良いですよね....
せっかく彼の為にお洒落したのに
何にも言ってくれないと正直
冷めますね....』と言う番組の台詞に
何故か心にグサッと針が刺さった
様な痛みを覚えるハイネ
『両思いになった途端愛情表現をして
くれなくなったと言うか前は、キスや
ハグを定期的にしてくれて可愛いって
褒めてくれたのに両思いになった途端
言わなくても分かってるだろうって態度に
なったりして何だかそれにこっちも急に
熱が冷めてこの人と別れたいなあとか
思ったり.....』
別れたいと言う言葉がハイネの胸に矢の
様に刺さった....
ハイネは、今までの自分の行動を無意識に
振り返る。
【片思いの時 好きな子に意地悪や悪口ばかり言っていたしやっていた】
【両思いの時 キスなんてハードルが高いし自分は別に一生しなくて良いと思っていた 可愛いなんて言葉を片思いの時から
一度も本人を目の前にして言った事が
無い事に今気付く】
もしかしてこれをこのまま放置しておくと
シズクの口から....『私....ハイネと....別れたい.....』なんて言われてしまったら
どうしよう.... ハイネの中に急に
危機感が生まれる。
そうして後日....
ハイネ恋愛で困った時にはナイトミーナ
カップルに相談するのが常だった
「キスってどう言う時にすれば良いと
思う.....」ハイネぼそぼそと二人に
恋愛相談をする
それを聞いたミーナとナイトの二人は
「「え?まだしてなかったの...」」と
同時に突っ込んだ
その突っ込みにハイネ顔を赤くして
膝を抱えて俯く
「どう言う時って.....したい時にすれば良い
じゃない」
「部屋で二人っきりになった時とかじゃない」とナイトミーナがそれぞれ返答するが
「しっ したい時とかなんてねェし....
二人っきりとか....そう言うの意識したら
逆に上手く喋れなくなるし無理」ハイネ
久しぶりにヘタレの部分が出てしまう
ミーナとナイトは、溜息を吐いて
((両思いになっても手が掛かるなあこの人))なんて呆れ半分苦笑半分でハイネを
見つめていた。
「まぁそう言うのは、あまり意識せずに
普段通りにしてれば良いんだよ」
「そうよむしろ無理矢理そう言う事やったらそっちの方が最低よ!!シズクを傷つけたら
許さないからね」
そう言って二人は、「後は、ハイネ次第だよ!」「シズクを泣かせる様な事するん
じゃ無いわよ」と言って部屋から出て行った。
ハイネは、思わず二人を引き留めそうに
なったが四人で居たらハイネは何も言わず
だんまりを決め込んで何も言わず一日が
過ぎるだろう 二人もそれを分かって居る
から部屋を去ったのだろう
そうして暫くしてシズクがいつも皆が
集まる部屋にやって来た
シズクが部屋に入るとハイネしか居なかった どうやらミーナとナイトはまだ来て
居ないか 帰ってしまったらしい....
「ハイネ....」シズクがハイネに呼び掛けるとハイネは、ソファーの上で肩をびくりと
震わせる。
「? ?」シズクは、ハイネの様子が
いつもと違うので首を傾げる。
「ハイネ....どうしたの?」
「べっ....別に....」ハイネは、ちらちらと
横目でシズクを見る
すると.... ハイネの顔がシズクに近づき
シズクの前髪の方へ視線を向ける
そこには、ハイネがバレンタインデーに
シズクにあげたヘアピンが留めてあった。
「これ....」ハイネは思わず呟く
するとシズクは、ハイネが気付いてくれた
事が嬉しくて「うん!」と頷く
「ハイネがくれたの使ってみたくて
付けて来たの....あっ....無くしたりしないから大丈夫だよ....」
シズクは、嬉しそうに にっこりと笑う
そんなシズクの笑顔に堪らなくなる
ハイネ 顔に熱が上がり下を向いて
俯くのが精一杯だった。
「っ....ク.....可愛い.....」ハイネは勇気を
振り絞ってぼそりと呟く
「うん!ハイネが選んでくれたヘアピン
とっても可愛いくて気に入ってるよ
本当にありがとう!」
「馬鹿シズク!!」「え?」
シズクは、目を丸くしてキョトンとして
いたが.....実は小声でハイネは
恥ずかしさを押し隠して
『シズク.....可愛い』と言ったのだが
シズクには、最初の言葉は、聞こえなかったのでヘアピンの事を褒められたと思い
若干ズレた返答をシズクは、
ハイネにしていた。
しかし言い直す事は、ハイネの心臓的に
無理だった。
シズクを褒めるだけでいっぱいいっぱいの
ハイネ キスなんてする余裕は、
ハイネには無かった。
自分のあげた物を嬉しそうに付けてくれるシズクを見るともっとその笑顔を見ていたくて顔を近づけたい衝動に駆られたが
シズクに変に思われたく無くて
ぐっと我慢するその衝動がナイトの言って
いた キスがしたい時に繋がるのだが
ハイネがそれに気付く事は、無かった。
こうしてハイネのシズクに対する
愛の言葉は、微妙にシズクに届かず
今日もハイネは、好きと言う愛言葉を
馬鹿と言うけなし言葉に変換してしまうの
だった。....