泡になりたい
君の体を持ち上げるとまるで泡みたいに
軽かった。....
「きっと私の体は、この炭酸水の泡みたいに最期には、消えてなくなるの....」
白く枯れ木の様な手を炭酸水の泡がポコポコと上がって行くグラスの滴をなぞるみたいに同じく白く細い指をグラスに添える
僕は、君の手からグラスが落ちない様に
君の手を強く支える。
そうして炭酸水の泡をじっと見て君は、
呟く....
「でも何もかも消えて無くなるより
儚く存在を主張して無色透明になって溶けて消えていける方が普通に死ぬよりきっと
幸せって思えるの...」
そう言って君は、窓の外に視線を向ける
枕に頭を預けながら.....
そして君が居なくなって一年
僕は、炭酸飲料の泡を見ると君を思い出す
本来は、積極的で活動的の君の事だから
重い体を脱ぎ捨てた君は、.....
きっと君があの日呟いた綺麗な泡になって
無色透明な心持ちで僕達の周りを楽しく
揺蕩っている事だろう....。
8/6/2025, 7:40:31 AM