風鈴の音
チリリンと耳元で涼しげな音が聞こえる。
ふと視線を横に向けるといろいろな模様の
風鈴が軒先に飾られていた。
金魚 水草 波模様 どれもこれも夏を
思わせるデザインばかりだった。
しかしその風鈴に見入っていたのは
体感時間にしてほんの数秒だった
私の足を進ませたのは、頭上で照り返す
灼熱の太陽だった。
気が付けば私の肌に大量の汗がまとわりつく 私は、急いで走り出し
自宅のエアコンが付いているリビングと
冷凍庫に入っているアイスを求める様に
思考を切り替える。
最近の異常気象のせいで夏の気温は、
どんどんと上がり地域によっては40℃になる所も少なくない
気付けば風鈴の音で涼を感じる者より
直接的な冷たさ 涼しさを求める者が多く
なった。
私もその例に漏れず..... 冷たさを求めてしまう傾向にある。
昔の夏を私には、想像する事しかできないが..... 穏やかな暑さの中で緑の葉の匂いに
囲まれ風鈴の音に耳を澄まして自然の涼を
感じる人が今よりきっと多い事が今の私には、少し羨ましく感じた....。
空恋
「あなたに会いたい...」 空に願うは、
それ一つきり 恋焦がれ 恋焦がれ
待つ日々は、苦しく 切なく あなたを
思うばかり.....(by織り姫)
君の笑顔が脳裏に焼き付いて離れない...
待つ日々重ねて君思う.....
君に触れられる日を待ちわびて
恋焦がれ 君思う....(by彦星)
二人の願いは、人々の願いに導かれ
夜空にきらきらと輝く白い星の光になって
二人が分断された岸と岸に乳白色の
架け橋を架ける。
その瞬間 二人は、駆け出し
手に手を取って抱き締め合い 自分達の
体温をお互い確かめ合う....
そうして離れていた月日を補う合うように
お互いの温もりを交換し合うのだった...。
青く深く
コバルトブルー スカイブルー インディゴ
筆先を立てキャンバスに叫び何かを
訴える様に 耳元に微かに儚く囁く様に
青一色でこんなにもいろいろな感情を
伝えてくる
快晴の突き抜けるような青空の青
深海の底の様な暗く深い青
静まり返った暗闇になる前の夜の青
青は冷静で孤高で落ち着いていて波立った心を鎮めてくれる。
そんな青の世界が君が描いたキャンバスに
広がっている.....。
深く深く..... 青く青く.....。
君だけのメロディ
僕達の高校の吹奏楽部は、毎年全国大会で
上位に入選する それなりの上位者だった
そんな僕達だけど しかし全体練習を開始すると それぞれの個性が出るのかどうしても集団のオーケストラの体制になると
音を外してしまう人も出て来る
そう言う人は、個人練習になるのだが
中でも一際目立ち注意されるのが君だった
君は、規律だったメロディが嫌いで
楽譜通りに曲を奏でるのが苦手だった
いつもいつも部活の顧問の先生に目を付けられる君 そのたびに周りは、呆れた様な
ため息を吐いたり 迷惑そうな視線を
向けるのだ。
しかし 僕は、ある日見た 君が誰も来ない中庭の裏側で一人で自分の楽器である
バイオリンを弾いている姿を.....
その時の音を何と表現して良いか分からない 文字なんかでは、とても書き現せられない..... 君だけのメロディラインが
そこにあった.... まるで五線譜から音符が
飛び出して来て君の周りで踊っている
様だった....
楽しそうな君の音に僕は一瞬こっそり見て
いた事も忘れ 思わず手拍子をしそうに
なった。 慌てて自重したけど....その位
体が自然に動き出した。.....
その後 君は、吹奏楽部を辞めて
新しく僕達の高校にできた音楽系の部活
軽音部に転部して行った。
確かに君には、オーケストラより
バンドの方が合っている あの音を聞いて
僕は、そう思っていたので心の中で納得していた。
周りは、君を特に止めなかった。
寧ろやっぱりなあと言う感じであった。
しかしその年の文化祭で君の音を聞いた
吹奏楽部の人達は、君の作ったバンドに
最大級の拍手を送る事になるのだが
この時は、まだ誰も知らない未来の出来事の別のお話しである。
I love
I loveと声を出さずに口の中で唱えてみる
Iと愛でハートが二つ Iと愛とloveで
ハートが三つ 心の中で唱えるたび
ハートが次々と増えて行く
不思議な言葉 でも君への想いは
三つなんかじゃ足りないから
だから君に対してだけは毎日欠かさず
言うよ
Iと愛とloveを毎日更新して君へのハートを
増やし続けるよ I love.... et cetera...